Coolier - 新生・東方創想話

人形遊戯――ひとりぼっち症候群――

2008/12/14 03:31:08
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 悩み?
 そんなもの無いわ。






 人形遊戯――ひとりぼっち症候群――









 病的なまでに整った部屋の中で、アリスは人形に細長い糸を通している。
 呼吸を抑えた慎重な操作が必要だった。
 足から手の先へ。手の先から首へ。
 息遣いを操るのはとても大変。かわいいだけではぜんぜん足りない。
――かわいいだけなら。
 アリスはしみじみと考えた。
 かわいいだけなら、そんなに難しくない。かわいいというのは子どもっぽい動きをとりいれるだけでいい。幼く媚びた動作。キャンディのような甘ったるい声。上目遣いの視線。猫のようなふにふにした動き。そんなものの集合体。
 綺麗も、そんなに難しくない。綺麗は華やかに着飾ればいい。色鮮やかに、彩り深く。肌は陶器のようになめらかに、髪は光線のように輝くラインを創ればいい。
 恣意的な構築。
 そして、完全な支配。
 人形を対象物として創りあげるのはたいしたことではない。
 けれど、絶対的に難しいのは生命の胎動。
 意志の輝き。
 輝く断片だった。
 物体にいのちを吹き込むには夢のような集中力が必要になる。それこそ神様のようなちからが必要になる。
 いや。神であっても、決してなしえないことはあるだろう。
 心を表現することは、心を得ることと同じだけの価値があるはずだ。
 ふと、アリスの顔が青白く染まった。
 本当にそうだろうかという問い。
 本当にわたしは心を得ているのだろうか。
 アリスの手の中には、黒と白とひらひらで構成された小さな人形があった。
 魔理沙のかたちをかたどった人形である。
 かたわらには自分をかたどったアリス人形。
 蒼い目とつややかなシルクのような肌触りの金髪を持つ自分のコピー。
 どちらの人形もすやすやと眠っているかのように瞳をつむっている。人形を動かすにはアリスの呪術的な言葉が必要だ。
 はじめに言葉ありきとはよく言ったもので、アリスはそうやって言葉からいのちを始めようと思っていた。自分が外界を認識しはじめた最初の瞬間はまずは言葉だっただろう。だから、それは自然なことのように思ったのだ。はじまりは言葉。言葉はいのちを動かす駆動因。立って歩きなさい、と唱えればいい。
 いつでも、そうしようと思えばできる状態にはある。けれど、そうする勇気が湧かない。
 ものがなしさがアリスの胸中に降りた。
 こんなのはただの人形遊びじゃないか。
 いつだってそう。
 わたしは一人で遊んでいる。
 アリスの心は、闇の中をさ迷い歩いている。
 そんなとき、
「あの。ちょっとよろしいですか」
 と、明るさを感じさせる声がアリスのもとへ届いた。
 ドアの向こう側から聞こえてくる声に、アリスは驚いてふたつの人形をタンスの奥へと仕舞った。
「どなた?」
「文屋の射命丸文です。今日はアリスさんに取材の申しこみに着ました」
「取材。聞いてないわよ」
「言ってませんから」
「アポイントぐらいとってきてほしいものね」
 アリスは物静かなほうではあるが、そのため逆に沈んだ迫力がある。
 文は笑いをすぐにおさめた。
「すいません。ですがアリスさんにどうしても取材をお願いしたいのですよ」
 その顔からは烈しい想いを感じる。
 取材をし、それを文章にするということに熱意があるのだろう。
 そういう創作的な意欲はアリスにも通ずるところがあり、無碍に断るのも気がひけてきた。それによく考えると
――わたしは外にほとんど出ない。
 つまり、アポイントをとるためには実際に会いに来るしかないわけである。
 アリスはほのかに笑って、それから文を部屋の中に通した。あまり部屋の中には人を入れない。見られたくないものもたくさんある。とても珍しいことだった。
 そんな小さなことが気にかかる自分のことが嫌いでもある。
「うわー。すごい人形の数ですね」
「そりゃ。人形遣いだから。当然」
 文は大きくうなずいた。
「それで、取材っていったい何?」
「アリスさんのお人形ですよ。最近は自律人形の製作にとりかかっていらっしゃるようですね」
「そうよ」
「自律人形というものがどうやって作られるのか、みんな気になっているのですよ」
「ああ……、そう」
――単なる好奇心か。
 と、思ってしまえば、文の熱意も冷めた目でみてしまう。
 もちろん取材したいという気持ちに嘘はないと思うが、結局は下世話な好奇心じゃないか。
 いのちをつくろうとしている神聖さを冒涜された気がして、アリスの顔は変に歪んだものになった。
「わたし、なにか気に障ること言いました?」
「いえ。ちょっと気分が悪かっただけよ」
 アリスは陰気な声で答える。陽の気を持つ文にあてられてしまったのだろう。どことなくバランスをとろうとしているのかもしれない。
 気分を落ち着かせるためにお茶を入れて、文に差し出した。
 文はへこりと小さくお辞儀をして、すぐに手をつける。
「ふぅ……。それで、取材ですけどよろしいのですよね」
「少しだけならかまわないけど」
 と、アリスは小さく言った。
 嫌だと思うと同時に、少しでも人と関わっていたいという微妙な心の揺れがある。
「ありがとうございますー!」
「いいのよ。それで、具体的にはどう答えればいいの?」
「簡単です。自律人形の作成過程を見せてもらい。解説していただきたいんですよ」
「それは……」
 しばらく考えた。
 論を待つまでもなく、巧妙極まる自律人形を作成する過程に人の視線という雑音を混入させるのは愚かとしかいいようがない。だが、いま人形の創作過程は硬直的になりつつあり、なにか打開策を見つけたいと思っていたところだ。
 そういう意味ではたとえ雑音であるとはいえ、なんらかの刺激にはなるだろうと考えた。
「いいわ。見せてあげる」
「ありがとうございます。感謝します」
 と、文はしきりに頭を上下した。




 人形の製作過程については特に秘密にしているわけでもない。
 平和ボケしている幻想郷で戦うことなどほとんどないし、命のやりとりもない今となっては、人形を戦いの道具にするというのも形骸化しているといえる。
 しかし、アリスにとっての目標は、いのちの創作である。これはアリスの生命を賭した目標であり、人生の様式美に関わることであった。
 だから真剣そのもの。
 アリスが文に要求したことは、二つ。
 製作中は邪魔にならないようにすること。そして、記事では見たことだけを記述すること。
 つまり、文にも真剣な態度を求めたのである。
 人形の作成の行程はまず、壊すことから始まるといっても過言ではなかった。気に入らない形ができあがるとすぐに壊したからである。
 具体的な作業は、最初は象りを灰色をした粘土で創るところから始めることにしている。その前には作図があるのだが、それはもう何度もやっているので省略した。見た目的にわかりやすいのはおそらく形をつくっている作業のほうだろうと思ったのだ。変なところで素人である文に妥協したのである。
 その粘土をアリスは何度も叩き潰した。
 鬼の形相で破壊した。内なる情熱がすべて一瞬のうちに噴きだすかのように、圧倒的な迫力でぶっ壊した。
「完成品は壊しませんよね」
 おずおずと文が聞いてきた。
 邪魔にもなっていないのでアリスは簡単に答えた。
「当然じゃない」
「では、なぜ粘土は壊すのですか」
「これは単にイメージでしかないから。自分の頭のなかにあるイメージにすぎないから、壊したって問題ないでしょう」
「ですが、完成品だろうが、結局はアリスさんの頭の中のイメージで作成されているのですよね」
「そうね。終局的には、そう。でも完成した人形にはわたしのイメージだけではない属性が生まれているの。それはわたしが完璧にイメージどおりに人形を創りだすことができない未熟さに起因することなのかもしれないけれど、人形が自らなりたいものになろうとするような、そんな抵抗力があるのよ。だから、人形はわたしが創っているのはまちがいないのだけど、自然に生成されていく側面もあるものなの」
「自然に生成というのがよくわかりませんね」
「例えば、材質や、使っているものの切り出し方ひとつとってみても、同じ工程を通しても違う個体になる。あるいはその日の天候とか他にもわたしのその日の感情とか、いろいろな要素が複合的に絡み合って、人形は固有の記憶を持つことになるわ。それはその人形のいのちの鼓動になりえるものよ。わたしでさえ侵してはならない神聖な領域なの」
――それがいのちではないだろうか。
 とアリスは考えている。
 ただ、偶発的な事情に頼らざるをえないところに我慢ならない。
 もっと恣意的に操りたいという欲望がある。下卑な欲望だろうか。そんなつもりはない。
 魔理沙人形とアリス人形を優しく近づけて、そっと仲良くさせてあげたいのだ。ただそれだけでよかった。
 見ているだけで幸せな気分になれるだろう、きっと。
 いや――
 いまはそんなことよりも上海人形の工程に魂を注がなければ。
 アリスは何度目かの粘土での造形に挑戦し、ようやく納得いくものが創りあがった。
「これで、最初の工程は完成」
「はぁ。すごいですね。アリスさんってもしかして絵とかも達者なんですか」
「デッサンはまあまあ練習しているつもり。でも色を塗るのは苦手」
 物の形を捉えることはそれなりにできるのだ。が、色は複雑な心象に影響されやすい。おのずと自己を投射した色合いになってしまう。
「というか――、これって博麗の巫女ですか?」
 粘土で作られていて色もまだ塗ってないとはいえ、だいたいはわかるのだろう。
 ひらっとした脇をだした巫女服なんて、この幻想郷で着ている者はおそらくひとりしかいない。顔は幼くデフォルメ化されているが、そもそも霊夢自体幼いのでそんなに違和感も生じないのだろう。とりあえず一目見てわかったことには感心するアリスである。
「霊夢は何度かあってるからイメージしやすかったの……」
「ほぅ」
「べつに彼女自身に興味があるわけではないわ」
 言って、後悔する。
 そんな言い訳じみた答えをまるで用意していたかのように言わなくてもよいではないか。文はそのままの意味で捉えるしかなく、静かに目でうなずくと、さっそくメモ帳に書きこんでいた。そんな文の様子を見て、アリスは思う。
――真実はいつだって捏造される。
 心の中はいつだって明らかにならない。
 想いがマントルのように熱を帯びていても、他人には変な形で伝わっていくのだろうと思うと、怒りではなくむしろ哀しみが湧いた。きっと自分の想いもどこかで捏造されていっているのだろう。綺麗は汚い、汚いは綺麗というふうに。
 それは自分の孤独が決して治癒されないことを予感させた。
「デッサンのほうを見させていただいてもよろしいですか」
「いいわ……」
 アリスは数点のキャンバスをとりだして文に見せる。本当は、イーゼルに置いてあるできたてほやほやのもあるが、少しわいせつ的に描きすぎたため、それには幕をおろしたままにした。キャンバスに描かれている霊夢は様々な表情を見せている。
 戦っている姿。こたつでくつろぐ姿。賽銭箱を覗きこむ姿。友人と笑いあう姿。友人には魔理沙の姿もあった。
「絵も巧いなー」
「でもこれには魂をこめてないわ。やっぱりイメージ喚起のために描いてるって感じね。パースの取り方には気をつけているけど、ほら色を塗ってないでしょう」
「ああ、だるまといっしょで瞳をぬらないと魂をいれてないってことですか」
「そういうこと」
「粘土のほうはどうするんです? 保管しておくのですか」
「人形を創ったら全部壊すことにしているわ」
「そうですか」
 文は淡々とした質問をしてくれている。考えてしまうのはアリスのほうだった。
 たとえばであるが、
――暫定的ないのちは生じないのか。
 という問いがきたらどうしようかと思っていたのだ。
 もちろん創作するにしたがっていのちをこめているのは事実。だとすればその完成過程にいのちの前駆状態が生じてもおかしくはない。それは、いのちと同じとまではいえないけれど、同じぐらいの価値があるのではないだろうか。考え出すと止まらない。
 生きているものと死んでいるものの境目は非常に曖昧だ。答えがでるような問題でもない。
 アリスは想念を振り払った。
「次の工程に移るわね」
 アリスの作り方は念がいっている。まずは造形した粘土に近い材質のものをとりだしてきて机の上に置いた。最初に創った像とは違い、今回は石膏のように白い色をしている。純粋無垢な白さだ。
「こちらのほうが綺麗な粘土……ですかね。粘土でいいんですか」
「大きなカテゴリーとしてはそれでいいんじゃないかしら。合成樹脂《レジンキャスト》の方が好きって言う人もいるみたいだけど、わたしの場合は粘土のほうが暖かみがあって好き。ただ、これは特別製。わたしが膨大な魔力をこめたもの。粘土にいろんな薬草も混ぜている。魔法的な付与がされているの」
「ほうほう……」
「といっても別にこれ自体がいのちになるわけではない。材質なんてどうでもいい。結局いのちはいのちによってしか与えることはできない。わたしが想いをこめることが一番大事」
 白い粘土をアリスは一心にこねはじめた。まずは適当な柔らかさになるまでこねることが必要なのだ。机の上にいのちの元をたたきつけ、何度も何度もつぶして、またこねくりまわす。まるで自分のいのちを混ぜこもうとするかのように。
 文は黙って見ているしかない。
 二十分ほどかけてようやく適度な柔らかさになった。人肌と同じぐらいの弾力。ちょうど二の腕あたりの柔らかさだ。
 アリスは先の粘土を模型として、だいたいの大きさに切り取り始めた。造形したときとは違い、今度はパーツごとにより分けることが必要になる。関節部分を作るためだ。最初はわりと大雑把でよいのだが、アリスの場合はこの段階からすでに人体組成を見極めながら創っている。
 要するには、骨が先にあり、骨から筋肉、筋肉から肌というふうに想像を創造へと変える作業だ。本当は芯の部分を針金などで作ってもよいのだが、そうすると必ずノイズが混じり純度が落ちる。同じ材質で硬度だけを微妙に変えて骨らしき部分、筋肉らしき部分までつくり、最後に肌だけは柔らかさを出すためにあとで粘土を盛ろうと考えていた。あるいは磨けば肌のつやを演出できるだろうか。
 アリスが使っている粘土は最初は柔らかいが、水気が飛べば石のように硬くなる。速さが要求される作業である。
 額を汗でぬらしながらも、アリスはほとんどまばたきもせずに作業に没頭した。そんなアリスを文は興味深そうに見ていた。恐ろしいほどの気迫とともに、ただの粘土のかたまりが人のからだになっていく様を見るのはそれなりに楽しかったからだろう。
 なにより、
――創ろう。
 という意志が文にも伝わり、感じ入ったのである。
 パーツは全部で六つになった。
 胴体の部分が一番大きい。首までが胴体である。あとは手足が四本。最後に顔。顔もわりと大きい。緻密な顔の描写をするためにはある程度の大きさがあったほうがいいし、アリスの人形は基本的に頭身がそれほど無いので、頭が大きくてちょうど良いバランスなのである。
 何度も創っている上海人形と同じサイズなので、このあたりは問題ない。手馴れた手つきである。問題はアリス人形との差異だろう。アリスはわりと長身であるのに対し、霊夢は小柄な身長である。人形の縮尺であるからそこまで目立たないとはいえ、やはり差異も出したいところで、しかしそうすると上海人形のバランスとは微妙に異なってしまう。どうするかということを考えたが、結局アリス人形を若干大きくすることで対処した。いつもの上海人形の縮尺ではないので、かわいく綺麗に創るのにはそれなりに時間がかかった。
 しかし、自分の人形なので、他の人間をモデルにした場合と違ってわかっていることも多い。
 情報が多いほうが創りやすいのは確かであり、アリス人形の出来にはアリス自身も満足している。
 霊夢人形の場合は、わりと簡単に出来そうだ。
 出来上がったパーツをカメラで取りながら、文がぽつりと呟く。
「バラバラ殺人のようですね」
 言って、しまったと思ったのか、バツの悪い表情になった。
 別にそれくらいはなんともない。悪口という意図はどこにもないようだし、それならば傷つけられることもない。
 人形はそもそもが人間のかたちをした不気味なものである。人間がもっとも恐れを抱くのは人間であるから当然であろう。したがって、
「今から蘇生させてみせるわ」
 と、アリスは短く答えた。あるいは、組成の意味も含まれていたのかもしれない。
 アリスは実際にできあがったパーツを組み立て始めた。まだ細かい造形は終わっておらず、指先も分かれていなければ、顔ものっぺらぼうである。
 球体関節を組み立て終わると、とりあえずうまい具合に立たせて見せる。自律することと自立することは異なるので、立ったからといってそれほど意味のあることではないとも思えたが、人形というものが人間を模している以上、立っている姿を見たいという想いがあった。
――立って歩きなさい
 と言うにはまだ早い。
 ただ立っている姿を見ると、人間のからだの精妙さが窺われた。
「立ちましたね」
「当然よ。それぐらいは計算しているから」
「ふむー。このあとは顔の造形ですか?」
「そうね。その前にバラさないと。また殺人事件するわね」
 球体部分が磨耗しないように緩やかにはずしていく。まだ固まりきっていない状態なので、壊さないようにそっとした手つきだ。
 すべてのパーツをはずし終わると、アリスは顔の部分を手に取った。まずは顔から始める。だいたいの顔の造形を手の平でつくっている感じ。これはもうほとんど勘の作業だ。スピードは要求されるとはいえ、ある程度の失敗は問題ない。あとで彫刻刀で削ればよいのである。
 ようやく人間らしき顔のかたちが見えてきたので、そこでアリスは大きく息を吐いた。文もなぜか同じタイミングで息を吐く。
「すごい集中力ですね」
「いえ、まだまだぜんぜん足りないわ。でも今日はだいたいはこのへんで終りね。あとは乾燥を待たないと」
「そうなんですか。完成まで見たいんですけど」
「だったら三日後にきなさい。今度は延々と削って、盛って、削って、盛っての繰り返しだけどね。あまり見ててもおもしろいものじゃないわよ」
「そうですか。でもこれもわたしの仕事ですからね。三日後に伺いますよ」



 朝早くアリスは目覚める。ベッドの中からすらっとした手を伸ばし、うーっと伸びをする。
 今日は人形工程の三日目。ようやく固まってきた粘土を削ったり、また盛りつけたりして造形する作業だ。
 顔の形はできているけれど、その前にドールアイを埋め込むための穴を開けなければならないだろう。ドールアイ自体はすでに創っている。これは粘土でつくるわけにもいかないので、クリスタルレジンで作った。ストックは何個もあるが、霊夢人形は上海人形と違って黒真珠のような輝きを出すのが難しかった。だが、それも数限りなく試行すればいつかは満足がいくものもできあがる。
 さて、余った時間をどう使おうか。
 いずれにしろ。文が来るまで待とうと思った。人を待つなんて、何年ぶりだろうか。
 天狗山からここまで来るのにはおそらく少し時間がかかるだろう。今日に来いとは言ったもののいつ来いとは言っていない。昼ごろには来るだろうか。
「それまで、なにをしよう」
 タンスの中に目が行く。
 中には魔理沙人形とアリス人形が置かれているはずだ。
――あの子たちの洋服をもう少し縫い合わせてみよう。
 立ち上がって、タンスの中を覗きこむ。人形の服は普通の素材だ。ただサイズが小さいので縫うときにすこし集中しなければならない。
 かわいらしい服を着せたかった。
 魔理沙はほとんど黒と白の、いわゆる魔女のイメージに即した格好しかしないので、たまにはそうじゃない服を着せてあげたい。たぶん本人に直接言ってもいやがるだろう。
 人形に着せることも同じぐらい嫌がられるだろうか。
 いや、わたしが創ったのだからわたしのものだ。
 そういうふうに無理やり思いこむことで、なんとか自分を正当化できた。似合わなかったら、上海に着せてみようという打算も少々働いている。
 ピンク色をしたひらひらとしたフリルいっぱいの服ができあがった。
 魔理沙人形に着せてみた。
 かわいい、わたしだけのお人形。――けれど、ただのお人形。
 そのうち文がやってきた。アリスは丁寧な動きで木の扉を開けた。文はいつもと変わらない悩みのなさそうな笑顔を浮かべている。
「お待たせしました。上司にちょいちょいと仕事を押しつけられましてね」
「ふうん。天狗社会も大変ね」
「いいえ。子分筋にあたるやつに押しつけてきましたから大丈夫ですよ」
「そう」アリスは興味なさそうに応答する。「じゃあ入って」
「失礼します」
 アリスの部屋は三日前と変わりなく整理整頓されていた。本や人形たちは置かれているものの、作業机の上には一切なにもおかれていない。そこに乾燥させておいた人形の素体を置いた。
「特に見ててもおもしろいものじゃないわ……」
 彫刻刀で顔の頬骨を強調するように彫りあげていく。鉛筆で何度か当たりをつけて、削り過ぎないように。
 とうとう目のところに穴が空き、仮面のようになる。
「ところで、これ固まってますけど、表情はどうやって出すんですか?」
「いいところに気づいたわね。確かに物理的に動かすのは難しい。表情筋だけでかなりの数だから、それを盛りこもうとするととてもじゃないけれど創りきれない。だから、表情は表面的なパターン認識を創り上げているにすぎないの」
「どういうことですか」
「つまり、魔法」
「説明になっていないような」
「詳述すれば、『式』に従って、顔を刹那に近い感覚で切り替えているの。こちらが認識できないほど短い時間にね。だから表情はきわめてデジタル的な表現なの。ちなみに上海人形の場合は二十五通りのパターンがあるわ。笑い、悲しみ、怒り、恐怖といった感じ。一パターンあたり50フレームほどの微動な変化があって、なめらかに表情が変化しているように見える。デフォルトの表情は微笑2を選択しているから、うっすらと笑っているように見えることが多いはずよ」
 文は視線を上のほうへと向けた。
 部屋の隅にある棚には上海人形が微笑2の表情のまま佇んでいる。
 かわいい笑顔はきわめて機構的に作られたものなのだ。
 文は感心した。裏事情のようなものが垣間見えて嬉しかったのだろう。メモを取る手が早くなっている。
 次にアリスは顔を二つに分断した。中を創るためだ。ごりごりと彫り上げて、なめらかな曲面をつくっていく。でこぼこだと強度がまちまちになって壊れてしまうから、人工的な角度が必要になってくるわけだ。
 用意していたドールアイを手に取る。傷はない。よし、
――目をいれよう。
 ひとつの節目である。
 瞳がぴったりとフィットするように若干の角度がつけていた。そこに押しこむようにして瞳をいれた。
 ドールアイは内部に綺麗に組みこまれた。
 それから削っては盛り、盛っては削って、人形は確実に人間のかたちに近づいていった。
 アリスは無意識のうちに柔らかな笑みを浮かべていた。
――人はすぐに皮に目が行くけれど
 表面のつややかな美しさばかりに目を囚われることが多いけれど、本当は骨や筋肉のつき方ひとつにしたって、どこの誰かはわからないが完全としかいいようがないほどの計算が働いており、このうえなく美しい自然美が内包されている。
 そんな美を自分が創り出せる喜び。単純に言って、創造とは神を陵辱する喜びだ。
 被造物をぞんぶんに愛することができるという権利がなによりも代え難い創造の対価なのだ。
 それが人形を創る喜びといってもよかった。
 けれど、それだけでは満足できない。自由意思。自由に空間を飛翔し、なにものにも縛られない心。
 それが本当に創りたいものだから。
「さあ、次は磨くわ」
「もう夜ですよ」
「あ……、ああ、そうね。いつのまにか時間が経ってたわ。よくあることなの。三日間ぐらい没頭してて、ばったり気絶して、目覚めたら人形が出来ていたけれど記憶はぼんやりとしか無かったなんてこともあったわね」
「休んだほうがいいのでは?」
「そうね。すこし休みましょうか」
 アリスは作業場から部屋を移し、文とともに軽い食事をすることにした。文ははじめは恐縮していたが、天狗山にわざわざ帰るのも面倒なので結局はその申し出を受けることにしたようだった。今回は薬草が多めの質素な食事だ。
 薬膳はおいしくないというジンクスがあるので、文はしばし料理を見つめるだけだったが、客として招かれたからには食べないわけにもいかず、アリスのあとに続いて箸をいれた。
 少し、沈黙。アリスは気にしないふりをして食べ続ける。
 すると、文が
「てんぐーっど!」
 と大きな声をあげた。
 意味はよくわからないが、ともかく美味しいと思ってくれたようで、ひそかに心配だったアリスは、ほっと胸をなでおろした。
「よかったわ」
「というか、アリスさんって多才ですよねぇ。わたしなんてコレぐらいしか能がなくて、うらやましいです」
 カメラを手にとり、文はねっとりとアリスを見ていた。
「たいしたことじゃないわ。これも魔法使いとしての訓練の一貫よ。薬草の効力を調べているの」
「ふうむ。なるほど、日々の訓練というわけですね」
「好きだからということもあるけどね」
「好きこそものの上手なれですか。じゃあ、人形をお造りになられるのも好きだからですか」
「そうね。好きということは力になるわね。それだけじゃないけど」
「なんです?」
「野望みたいなものかしら」
「野望ですか?」
「そう。意思や魂や心は見えないし手で触れない。だから、それを得ることができたと言えるためには創りだすしかないと思ったの。あなたはどうなの?」
「わたしですか?」
「そう。記事を書く動機はなに?」
 言いながら、アリスは胸のあたりがずきずきするのを感じていた。こうやって人の心に侵入していくのはあまり気分がいいものではない。相手の壁が厚くて侵入するのに失敗しても嫌な気分になるし、たとえ打ち解けたところで、相手の心が一部自分の中に流れこんでくるようで、気持ちが悪いと感じてしまうこともあるからだ。
 だから、これは
――今日だけ。
 アリスは、そう思うことにした。
 文はしばらくの間考えていた。
「そうですね。一番はやはり楽しいからなんだと思います。書いて、書いたものを見てもらって、たまによかったよと言ってもらえると楽しいから、また書こうと思えるのかもしれません」
 屈託なく笑う文を見て、アリスの胸中は複雑な想いで満ちていた。
 文のシンプルさが羨ましいと思うと同時に、楽しいだけでは創り出せないものも多いと考えたからだ。先人たちが偉大な作品を残すときに、いかに我慢し、いかに抑制したかを知らなければ、結局は没落していくしかない。
 しかし、アリスは文と視線をあわすことができずに、料理をただひたすら機械的に口へと運んでいた。
 文もなにかきまずい空気を感じたのか黙りこんでしまい、室内には奇妙なほど沈黙が満ちた。
 カチャカチャとスプーンの音が小さく響く。



 食事をしたあとに文には帰ってもらった。磨く作業はほとんど根気勝負といってもよく、造形をつくりだすのとは違い、いのちをこめるのとは少し異なるからだ。あまりにも単純作業なわりに時間だけはやたらとかかるので、明日には次の工程に移るからといって帰ってもらったのである。
 実際は――何日もかかる。
 アリスは徹夜して人形を磨きあげた。文の記事を待たせては、彼女の楽しみを奪ってしまうことになると考えたからだ。
「おはようございま――ってすごい顔ですね。寝てないんですか」
「少し気合を入れすぎただけよ。まあなんてことはないわ。あとは組み立てて、着色して、服を着せるだけだから。一日で終わるわ」
 しかし、アリスの声には力がなかった。
 魔法使いとはいえ、まだ人間をやめてからそれほど時間が経過していない彼女にしてみれば、睡眠は肉体的には不要であるといっても精神的には必要だった。
「人形を造るのがこれほど大変だとは……」
 文は青ざめた顔をしたアリスに憐憫のまなざしを向ける。
「いいのよ。創りあげたらばたんきゅーすればいいわ。いまは人形を創ることのほうが大事」
 徹夜明けで妙なテンションになっているアリスはすぐに人形作成の最終工程にとりかかる。
 組み立てること自体はあまり時間はかからない。それでも慎重さが要求されるので二十分ほどかけて完了した。関節部分には特殊なパターン認識の魔法をかけて、球体の認識をごまかす。
 それで、ほとんど人間と見分けがつかなくなる。
 スモールサイズの人間。ただし――形だけは。
 それからは立体的な絵画の時間である。ちょうどお化粧をするときのように、まず肌色を全体的に塗って、血管が透けて見えそうなところは桃色に塗っていく。それなりに整ったら、再び魔法で認識を固定化する。
 少女の肌ができあがった。
「エロスですね」
「芸術よ。――まあ、芸術と性は密接不可分な関係でもあるけど」
 少女は幻想の生物だから、なおのこと妖しい魅力を備えてなければならないのだろう。
 卑猥になりすぎても品がないので、アリスはさっさと用意していた服を着せた。
 言うまでもないことだが、霊夢がいつも着ている巫女服である。冷静に観察するとわりとリボンとひらひらがついており、伝統とは隔絶している。
――誰が作ったのかしら。
 もしかして、あの薄気味悪い妖怪かなと思ったが、わかりようもないことなので、アリスはすぐにその想念を捨てた。
 さて、ようやく完成である。
「うおおおおお。霊夢そっくりだー」
「そうなるように創ったから当然よ」
「触っていいですか?」
「どうぞ。わりと頑丈に作ってるけど、優しくね」
「わかりました! お、お、ぷにぷにしてる。おおお、すごい! この感触はすごいですよ!」
 それは単なる認識誤謬の魔法だ。ただし、造形のかわいさが基礎にあるからこそ、触感の魔法に騙されやすくなる。だから、霊夢人形の柔肌を堪能しているのを見てもそれほど悪い気はしなかった。
 なにより自分が創った人形をかわいがってもらえるのは、単純に嬉しかった。
「で、これ自律人形なのですよね」
「ええ、そうよ」
「動いているところを見たいのですけれど」
 文は身を乗り出して聞いてきた。当然のことだろう。記事のクライマックスシーンは、人形が実際に動いてみせるところに違いない。
 けれどアリスは迷っていた。
 魔理沙人形やアリス人形も動かしていない状況で、霊夢人形を目覚めさせるのが少し怖かったのだ。
 動くだろうという核心はある。けれど、あの駆動の呪文を唱えることができない。たぶん恐れているのだ。霊夢人形が自分の手を離れて動くことに一抹の恐怖を拭い去ることができないのである。それは畢竟、被造物に嫌われるかもしれないという恐怖に他ならない。
 ずいぶんと矛盾していた。
 自由意思を作り出すことを夢にしておきながら、自由にふるまうことを良しとしない自分がいるのだ。
「少し、かんがえさせて」
「え? どうしたんです」
「なにかがピッタリしてない感じがするの」
 苦しそうにアリスが言うので、文は押し黙った。
「わかりました……。アリスさんが大丈夫だとお考えになりましたら、ぜひご連絡を。文字通り飛んできますよ!」
 文は上海人形の微笑2によく似た笑いを浮かべて、去っていった。
 アリスはしばらく机の上にひじをついて黙考した。頭の中では一つの言葉が何度も何度も反芻される。
――怖い。



 射命丸文の記事は三日後に届けられた。
 自律人形についての記事は中途で打ち切られる形にはなったものの、事実を丁寧に拾った文書で、できる限り私心を廃したものだった。それでもなぜかアリスの料理の腕前が載っていたのはご愛嬌というべきか。
 アリスは新聞を丹念に読んだあと、あっさりとそれを捨てた。
 読んだからには――その文意をあますところなく受け取ったからには、もはや物体は不要だった。
 文の場合はどうだろう。彼女が物質にこだわるタイプなら、アリスの今の行動を非難してくるかもしれない。いずれにしろ――そうであるとしたら一生わかりあえることはないだろうし、そういう者とあえて無理をして友達になろうとも思っていないので問題は少ない。
 アリスの悩みはいまだ続いている。
 人形を自律させることは果たして本当に自分が望んでいることなのか。
 根源的な動機が曖昧になり、自分が最初に何を望み、何を果たそうとしていたのかわからなくなった。
 だから、悩んでいるのだろう。
 それから数日後、森から湖へと散歩をしていると、妖精たちがアリスの話をしているのを偶然聞いた。
 アリスが霊夢に恋慕の情を抱き、人形を創って大事にしているという話である。記事からはただ単に霊夢の人形を創ったということしか書かれてないはずなのに想像力が豊かな読者は勝手にアリスの心を決めつけてしまっているらしい。
 アリスが人形にかけた想いは結局のところまったくもって伝わってない。しかし、アリスは想いというものの伝わりにくさを嫌というほど認識しているので、半分は諦めていた。
――霊夢がそのうち抗議しに来るかしら。
 と、かすかに考えたぐらいだ。
 もっとも、霊夢の性格からして、彼女自身になにか物理的な害悪が及ばないかぎりなにもしないだろうという確信があった。霊夢のいいところはそういう精神の自由さだろう。
 誰が誰を好きだとか誰が誰を嫌いだとか、そんなことは彼女の精神を犯したりはしない。
 精神の自由さは公平の感覚から生ずるものだろうか。
 あるいは、自分もそうなりたいのかもしれない。
 いや、それはあまりにも素直すぎる虚偽だろう。
 それから七十五日ほど経過して、噂も下火になった頃。
 始めの頃はちょくちょく顔を見せていた文もいまはもう誰かの話題を追っかけているのか、ほとんど会いにこなくなった、そんな折。
 ようやくアリスは人形を動かす決心をした。噂が収まるのを待っていたわけではない。時間がかかったのは、心の整理という単純な理由だ。
 誰もいない家の中で、
――立って歩きなさい。
 と、アリスは静かに言った。
 すると三体の人形はすくりと立ち上がって自分の足で歩き出した。
 よろよろとした動きで、最初はぎこちない。しかしすぐに動きに慣れてきたのか、思い思いの行動をとるようになっていった。すべてがかわいかった。
 けれど魔理沙人形だけには特別な視線を向けている自分を感じた。
 アリスは人形たちのためにドールハウスを用意し、そこに住むように命令した。自律人形はカタコトの言葉しか喋れないし、知能も妖精以下ではあるが、少なくともアリスの言うことがわかる程度の能力は有している。そのように創られている。
 しばらくは無個性だった。
 ドールハウスの中で三体の人形は平穏無事に暮らしているようだった。最初に異変が生じたのはやはり魔理沙人形だった。特別視したのがよくなかったのか、それともピンク色をした服が気に入らなかったのか、タンスの中に用意していた白黒の服がいつのまにかなくなっていた。
 ドールハウスを覗きこむと案の定、魔理沙人形はいつもの魔理沙らしい服装に着替えていた。
 よく似合っている。
 次は霊夢人形が家の外に飛んでいった。しばらく待っていたら帰ってきたが、彼女の心はもうすでにここにはない。
 最後に二体がいなくなった。魔理沙人形と霊夢人形だった。アリス人形もいなくなったのだろうかと真っ先に考えたが、ハウスの中には彼女だけが残されていた。あるいは彼女の自由意思がそこに残ることを選択したのかもしれない。
 残されたアリス人形は独り静かに紅茶を飲んでいた。いや――正確には飲んでいる動作をしている。
 蒼い瞳をまぶたで隠して、まるで音楽を聴いているかのようにゆったりとした姿勢。
 なにものにも侵されず、自分はそこにいないかのように。
――寂しくないの?
 と思った。
 いつのまにかアリス人形がこちらを見ている。無意識に瞳が交差する形になった。
 アリスは彼女の瞳のなかに自由意思を捉えようと努力した。
 すると、彼女は微笑2を選択し、虚構の表情で微笑んだ。
 アリスはひどく安心しきった表情になり、彼女といっしょに紅茶を楽しむことにする。自由な意思など感じ取れなくてもかまわなかった。想いは伝達されなくてもかまわなかった。結局アリス(あるいはアリス人形)はすべてを受け入れたのだ。それは諦観とはほど遠い、澄み切った感情だった。一言で言えばそれこそが
――自由意思
 の証左だったのかもしれない。
 アリスとアリス人形は世界の優しい無関心に、二人でちいさく乾杯した。
Communication Over...

というわけで、そういう話です。伝わればいいな。
わりと珍しい部類かなと思ってたら、直近に似た思想の話があがっててびっくり。
もうだめぽ。

ミステリーもだめだー。
超空気作家まるきゅー
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コメント



0.2190簡易評価
5.80名前が無い程度の能力削除
アリスの孤独さ不気味さ気色悪さがよく出てたと思います。
現実では皆から嫌われてるので勝手に他人の姿の人形を作って
人形の夢の世界だけでも好かれようとする
陰湿で気持ち悪い変態女。といったところでしょうか
結局その人形にすら逃げられる結末も頷けます。おおきもいきもい
7.90名前が無い程度の能力削除
最後のアリスとアリス人形間の雰囲気がとても綺麗でよかったです。
とても澄み切った清らかで純粋な優しい無関心の世界…アリスらしい世界です。
特に「~の密室」まで読んでもう一度戻ってきてまた読み直したからより一層そう感じるのかもしれません。
陰湿な悪意を以てワザと読み誤り、上で気色悪いコメントをしている変態には永劫解らぬ感覚でしょうね。
9.80名前が無い程度の能力削除
アリスって人によって好き嫌いがわかれますよね。
でもそんな口論になる程にアリスらしさが出てて良い作品でした、GJ。
10.100名前が無い程度の能力削除
彼女と彼女の世界。少女幻想。
アリス・マーガトロイドというキャラは
プログラマである神主のお気に入りであるだけあって、
造り手に近い立場にいるんですよね。
彼女の不思議な美学と孤独。を感じるちょっと耽美な良作でした
21.無評価まるきゅー@書いた人削除
言いたいこと上に書いちゃった。
みんなありがとう。
実はこの『アリス』も人形のつもりで書いている。
とかいってみるテスト。
32.100名前が無い程度の能力削除
結構良かったです。
37.無評価まるきゅー@書いた人削除
結構良くて良かった
43.100名前が無い程度の能力削除
こういうもの哀しい雰囲気の漂う話好きです。
孤独という題材をとても丁寧にうまく扱っていて、切ない雰囲気の中にも温かさがある、そんな素晴らしいSSでした。
59.90名前が無い程度の能力削除
アリスの透明感、というより無駄のなさ、が印象的でした。

>>ひらっとした脇をだした巫女服なんて
このシーンでは、何が巫女服をきているんでしょうか?
読み取り不足でしたらすいませんでした。