Coolier - 新生・東方創想話

いっぱい だいすき

2008/12/11 05:58:09
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「ばいばいね早苗」
「……うん」


きょうはずっと けろちゃんとあそんだ。
いっぱいあそんでごはんたべて おひるねしてからまたいっぱいあそんだ。
もっとあそびたかったけど「きょうはもうおしまい」ってかなこさまがいった。
だからちょっとざんねんだけど きょうはもうおしまい。


「やれやれ……、ったくお前は夕方まで遊ばんと
 気がすまないのかい」
「いいじゃん、早苗だって楽しかったよねー?」
「うん」
「ま、いいんだけどね」


かなこさまが ぶーぶーいう。
でもかなこさまは にこにこする。


「んじゃぁね神奈子」
「あぁ、またね」


けろちゃんがてをふって かいだんをおりてった。
かなこさまも てをふった。
ゆうやけだからけろちゃんは おうちにかえるんだ。

けろちゃんがちっちゃくなってから こっちむいて てをふった。
わたしもてをふったけど かなこさまはシッシッってやってた。
けろちゃんが あっかんべーしてた。
けろちゃんも かなこさまも なかよしにわらってた。


まえからふしぎ。
けろちゃんとかなこさまは なかよし。
けろちゃんはようかいで かなこさまはかみさまなのに。
ふたりは すごいなかよし。

わたしはけろちゃんがきらい。
かなこさまはわたしがかぜはふりなのに けろちゃんがいると
けろちゃんとばっかおしゃべりする。

きっとわたしのなかよしって けろちゃんのなかよしより よわいんだ。
わたしは くやしくて ちょっとかなしくて かなこさまのおようふくをにぎった。


「ん? どうしたんだい早苗」


かなこさまがなでなでしてくれた。
きょうも かなこさまはびじん。
きょうも かなこさまはやさしい。
わたしは かなこさまがだいすき。
けろちゃんきらい。


「ねーねーかなこさまー」
「なんだい早苗?」


かなこさまが しゃがんでくれた。
おでこにちゅーしてくれるかとおもったけど なでなでだけだった。
ちょっとざんねんだった。


「わたしけろちゃんきらい」
「あらまぁ、それまたなんでだい?」


かなこさまはびっくりしてた。


「いっつも仲良く遊んでるじゃあないか」
「うん」
「ケンケンパだってお馬さんごっこだってしてくれるだろ?」
「うん」
「昼間だって一緒にお昼寝してたじゃないか」
「……うん」
「どこが嫌いなんだい?」


どこがきらいなんだろう?
よくわかんない。
わたしが んーー ってやってたらかなこさまがいった。


「早苗に嫌いだって言われたら、諏訪子たぶん泣いちゃうぞ?」


そんなことない とおもった。
けろちゃんは あしがはやくて ちからもちだから。
それと いっぱいわらってるし げんきだから。
きっとけろちゃんは なかないとおもった。

でもかなこさまが ちょっとこわいかおしてたから
わたしはすごくこわくなった。

でもこわいよりくやしいのが つよかったから、
わたしはかなこさまにいった。



「なんでけろちゃんって、かなこさまにえらそーなの?」


ちょっとおこって わたしはいった。
かなこさまはちょっとびっくりして すこししてから にやっ ってわらった。


「それは……そうだねぇ」


かなこさまが んーー っていった。


「友達だから、かねぇ」
「ともだち!?」


それをきいて わたしは ずるい! とおもった。
けろちゃんばっかずるい!
けろちゃんは ともだちだから なかよしなんだ!
わたしももっと かなこさまとなかよしになる!


「わたしも! わたしも!!」
「ん? どうしたんだい早苗?」


かなこさまが わたしのおなかをつかんだ。
それから たって だっこしてくれた。
それでわたしは はずかしかったけど おっきなこえでいった。


「わたしもともだちがいい!」


かなこさまのおようふくの おっぱいをぎゅっとにぎって。
わたしは おっきなこえでいった。

くくくっ、とかなこさまがわらった。
すごいおかしそうにわらった。
それからまっかでながい ベロをべーってしていった。


「だめー」
「かなこさまのけちーーぃ!!」


わたしはじたばたした。
わたしはいっしょうけんめい じたばたしたけど
かなこさまは あはははは ってへいきそうだった。
かなこさまがわたしを だっこしてぶらぶらしたから わたしはおとなしくなった。
わたしは ぶー ってしていった。


「けろちゃんばっかずるい」
「そうかい?」
「かなこさまとなかよしばっかずるい!」
「早苗は私の友達になりたいのかい?」
「なりたい!」


そういったらかなこさまが んー っていった。


「じゃあ早苗と友達になって――――」
「うん!!」
「――――諏訪子に風祝をやって貰おうかな」
「やだーーーーーーーーー!!!」


かなこさまが いじわるいう!
かなこさまはだいすきだけど いじわるかなこさまきらい!


「でもね早苗、風祝と友達はどっちかしかダメなんだよ」
「やだーーー! ともだちもかぜはふりもやるのー!!」


こんなにいっぱい だいすきなのに!
かなこさまはぜんぜん わからない!
たくさんたくさん なかよしになりたいのに!
かなこさまは いじわるばっかいう!


「やだぁーーー!! かなこさまやだーーーーー!!
 えぇぇーーーーーーーーーーん!!」
「ちょっ、早苗、泣くんじゃないよ」


かなこさまの ばかばかばかばかばかばかばかばか!!
わたしがかなこさまを たくさんぱんちしてると
とおくから どどどどどどっ ってすごいおとがしてきた。


「くっ、ぉぉぉぉりゃああああああああああああああ!!!」


ぶるっ! どかん! ってなったら けろちゃんがわたしをだっこしてた。
かなこさまがふっとんで きにぶつかってた。


「おー! よしよし早苗、かわいそうに!
 神奈子にいじわるされたんだねー、かわいそうに!」
「げふっ、諏訪子……アンタねぇ……」


けろちゃんがだっこしながら いいこいいこしてくれた。
かなこさまは いたた っていいながらおなかおさえてた。
かなこさまの てがあったけど わたしはみえた。
かなこさまの よこのおなかに けろちゃんのくつもようがあった!
けろちゃんがかなこさま けったんだ!


「けろちゃんのばかーーーー! けろちゃんきらい!!」
「えぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!?」


けろちゃんも いじわるかなこさまもきらい!


「こっ、こわくないよ早苗! ケロちゃんはにこにこ笑顔だよー!?」
「やぁぁーーーーー! ばかーーーーーーー!!」
「ひ、ひえぇぇ、だめだ、全然だめだーーっ!!
 かっ、神奈子どうしよう!? ってか早苗どうしたのさ!?」
「……私と友達になりたいんだってさ」
「なれよ!」
「いや、それは風祝である以上まずいかな、って思ってさぁ……」
「そんなの なる、って言っとけばいいんだよ!」
「おまえ、私に嘘つけってのか!? 早苗に嘘つけってのか!?」
「融通が利かないねぇ! だからアンタは……」
「うわぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」
「あぁ! ごめんね早苗、ケロちゃん声がおっきかったね!」
「早苗、泣かないでおくれ……あぁどうすりゃいいんだ えっとえっと……」





かなこさま だいすきで。
けろちゃんも すきなのに。
けろちゃんも かなこさまも きらいで。
もうあたまがぐちゃぐちゃで。

わたしはよくわかんなくて もっともっと おおきなこえでないた。





.
そんな我儘なこども時代も、後になれば微笑ましく思えるものです。 きっと。

はじめましてorお久しぶりです転石と申します。
こどもの語り口調(しかもオールひらがな)で読みにくい点が多々あったかと思います。
それにも関らず最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。

こどもの時ってきっとこんな感じだった気がします。
なにかが大好きで大好きで、それでもどこかうまくいかずに あがいて泣いて。
そんなこどもなりの一生懸命さが、私は好きです。


(0800 あとがき修正
転石
[email protected]
http://www.misut3gicho.sakura.ne.jp/hetakin.html
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コメント



0.1970簡易評価
12.100名前が無い程度の能力削除
か、かわええ
こりゃたまらんわ
13.100名前が無い程度の能力削除
こ、これはいい
さなえさんかわいいなぁ
14.100謳魚削除
さなちゃんもかぁいいけれどさいごのおろおろするかなけろもかぁいいよ!
15.100名前が無い程度の能力削除
また…貴方の作品が見れるとは
ホントにお久しぶりです
19.100名前が無い程度の能力削除
さなえちゃんが可愛すぎるw
2柱の神様が過保護になるのもわかるなw
22.100名前が無い程度の能力削除
か、可愛すぎるww
悶えさせて頂きましたw
24.100名前が無い程度の能力削除
こ れ は 新 し い 守 矢 一 家
いや、すっごい良いですね。

愛してくれる家族で、何でも気兼ねなく話せる友人。
そんで本職は神様と風祝。
早苗ちゃんの望む関係、可愛らしいお願いはわがままでしょうか、神奈子さま。
25.100名前が無い程度の能力削除
神だ、ここに神が居た……
確かにさなえさんも可愛かったが、このかなこさま大好きです。
大好きです!!
29.100名前が無い程度の能力削除
これはいい家族
31.100久我削除
子供は無条件で愛してもらえると思っている、と某作品で言ってますし、
実際に子供ってそういう存在だと思います。
早苗さんも小さい頃は愛されてると思ってて、実際に愛されてて。
3人の関係はやっぱりこんな感じだったんだろうな~、と思えて頬が緩みますw

ひらがなは多少、読みにくいですが、それでも表現の一つとしてOKです。
より『子供らしさ』が出るので私としては読みづらさ以上に伝わるモノがあると思います。
33.無評価名前が無い程度の能力削除
諏訪子は妖怪ではない。