「星の光に惑わされ~♪、蛍たちは失恋騒ぎ~♪」
今日は最も星達が輝く新月の夜。
流れ星に願い事をしたいなら絶好の夜空。
星々のライトが今夜の私のステージ♪
でもちょっと暗いかな~?
「邪魔するわよ」
「邪魔するぜ」
「いらっしゃ~い♪」
最初のお客さんは紅白巫女と黒白魔法使い。
妖怪たちを虐めるナンバー1とナンバー2。
さて、どっちがどっちだろう?
「ん、今お客に対して変なこと思わなかった?」
うわわ、巫女はやっぱり勘が鋭い。
何もしなければ大丈夫だとは言え、巫女に睨まれるのはぞっとしないや。
私はいそいでお酒を注いだコップを渡す。
「あ、ありがと」
「おい、私にもくれ」
「はいは~い」
すぐさま魔法使いにもお酒を渡す。
「・・・くぅ~、やっぱり弾幕の後の一杯は格別だぜ!」
「そうねぇ、特に勝負に勝った後は」
「うるさいなぁ、あそこで霊夢が当たれば私の勝ちだったのに!というか、なんで当たらなかったんだ?絶対に当たったと思ったのに・・・」
「それが博麗の巫女の力よ・・・」
「理解できないぜ・・・」
「しなくていいわよ別に、私だって良くわかっていないんだから。あ、串揚げちょうだ~い」
「は~い♪」
「本人がわかってないのかよ!?」
あれ、なんか魔法使いがぐったりしている?
「第一、魔理沙は自分がどうやって魔法を使っているのかわかるの?」
「いや、わかるぞ。というかわかっていないと使えない」
「あら、わかっているんだ?てっきりキノコを適当に混ぜて行き当たりばったりで使っているのかと思ってたわ」
「いやいや、確かに新しい魔法を作るのはそういった感じだけど、流石に普段使っているのはちゃんと理論を作っているぞ?お、串揚げもらい!」
「あ、何すんのよ!」
「へへん!」
私が霊夢に渡そうとしていた串揚げを魔理沙が横から一本取り上げた。
「ったく、その人の物を盗る癖、どうにかしたら?」
「盗ってないぜ、借りてるだけだぜ?」
「それは戻ってこないでしょう?」
「ん?戻して欲しいのか?」
「け・っ・こ・う・!! はぁ・・・」
あれ、今度は巫女がぐったり?
「ん~、いつ食べてもここの串揚げは上手いな」
「ありがと~♪」
「あ~蒲焼とご飯も頂戴」
「おお、そういえば食べに来るのが目的だった。というわけで私も」
「は~い」
私は早速ヤツメウナギに串を通す。
「そういえば、さっき私が自分の魔法を理解しているか聞いたよな?」
「ん?そうね」
「まさか霊夢、もしかしてお前、自分の扱っている術とか全く理解せずに使っているのか?」
「・・・さあね」
「おい!!なんでそれでそこまで扱えるんだよ!!?」
「・・・さぁ?」
「・・・・・・なんかお前のこと一生理解できそうに無い気がしてきた」
「べつに構わないわよ」
「~~~、なんかそういわれると癪だな。いつか絶対に理解してやる」
「ん~頑張ってね~」
あ~、なんか魔法使いがすごい目標を立ててるみたい。
「蛙ぴょんぴょん、コサックダンス~♪おたまじゃくしのサッカーだ~♪」
巫女と魔法使いはご飯食べたら帰っちゃった。
いつもはもうちょっと飲んでいくのに珍しいなぁ?
「こんばんは」
「こ、こんばんは」
「いらっしゃ~い♪」
次に現れたのはくしゃくしゃお耳の銀ウサギさんと、始めて見る真っ白いウサギの女の子。
「とりあえず座りましょう。何頼む?」
「え、えっと・・・」
おやおや、なんか緊張しているみたい?
そういえばウサギさんはくしゃくしゃ耳の銀ウサギさんと、黒髪白兎さんしか見ないなぁ?
もしかして、ウサギさんって竹林辺りから殆どでないのかな?
「ミスティアさん、今日のお勧めは何?」
女の子の注文がなかなか決まらずにいると、銀ウサギさんが私にそう聞いてきた。
「ん~と、きょうはキノコが手に入ったから串揚げと一緒に天ぷらとか?」
「へぇ~、じゃあそれにする?」
「あ、はい」
「じゃあそれと、他適当に」
「は~い♪」
私は後ろの籠からキノコを取り出して衣につけ始める。
「で、悩みって?」
「え、でも・・・」
あれ、なんかウサギの子がこっちを見てる?
「大丈夫。彼女はここで聞いたことは傍から忘れていくから」
酷いなぁ・・・まぁ間違ってないけど。
「さあ、話してみなよ?」
「えっと、萩の間にいるすこし茶味のかかったウサギがいますよね」
「・・・あ~、あの子ね」
「それで、その~」
あ~、なんか赤くなってる。
お酒出したっけ?
「あ~~、そういうことね」
「・・・」
銀ウサギさんが何か納得したような顔で頷くと、女の子はさらに赤くなってこくりと頷いた。
ん~~~???
「それで、その事相手に伝えてみたの?」
「・・・」
女の子は赤い顔をぶんぶんと横に振っている。
なんとなく可愛い♪
「伝えないと始まらないわよ?」
「で、でも・・・」
「・・・もしかして、私の能力で相手を惚れさせるとか?」
銀ウサギさんが目を細めて尋ねると、女の子はさっきより強く横に首を振った。
「そ、そんなことをお願いしたいわけじゃないんです!」
「じゃあ、何?」
「え、えっと・・・」
女の子は言い辛そうに顔を俯けている。
何を言いよどんでんだろう?
「・・・住む場所を彼の近くにして欲しいなぁって・・・」
あ~、そういうことか♪
私自身はあんまりそういったことがないからわからなかったなぁ~。
「あれ、そんなことでいいの?」
「・・・はい」
銀ウサギさんが笑っている。
「でも、そういうことならてゐの管轄だと思うんだけど?」
「あの人に言ったらすぐに皆に広まりそうで・・・」
「あ~・・・」
今度は銀ウサギさん苦笑している。
なんとなく私もわかるかも?
「お待ちどうさま~♪」
「あ、ありがとう。ほら、料理が来たから食べようか」
「あ、はい・・・あ、美味しい」
ん~嬉しいこと言ってくれるね~♪
「でしょう?てゐとたまに来るけど、ここの料理はなかなか美味しいのよね。って噂をすれば・・・」
ホントだ、向こうのほうから黒髪白兎さんが来た。
一緒に居るのは・・・茶味のかかった兎の男の子?
「あ!?」
「あらららら、こっちも噂をすれば」
あれ?もしかしてあの子がさっき話題に出ていた?
「ど、ど、ど、どうしよう・・・」
「ちょうどいいじゃない。ここで距離を縮めてみたら?」
「無無無無理です!!」
うわ~、なんか顔がすごいことになってる。
というか、赤くなりながら青くなるって出来るんだ?
「はぁ~、仕方ないわね。いい、絶対声を出さないように!」
そう言って、銀ウサギさんは目を赤く光らせた。
って、あれ?兎の女の子が見えなくなった・・・?
「ミスティアさんもここにあの子が居ることは内緒ね」
「え、あ、うん。わかった~♪」
銀ウサギさんが口に人差し指を当ててウィンクしてきたので、私は頷いた。
まぁ、お客さんのお願いは聞かないとね~♪
「こんばんは~、あれ?鈴仙もいたの?」
「ええ、ちょっとここの串揚げが恋しくなってね。てゐこそなんでまた?しかも男の子を連れてなんて・・・」
「どうもこんばんは鈴仙さん」
兎の男の子がぺこりとお辞儀する。
「さて、まずはお酒を頂戴。あ、二人分ね」
「は~い♪」
私はコップにお酒を注いで、二人の前に出す。
「で、私に話したいことって?」
「えっと、部屋の移動をお願いしたいんですが・・・」
「部屋の移動?まぁいいけど、どこがいいの?」
「・・・あの、薄の間の近くに・・・」
「・・・へ~、なるほどねぇ~?」
白兎さんがニヤッと顔を歪めて笑う。
男の子は顔を少し赤くして下を向いてる。
あれ?さっきもこんなことなかったっけ・・・?
「・・・そういえば、そこにいる色白の可愛い子が居たわよねぇ~?」
「・・・」
おやおや、さらに赤くなっちゃった。
「ところで知ってる?その子、気になる相手が居るみたいよ?」
「え!?」
銀ウサギさんがいきなりそんな事を言い出した。
あ!もしかしてその色白の子って・・・?
「ねぇ?」
「・・・」
一瞬銀ウサギさんの目が赤く光ると、さっきまで女の子が居たはずの場所に再びあの子が現れていた。
って、うわ~~!物凄く赤くなってる!?大丈夫かな~?
「・・・」
「・・・」
あ~あ、なんか、非常になんともいえない雰囲気が蔓延してる~。
え~と、なんか歌ったほうがいいのかな・・・?愛の歌とか?
「・・・」
「・・・」
しばらく二人とも黙ったまま見詰め合うと、男の子の方がおずおずと手を伸ばしてその手を掴んだ。
ん~、なんかこっちまで緊張するわね~。
「さて、私は帰るけど。二人はどうする?」
あ、手を離しちゃった。
「え、あの・・・帰ります」
「あ、僕も・・・」
お~、やっと話した
「わかったわ。てゐはどうする?」
「そうねぇ、まだもう少し飲んでいくわ。あそうそう二人ばかり部屋の移動をお願い。場所は二人とも銀杏の間ね」
わ!?ふたりともビクッとした。
「ん、わかったわ。じゃあいきましょう」
「は、はい」
「はい」
お、二人とも今度はちゃんと手を繋いで歩き出した。
うんうん、なんか初々しくていいねぇ~♪
では二人の門出を祝って一つ愛の歌でも・・・
「そうそう、いい忘れたことがあったわ」
あれ、銀ウサギさんだけが戻ってきた?
「てゐ。あんた知ってて連れてきたでしょう?」
「さぁて、何のことかしら~?」
「・・・まぁいいわ」
??何のことだろ~?
「じゃあ、ミスティアさん。このおせっかい幸せ兎をよろしくね」
「は~い?」
「む~鈴仙のくせに」
銀ウサギさんは肩をすくめて白兎さんを見てから帰っていった。
「白い魚の恋物語~♪水面に移る愛しの海月~♪」
白兎さんだけが静かに飲んでいるなか、私は恋の歌を歌う。
「そういえばさ、店主って恋愛したことあるの?」
「へ?」
白兎さんが急にそんな事を聞いてきた。
「恋愛?」
「そう、恋愛」
「ん~?」
私は今までの鳥生を思い浮かべるけど、それらしいものは出てこない。
カッコいいかなぁっておもうのは居たけど、恋愛とはいえない気がする。
「ない、かなぁ~」
「言い寄られたりとかは?お客とかに・・・」
「ん~、たまに似たようなこと言われるけど相手も酔ってるし・・・」
「ふ~ん」
「兎さんはないの?」
私が聞くと、白兎さんはコップを傾けて、
「あるよ。というか、恋愛中かな・・・」
「そうなの!?」
ちょっとだけ顔を赤くした白兎さんの言葉に私はすごく驚いた。
だって、そんなイメージなかったし・・・。
「どんなのなの?」
「そうね・・・ちょっと長くなるけど、聞きたい?」
「うん」
真夜中の屋台で語られる白兎の恋物語。
夜明けまでにはまだ少し・・・。
新作を見つけて小躍りしつつ読ませていただきました
そして2828しました
今回もごちそうさまでーす
くっ、一話目はどこだ一話目はっ!
2の方と同じくこのシリーズのファンです。続きお待ちしていました。
いや、幸運を届けるてゐの力はすごいですね。カップル一命ご案内~っとw
都市伝説のほうも好きですので、頑張ってください。わくわくして待ってます。
人物同士の軽妙な会話や、そこからかもし出される屋台の雰囲気がとても好きです。
面白かったです。次回もがんばってください
それはさておきおもしろかったです次の歌を楽しみにしています。
この作品を好きだといってくれる方、次回作を待っててくれる方が居るだけで、非常に励みになります。
>13
一応全て一話完結型なのでどこから読んでも支障はないのですが、やはり最初に書いておいたほうがいいのでしょうかね?
一夜目は作品集48にあるのですけど。
そういえば、タイトルに数字がつく作品ってあまりないですから、結構長い続き物だと思って始めての方は遠慮してしまうことがなければいいのですけど(汗)
あくまで『八夜目』であって、『八話目』なわけではないんですけどね(苦笑)
>15
remained visions を気にって下さるのは大変嬉しいのですが、都市伝説が現在完全にネタが切れていますので、申し訳ございません、書くとしたらかなり先になるかもしれません。
なので、気長~に待ってくださると恐悦至極でございます・・・。
>23
あ~、そのネタは全く思い浮かばなかったですね。
毎回本当にランダムなので、次回は感想の投稿時間を使って、求聞史記のページを選んで探そうかなとか思っているぐらいですし・・・。
あ、でも十夜目はちょっとだけ変化があるかもしれません。あくまで可能性ですが(笑)
深く話に関わる人が居たりさらっと去っていく人が居たり…屋台らしくてとても素敵で面白いです。
続編も期待してます^^