「………」
「………………」
「………………………………」
「……おい…」
「…何よ…」
「それで、ここは何処なんだ?」
「私に聞かれたって分かるわけないでしょ?」
「ったく…暗くて何にも見えやしない。迂闊に歩きまわれもしないか。」
「無駄よ。どうやら閉じ込められているみたいなの。」
「大体何であたしとお前がこんなトコに閉じ込められないといけないんだよ…」
「知らないわよ。それとおまえって呼ぶの止めて。」
「…はいはい、わかったよ…それでアリス…だったか。心当たりはないのか?」
「全く無いわね。普通に夜眠りについて起きたらここにいたんだもの。それより貴方こそどうなの?」
「あ~…こんな手の込んだことするのは、輝夜のバカ位しか思い浮かばないけど、あいつは他の人は巻き込まないから恐らく違うだろうね。」
「そう…とばっちりじゃ無いわけね。それにしてもどうして私と貴方なのかしら?」
「そんなの知らないよ。それよりこの暗いのはどうにかならないのか?」
「…背中からあの炎の羽でも生やせばいいじゃない。」
「いや、別にそれをしてもいいんだけどさ、もしここが狭かった場合アリスが焼け死ぬよ?」
「その心配はないわ。さっき私の人形に辺りを探らせたけど何も無いただの広い空間。閉じ込められてるって表現がおかしいくらいの、ね。」
「そうなのか?閉じ込められてるから動き回っても無駄だって言ったのはアリスじゃないか。」
「ええ、どんなに動き回ってもこの場所に戻ってきてしまう…そんなの閉じ込められてるのと同じじゃない。」
「ふ~ん…よっと、ああダメだ。この周りが明るくなったくらいか…遠くは全然見えないね。」
「当然よ、私の人ぎょ…あら上海戻ってきたのね。それでどう?……そう…。」
「なんだ?何かわかったのか?」
「ダメね。生物の感知をしてきてもらったのだけど…全く反応なしのようね。」
「へぇ~そんな人形でそんなことも出来るのか、器用なもんだな。」
「このくらいなんてこと無いわよ。家では家事を全部この子達がやってくれるのよ?」
「この人形達は糸とかで動いてるわけじゃないのか。」
「そんな事してたら、腕が何本あっても足りないわよ。」
「じゃあどうしてこんな風に動けるんだ?」
「ん~…まあ簡単に言えばどういう行動を取るかを、人形の中枢に素材と魔力で織物のように編み上げていくっていうイメージかしら。後は私の魔力を入れればその時その時の状況に応じて動いてくれるの。」
「よくわからないけど、あたしもこういうのがいれば楽だなぁとは思うよ。」
「貴方と私じゃ力の質が違うからこの子達を扱うのはムリね。どこか外の世界に別の方法で操る技もあるみたいだけど…そういえ貴方も随分と不思議な力を使うのね。」
「これは、まあ仙術の類と考えてもらって構わない。こっちも生き残る為に無茶して体に覚え込ましたからね。そのために何度死んだことか」
「…それって意味無くない?その体中に貼ってある符はその名残かしら?」
「ご名答。今は必要ないけど、昔はこれが貼ってないと炎を抑えきれなくて火だるまだったのよ。」
「随分と物騒ね…苦労したんじゃない?」
「うんにゃ、これが案外都合が良くてね、強い怪物に身包み引っ剥がされてもこっちが火だるまじゃむこうも手の出し様が無いからね。」
「そ…そう。」
(シャワーとか日常生活のコトだったんだけど…)
「それに、私の気質と炎の相性が良かったのよ。激情と再生の炎から鳳凰の力を借りたわけ。どうせなら龍や八咫烏のほうが良かったけどね。まっ無理は言うまい。とにかくこの力は気に入っているよ。」
「ふ~ん…」
「…」
「…」
「…ねえ」
「ん、なんだ?」
「そういえば貴女って不老不死なんだっけ。」
「そうよ。死にたくても死ねない、いわゆる不死身ってやつ。」
「蓬莱の薬とやらを飲んだからっていうのは知っているけど何でそんなものを飲もうと思ったのかしら?それとも飲まされたの?」
「…そんな事聞いてどうするのさ?」
「そう怖い顔しないで。別に只の純粋な好奇心よ。しゃべりたくないのならそれでも構わないわ。」
「…薬は自分で飲んだのさ。自分の”意思”だったかは定かじゃないけどね。飲まなきゃあいつに手が届かなかったから。」
「あいつって言うのは迷いの竹林にある屋敷のお姫様の事でしょう?そういえばそのお姫様との因縁っていうのを私は知らないんだけど。」
「……いいたくない。思い出すと感情を抑える自信が無いの。」
「そう、ならいいわ。でも不死身っていうのはどういう感覚なのかは興味があるわ。」
「拷問だよ。今は気にしちゃいないが昔は随分とこの体を呪ったもんさ。不変のものは狂気を孕む。」
「貴方も狂っているのかしら?」
「さあね。ただまともじゃないんだろうな。おかしいだろう?夜な夜な殺しあう人間ってのも。」
「安心していいわ。私もこの幻想郷にはまともな知り合いの方が少ないから…」
「なるほど、確かに。」
(まず知り合いが少ないんじゃないのか?とは言うまい。人のこと言えないし)
「……」
「……」
「私ばっかり話していても面白くない。アリスの話も聞かせてよ。」
「私?あんまり面白い話を提供できる自信は無いのだけれど…」
「何か大層な人形を作ろうとしているってのはどこかで聞いたことがある。」
「ああ、完全自立人形のコトね。あれは私の夢であり目標なの。」
「夢を持つのはいいことだ。勿論目標にするほどの理由があったわけだろ?」
「ええ…貴女は私が魔界人だって事はご存知?」
「魔界!?そいつは眉唾な話だ。…いや、冥界だの天界だのが実際にあるんだ。そうおかしな話でもないか。でもそれと夢が何の関係が?」
「魔界は魔界の神によって全てが創られた。もちろん私もその神から創られた存在なの。子が親を真似るように、私はその創造主に近づきたい。どういう気持で私たちを創ったのか、そして無から有を創り出した時どんな気持ちだったのかを知りたいの。」
「なるほど、立派な夢じゃないか。
……ただその目標を達する達さないに関わらずきっとその夢は叶えられるよ。」
「…?どういう意味?」
「私の独り言さ。気にしないで。」
(思うにそれは人の親の気持ちってヤツなんだろうな)
「ふうん…まあいいわ。」
「そういえば、人間の魔法使い…あの白黒とよくつるんでるじゃないか。魔法使い同士ウマが合うのか?」
「冗談!あんな碌でもないヤツ、誰が好き好んで会うものですか。いつも勝手にやってきて散らかして帰っていく。いい迷惑よ。」
「そうなのか?その割にはよく一緒にいるような気がするんだが。」
「…ま、まあ同じ蒐集家…うん、求道者として利害が一致したときに仕方なく行動を共にすることもあるわ。仕方なくよ?」
「…あっそ。付き合いは古いのか?」
(案外わかりやすいヤツだな)
「…さあ?もう覚えていないわ。気づいた時には近所に住んでいたわね。貴女もよく歴史の半獣と一緒にいるみたいじゃない。随分と仲がいいみたいね?」
「ああ、慧音のことか。あいつはあたしの事を初めて人間として扱ってくれたんだ。人間を守るのが私の役目だ!なんつってね。おかしな話だろ?あたしのほうがよっぽど力も強いし歳もくってるってのに。」
「そう?守って貰うほうが強いか弱いかは関係ないわね。白玉楼やら紅魔館やらの従者とか。」
(成程。慧音は妹紅の”心”を守っていたのかしらね…)
「そういうもんか?」
「そういうもの、よ。」
「…」
「……」
「それにしても、よくこんな状況で落ち着いていられるな。」
「そんなこと言ったらあなただってそうじゃない?」
「いや、まああたしは不死身だしね。どうにかなるだろうとは思ってる。」
「そう、私もそろそろどうにかしようと思っていたところよ。」
「ほう、あいつ”ら”をぎゃふんといわせる策はあるのか?」
「あら?気がついていたみたいね。」
「まあこんな事出来るヤツはそうそういないからな。」
「そうね、それでこんな下らないことを焚きつけるヤツも一人しか思いつかない。」
「それで、場所は?」
「幾ら動き回ってもここに戻ってくるって言うのが最大のヒントだったのよ。」
「…なるほど…真上か…」
…………ヤバッ見…………………げましょ………
「「逃がすかっっ!!」」
魔操 「リターンイナミネトメス」
蓬莱 「凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-」
「…ちっ逃がしたか」
「外に出れたことだし良しとしましょうか。」
「…まあそうだな。それに”お前”とのお喋りごっこも…」
「そうね…、退屈するほどでは無かったわ。」
「さて…最後にもう一度手を組むとするか。」
「標的は2人。ちょうどいいわね。」
「ふふッ…」
「くすくす…」
ありだと思う。
どうせならこの二人で尺の長い話が一本あるといいなぁ。
でも実は本心じゃないって感じかな。
好いです
それをきちっと料理できてる作者さんの実力程度が妬ましい。あぁ妬ましい。妬ましい。
実際、なんだかんだしてたら仲良くなるかも。
面白い作品でした。
ああどうりでどこかで!
面白い組み合わせでよかったです
なるほど。
しかしさりげにアリスから魔理沙への好意を匂わせるのは
地霊殿公式HPの「魔理沙は好かれていない」に明らかに矛盾しています
珍しいキャラの組み合わせは面白いのでまた挑戦して欲しいと思います
リターンイナニメトネスじゃなかったかな?
こういう意外な組み合わせってのは好きなんで次もあると嬉しいなぁ
これ想像するとめちゃくちゃ恰好いいなあ。
妹紅とアリス、いい組み合わせだと思います。