※ちょっとしたオリ設定と、ちょっとしたダーク要素を含みます。
不愉快に思った方はお戻りください。
真っ暗だった。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
出してほしかった。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
怖いというより、お姉さまの顔が見たかったから。
助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。
助けてほしかったわけじゃない。ただ、外に出たかった。
お姉さま。お姉さま。お姉さま。お姉さま。お姉さま。
私はただ、お姉さまと一緒に、遊びたかった。
地下での生活にはもう慣れた。
真っ暗で、広いんだろうけど広さが分からない。そんな地下室。
暇かと聞かれると、案外そうでもない。
「ッ!!!!」
暗闇から、『奴ら』が飛び出してきた。
それを私の『力』で撃退する。
その繰り返し。
暇では、無い。
「あぁぁぁ!!!!!!」
「うぐっ!!!」
『奴ら』は、いつ襲ってくるか分からない。
前は寝ている間に襲ってきたこともあった。
『奴ら』といっても、いつも1人で襲ってくる。
それだけが救いだった。
お姉さまがなんでこんなやつらを私と一緒に飼っているのかは知らない。
でも、これはきっとお姉さまなりの愛情だ。
こいつらを殺して、私に力の使い方をコントロールさせるためなんだ。
そう考えると、むしろいつでも来い。みたいな状態になれた。
私は早くお姉さまと会いたい。
早く会って、一緒に外で遊びたい。
他のメイドとかと一緒でもいい。
メイド長だって、門番だって、お姉さまの親友とかいう人とだって、一緒でいい。
そのためなら。私はいくらでもがんばれる。
「あぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ぎゃああああ!!!!」
私の握る炎の剣で、『奴ら』は真っ二つになった。
みるみるうちに、闇に消えていく。
死体の処理の手間がはぶけていいけど、不気味。
私は炎の剣を手放して、座りこんだ。
……いつまで続ければいいの。
いつまで殺し続ければいいの。
いつまで襲われ続ければいいの。
いつまでここにいればいいの。
寂しさで、思わずお姉さまの名前をつぶやいた。
「……ミリ…………がはっ」
一瞬、ずっとちゃんとした言葉を喋って無かったから、声がうまく出てないのかと思った。
でも、下をみたら、私から炎の剣が生えていた。
胸を貫くように、炎の剣が生えていた。
剣が刺さっている周辺が、焼けるように溶けていく。
まるで『奴ら』が死ぬ時みたいに、闇の中に消えていく。
私はゆっくりと後ろを見た。
そこには、『奴ら』が立っていた。
「う、う……ぁぁぁ………っ!!!」
声も出ない。
声も出せない。
剣が私に刺さったまま半回転した。
溶けてかけていたところまで溶けていく。
痛い。
次に剣は右に払われた。
痛い。痛い。
流れるように、左に払われた。
痛い。痛い。痛い。
胸とその下が2つに分かれるのが分かった。
痛い。痛い。痛い。痛い。
さっき落とした、私の炎の剣だろうか。
違う。あれは足元に、違う、目の前に落ちている。
だったらあれはなんだ。
なんで吸血鬼の私が死ぬんだ?
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ……
薄れゆく意識の中で、私は後ろに立つ『奴ら』を睨みつけた。
真っ赤な瞳で、
真っ赤な服を着て、
変な帽子をかぶってて、
色取り取りな羽を生やした、
金髪の、子どもみたいな、『奴ら』。
憎い。憎い。口惜しい。口惜しい。
私とお姉さまの仲を奪った『こいつ』が、憎い。
せめてもの抵抗で、私は残りの意識全てで、『こいつ』を呪った。
呪い殺すように呪った。
死んでしまえ。
気が狂ったように、死んでしまえ。
「………………私は、ただ……」
薄れていく意識の中で、『こいつ』の声が聞こえた。
そういえば、始めてちゃんと『奴ら』の声を聞くな。と思った。
『奴ら』はみんな、『こいつ』と同じ格好だったんだ。
きっと、声も同じなんだろう。
「………………お姉さまと、一緒に、遊びたいだけ」
その言葉も、私には、半分も聞こえ……………
「失礼します」
「入る時はちゃんとノックして入りなさい、咲夜」
「失礼しました」
紅魔館のレミリアの部屋。
その部屋の主、レミリアはテラスにあるイスに座りながら月を肴にワインを呑んでいた。
部屋に入ってきた咲夜はなにか分厚い報告書のようなものを抱えている。
「それで、なにかよう?」
「はい。『近状報告』です」
「…………続けなさい」
持っていたワイングラスと静かに置き、レミリアは部屋の中へと入っていく。
咲夜はそれを確認してから、報告書と思われる紙の束をめくった。
「さきほど、『フランドール様』が2名、死亡されました。これで残りは12名です」
その報告に、少しだけ顔をゆがませるレミリア。
「そう……はじめは666人もいたのに……ずいぶんと減ったわね」
「……お嬢様」
「大丈夫よ。平気」
薄く笑みを浮かべると、レミリアはベットまで歩き、腰かけた。
咲夜も報告書を手近なテーブルに置くとレミリアに近づいて行く。
「今まで何百っていう『妹』が殺されているのを、黙ってみてたのよ。いまさら、そんな……」
「……お嬢様」
「……仕方ないのよ。あの子の力は、危険なのよ」
ガリガリと、力いっぱい頭をかく。
遠慮無しにかいているからか、頭から血が少し出始めているが、レミリアは気にしていない。
むしろより一層、苛立っているのが目に見える、歪んだ顔を歪めていく。
「こうするしか無いのよ。あの子を殺せるのは、あの子だけ……それが、666人よ? こうするしか……ないのよ」
「…………」
咲夜は何も言えない。
口ではああ言っているが、自分を責めているのが分かっているから。
地下で『自分』同士で殺し合っている、実の妹と同じくらいの痛みを抱えているのを知っているから。
「……残り数日で、恐らくは……最後のフランドール様に、なるかと」
「大丈夫よ」
頭から血を垂らしながら、レミリアは歯をギュっとかみしめた。
耐えればいい。今は、耐えればいい。
「……私は、最後に残ったフランを、目一杯。妹として、愛してあげる自信は、当の前からあるもの」
「…………心中、お察しします」
「ありがとう……私の咲夜」
そっとレミリアの肩に置かれた咲夜の手に、レミリアは自分の手を重ねた。
大丈夫だ。
こうすると決めた、何百年も前から、決めていることなんだから。
最後のフランドールは、目一杯愛してあげればいい。
この事を知っているのは、レミリアと咲夜、パチェリーそして監視と連絡用のメイドだけだ。非難されることも、無い。
そこに、その連絡用のメイドが1人慌てて入ってきた。
手には紙が握られており、それを咲夜に手渡す。
顔をしかめて、咲夜は目を閉じた。
そして、絞り出すように、
「……先ほど、また1名……死なれたそうです」
そう、呟くように言った。
レミリアはさっきとは違った、どこか悟ったような顔だった。
「そう……このペースだと、案外速いうちに、終わるかもしれないわね」
それは、幻想郷が紅い霧に包まれる事件の、数週間前の話でした。
こどく、孤独、蠱毒……なんか怖い作品ですねw
そこだけ分からなかった。
妹様がレミリアに“飼われている”という認識なのが……(´;ω;‘)ウッ
そもそもなんで666人になっていたのかが不明なので何とも言えませんが。
666は悪魔の数字だからわかるとしても増える理由がわからないし…
お話の意味をつかめなかったのでフリーレスとしておきます。
っていうつもりで書いてたんですけど説明不足だったみたいですね。すみません。
こんなことやってたら狂うわな、妹様
初めから666人で笑えましたw