この物語では軍事・歴史を主とするネタが多数使われております。ご注意下さい。
また、求聞史紀を読む以前に書いた部分が大半なので、求聞史紀の設定とずれている部分が多数あると思われますが、ご了承下さい。
幻想郷にも、外の世界と等しく冬が訪れる。それは、時に弱く、美しいものであるが、時に強大で恐ろしいものにものになる。
これは、とある年の寒波に立ち向かった紅魔館無名戦士達の、勇敢な戦いの記録である。
『最初の寒波襲来と紅魔館の防衛体制』
12月1日から始まったこの冬初めての寒波は、激しい風雪を伴い、未だ本格的な冬に入る前だというにも関わらず、神社の鳥居を倒壊させ、夜雀の屋台を吹き飛ばしつつ紅魔館に迫っていた。
この奇襲的攻勢は、これほどまでに寒波の到来が早いとは想像しておらず、全くと言っていいほど冬支度をしていなかった幻想郷に大混乱をもたらしていた。
例えば、魔法の森に棲む魔法使いなどは、12月7日の暴風雪の際、雪囲いをしていなかった窓の過半が飛来物により破損し、さらに野外に留置してあった箒群に関してはその全てを亡失するなどといった惨状であったし、同日には、竹林の奥で藤原妹紅宅が激しい攻防戦の末、味方の火力支援により炎上していた。
同地の守備隊は旧式小型の七輪しか装備しておらず、同士討ちの危険を冒して強力な火力支援を行うより他なかったのである。
尚、魔法使いは窓の応急修理の後、地下にもぐり、温泉脈による強力な暖房により拠点を維持したが、家屋が炎上し、頼るべき胸壁を失った藤原妹紅は同地を放棄し、盟友上白沢慧音を頼って里へと落ち延びていった。
しかし、この最初の寒波に、紅魔館はさほどの被害はなく耐える事ができた。パチュリーが指揮する占星術部門が、例年にない大規模な寒波の到来を予測していたからである。
その表現は、滅多にない『非常に強い』ですらなく、『猛烈な』と形容され、苦しい戦いを予想させるに十分であった。
だが、幸いにして、従来から紅魔館では強力な敵に対してはむしろ意気が上がり普段以上の戦闘力を発揮していた。そしてまた、今回もそれを期待することができたのだ。
この表現を聞いたあるメイドなどは、この時武者震いが止まらず、心配した友人に医務室に連れて行かれたが、その時、医務室では同様の症状により担ぎ込まれたメイドが百名近くおり、一時その業務を停止せざるを得なくなった程であった。
さて、この予測を受け、紅魔館ではレミリアを総指揮官とする防衛部隊が組織され、容易ならざる戦いに備えていた。
紅魔館は、ヴワル魔法図書館を含む南棟、スカーレット姉妹が住む中央棟、咲夜他メイド達の多くが住む北棟が一列に並び、中央棟の両側にやや小さな東棟、西棟が配置されており、それぞれが連絡通路で連結されている。
また、南棟から離れた所には正門があり、正門陣地と称される建造物群が構築されていた。
これらの配置は、門番長紅美鈴が守る正門陣地を突破したとしても、強力な七曜の魔女とその従者たる小悪魔が守るヴワル魔法図書館が後方に控え、ここを突破する頃には中央棟の防衛体制が完成するという、外敵に対して極めて重厚な縦深防御を行う事が可能とされていた。
さらに、その時点で中央棟は北棟と、東,西棟からの支援を受けることも可能であり、しかも、最も攻撃を避けるべき『紅魔館の火薬庫』ことフランドールスカーレットの私室は、中央棟の地下にあるという、考え得る限り最も効果的な防衛体制であった。
尚、他にも野外に小規模な施設が点在していたが、それぞれを説明しているときりがないので説明は省く。
そして、耐寒耐雪戦闘が始まった12月1日時点の各棟の守備配置であるが、中央棟集団を当然のことながらレミリア・スカーレットが指揮、続いて、ヴワル魔法図書館がある南棟群集団を指揮するのはパチュリー・ノーレッジとなっていた。
続いて東棟群集団を咲夜が、北棟群集団をフランドール・スカーレットが指揮し、西棟群集団を指揮するのは小悪魔だった。
また、正門方面集団は従来通り紅美鈴が指揮することとなった。
他に、各所に予備が配置され、中庭や、敷地内での通路除雪にあたる野外機動兵力も維持していた他、司令部直属の観測班やヴワル魔法図書館所属の占星術班など、特殊な部門も存在していた。
若干の問題点として、紅衛班、ヴワル防衛班、門衛班などの独立部隊の存在による指揮系統の煩雑さが挙げられ、特に、紅衛班と門衛班は総司令部の指揮下におかれる事が決まったものの、ヴワル防衛班をはじめとするヴワル魔法図書館直属の部隊の指揮権については、寒波襲来までに決まらなかった。
また、名目上の指揮官であるレミリアと、実質的な指揮官である咲夜との間に存在するギャップも問題であった。
この時点では、これらの点はさほど大きな問題としては捉えられていなかったが、これが時間が経つにつれ、この点…特に前者…は、重大な問題として浮上してくることになる。
それはさておき、この陣容をもって、紅魔館はこの年の寒波に挑んだのであった。
12月1日~12月8日『第一次寒波攻勢と紅魔館』
「来ました!正門方面方面隊、戦闘に入ります!!」
「館内各所に寒気接近!侵入を試みています!!」
「本館各棟は優勢を保っております、敵の侵入を阻止」
「本館試験部開発の新型槇ストーブの効果は絶大です。在来型槇ストーブに比べて、火力が18%上昇しています」
「正門方面隊より、若干の侵入を許すも意気軒昂なり、損害軽微」
「中庭は制圧されつつあります。事前の計画通り、各班は館内へと撤退を開始しました。損害は軽微」
緊迫した司令部へと、次々に報告が入る。そんな中、防御指揮官たる咲夜は立ち上がり、言った。
司令部内の糸がさらに張りつめた。
「各区域、防御戦闘に移行。敵の浸透戦術に注意せよ。結局陣地構築は間に合わなかったの?」
指示を出した後、そう言った咲夜に、司令部付きのメイドは答えた。
「本館各棟の内、レミリア様とフランドールの様の居住区は進捗率69%、ヴワル魔法図書館は100%ですが、その他の区域は魔法図書館の書籍費用増額に伴い予算が不足、正門A棟12%を筆頭に、過半が陣地構築はおろか耐寒器材の導入さえ間に合っておりません」
「やれやれ、襲来は予期していたというのにこの様なの。予知の為に予算を使って…予知した出来事への対策費用がなくなるなんてね、本末転倒じゃない。でも…愚痴ってばかりはいられないわ。皆、紅魔館を守り抜くわよ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
メイド達の声が室内にこだまする。
今なお意気軒昂なメイド達を見つつ、咲夜は呟いた。
「パチュリー様の仰った通り来たわね…でも、紅魔館は渡さない」
第一波の攻勢で紅魔館を襲った寒波は、気象観測班によれば一時氷点下6度を記録し、さらに強い風雪を伴った。
しかし、これに対し、紅魔館側は準備不十分ながら効果的な防衛戦を行い、この攻勢をはじきかえした。
正門区域集団に若干の凍傷者が出た以外にはこれといった人的損害はなく、各部隊とも寒波の撃退で士気は上がっていた。
準備不十分であろうとも紅魔館の防衛体制は強固であり、外敵と、そして寒波に対しても鉄壁の守りを誇ることを証明したのである。
だが、一方で、この戦いの勝利により逆に慢心が生まれたという説もある。また、この戦闘で、後の苦戦原因となる数多の事例があったのだが、勝利に驕る司令部はこれを黙殺した。
例えば、過剰な反撃…暖房による燃料の不足や、各棟の連絡不十分、総司令部の指示をヴワル直属部隊が無視するといった事案である。
また、耐寒資器材の不足により、西棟や東棟では軽微ながら建物の損害が発生していたのだ。
しかし、これを総司令部は次に生かすことができなかった。これが後の苦戦の原因といわれる。
12月9日~12月27日『嵐の前の静けさ』
第一波の寒波襲来後のこの期間、天候は比較的安定していた。
その為、各集団とも第二波の襲来に備え準備を行う事ができ、特に耐寒施設の構築は急ピッチで進められていた。
19日には、あまりの晴天続きにリリーホワイトが紅魔館上空に出現、防空隊が急遽発進し、これを撃退するといった珍事もあった。
こうなってくると各集団も弛みがちになり、メイドによってはもうこの冬の寒波は終わりだとのたまう者まで現れた。
その結果耐寒耐雪化工事は先送りとなり、日常業務が優先されるようになっていった。
はては、未だ大寒波の予測を変えないパチュリーを、インチキ占い師などと言う者もいたが、これは上層部に対する批判として規律部隊に連行される原因となった。
だが、このような雰囲気の中にあって、ヴワル魔法図書館のみは緊張状態を保っていたのである。
「パチュリーさま、お茶ですよ?パチュリーさまの大好きなアッサム・ロイヤルですよ?」
「ええ、ありがとう小悪魔。そこに置いておいて」
パチュリーのもとに紅茶を届けた小悪魔だが、パチュリーはそれを意に介することもなく作戦を考えていた。
優しい香りを漂わせる湯気は、やがて薄くなり、消えていく。しかしパチュリーはそんな紅茶に手をつけようとはしなかった。
「はぁ、パチュリーさま、あまり根を詰めすぎないでくださいね?紅魔館が無くなる前にパチュリーさまが亡くなりますよ?」
十分ほど経っただろうか…そんなパチュリーに小悪魔は寄り添い、毛布をかけた。
心配しつつもしっかりとトゲが含まれている彼女の言葉に、パチュリーはため息をつきながらもようやく顔を上げる。
「…まぁ、どうあがいても天気は変わらないしね。レミィの運命操作だって万能じゃない、局地的なものならともかく、幻想郷の天候を変えるのは無理だわ」
そう言いながら、パチュリーは冷め切った紅茶を飲む。
「…そんなに凄いんですか?今回の寒波は?」
暗い事を言うパチュリーに小悪魔は言ったが…
「ええ、間違いなく。幻想郷が経験したことが無いような寒波になるわ」
パチュリーは即答し、そして続けた。
「…外の世界が暑くなってでもいるのかしらね?外の世界で幻想になったものが幻想郷に流れ込むということは…いえ、今はそんな事を考えている場合じゃないわね、原因を探るのは後、今はどうやってこの寒波を乗り切るか…その方策を考えなきゃ」
思考の隘路へと入っていったパチュリーは、自分でその考えを戻し、再び机に向かいはじめた。
「パチュリーさま…ですが、総司令部は通常の警戒態勢に戻そうという意見すら出始めて居るんですよ?ただでさえ人手も予算も足りないのに、来るか来ないか分からない寒波に過剰な人員と予算を割くのはどうかって…」
小悪魔の言葉に、パチュリーは驚愕と、そして落胆の表情を見せる。
「何ですって!?…愚かね、負けるわ。この冬の寒波に…紅魔館は」
ゆっくりと言ったパチュリーに小悪魔は抵抗するように言う。
「で…でもでも、今でも十分な人員と器材が…それに前回は難なく撃退したじゃないですか!」
不安を振りはらおうとするような小悪魔の言葉だったが、パチュリーは冷静に断言した。
「人員も…器材も…何もかも足りてないわ。今回の寒波はそんな生やさしいものじゃない、咲夜やレミィがこの事を分かっていないのなら…紅魔館はダメよ」
「そんな…」
沈黙する小悪魔にパチェは近づき、そして囁いた。
「でもそんな事にならないように最善は尽くすわ、だから小悪魔いざというときには…」
この二人の会話を聞いた者は誰もいなかった。だが、その内容は後に行動をもって示される事となるのである。
12月28日『第二次寒波攻勢とポトフメイド集団の危機』
12月28日、紅魔館正門を車輌を連ねて出撃する部隊があった。新年を祝う為のパーティー、その材料その他を確保すべく編成された『ポトフメイド集団』である。
パーティーのメニューの一つから命名されたこの部隊は、紅魔館が保有するほぼ全ての車輌…馬車、荷車等…を動員した機動戦力であり、また、野外での対妖戦闘の為に、紅魔館の戦闘部隊から引き抜かれた精鋭で編成され、強力な戦闘力を保持していた。
この部隊の編成に際し、紅魔館の耐寒耐雪化作業はおざなりにされ、また、棟によっては守備隊が引き抜かれるといった状況にすらなっていたが、新たなる寒波の襲来を甘く見ていた総司令部は、その事など全く考慮してはいなかったのだ。
この日、天候はやや曇りつつあり、明日にかけて急激に悪化するという警告が、ヴワル魔法図書館から出されていたが、総司令部はこれを黙殺した。
そして、この報いはポトフメイド集団へと降りかかるのだった。
「紅魔館への忠誠を示しなさい!パーティーの成否はあなた達の材料確保にかかっているわ」
メイド長は、そう言って眼前に並んだメイド達を激励した。
彼女たちは、皆堂々と整列し、その頭上の蒼い空が任務の達成を約束しているかに見えた。
「了解!勇気と豪胆の規範を示せ!前進!前進!!」
メイド長からの激励を受けたポトフメイド集団隊長T・フィリアは言い、三度手を振る。前進の合図である。
フィリアの言葉を受け、機動集団は車列を連ねて館外へと進み、やがて凍結した湖上へと進撃していった。
その偉容は、周囲の妖精達を恐れおののかせ、ごく一部の勇気…いや、蛮勇を持つものを除けば、そのほぼ全てが隠れ消え去った。
尚、紅魔館出撃の際、野外用ストーブ等を保持する補給部隊が随伴する予定だったが、こちらは他での作業に忙殺され、結局随伴できなかった。
この報を聞いたとき、フィリアは「なぁに、自力で行きますよ」と答えたというが、それは、この任務を甘く見ていた証であった。
「フィリア隊長、寒波のかの字もありませんね。この調子なら予定より早く帰って風呂に入ることだってできるかもしれません」
氷結した湖上を進撃している最中、楽しげに語る副官…リーチェの言葉に、フィリアは答えた。
「リーチェ、油断はしないで。寒波が来なくともどんな妖怪が現れるかもしれないわ」
「あはは、紅魔館にけんかを売るなんて余程のバカか、さもなくば想像以上の怪物だけです。それに、そんじょそこらの妖怪なんてあっという間に粉砕してみせますよ」
ただ、油断を戒めるフィリアにも、リーチェは笑って応じる。誰がこの強力な集団を撃破できるというのか…言外にそう語るリーチェの表情は、自信がみなぎっていた。
「頼もしいわね」
それを聞いたフィリアも、表情を緩める。
紅魔館を出撃してから約数時間、胸を張り、勝利の自信に満ちあふれるリーチェの態度を裏付けるかのように、ポトフメイド集団は氷結した湖上を順調に進撃していた。
途中、湖上において妖精の攻撃を受けるものの、これをいともたやすく撃退したポトフメイド集団は、ますます士気高く、湖上を猛進する。
空は相変わらず蒼く澄み渡り、雪の降る様子などみじんも感じられなかった。
湖上を多数の馬車、荷車をもって通過したポトフメイド集団は、やがて運命の魔法の森へと入っていった。
「隊長!雪が深く馬車が進みません!!」
「先頭集団が雪崩により壊滅、現在救出作業中!!」
「吹きだまりに突っ込んだ馬車は、もう回収不能です。馬のみを救出し、車輌は放棄します!!」
「天候悪化、視界約3m」
「気温の低下が止まりません!現在-18度!!」
「P班通信不能、S班に凍傷者多数」
司令部に次々と深刻な報告が入り、その空気に重さを加える。
魔法の森に入ってわずか数時間、ポトフメイド集団を襲ったのは、先程までの穏やかな天候とは全く異なる冬の猛威であった。
まるでポトフメイド集団が魔法の森に進むのを待っていたかのように天候が悪化、視界は急速に狭まり、たちまちにして位置の把握が困難になり、馬車や荷車は車輪をとられ行動不能となる。長くくねる細い道で、ポトフメイド集団はその動きを封じられた。
「くっ…なんたる様なの、総司令部は失敗を許さない。これでは紅魔館に帰れないわ」
慨嘆するフィリアだったが、こればかりは嘆いてもどうにもならない。天候はますます悪化し、その回復の見込みはなかった。
逡巡の後、フィリアは賢明な判断を下した。後退の意見具申である。
いかなる犠牲を払っても任務を達成せよ。とは、紅魔館メイド部隊の掲げる行動理念であるが、さすがにポトフメイド集団の全滅という犠牲は大きすぎた。
フィリアは良心と忠誠のままに、決断を下したのである。
一抹の希望を込めて、フィリアは紅魔館へ魔法水晶で後退の許可を求める。
「天候悪化、後退許可求む」
しかし、数十分の沈黙の後、紅魔館から返信がもたらされた。
「貴官は敗北主義に囚われている。後退は紅魔館に対する裏切りだ、速やかに前進せよ」
しかし、この数十分の間に、さらに状況は悪化していたのだ。細く曲がりくねった道の各所で、ポトフメイド集団は寸断され、前進どころかほとんど身動きがとれない状況になっていたのだ。
「お昼ご飯が…私のお昼ご飯がぁ~みんな冷凍食品に~」
「おにぎりに歯がたたない!」
「ナイフで割りましょう…こっちは刃がたたない!?」
「嘘っ!?」
「私は乾パンだから大丈…背嚢が凍ってる!?」
「あははっあははっ!あったかいっあははっ!」
「ちょ…あの子を止めなさい!寒さにやられてるわ!!」
ちょうど食事時にあたっていたのだが、まともに食事をとれる者などいなかった。それどころか、寒さのあまりに気が触れ、服を脱ぎ捨てて雪の中を転がり回る者さえいたのだ。
フィリアは繰り返し後退を求めた。
「天候回復の兆しなし、全ての馬車,荷車動かず。車輌放棄及び後退の許可を乞う」
今度はわずか数分で返信がもたらされた。わずかな期待をよせ、フィリア達はそれを聞いたが…
「占星術部門も天候は回復すると言っている。即刻前進せよ、諸君の自己犠牲の精神がパーティーを成功に導くのだ。車輌放棄は論外なり」
長く暗い沈黙の後、フィリアは静かに、しかしはっきりと言った。
「…責任は私がとります。各員車輌を放棄し後退、紅魔館へ退避します!」
「隊長…」
リーチェらの視線の先で、フィリアは言葉を重ねる。
「もはや一刻の猶予もないわ。直ちに帰投しなさい」
フィリアの言葉すら吹雪で聞き取りにくい状態だった、仮設のテントは、設営後五分と保たずに吹き飛ばされていた。
もはや天候の回復などと言っている状態ではなかったのだ。今やポトフメイド集団は全滅の危機に瀕していた。
「はっ!全部隊をもって紅魔館に転進する!車輌の回収はあきらめなさい!ただし凍傷者は一名たりとも残さざること!!」
リーチェの指示で、たちまち部隊はその針路を180度変えた。
だが、この時には、もはやメイドの約半数が凍傷を負っているという惨状であった。
そして、この時、ポトフメイド集団は各班の連絡が各所で寸断され、雪によって包囲されていた。
例えば最後部の班に後退命令が届いたのは、指示が発せられてから一時間が経ってからであり、先頭集団の所にはついに指示が届かなかった。
もっとも、この時点で、先頭集団は既に部隊としての機能を停止しており、命令を受領することなど不可能であったのだが…
そう、この時、既に先頭集団は数波に及ぶ雪崩によって全滅していたのだ。
続いて後衛が氾濫した河川により水没した。雪により川がせき止められていたのである。これにより後衛のF班は、ごく一部が紅魔館側に脱出することに成功したものの、残る全ては水中へと消えていった。
また、F班に続行していた各班からは、この水面を見て「このまま泳いで紅魔館に帰るわ!」などと叫んで飛び込む者が続出したが、他の者もうまいことを考えたものだなどと思うばかりで、止めることをしなかった。
寒さのあまり、まともな判断ができる者がいなくなっていたのである。もはや、これは生への退却ではなく、死の彷徨と化していた。
分断され、孤立した各班は、次々と暴風雪の猛威にさらされた、ポトフメイド集団は、完全に雪の包囲戦術にはまったのである。
そして、この時には、後退しようにもその成功は絶望的となっていたのだ…
また、後で判ったことであるが、この『天候回復』の情報は全く根拠が無く、占星術部門は全く逆の…『天候は未だかつて無いほどに悪化する見込み』との報告を送っていた。
ポトフメイド集団は、総司令部の安易な予想により死地に送り込まれたのである。
そして、ポトフメイド集団が決死の脱出行を開始しようとしていた時、紅魔館でもまた騒ぎが起きていた。
「どういう事!ポトフメイド集団はこのままでは全滅するわ!!」
総司令部に怒鳴り込んできたのはパチュリーである。ポトフメイド集団の後退が不許可と知って、病身を押してやってきたのである。
図書館から総司令部までの道のりには吐血の跡が残り、階段などは後に『紅いカスケード(水の流れる階段)』と呼称される程だった。
だが、それに瀟洒に答えた咲夜の答えは、礼儀正しいが、反面冷たいものだった。
「大丈夫ですわパチュリー様、これしきの天候で、あの精鋭部隊はやられはしませんわ。もはや季節は春に向かっています。逃げゆく冬に怯えて、新年のパーティーが開けなかったとしましたら、それこそ幻想郷中の物笑いの種になりますわ」
「気象観測班からの報告よ。気温が急速に低下、大幅な天候の悪化が予想される…私の占いでも同じ結果が出たわ」
書類をつきつけるパチュリーに、咲夜は若干たじろいだが、しかし意見は変えない。
「予想は外れることもありますわ。未来の不安に怯え、現実を見ないことにこそ問題があるかと」
「未来に対応することは怯えることではないわ、未来を考えないことこそ愚かなのよ」
この二人の口論に割って入ったのはレミリアである。もしも参謀が作戦を立案し、司令官が部隊をまとめるのだとしたら、彼女は間違いなく後者であった。
「ね…ねぇ二人とも、そんな怖い顔しないで…ほら、レミリア困っちゃう、てへ」
頬に指をあて、にっこりと笑うレミリア。頭上には☆マークが浮かんでいた。
彼女にしてみれば、場を和ませようと必死にとった『可愛いポーズ』だったのだが、この瞬間室内は凍り付いた。
記録によれば、この時の総司令部における体感温度は、氷点下38度にまで達したという。
「…レミィ、それは…ないわ」
首を横に振るパチュリー。
「え…え…?」
戸惑うレミリア。
「ないですね」
縦に振る小悪魔。
「え…そうなの?」
慌てるレミリア、そして次がとどめだった。
「…お姉様…気持ち悪い…」
「フラーンっ!?」
口を手で押さえる仕草をしたフランドールに、レミリアの薄弱な精神防御は突き破られ、あっさりと床に沈んだ。
「うう…私…可愛くないのかしら?フランにまで『気持ち悪い』…だなんて…」
だが、床に座り込み、のの字を書いているレミリアに、今度は咲夜が近づく。
頼みにする従者からも追撃を受けるのか…と、にやけたパチェと、興味津々な小悪魔が心配そうに事態を静観する中、咲夜は近づき…そして…
「ああっもう、なんとお可愛い!分かりましたわ、もうポトフメイド集団でもなんでも好きなようにして結構ですわ!!」
咲夜がレミリアを抱きすくめ、レミリアが窒息により失神するまでそう時間はかからなかった。
そして、フランが、失神したレミリアを尚も抱きしめ続ける彼女をバットでぶん殴り、沈黙させた時、総司令部は以下の二点について完全な意志の統一をみた。
1)ポトフメイド集団の即時撤退。
2)真性の変態が脳にまわるともうダメだ。
「ポトフメイド集団へ、直ちに後退せよ。車輌は放棄、速やかに後退せよ!」
魔法水晶を通じ、遠方のポトフメイド集団へと指示が飛ぶ。
フィリアが待ち望んだ後退の指示、それがようやく送られた。
紅魔館の精鋭部隊を集めたポトフメイド集団…それが全滅しては、紅魔館の防衛は至難となるに違いなかったのだ。
失神したメイド長とレミリアが室外に出され、室内に紅いしみを残すだけになったが、指示は繰り返された。
「ポトフメイド集団へ、天候回復の兆しなし。後退せよ」
「ポトフメイド集団、そこは危険だ。即時移動」
「ポトフメイド集団司令部、応答せよ」
「…応答は?」
パチュリーの言葉に、通信員は黙って首を振った。
繰り返される指令に、ポトフメイド集団からの応答は無かった。出撃の判断は遅すぎ、また後退の判断も遅すぎたのである。
ポトフメイド集団の全滅がほぼ確実となったのはその日の深夜であった。レミリアと咲夜が救護室に送られていた為、その報はパチュリーに届けられた。
この日の出来事を、彼女は後にこのように語っている。
「私は独りであったことを感謝したわ。戦争の全期間を通じて、これほどのショックを受けたことは他になかったのだから…」
そう、これは戦争だった。冬という名の敵に戦いを挑む戦争…そして、その勝利は誰のものになるかはわからなかった…
紅魔館の主力部隊は、もはや館内にも館外にもいない。
この広々とした紅魔館の至る所で、天候が主導権を握ったのだ。そして、彼女らは弱く無防備だった…
ポトフメイド集団の破局は、待望の後退指示が出される、そのわずか数十分前に訪れた。
「フィリア隊長…もう、おしまいです」
疲れ切った表情でフィリアの前に来たリーチェの姿は、ほとんど雪で覆われていた。周囲には似たような『雪像』があったが、それらとの違いは、動いているか動いていないか以外には、一つしかなかった。
「各隊とも既に戦闘能力を喪失しています。もはや…脱出の手だてはありません」
リーチェの言葉を、フィリアは直立不動で聞いていた。
「隊長…残念ながらもう…」
リーチェの言葉は途中で止まった、フィリアは立ったまま凍り付いていた。そして、それはリーチェのすぐ未来の姿でもあった。
黙って敬礼したリーチェに、再度吹雪が吹き付け、彼女をその姿のまま固定した。
この悲劇の後『春来ぬの森』と呼ばれることになったこの森で、ポトフメイド集団は全滅した。
この後、最後尾のF班の一部がどうにか湖畔までたどり着いたものの、そこまでだった。何の遮蔽物も無い湖上を突破する手だては疲弊しきった彼女たちになく、F班の残余はそこで全ての義務から解放された。
12月29日『紅魔館内の混乱』
「ポトフメイド集団が全滅!?」
「冗談でしょう!?」
「どうするのっ!新年パーティーは!?」
「そんなの中止よ!それより、どうにか耐寒工事をしないと紅魔館は来年までになくなるわ!」
「資材も人手もないのにどうしろって言うのよ!」
「気温が-800度まで下がったらしいわよ!」
「絶対零度越えてるじゃん…」
「もう…もうだめなのかしら…」
絶望と混乱が紅魔館を覆っていた。
窓からはもはや雪以外の何も見えず、正門陣地集団と紅魔館本館の各集団との連絡は遮断された。
屋根には雪が積もりはじめ、徐々にその圧力を強めてきていた。本館から離れた、いくつかの小施設からは、守備隊が後退の指示を待たずに紅魔館まで撤退してきたが、それをとがめる者はいなかった。
そして、その途上で『消息不明』となった者たちを気にかける余裕があるはずもなかったのだ。
混乱は誤報を生み、さらに混乱を加速させる。
ヴワル魔法図書館が直属部隊のみを乗せて空中へ離脱するのだ。フランの狂気で東棟群集団は全滅した。いや、ポトフメイド集団は実は健在で、天候の回復を待っているだけだ。等々…
だが、最も信憑性が高かったのは、メイド長がレミリアと無理心中をはかり、二人ともあえない最期を遂げたというものだった。
パチュリーや小悪魔、フランが必死に噂を食い止めようとしたが、とても不可能だった。
パチュリーの説明は難解すぎて誰にも理解できず、普段からあらぬ事ばかり言っている小悪魔の言葉に信憑性はなかった。また、フランの言葉はしばしば意味不明で、さらなる誤報を生む始末であった。
しかも、普段は先頭に立つはずの咲夜、そしてレミリアがどこにもいないことがさらにメイド達の不安をあおっていた。
もはや、紅魔館の規律は崩壊したも同然であったのだ。
しかし、この混乱を収めたのは、他ならぬ当主レミリアの一言だった。
「…あら、今日はずいぶん吹雪いているみたいね」
目覚めたレミリアが外を見て最初に放った言葉は、室内を笑いの渦に巻き込み、さらにそれに戸惑うレミリアの姿で室温は急上昇した。
普段と変わらない彼女の姿は、紅魔館の恐怖心を吹き飛ばすのに十分な威力を持っていたのだ。
それを狙っていったのか、はたまた素だったのかは不明だが、このレミリアの言葉が伝わったことで紅魔館に余裕が生まれ、さらにレミリア健在との事も知れ渡り、たちまちにして規律は回復した。
それからしばらくして目覚めた咲夜も、この頃には冷静な判断力を回復しており、直ちに部隊の再編成に全力を注いだ。
しかし、ポトフメイド集団が欠けた分を補充すべき人員などどこにもおらず、やむなく、専門技能を持つとして通常部隊への編入が見送られていたメイド達や、訓練未了等で編成を見送られていたメイド達が、急遽部隊として編成された。
まず、消火等に備えていた対火部門は、第一特設メイド隊『アブラフキン』として編成され『火消し』部隊として、各所の弱点を助けて回ることになる。
続いて、水回りの専門家を集めた第二特設メイド隊『ミズモルゾ』は、普段からつちかってきた技能と、その快速を利して、同じく館内の水回りの整備に当たることになった。
この二隊は、普段からの技能を生かし、その後の活躍が期待できたが、これ以外の隊は、過酷な任務には堪えずと外された者達ばかりで、戦力としてはほとんど期待されていなかった。
それぞれ、ゴミ収集に当たっていた清掃部門による『ゴミトリードントコイ』、華美な…そして華奢な家具の製作整備にあたっていた装飾部門による『オストピシャ』、そして、お菓子部門により編成された『アリヨール』である。
これらの部隊が編成され、レミリアにより命名された時点で、既に気温は-38度にまで低下しており、外は猛烈な吹雪により、隣の棟の姿さえ確認できない状況に陥っていた。
尚、これらの隊が編成を終えた頃には、はるか彼方にある永遠亭でも屋敷の防衛部隊が編成されていた。
その中で、八意永琳の開発した耐寒装備を施した『兎騎士(うさきし)部隊』は、他の隊が次々と冬眠による損害を出していく中、一匹の地上兎…イナ・バウアーの指揮により、多大な犠牲を払いながらも伝説的な耐雪戦闘を繰り広げていくことになる。
12月30日『紅魔館野外戦力の壊滅』
二日間にわたって吹き荒れ、ポトフメイド集団を呑み込んだ暴風雪は、30日になって小康状態となった。
この二日間の嵐は、紅魔館以外にも多くの事件を起こしていた。
白玉楼の庭は完全に白く模様替えされ、ただでさえ白っぽい庭師を完全に真っ白にした。さらに、それを見た主が「あら、こっちの方がきれいね」などとのたもうた結果、半泣きになった庭師が白玉楼から飛び出し、長い『雪段』を滑り落ちた挙げ句、どこへともなく家出してしまった。
また、里では、ある子どもがこの二日間を描いた日記『ぼくらの二日間戦争』が、慧音によって百点をつけられるといった出来事もあった。
尚、ポトフメイド集団の全滅以後、メイド部隊は危険を避けるように戦っていたため、これといった損害はなかった。
しかし、メイド部隊の損失を怖れるあまり、施設整備等がおざなりになったことは否めない。
この時点で、紅魔館の耐寒耐雪化工事はあまり進んでおらず、特に野外におけるそれは全くと言っていいほど進んでいなかった。
危険な作業を回避し続けた結果、機を逸したとのそしりも免れないが、それは虎の子のポトフメイド集団を喪失した総司令部にとって酷であろう。
貧すれば鈍す…しかし、それがさらなる悲劇を生むこととなってしまったのである。
「急げ急げ!ケツを蹴飛ばすわよ!!」
「スコップはないの?これじゃあ作業が進まないわ」
「スコップは二人に一本よ、前の者が倒れたら後ろの者が持ちなさい」
「…二人に一つ!?話にならないじゃない!!」
「今の内に出来る限りの燃料を集めなさい!ただし紅魔館からすぐに帰ってこられる範囲でよ!」
「窓を塞ぐわ!板をとって!!」
「痛っ!?手に打ち付けちゃった…」
「釘が不足しているわ!次持ってきて!!」
久々の晴天となったこの日、今までの作業の遅延を取り戻すべく、メイド部隊は野外での耐寒耐雪化作業にいそしんでいた。
今後、さらなる寒波が予測されており、また、その予測に疑問を差し挟む者はもはやいなかった…
また、遅れている作業の中でも、正門陣地と本館との連絡確保は急務となっており、両側から通路の除雪作業が行われていた。
双方とも、魔法水晶により大きな損害を受けていないといないということは知っていたのだが、歩くことすらままならない状況で、正門陣地への物資搬入は完全に停止していたのである。
雪上を移動可能なそりを装備した班はまだ少なく、野外への燃料採集にその過半が割かれていたのだ。
この状況下で正門陣地が二日間の寒波を乗り越えられたことは、後にパチュリーが『気象学的にありえない』と語ったところであるが、それは、正門陣地所属部隊のたぐいまれな精神力によるところが大きかった。
しかし、精神力は支えにはなっても直接の力にはならない。このまま補給が途絶えれば、燃料と食料の不足により正門陣地が破滅を迎えるのは時間の問題だった。それを防ぐためには、正門~本館を結ぶ、通称『紅魔館公道』の開通が必要で、それはメイド達の努力にかかっていたのだ。
しかし、彼女らの奮闘は報われることはなかった…
そう、まもなく空から猛烈な弾雨が降り注ぐことになったのだ。後に『氷の暴風』と称されたこの天候急変で、紅魔館の野外戦力は壊滅的な打撃を受けることとなった。
「観測班より野外へ展開中の各班、天候悪化の兆しあり、速やかに後退せよ」
まもなく闇が舞い降りようかという時、上空の様子を確認していた観測班から各班へと指示が飛んだ。紅魔館へとせまる巨大な雲を確認したのである。
ポトフメイド集団の壊滅以後、一時撤退に関する指示は観測班からも出せるようになっており、また、この指示はなし得る最速の判断であったのだがそれでも尚遅かった。
各班が退避するまもなく、急速に紅魔館上空へと展開した巨大な積乱雲は、重量数キロもある巨大な雹を降らせはじめたのである。
「退避ー!退避ー!!」
「重装備は放棄!速やかに本館へ後退せよ!!」
「急げっ!退避命令が出ているわ」
「あとちょっとっていう所で…後退!」
メイド部隊が退避しつつある中、上空を確認していた観測班が緊迫した声を出す。
「上空に敵弾多数!各班は速やかに最寄りの建物に退避せよ!!」
「何ですって!?」
「早いわ…早すぎる!」
「みんな!急いで!!」
最低限の装備で、手近な建物へと駆け寄るメイド達…しかし、その努力はほとんどが報われなかった。
必死に逃げるメイド達の頭上へと、氷の弾丸が迫っていたのである。
「3…2…1弾着今!」
観測班の怒号とも悲鳴ともつかない声が館内に響いた。
次の瞬間、紅魔館全体が氷に叩かれ、不気味な音を発すると共に、砕け散った屋根瓦と氷の破片が混じり合いながら落下する。
この猛爆に、極めて強固な構造の紅魔館ですら激しく揺れ、中にいる者はなすところなく呆然と立ちすくんでいた。
しかし、それ以上に悲惨だったのは野外にいた者達である。
地上にいる者はその全てが『白色空軍』の標的となり、重さ数キロの氷塊に打ち砕かれた。凍傷者用のそりも、負傷し倒れるメイドも、全く関係なくその爆撃にさらされた。
本館の耐寒耐雪化作業に就いていたメイド達は、どうにか無事に逃れ得ることができたが、正門と本館とを結ぶ連絡路の除雪にあたっていたメイド達は悲惨だった。
その過半が脱出の途上で雹に叩かれ、次々と雪上に赤い花を咲かせていく。
また、エリカが指揮する第四特設メイド隊『オストピシャ』などは、付近の作業小屋に辛うじて逃げ込んだものの、薄い板葺きの屋根は高速かつ硬質な氷弾に容易に貫通され、作業小屋もろともその存在を失った。
それらの部隊の中で唯一脱出に成功したのは、快速をもって知られた第二特設メイド隊『ミズモルゾ』であったが、その途上で全ての装備を放棄し、南棟の玄関に滑り込んだ時にはその班員の三分の一を失い、さらに残る三分の二の者も大なり小なりの傷を負っていた。
ポトフメイド集団の全滅に続くこの損害で、紅魔館はその野外戦力のほぼ全てを失った。
もはや精強を誇った紅魔館メイド部隊に昔日の面影はなく、館の防備を固めることにすら支障をきたす状況であった。
また、第五特設メイド隊『アリヨール』は、比較的後方にいたために全滅は免れたが、大小の装備品のほぼ全てが使用不能な状況となり、部隊自体も戦闘能力をほぼ喪失していた。
この隊のあるメイドが「我が隊はまるで皆がぼろ雑巾になったかのようになったが、無事に勤務していた」と表現していたが、はっきり言って無事とは言えなかった。しかし、それでもまだ隊として存続している分ましであったのだ。
そして、これにより正門と紅魔館本館群との連絡は完全に絶たれ、正門陣地の防衛は絶望的となっていた。
しかし、総司令部では、それでもなお雹がやんだ場合、橇による輸送が十分可能であるとして後退作戦の立案を認めず、さらなる悲劇を生むこととなったのである。
12月31日~1月9日『正門陣地失陥』
~正門~
紅魔館において、ヴワル魔法図書館と並んで特殊な位置づけにあるのがこの正門陣地である。
その位置的条件によりどうしても独自色が強くなるこの区域は、紅魔館メイド集団の指揮下ではなく、独立した指揮系統を持つ門衛隊により守られていた。
紅魔館ではスカーレット姉妹の親衛隊『紅衛隊』に次ぐと言われる戦闘力を誇るこの門衛隊であったが、その内情はお寒い限りであった。
度重なる正門防衛戦により、戦力はすり減らされ、補充されるメイドの質は下がるばかり、戦闘の度に破壊される建物の修繕費も図書館の予算増額の影響で滞っていた。
それどころか、最近では食料費まで削られる有様だったのだ。
メイド達への食料の支給ここ数年の間に半分にまで削られ、ここ門衛隊ではさらに少なかった。
メイド達は抗議したが、当主レミリアのお菓子代すら削られている現状では、その抗議が受け入れられる可能性はなかった。
ちなみに、ヴワル魔法図書館では何故かお菓子が潤沢にあったというが、それがどこから手に入れられているのかは館機とされていた。
「隊長~食料もなし、燃料もなし、しかもこんな旧式ストーブでどうやって守り抜けばいいんですか!?」
「私に聞かないでよ、魔法図書館に全部予算を持ってかれたもんだから…はぁ」
「最前線にこそ予算が必要ですよね…」
「ええ、全くよ」
さて、その正門陣地を守る紅美鈴と部下達は、正門地下にある門衛隊詰め所で車座になりながら善後策を協議していた。
しかし、出てくるのは愚痴ばかりで、有効な施策など出てくることはなかった…しかし、それはまた仕方がないことでもあったのだ。これが後に言う正門評定である。
補給が途絶えてもはや一週間、食料はとうにつき、燃料もまもなく尽きようとしていた。周囲の空気は深く澱み、絶望が地下室を覆っていた。
美鈴も、最初の頃は「背水の陣よ!」と、意味もなく言って士気を高めようとしたのだが、部下に「それって負けたら全滅ですよね」と突っ込まれて黙り込んだ。
雹が降ってきた時には「これは天の太鼓よ!天が我らを励ましているのよ!!」と、全員を励ましたが、やはり「太鼓がぼろすぎて穴あきそうですけどね」と言い返されて反論を諦めた。
彼女の故国では、言葉による厄災は言葉で払うことができるという言い伝えがあったのだが、言葉すら破られてはもはや天に見放されたも同然だった。
紅魔館本館式に、馬を指して鹿と呼ばせ、鹿を指して馬と呼ばせる上官絶対教育を施すべきだったかと後悔したが、もう遅かった。部下の為に毎度毎度お菓子を持ってくるのに慣れてしまっていたのだった。
そして、紅魔館本館との連絡を絶たれた正門陣地群は雪中に孤立し、その解囲がなされる可能性ははるか先まで無かった。
正門陣地を守るには、一日300㎏の物資(燃料を含む)とされていたが、紅魔館本館から橇により輸送されてきたその量は一日110㎏しかなく、また、橇の損害も多かった。
雪に踏みつぶされても踏みつぶされてもなお続けられることから、蟻輸送と名付けられたその輸送すら1月2日を最後に途絶え、独立した貯蔵庫を持たない正門陣地群は緩慢に全滅へと向かっていた。
翌日、補給の代わりに届いたのは『以後正門陣地は独立し、メーリングリン戦闘団として独自の防衛行動をとれ』との通信文だった。実力が伴わない強そうな組織名をつけるようになると、その集団は末期である。
防衛どころか、自衛すら怪しい彼女達には何らできることはなかった。ただただ地下室で寄り添い、終焉へと向かうしかなかった。
この時、皆は紅魔館から見捨てられたと確信した。
気温は氷点下四十度前後で安定し、極寒という言葉すらなまぬるかった。
まよいがで藍と橙が除雪作業中、かまくら内で眠っていた紫をもろともに河川投棄したのはこの頃である。
また、この猛烈な寒波を記事とした文々。新聞は、その購読者数を順調に伸ばしていた。
文は異常事態にこそ新聞の真価が発揮されると喜び、暴風雪をついて配達を続けたが、これは、脆弱な断熱性の木造家屋において、すきま風や断熱材として使うのに新聞『紙』が最適であったからであり、届けられた新聞は読まれることなく別な用途に使われていった。
また、点火剤としても極めて優秀であることがわかり、里での新聞紙需要はうなぎのぼりであった。
文は、そんなことなど知らずに、12月31日に社屋が倒壊して以後も、洞窟へと拠点を移して配達を続けていたが、1月3日、里の南方空域で配達中に連絡を絶った。おりしも猛烈な風雪により博麗神社本殿が飛散した夜の事であった。
尚、その鈴ははるか里にまで飛ばされ、寺子屋の始業ベルとして運用されることとなった。
「第三班より、2名負傷し後送。残存燃料なし、現在気温-43度。現区域の保持は困難、後退許可を求む」
「観測班より、予想より敵は強大なる模様。留意されたしと…」
「総司令部より、気をつけろ敵は精鋭よ。だそうです」
総司令部からの通信とほぼ同時に、正門陣地で最後まで地上にあった正門守備隊が後退許可を求めてきた。ついに燃料が尽きたのである。
「限界か…了解、各員は速やかに後退せよ」
「了解、これより後退します」
美鈴の答えに、正門陣地群最後の地上部隊が撤退してきた。他の部隊は既に全員が後退を完了していた。
幾たびもの過酷な戦闘に耐えてきた門衛隊の下級指揮官には歴戦の強者が多く、また、美鈴の早期の後退判断により、その体力を維持したまま後退することができた。
紅魔館本館のメイド達が『瀟洒』を目指していたのに対し、常に最前線に配置されていた門衛隊は実戦的な判断を優先したのである。死守命令は無意味だった。
「はぁ」
美鈴はため息をついて天井を見上げる。
補給が途絶えてはや一週間、早めに部隊を後退させ、防御区域を縮小した事が奏功し『正門陣地は正月までになくなるわ』などというブラックユーモアを実現することすら避けたものの、もはや正門陣地群の失陥は避けられない状況だった。いや、群としてはすでに正門陣地は失われていたも同然だった。一人では『陣』とは言わないし、一つでは『群』とは言わないのである。
正門下にある地下室には凍傷者があふれ、司令部もそこにあった。というよりも、野外の建造物群は正門を除きその全てが飛散または倒壊し、正門と、その直下の地下室のみが正門陣地守備隊の最後の牙城となっていたのだ。
しかし、その正門も不気味な音を発しだしていた。最後の守備隊…最後のストーブが消えた時点で、屋根の雪により倒壊するのはもはや確実だったのだ。
そして、正門が倒壊すれば、その直下にある地下室も押しつぶされるのもまた確実だった。
決断の時は迫っていた。
美鈴が立ち上がったのは、ストーブに最後の木炭がくべられようとするその時だった。
「さてと、門番長命令よ」
部下達の視線が美鈴を向く、尊敬されているとは言い難かったが、親しまれていることにかけては紅魔館随一の指揮官、部下達もなんだかんだ言いつつ、その命令に刃向かったことはなかった。
例え玉砕命令とあっても、それに従うつもりだった。
しかし、美鈴はいつも通りの笑顔でこう言った。
「門衛隊は、その総力を挙げて紅魔館本館に転進せよ。大雪を打ち破り、交通を回復しなさい、これは門番長としての命令よ」
次の瞬間、地下室にどよめきと歓声が充ちあふれた。
皆、このまま凍り果てると覚悟を決めていたのである。よもや脱出作戦の許可が下りるとは思っていなかったのだ。
抱き合い、生への希望に喜び合う者、皮肉たっぷりに「神の罰だ、穴から出される」などと言っていた者も、その顔は笑っていた。
たちまち沈滞した空気は躍動し、皆が脱出の準備にかかりはじめた。
新たに配属され、慣れない作業に疲れ切っているメイドを励まし、自ら率先して働く美鈴の姿に、皆が感動…することはいつも見慣れているのでなかったが、それでも安心して作業にあたることができた。
凍傷者を数少ない橇に積み、ありったけの防寒具を着込み、そして懐には布でくるんだ焼けた煉瓦を抱え込む、完全装備を施した門衛隊が出撃準備を整えるまで、さして時間はかからなかった。
「門番長、門衛隊総員出撃準備を完了しました」
副官リンナの言葉に、美鈴は笑ってこう言った。
「よし、それじゃあみんな転進して」
一瞬の沈黙、微妙なニュアンスに何かを感じたらしいリンナは、問い返した。
「…美鈴隊長、あなたは…」
そんなリンナに、美鈴はゆっくりと言った。
「さっき本館から通信が届いたの、紅美鈴を上級門番長に任命すってね」
なおも明るく笑う美鈴に、リンナは半ば呆然としてこう尋ねた。
「それは…つまり…」
「そう、昇天命令ってやつよ」
リンナの問いを途中で遮り、美鈴は言った。上級門番長などという役職に実態はなく、今までの状況から考えると、これは名誉と引き替えに玉砕を求められたも同然であった。
「そんな…」
絶句するリンナに、美鈴は淡々と言った。
「そう、でもあなた達がそれに殉じる理由はないわ。私は正門陣地群の亡失の責任をとってここに残ります」
「待って下さい!私もっ!!」
「いえ、私も残らせて下さい!!」
「隊長!一人だけで残るなんて!!!」
美鈴の淡々とした言葉が終わった時、次々と部下が駆け寄った、しかし…
「うるさい!!これは命令よ!!!」
常に穏和をもって知られた美鈴の怒声は地下室を揺るがし、部下を沈黙させた。
「いい、これは撤退ではないの。紅魔館への通路を啓開する門衛隊最後の賭、全ての戦力を投じなければならない大きな賭。いい、皆紅魔館本館までの通路を啓開しなさい。到着後にこちらから指示を出すわ」
美鈴の言葉の裏は皆にわかっていた。もはや正門陣地に燃料はない、まもなく正門の倒壊とともに地下室も崩壊するだろう。そうなれば指示を出すことなどできない。
つまり、紅魔館で現地部隊の指揮下に入るしかないのである。
「ですがっ!」
なおも翻意を促そうとするリンナを手で制し、美鈴は言葉を続けた。
「皆、生きて紅魔館に還りなさい。これは命令よ」
「隊長…」
この瞬間の美鈴のカリスマは、紅魔館の誰よりも高かったであろう。人一倍優しい彼女だからこそ持ち得た勇気だった。
「総員退…いや出撃っ!目標紅魔館南棟!!」
涙を振り払うかのように叫んだリンナの後に、門衛隊が続く。
凍傷者も、彼女らを背負う者も、皆例外なく涙を浮かべて美鈴に敬礼していた。
長い長い列が過ぎ去り、地下室が数日ぶりの静寂を取り戻した時、美鈴は呟いた。
「みんな無事にね」
ストーブの火はまもなく消え去ろうとしており、寒気が周囲からのしかかっていた。既に凍り付いた魔法水晶を撫でながら、美鈴は天井を睨む。
ぎしぎしと…不気味な音が響いていた。室内の温度が下がれば、屋根の雪は溶けることなく積もっていく。また、下面が溶けずに滑らないのだから、雪が滑り落ちることもすくなくなるのだ。
つまり、正門の崩壊は間近だった。
「私は…」
美鈴は立ち上がる。
「紅魔館の鉄壁の盾」
天井はたわみ、その上の正門が今まさに崩れ落ちんとしているのがわかった。
「誇り高きその名は…」
天井の悲鳴はますます高くなる。彼女はそこをにらみ据え…
「紅美鈴!」
叫んだ。
次の瞬間、正門は凄まじい轟音とともに崩壊し、地下室を埋め去った。
正門があったところからはいくらかの材木が突き出していたが、まもなくそれも白く染まり、全てが銀世界へと呑みこまれていった…
「美鈴隊長…?」
一メートル先も見えない吹雪の中、リンナは呟いた。誰かが自分を呼んだ気がしたのだ。しかし、それは吹雪の中の幻聴であろうと思い直し、彼女は指揮をとる。
「南棟まであと少しよ!前進!!」
吹雪の中からは返事は返ってこない。
皆歩くのに必死だった。しかし、凍傷者の橇を手放す者は誰一人としておらず、倒れた者もまた、全員橇にのせられ紅魔館へと進んでいた。
生きるも死ぬも共に…門衛隊の鉄の絆である。
~一時間後~
「…ん?」
紅魔館南棟で、外の様子を見ていたあるメイドが何かに気付き外を凝視する。
不思議そうなその表情は、見る間に恐怖に凍り付き、持っていた白湯は床に落ちた。
彼女はたちまち南棟群司令部へと駆け込んだ。
「パっパチュリー様!幽霊が!!幽霊部隊がっ!!!」
必死になって司令部へと駆け込んできたメイドにパチュリーはなんら驚くことなく言った。
「幽霊?幽霊には寒さなんて関係ないのかしらね」
「は…それは…わかりませんが…」
飄々としたパチュリーに毒気を抜かれたメイドが呆然と立ちすくむ。そんなメイドに、パチュリーは問いただした。
「で、何があったのよ?」
パチュリーの最初の一言に毒気を抜かれたメイドは、見たまま、ありのままに説明する。
「正門の方から…白い服を着た一群が…全滅したポトフメイド集団が幽霊になって還ってきたに違いありません!!」
「幽霊になっても還ってきてくれればありがたいのだけど…」
パチュリーはそこまで言って、ふと何かに気がついた。
「まさか…皆!暖かいお湯に毛布を!!急いで!!!」
「は…え?幽霊にお湯を…?溶けませんか?」
「いいから早く!」
戸惑うメイド達をよそに、パチュリーは指示を出すと玄関へと急いだ。
「開門!扉を開けなさい!!」
「え…ですが…」
いきなり駆け込んできたパチュリーに、扉を守っていたメイドは言い返した。
扉を開ければ、猛烈な寒気が館内に入る。それは南棟の失陥にさえつながりかねない危険な行為であった。
「聞かないのならロイヤルフレアで吹き飛ばすわ」
しかし、懐からスペルカードを取り出したパチュリーを見て、メイドは慌てて頷いた。
「はっ!直ちに開きます!!」
パチュリーは緊張した面持ちで正面を見据える。開いた扉から猛烈な吹雪が吹き付け、彼女は目を覆った。そして、その手を下ろした時に目の前にいたのは…
「紅魔館門衛隊!紅魔館本館への連絡回復の命を受け前進、任務完了しました!!」
顔以外の全てが雪に覆われながら、堂々と申告する門衛隊のリンナであった。
雪の衣装を身にまとった彼女の背後には、同様の衣装を纏い、整然と並ぶ門衛隊の姿があった。
その偉容は一瞬にして玄関ホールのメイド達の表情を引き締まらせた。
「…ゆっくり休みなさい。大広間にお湯と毛布を用意してあるわ」
「ありがとうございます!」
そう言って敬礼するリンナに、パチュリーとその部下も敬礼を返す。それが勇者への礼儀だった。
しかし、続々と入ってくるメイド達の中に、美鈴の姿は見えない。不審に思ったパチュリーがそのことを尋ねた。
「美鈴はどうしたの?」
パチュリーの言葉に、リンナは一瞬黙り込み、そして答えた。
「命令通り正門陣地を固守しています」
「…どういうこと?」
「は…?」
疑問を投げかけるパチュリーに、リンナは問い返した。
「美鈴には昇進と、そして後退の自由を許可したはずよ。返信がなかったから既に全滅したと諦めていたのに…」
「え…」
口止めされていた通信メイドからの聞き取りで後にわかったことであるが、正門陣地の魔法水晶は昇進の報を受け取ったものを最後に全てが凍り付いており、その水晶が凍り付いた時点でもはや通信は不可能だった。
前者の通信しか受け取ることができなかった美鈴は、それを死守命令と解釈したが、実は違ったのである。
偶然と、美鈴の責任感の強さが呼んだ悲劇であった。
「パチュリー様、美鈴隊長の犠牲は無駄だったのでしょうか?」
毛布にくるまり、お湯を飲みながらリンナは呟く。そんなリンナに、パチュリーは首を横に振った。
「…いいえ、無駄ではないわ。そのおかげであなた達は今ここにいる、そして…美鈴があの地に留まったことで、皆凍結を怖れなくなったわ」
そう、美鈴が最後まで正門陣地を固守し続けたことで、紅魔館本館のメイド達はみな恐怖の束縛を振り払ったのだ。誰もが持ち場を守るのに疑問も恐怖も抱かなくなった。
また、退避してきた門衛隊の戦力は凍傷者を含めれば90%以上、除いても約半数が残存しており、美鈴の指揮能力の高さがうかがえた。また、彼女らはそのまま南棟群集団に所属することになった。
そして、これ以後、紅魔館の各部署はさらに激しい耐寒耐雪戦闘を繰り広げていくことになる。
尚、この後、南棟群司令部から正門方面集団司令部へ、以下の通信文が送られた。
「風雪の中で過ごした幾月かで我々は友となった。私の感謝と友情と全員の思いが、死を越え君を永遠の境へと送っていく。最愛の友よさらば!」
外の世界の書物を元に起草されたこの文は、永遠に届くことはないであろうが、しかしそれがパチュリーらのせめてもの敬意であった。
尚、総司令部でも、ほぼ時を同じくして黙祷が捧げられた。彼女らの気持ちも同じだった。
紅魔館の全ての人妖が、誇り高き一人の戦士に畏敬の念を持った瞬間であった。
『後編に続く』
そして美鈴隊長の最期に涙・・・
紅魔館部隊カッコよすぎです!!
後編もお待ちしております
内容はマンシュタインとチャーチルの引用しか判らなかった
もっと勉強しておけばよかったな……
これはすさまじい……
文と美鈴の最期に黙祷しつつ後編を待つ!!
紅魔館の面々も熱い!カッコいい!すごい!
てんこ盛りのネタに笑い、泣き、そして感動。
これでまだ前編なのか!
ネタの分厚さには脱帽です。
半分くらいわかったかなぁ…。
後編にも蝶期待。
wktkが止まらない
なおざりかと
おざなり:やることはやるが、その場しのぎの手抜き仕事であること。
ご感想、ご指摘下さった方々ありがとうございましたww
>都様
そう言って頂けますとww雪は怖いのですよ…ちなみに、某死の彷徨が起こったのは私の住む市だったりします。ちなみに県庁所在地…
>名前が無い程度の能力様
チャーチルはともかくマンシュタインがあっさりばれるとは思っていませんでした…orz
>二人目の名前が無い程度の能力様
趣味が合いそうです。これも個人的な趣味で書きましたので(笑)
>ルドルフとトラ猫様
ちょっとやりすぎたかなと思っておりましたので…そう言って頂けますとww
>三人目の名前が無い程度の能力様
いえいえww
>CODEX様
ああ…今年は暖冬ですからねぇ…
微妙に温暖化と絡めていたり。
>跳ね狐様
捧げー銃!!
>四人目の名前が無い程度の能力様
紅魔館メンバーは熱いと思っているのです。美鈴は…こんなにかっこよくなったのは自分でも驚き…(こら)
>五人目の名前が無い程度の能力様
ヤボールヘルコマンダ!…全速で書いたのに、なぜか後半長引いて投稿が遅れたのですorz
>六人目の名前が無い程度の能力様
後半は…東部戦線ネタ少なくて申し訳ないですorzしかしばれていましたかww
>Admiral様
源文ばれましたよ提督!?
いえ、大好きだったのでつい…orzそしてそれだけご存じなら多分半分以上はわかっておられるかと…そして最後がっ!?
>七人目の名前が無い程度の能力様
これを読んだ時にプレッシャーが…orzありがとうございますww
>八人目の名前が無い程度の能力様
>九人目の名前が無い程度の能力様
お手数おかけして申し訳ありませんでした。
誤字指摘ありがとうございます。遅れましたが修正いたしますorz
>十人目の名前が無い程度の能力様
美鈴には今回一番いい役を持っていかれた気が…ww
(こちらT・C、後編も読ませていただきます)
ご感想ありがとうございますwwそう言って頂けると嬉しいです。
美鈴に幸あれ!
お返事遅れに遅れて申し訳ありませんorz
…ええ、冬は恐ろしいのです。特に北国在住な寒がりにとってorz