Coolier - 新生・東方創想話

わたしは緑色だから

2026/10/13 16:51:57
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あとがき
 ありがとうございました。
 以下、余韻を崩さぬ程度にお話を。
 楽曲の響きのままに綴った文章。
 思うにそれは響くために、直接に全容を伝えない。
 すなわち詩。
 わたしは詩がずいぶんと苦手です。
 理系ゆえの説明がましさが出る。
 であるから。よって。つまり。したがって。
 そうした接続詞を、可能な限り消しました。
 血を失う思いでした。ふるえながらに。
 説明もなく物語が押し進められる。
 腕を掲げて突き進むのに。
 振り向けばだれもついて来ていないという恐。
 そう、わたしはいちど、ほぼ全文を消しました。
 あまりに説明がましく曲に合わなかったので。
 それらを喪失してようやく、曲に交わってくれた。
 はずです。
 わからない。
 わたしはぜひとも問いたい。
 楽曲をお聴きになってくださった方のほうからも。
 お聴きにならなかった方の視点からも。
 両方、印象は異なったはず。
 わたしはぜひとも尋ねたい。
 お聞かせいただければ、なによりの幸福でございます。
 それでは。作品をご高覧いただき、ほんとうにありがとうございました。
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遥か遠くの戦乱に村民を、友を、家族を置き去りに、同伴の使いに救い出され、自分だけが生き残った「はしひめ」。それが幻想郷に、ないし地底都にやって来る以前の、人間だった頃のパルスィの正体。
彼女はその過去を徹底して忘れ、橋を守り、全てを妬み、誰からも愛されぬよう生きていた。
そんな折、古明地 さとりが地底の平穏を保つパルスィをねぎらうために自身の館へ招待し、彼女の奥底に眠る、最も華やかで、最も幸せだったろう記憶を呼び覚まさせて、彼女のことをもてなした。
華々しき橋姫の記憶を呼び覚まして尚、その心中の彼女本人が豪勢でみやびな衣装をまとわずに、今のまま貧相な橋守の衣服のままであったことに気付いて、自分が全てを間違えたこと、もう取り返しの付かないことに、古明地 さとりは気付いたかもしれない。しかし既に”こんな”になっていた彼女はそれを正そうとも詫びようともしなかった。出来なかったのかもしれない。
彼女が呼び覚ましてしまったのは水橋 パルスィの幸せだった記憶ではなく、「はしひめ」と呼ばれ、田舎者同然の本当の自分を隠し、それを演じなければならなかった過去、戦乱に大切な人を全て奪われた過去、自分だけが生き残り、自分だけが愛され、幸せになることが許されてしまった過去、彼女が必死になって忘れ通したトラウマそのものだった。
豪華な食事も、みやびな人々も、同伴の使いも、あの館で見た物は全てが幻だった。それだけじゃない、地底都も、橋も、それを守る水橋 パルスィという自分自身さえ、過去から目を背けるための幻だった。
そして、「はしひめ」は今も絶えず頭に響く谷間の流れを求めて、地上へと、現実へと回帰することを決めた。彼女にとって親代わりであった古明地 さとりの意に反することも、星熊 勇義の制止も振り切って。しかし彼女が地底を抜け出しても、なつかしき緑あふれる温もりを体感しても、彼女は地上を見ることはできなかった。それが現実だった。
生前、使いの車に揺られ自分だけが生き残った「はしひめ」は、灰燼の舞い真っ赤に燃え上がった故郷を見るに堪えられなくなり、父から授かった翡翠で自身の両目を押し潰し、谷間のどん底に身を投げてこと切れた。
土のにおいも、木の葉の舞も、草木のぬくもりも、昆虫のまじわりも、小鳥のさえずりも、谷間の流れも、今わの際に緑色の翡翠が見せた幻に、過ぎなかったのだった。

といった感じでしょうか。初瀬ソラさんのことですからまたとんでもないものが来ると身構えすぎて、凄くよくないハッスルをしてしまいました。
本文を見て、あとがきを見て、今回のかなり攻めたコンセプトのために初瀬ソラさんがいかに苦労して今作を作詩されたのかがひしひしと伝わりました。
上の偏り過ぎた長文解釈は初瀬ソラさんが涙を呑んで削り落とされた説明ヶ所に、一体どれだけのメッセージが込められていたのかを解き明かしたいと思うばかりに、自分なりにかなり必死に捏造した解釈となっております。
どうか初瀬ソラさんのお気を煩わせてしまいましたら、すぐにその旨ご連絡ください。すぐに削除しますので。

オルゴール調に始まって壮麗なオーケストラ調へと昇華する東方アレンジ、とても美しかったです。オーケストラを止めて始まる「少女さとり ~3rd eye」のオルゴール調の冷たくて不気味な音調には胸を撃たれました。
僕は書くのも読むのも遅すぎる性分のため、本作を読み切るのにアレンジ曲を2周させる必要がありました。

長文失礼しました、大胆な試みに感動しました。すごい作品をありがとうございました。