Coolier - 新生・東方創想話

子供たちが泣いた夜

2026/04/30 20:10:51
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 ――あいつは、母さまがいなくなったときも涙一つ流さなかったんだ
 ――幼かったお前がそう思ってしまったことを責める気はない。だが今でも、ものの道理がわかるようになった今でも、本当にそう思っているのか?




 魔理沙の耳には、慧音の言葉が残っていました。

「大人は子供の前では泣かないものだ。それが幼い娘の前なら尚更だろう」

 それを忘れたくて、魔理沙は夜空を飛んでいます。
 昼間、里で買い物をしていて慧音に出くわした魔理沙はお説教を受けました。
 魔理沙には今なお、いえ、これからもずっと頭が上がらないであろう存在が何人かいます。慧音もその一人です。
 里で暮らしていた頃、魔理沙に外で暮らすための色々な知識を教えたのは慧音でした。
 今でも慧音は言います。

「私はお前に余計な知識を教えるべきではなかったのかもしれない。しかし、知識そのものに罪は無く、知識を得ようとする姿勢にも罪は無い。問題はその使い方だ」

 魔理沙自身も慧音には恩があるとわかっています。教えられた知識が無ければ、魅魔様に巡り会う前に自分は森で野垂れ死にしていたかもしれないのですから。
 魔法の師が魅魔様だとすれば、慧音はいわば生活の師です。
 とはいえ、顔を合わせるたびのお説教は勘弁です。それも、

「今の生活を捨てて家に戻れとは言わん。言わんが、たまにはお父上に顔を見せればどうだ」

 実家のことを言われるのは駄目です。
 慧音が本気で心配しているのもわかるのでもっと駄目です。
 その場から這々の体で逃げ出した魔理沙ですが、どうもモヤモヤするので幻想郷の空を飛んでいます。夜の風がかっかしてくる頭を冷やしてくれます。
 ふと、魔理沙は気付きました。
 下方、森の中に闇があります。夜の闇よりなお冥い闇。見覚えのある闇です。
 魔理沙はホウキを地に向かって傾けると、その闇へと向かいました。

「貴方は食べてもいい人間?」
「残念だな、ルーミア」
「うわぁ、魔理沙だ」

 獲物を捕まえる直前だったルーミアは心底がっかりしました。久しぶりの御馳走だというのに、魔理沙が現れてしまったのです。
 里の外、しかも魔法の森を無防備に彷徨う人間は食べても良いというルールをルーミアは知っています。ただし知り合いに見つかると、代わりにご飯を食べさせるので人間を食べるな、と言われるときがあります。
 人間組は間違いなくそう言いますが、例外として咲夜はよほどのことがない限りほぼスルーします。ミスティアやリグルだと獲物を分けてと言われます。
 獲物が食べられなくとも代わりに大概美味しいご飯が食べられるので、ルーミアとしては異はありません。それどころか大歓迎です。

「魔理沙、人間は見逃すからご飯食べさせて」
「礼金次第だが、ま、最悪おにぎりくらいは食わせてやるよ。今はさすがに持ってないから、後でいいだろ?」
「んー。まーいいかー、魔理沙は嘘つかないし」

 ふよふよとルーミアは去って行きます。
 さて、と魔理沙は追い詰められ座り込んでいる人間に声を掛けました。
 幻想郷から見れば変わった恰好、つまり、外来人のようです。
 自ら望んだわけでもないのに偶然幻想郷に迷い込んでしまう人間はたまに現れます。魔理沙をそんな人間を見つけ次第、悪意のない者であれば霊夢の元に送り届けるようにしています。
 助けた人間は博麗神社で霊夢に引き渡して、外の世界へ送ってもらいます。中には幻想郷に残ることを選ぶ外来人もいますが、そこは関知するところではありません。
 魔理沙は助けた礼として、外来人が持っているであろう物品がもらえればいいのです。
 外の世界の物品は香霖堂で売りさばくか、あるいは自分のコレクションに加えます。そしてルーミア……リグルやミスティアの時もあります……にご飯を奢ります。
 それでミッションコンプリートです。

「誰だか知らないが運が良かったな、普通の魔法使いの参上だ」

 座り込んでいたのは老いた男でした。

「さっきの化け物はアンタが……。魔法使い? ……まさか、幻想郷なのか?」
「ん? アンタ、知ってるのか、ここを」
「本当に……ひい婆ちゃんの言ってたことは本当だったんだ……」
「ほぅ」

 どうやら、昔に幻想郷から出て行った人間の子孫のようです。

「妙な縁もあったもんだぜ。私は霧雨魔理沙。爺さんの名前は?」
 
 老人の名乗った名前に、魔理沙は目を見開きました。

「なんだって? すまん、よく聞こえなかった、もう一度」

 老人は落ち着いたのか、すっくと立って再び自分の名前を言います。

「俺の名前は霖之助。森近霖之助だ」
「はい?」




 ――幻想郷という世界があってね、ひい婆ちゃんは昔、そこに住んでいたことがあるんだよ
 ――怖い妖怪もいたけれど、あたしは優しい妖怪に出会えたからね
 ――りんちゃんも、いい子にしていればきっと会えるさ
 ――りんちゃんだけだよ、ひい婆ちゃんの話を信じてくれるのは……




 夜も遅いので、今から神社に行けば確実に寝間着姿の霊夢にしばかれる。そう判断した魔理沙は老人を自宅に連れ帰りました。
 とりあえず一泊させて、明日にでも行けばいい。そう考えたのです。
 それに、霖之助と同姓同名というのも気になります。

「とりあえず今日はもう遅いから、ウチに泊めてやるよ」
「家の人に先に聞かんでいいのか」
「一人暮らしだ、気にすんな」
「……若い娘さんがホイホイと男を泊めるもんではないと思うが」
「あー。早苗にも前に似たようなこと言われたけど、外と常識が違う。ハッキリ言うけど、仮にアンタが悪党で私に不埒なことをしようとしても一瞬で消し炭だ。さっきのルーミア……アンタの言う化け物より、私は強いぜ?」
「そりゃ頼もしい」
「それにアンタ、右も左もわからないところで命綱に喧嘩売るほど馬鹿な男には見えないぜ」
「うむ。すまんな、命綱さん」
「なに、礼の品ならたんまりもらったんだ。高級命綱になってやるさ」

 買い出し帰りに迷い込んできたと言う外霖(魔理沙が勝手に名付けました)の背負っていたリュックには、幻想郷では珍しいカップメンやレトルト食品がたんまりと入ってたのです。その半分が魔理沙のものとなります。残る半分は霊夢の取り分として残すことにしました。黙っていても確実にバレますし、隠していると後が怖いのです。
 家について晩御飯の準備を始めると、外霖が自分がやろうと提案します。
 
「こう見えても、飯屋の主人だ」
「カップメンとレトルトばかりの店か?」
「道路工事で店が当分休業でな、自分の食う分だけではどうもやる気が出ん」
「そういうものか」
「そういうものだ」

 飯屋の主人だという外霖の腕は確かでした。
 魔理沙の出した食材を、老人は見事に料理したのです。
 肉、キノコ、米。炊き込みご飯と猪肉の生姜焼きです。
 うまいうまいと魔理沙は喜んでがっつきます。

「そこまで喜んでもらえると作った甲斐があるな」
「いやぁ、これならこっちでも充分やっていけるぜ。この腕ならミスティアや美宵にもタメ張れる。爺さん、永住する気ないか?」
「腕を見こまれるのは嬉しいが、店があるからな。急いで帰る必要はないが、永住する気もないぞ」
「そりゃあ、残念」
 夜もとっぷりと暮れ、腹も満たした二人は、細かい話は明日にしよう、と寝る準備を始めます。
 外霖を客室に案内します。こう見えて人の泊まることが少なくない魔理沙宅では、客用の部屋はきちんと準備されているのです。

「外の世界へ帰してくれる奴の所に明日行くけど、多分あんたの名前聞いたら驚くと思うぜ」
「俺と同じ名前の者の知り合いか」
「いい勘してる、その通りだぜ」
「なあ、そいつには会えんかな」
「会ってみても面白いな。何とかなると思うぜ」

 

 
 ――母さまはいなくなった。父さまも死んだ
 ――私も似たようものだ
 ――貴女は里で暮らせているじゃないか、人の中で
 ――里で暮らしていくためには規則を守らなければならない。良ければ私が教えよう
 ――貴女が?
 ――私は、この里で教師になりたいんだ。君が私の最初の生徒というわけだ




 朝、魔理沙はご飯の匂いで目を覚ましました。

「……アリス? ……いや、これ、味噌汁と炊きたてご飯の匂いだ……アリスならポタージュや焼きたてパンとかだよな……?」

 寝室を出たところで、外霖の存在を思い出しました。

「勝手に使わしてもらったぞ」

 外霖が朝食を準備しています。

「ああ、なんだか悪いな」
「なに、どうせ俺も食うんだ。それになんというか、お前さんを見ていると世話したくなってくる」

 森近霖之助という名前には霧雨魔理沙を世話する言霊でも含まれているのか。と魔理沙は心の中で呟きます。
 テーブルの上には玉子焼きと味噌汁、干し魚と炊きたてご飯。

「材料は冷蔵庫から勝手に出したぞ」

 河童製の妖冷庫は、外の世界の冷蔵庫とあまり変わらないようです。
 食事を終えると、魔理沙は身支度を始めます。

「まず、博麗神社に行って、外へ帰る手順を決める。時間が取れるようなら、香霖……あんたと同姓同名の奴の所に連れて行ってやるよ」
「うむ。よろしく頼む」

 朝からやって来た二人に霊夢が面倒くさそうに応じていたのは、カップメンとレトルト食品を出されるまででした。
 お宝を出された霊夢は俄然やる気を発揮します。

「任せなさい。必ずお爺さんを外の世界に戻してあげるわ」
「おおぅ……う、うむ。よろしく頼む」
「や、爺さん、勘違いしないでくれな。確かにこいつは賽銭や食い物に釣られやすいがこういうことに関しては基本的に真面目だ。土産が無くても外の世界には戻してくれる……はずだぜ」
「やる気が段違いになるわよ」
「お前、私が援護してんのに」
「私が欲しいのは援護でなくて援助なの」
「誰が巧いこと言えと」

 すぐというわけにはいきません。それなりの準備が必要で、どちらにしろ紫にも話を通しておく必要がある、と霊夢は言います。

「本当の緊急事態なら事後報告にするけれど、そういうわけでもないんでしょう?」

 それまでは適当に時間を潰していろ、とのことです。

「なんなら、魔理沙の案内で里の見物でもしてくれば? 見たところ、里に迷惑掛けるようなこともしないでしょうし」
「ああ、そういうことなら、香霖の所に行ってくる」
「霖之助さん? なんでまた」
「爺さんが同姓同名なんだ。面白いだろ」
「へ?」

 そこで、外霖の爆弾発言が出ました。

「俺の、大叔父かも知れん」
「はい?」
「へ?」

 大叔父とは祖父母の兄弟。つまり、幻想郷を知っているという曾祖母の息子です。

「俺の名付けはひいお婆ちゃんだった。昔、生き別れになった子の名をつけたと」

 霊夢と魔理沙は顔を見合わせました。

「魔理沙、あんた知ってたの?」
「いや、今のは初耳だぜ。爺ちゃんのひい婆さんが幻想郷にいたらしいとは聞いたけど」
「まあ、ありえないことじゃないわね」

 霊夢は霖之助の父親はすでに亡くなったと聞いていますが、母親の話は知りません。自分が生まれる前から彼の知り合いであった紫や慧音からも聞いたことがありません。

「魔理沙、……嫌なこと聞いてごめん。でも、あんたは聞いたことある?」

 父親の話を嫌う魔理沙に断りを入れて霊夢は尋ねます、父親にそんな話を聞いたことがあるかと。あるいは霖之助本人から。魔理沙はどちらにも首を振ります。

「そうね。私たちに話さなければならない内容でもないものね」
「香霖のやつ、水臭い……とはさすがにこればかりは言えないぜ」

 どちらにしろ、外霖が香霖に会いたいという意見は変わりません。仮に本人であれば見せたいものがある、と彼は言うのです。
 ならば、霊夢と魔理沙にそれを妨げる理由はありません。
 まずは紫に報告すると言う霊夢を置いて、二人は出発しました。
 


 
 ――貴方様は、私を愛してくれていたのですか
 ――獲物だと思った。若い女は肉が軟らかい。食らうには良い獲物だと思った
 ――私は、いえ、私の一族は業の病に冒されておりました
 ――痩せた女の病が癒えるまでは待とうと思った
 ――貴方様は秘蔵の薬湯を煎じてくださいました
 ――病の癒えた女が笑った。その顔を俺は美しいと思った。思ってしまった
 ――それは罪なのですか
 ――人と妖怪の境を越えたことは、罪だろう
 ――もう一つの境も越えてくださいませ。幻想と外の境を
 ――群れの長として、この世界でしか生きていけぬ同胞を見捨てることはできぬ
 ――ならば、私は残ります
 ――森近の、お前の一族はどうなる。その薬があってこそ、助かる命もあるのだろう
 ――ああ、ああ……
 ――外の世には無き薬を、お前の一族だけに伝えることは辛うじて許された
 ――貴方様……
 ――直に結界により世界は分かたれる。もう、会うことはあるまい。
 ――霖之助をお願いいたします
 ――霖之助には、母は外の世界で幸せに暮らしていると教えよう
 ――いえ。死んだとお伝えください
 ――……よいのか
 ――二度と会えぬさだめならば、望みを残すのは残酷です
 ――会えぬのは身のみと、少なくとも俺だけは想い続けよう
 ――私も想い続けます
 ――ならば最後に頼みがある。笑ってくれ。お前の笑った顔を俺は忘れたくない
 ――私にも、最後にお願いが
 ――聞こう
 ――貴方様も微笑んでくださいませ。哀しいお顔など、想いたくはありませぬ
 ――お前を想うとき、俺は涙など流さぬ。身体をいとえよ、おこう


 

 二人が香霖堂に入ると、霖之助はいつものように奥に座って新聞を読みつつ店番をしていました。

「やぁ、魔理沙。そのご老人は?」
「なあ、香霖……」
「どうしたんだい、改まって」
「外の世界からの迷い人だ」
「だろうね。服装でわかるよ」
「……」
「魔理沙?」

 何度か口を開こうとして、魔理沙は結局外霖を前に押し出しました。

「アンタが、森近霖之助かい?」
「ええ、僕がそうですが」
「俺も、森近霖之助という」
「ほぅ」

 まさかそれだけのために? と言う顔で霖之助は魔理沙を見ました。
 同姓同名だから連れてきた、というのはいくら魔理沙でも酔狂が過ぎます。

「ひい婆ちゃんの名は、おこうといった」

 霖之助の手から新聞が落ちました。

「……母さまの名前……なんで……まさか、君……貴方は」
「これを!」

 懐から出した小さな革袋が霖之助に差し出されます。

「ひい婆ちゃんの形見だ。もし、もしも、幻想郷へ招かれることがあったら、森近霖之助という名前の男に出会えたなら、これを渡してほしいと、忘れなかった証として渡してほしいと。いついかなる時迷い込んでもいいように肌身離さず持っていてほしいと、俺はひい婆ちゃんに頼まれたんだ」

 受け取った革袋の中からは、小さな欠片。それはまるで、妖獣の牙の欠片のようで。
 
「あ……」

 霖之助の能力は『道具の名前と用途が判る程度の能力』です。この場合は「妖獣の牙」とだけわかるはずでした。
 しかしこのときは違いました。
 そこに込められた想いなのか、また何か別の要因があったのか。

 それは奇跡か、あるいは想いか。

 霖之助には確かに聞こえました。母の声が。

 ――私はあの人を愛していた
 ――外の世界の一族を捨てることはできなかった
 ――幻想と現世の境が成立してしまえば、もう帰ることはできない
 ――貴方を連れ出すことはできなかった
 ――あの人を信じて託すことしかできなかった
 ――ごめんなさい
 ――ごめんなさい
 ――愛しています
 ――あの人も、私も、貴方を愛しています
 ――私は弟の子を育て、森近の名を残します。いつかこの子が、あるいは孫が、誰かが幻想郷で貴方に会えることを祈って

「……父さまは、一度も涙を見せなかった。……母さまとの約束を守っていたんだ」
「……ああ、ひい婆ちゃんが認めた相手だ、そうに決まっている」

 魔理沙は、二人が泣いているのかと思いました。
 違う。泣いていない。二人は泣いていない。
 魔理沙はその二人の様子に見覚えがありました。
 まるであの日の、母を喪った魔理沙の父親のようで。

 ――大人は子供の前では泣かないものだ。それが幼い娘の前なら尚更だろう

 魔理沙と二人の中間に、スキマが開きました。
 霊夢と紫が静かに姿を現します。

「霖之助さん……」

 霊夢は霖之助の様子を見てそれだけを呟くと、もう何も言いません。
 紫が外霖の前に立ちます。

「外来の者よ。帰るときが来ました」

 ゆっくりと二人の霖之助は互いを見、そしてしっかりと握手を交わします。

「元気でな。霖之助」
「そちらも元気で。霖之助」

 霊夢が外霖の手を引き、スキマへと消えます。
 残された霖之助は、同じく残された革袋を見つめたまま、微動だにしません。

「魔理沙。霊夢を手伝ってあげて」

 紫の言葉に、魔理沙はキッと顔を上げます。
 知っていたのか。お前は知っていたのか。
 幻想郷の管理人たるお前が、香霖の両親のことを知らなかったとは言わせない。

「魔理沙」

 霖之助が消え入りそうな声で魔理沙の名を呼ぶと、静かに首を振りました。
 わかっています。
 今の魔理沙ならわかります。
 紫だってそんなことは望まなかったのだろうと。
 それでも、そうせざるを得なかった事情はあるのだろうと。
 そしてそれを、霖之助は飲み込んでいるのだろうと。
 それでも、それでも。
 だったらどうして霖之助は泣きそうに見えるのか。
 いや、何故泣かないのか。
 泣けよ。泣いてくれよ、香霖。
 何故、我慢しているんだ。

 ――大人は子供の前では泣かないものだ。それが幼い娘の前なら尚更だろう

 わかっているのです。
 魔理沙にも、わかっているのです。
 霧雨魔理沙は、子供なのです。
 森近霖之助は、霧雨魔理沙の前では大人なのです。
 だったら。
 森近霖之助が子供として泣けるのは。
 おこうの子供として泣けるのは。

 ああ。
 だから

 大人の前であれば、大人は泣けるのだろう。
 大人の前であれば、大人は子供になれるのだろう。

 だから、魔理沙は

「霊夢の所には行かない。私は帰る」
「ええ」

 紫は優しく魔理沙に答えました。
 優しすぎる声を魔理沙はひどく残酷だと感じましたが、何もできず香霖堂を後にします。
 そうです。
 霖之助に魔理沙ができることなど、何も無いのです。
 今の魔理沙には。
 子供である、魔理沙には。
 


 その夜、幻想郷で子供が二人泣きました。


 
 
 
ルーミア「腹減ったーー飯食わせーー」
のくた
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2.100名前が無い程度の能力削除
きれいな話でした。涙を流せてよかった……
3.100物語を読む程度の能力削除
すごく良かったです。半妖という森近の過去を直接は語らずに表しているという工夫、良かったです。
ルーミア、忘れられてないといいね。