Coolier - 新生・東方創想話

幻想の世へと誘われる者達… 読み切り版

2025/02/02 16:37:57
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幻想の世へと誘われる者達… 読み切り版

時空を超えて 〜 Approach to the Labyrinth

僕達の村には、もともと人口が5人ほどだった
そしてある日、皆は別の街へと越す事になった
でも、僕は出発日まで何かが起きると思っていたんだ
何故か、脳裏で繰り返される殺人、惨殺、虐殺
そうして、僕達は村を出た…

歩き始めて早々に、一人の人に出会った
その人はここの管理人と言ったんだ
そして、管理人にどこに行くのかと聞かれたんだ
この森を通って別の街に行くと言うと
突然、その人が仲間を斬殺したんだ
眼の前でぐちゃぐちゃにされる仲間
その人の表情は、笑顔だった
でも、笑顔だけど笑顔じゃない
狂気じみた、まるでそれを娯楽かの如く扱っていたんだ
そして、僕達は逃げた
そこから、迷宮へと迷い込む事になった…
そうして、僕達は一人仲間を失った…
残りの村人は4人

逃げた…
とにかく遠くへ逃げようとした
でも、一人、二人とどんどん仲間がやられ
5人いた人は、とうとう2人だけになった
仲間は怯えていた
今にも泣き出しそうで、膝から崩れだしそうで
たまらなかっただろう
でも、現実はそんな僕達には目もくれず
悲惨な事実と現実を突きつけてきた…

僕と一人の仲間は、森を彷徨った
月夜に照らされし木々の下には
闇夜に支配されし、混沌の夜が広がっていた…
仲間の心拍数はみるみるうちに上がっていくのが目に見えて分かった
呼吸が荒くなっていて、汗も止まってなかった
かくいう僕の心拍数も、上がっていった…
今にも胸が張り裂けそうになりそうだった…
その瞬間、仲間が突然笑い叫びながら走っていった
その表情は奇妙かつ不気味で
まるで何者かに取り憑かれたものの形相をしていた
目はがん開きになっており、口角は限界を超え、瞳はハイライトはなく、狂気じみた笑い声
そして、僕は全てを悟った

僕は彼を捨てた
ああするしかなかった
そして、遠くから
生ぬるい、ぐちゃあという音とともに
助けてぇぇ!
と必死に訴えかけるが、生々しい音と共に弱っていく仲間の声が聞こえた
僕は、必死に涙と恐怖心を抑え込んだ
そして、僕はやっと出口を見つけた…

ようやく、あのおかしな世界から抜け出せた
でも、僕もおかしくなってしまったようだ
日々悪夢にうなされ
脳裏に焼き付いた友人の叫び声
肉を引き裂く音
それらが絶え間なく僕の脳内で再生され続ける
死んだら…
──あの楽園に行けるのだろうか…
プツン

そして、その地獄の世界からは
人間が5人消えた
1人は無事生還し
4人の死体は、未だ見つかっていない…
だが、その世界にとって
それは単なる日常
単なる数値にすぎない
人間の命など捨ててしまえ
そう言ってるかのように
また、一つ
──人々の頭から、彼らの記憶は消えてゆく…

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