「以上により、今後の活動はこれで決まりです。意義はありませんか?」
「意義なし。」
「zzz……。」
どうやら黒駒は難しい話は嫌いらしく、寝てしまったようだ。気持ちは分かる。俺も高校の授業はどうでもよくて寝ていたからな。
「では本題に入ろうか。こいつは寝させた方がいい。話してる最中に何するか分からんからな。」
尤魔は黒駒のカウボーイハットを被せながら目の前のホワイトボードに向かっていた。
「ではまず、こいつをなんと呼ぶかだ。見た感じ名前はないっぽいからな。」
「普通に【手駒】や【手足】でいいじゃないですか。貴方が何故ここまで執着するんですか?」
「相変わらずネーミングセンス皆無だな。執着する理由としては単純に気に入っているからだ。それに名前ぐらいいいじゃないか。」
すると尤魔がこちらをまじまじと見てきて、数分後に顔を上げた。
「苗字はそうだな…『空蝉』(うつせみ)でいいと思う。現代人みたいだからな。後は……、どうしようか。」
「龍陽(たつはる)でよくないか?正直名前なんてどうでもいいけど。」
そう言ったのは寝起きの黒駒だった。何故龍陽かはよくわからないが案外しっくりくる名前だった。
「空蝉龍陽、なるほど。お前にしちゃ上出来だな、黒駒。」
「……やっぱお前、表出ろ。どっちが強いか今日こそ分からせてやる。頸牙組の力、見せてやろう!」
「まっ、暇つぶしぐらいにはなるかな。」
そう言って2人は部屋から退出し、ビルの入り口付近で暴れていた。それをテラスで覗いていたら、龍と亀のハーフの女性が来た。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は吉弔八千慧。鬼傑組の組長です。今後、お見知り置きを。」
八千慧は品のあるお辞儀をしながら自己紹介をした。そして俺と同じくテラスから2人の戦いを見ていた。
「せっかくですから2人のことについても紹介しておきましょう。あの筋肉バカは黒駒早鬼、頸牙組の組長です。組織自体は力に物を言わせる脳筋集団ではありますが、黒駒はただのバカではないので注意を。次にあの白髪が饕餮尤魔、剛欲同盟の長であって無敵の能力を持っています。プライドだけは高いのでそこら辺を傷つけなければうまくやっていけます。」
「無敵の能力?どう言うことだ。」
「それはこれから分かりますよ。」
下を覗くと尤魔が黒駒にボコボコにやられていた。それを見た黒駒は特大の弾を尤魔に飛ばし、尤魔は逃げようとせずに余裕の表情だった。弾は直撃し、尤魔は両腕を失っていた。しかし奇妙な事に瞬きした瞬間、両腕が生えており、腕から岩が生成されていた。右目を大きく開いた俺に対し、八千慧は説明した。
「あれが饕餮の能力、【なんでも吸収する程度の能力】。今饕餮は側の瓦礫を吸収して拳に纏っているのです。簡単に言えばコピーです。あの能力には私たちでも手も足も出ません。」
説明が終わる頃には決着が着き、尤魔が圧勝していた。尤魔はのびた黒駒をテラスから椅子まで運び、ようやく一悶着したようだ。
「さ、話を戻そうか。これからお前にやってもらうのは……ゴミどもの掃除だ。」
最初聞いた時、こいつは何を言っているんだと思い、混乱した。ポカンとしている俺を見て尤魔はホワイトボードに何かを書き始めた。
「これは地図だ。各組織の場所が載ってある。そこにお前が行ってその組織を潰す。簡単な仕事だろ。」
「いや待て、なんで俺が知らない組織を潰さなくちゃならないんだ。せめて理由だけでも聞かせてくれ。」
「私たちは畜生界を牛耳る三大組織です。しかしそれを望まず、妨害してくる組織もいるのです。そこで貴方に潰させて私たちと貴方の安息を手に入れるっと言う事です。」
なるほど。それなら利点がある。静かに平穏な暮らしを求める俺にとってはナイスな案だ。
「わかった。仕方ない。一時的とはいえ他人と争うことになるだろう。お前さんたちのためであり俺自身のためである。そのゴミ掃除、やらせてくれ。」
「決まりだな。目星が付いたらこれで連絡するからぞ。よろしく。」
尤魔から貰ったのは携帯電話でどことなくりんごのマークの会社が作った携帯電話に似ている。通話機能で地図も送られてくるので既読をつけるようにと念押しされた。
話も澄んだ事だし部屋から出ようとすると尤魔と八千慧に止められた。どうやらまだ続きそうだ。
「1つ質問し忘れた。お前弾幕打てるのか?ほら、黒駒がやっていたあれだ。」
「いや、出来ない。」
その言葉に2人は呆れた顔をし、黒駒は大笑いしていた。
「はっはっは!弾幕も打てないのに敵の所に行くなんてのは自殺行為だぞ(笑)!なあ吉弔!」
「よく笑えますね、その弾幕すら打てない人間に負けたのに。」
「まあともかく、要は弾幕を打てるようにすれば良いんだろ。じゃあ簡単なことだ。」
突然尤魔は自分の手を切って、その血を俺の口の中に無理矢理流し込んできた。2人は興ざめしながら見ていたが何がやばいかは分からない。そして血を飲んだ途端、物凄い痛みが走ってきた。
「私の血を飲んだ部下が弾幕の精度が上がったんだ。これでこいつも打てるようになるだろ。」
「し、しかしですよ饕餮、やるならやると一言言ってからやって下さい。不愉快極まりないです。」
「うえ〜、これを見たら食う飯が不味くなるんだよな。」
「別にいいだろ。これは選別だ。こいつが打てるようになるか、はたまた死ぬのか、それはこいつ次第だ。」
「じゃあそんな危険な物飲ませんなよ。」
俺は鋭いツッコミを入れた筈だが3人をびっくりさせ過ぎたようだ。
「おい饕餮、お前あまりにも気に入り過ぎて手加減したのか?」
「いや、むしろ部下の倍ぐらい飲ませたぞ。耐えると思ってかなりやったからな。」
「聞いた話によると3日ぐらい苦しんでようやく起き上がったと聞いてますが、まさか一瞬とは……。」
「と、とにかくどんな弾幕が身についたんだ?見せてくれよ。」
尤魔は興味津々で寄ってきたので早速屋外に移動した。
屋外に出ると急に黒駒が飛び出してきて、リベンジに燃える目で言った。
「さあ、実戦だ!早速私と戦おうじゃないか。最も容赦しないけど!」
そんな理由で黒駒は勝負を仕掛けてきた。絶対9割9分リベンジだろ。目が言っている。尤魔と八千慧は側の石に腰掛け、観戦している。まず体中に電気を流してどんな攻撃が来てもいいようにした。
次に黒駒のように手をかざして弾幕のイメージをした。だが、予想外のことが起きた。黒駒のように弾ではなく銃口が長いライフルが出てき、ビーム状に黒駒に向かっていった。流石の黒駒でもこれは驚いたが、あっさり回避されてしまった。がビームが当たって地面は燃え盛っており、直撃しなくてよかったと思った。すると回避先に黒駒はおらず目の前にいた。
「お前言ったよなあ、敵をよく見ろって、その言葉蹴りでお返ししてやる!」
俺は焦ったが体中に電気を思いっきり流してこの場を回避しようとした。しかし次の瞬間、おかしなことが起きた。黒駒だけでなく、尤魔や八千慧もゆっくりに見えたのだ。これは間違いなく奇妙な冒険に出てくる能力に酷似している。それにちなんでこの現象を
【王の鎮魂歌】(キングレクイエム)と名付けた。
キングレクイエム発動中はゆっくり動いているように見えて、あの素早い足もスローモーションだ。とりあえず背後に回ってビームの準備をした。
「チェックメイト。」
その言葉が言い終える瞬間に全てのライフルが黒駒の背中をめった打ちにした。
「意義なし。」
「zzz……。」
どうやら黒駒は難しい話は嫌いらしく、寝てしまったようだ。気持ちは分かる。俺も高校の授業はどうでもよくて寝ていたからな。
「では本題に入ろうか。こいつは寝させた方がいい。話してる最中に何するか分からんからな。」
尤魔は黒駒のカウボーイハットを被せながら目の前のホワイトボードに向かっていた。
「ではまず、こいつをなんと呼ぶかだ。見た感じ名前はないっぽいからな。」
「普通に【手駒】や【手足】でいいじゃないですか。貴方が何故ここまで執着するんですか?」
「相変わらずネーミングセンス皆無だな。執着する理由としては単純に気に入っているからだ。それに名前ぐらいいいじゃないか。」
すると尤魔がこちらをまじまじと見てきて、数分後に顔を上げた。
「苗字はそうだな…『空蝉』(うつせみ)でいいと思う。現代人みたいだからな。後は……、どうしようか。」
「龍陽(たつはる)でよくないか?正直名前なんてどうでもいいけど。」
そう言ったのは寝起きの黒駒だった。何故龍陽かはよくわからないが案外しっくりくる名前だった。
「空蝉龍陽、なるほど。お前にしちゃ上出来だな、黒駒。」
「……やっぱお前、表出ろ。どっちが強いか今日こそ分からせてやる。頸牙組の力、見せてやろう!」
「まっ、暇つぶしぐらいにはなるかな。」
そう言って2人は部屋から退出し、ビルの入り口付近で暴れていた。それをテラスで覗いていたら、龍と亀のハーフの女性が来た。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は吉弔八千慧。鬼傑組の組長です。今後、お見知り置きを。」
八千慧は品のあるお辞儀をしながら自己紹介をした。そして俺と同じくテラスから2人の戦いを見ていた。
「せっかくですから2人のことについても紹介しておきましょう。あの筋肉バカは黒駒早鬼、頸牙組の組長です。組織自体は力に物を言わせる脳筋集団ではありますが、黒駒はただのバカではないので注意を。次にあの白髪が饕餮尤魔、剛欲同盟の長であって無敵の能力を持っています。プライドだけは高いのでそこら辺を傷つけなければうまくやっていけます。」
「無敵の能力?どう言うことだ。」
「それはこれから分かりますよ。」
下を覗くと尤魔が黒駒にボコボコにやられていた。それを見た黒駒は特大の弾を尤魔に飛ばし、尤魔は逃げようとせずに余裕の表情だった。弾は直撃し、尤魔は両腕を失っていた。しかし奇妙な事に瞬きした瞬間、両腕が生えており、腕から岩が生成されていた。右目を大きく開いた俺に対し、八千慧は説明した。
「あれが饕餮の能力、【なんでも吸収する程度の能力】。今饕餮は側の瓦礫を吸収して拳に纏っているのです。簡単に言えばコピーです。あの能力には私たちでも手も足も出ません。」
説明が終わる頃には決着が着き、尤魔が圧勝していた。尤魔はのびた黒駒をテラスから椅子まで運び、ようやく一悶着したようだ。
「さ、話を戻そうか。これからお前にやってもらうのは……ゴミどもの掃除だ。」
最初聞いた時、こいつは何を言っているんだと思い、混乱した。ポカンとしている俺を見て尤魔はホワイトボードに何かを書き始めた。
「これは地図だ。各組織の場所が載ってある。そこにお前が行ってその組織を潰す。簡単な仕事だろ。」
「いや待て、なんで俺が知らない組織を潰さなくちゃならないんだ。せめて理由だけでも聞かせてくれ。」
「私たちは畜生界を牛耳る三大組織です。しかしそれを望まず、妨害してくる組織もいるのです。そこで貴方に潰させて私たちと貴方の安息を手に入れるっと言う事です。」
なるほど。それなら利点がある。静かに平穏な暮らしを求める俺にとってはナイスな案だ。
「わかった。仕方ない。一時的とはいえ他人と争うことになるだろう。お前さんたちのためであり俺自身のためである。そのゴミ掃除、やらせてくれ。」
「決まりだな。目星が付いたらこれで連絡するからぞ。よろしく。」
尤魔から貰ったのは携帯電話でどことなくりんごのマークの会社が作った携帯電話に似ている。通話機能で地図も送られてくるので既読をつけるようにと念押しされた。
話も澄んだ事だし部屋から出ようとすると尤魔と八千慧に止められた。どうやらまだ続きそうだ。
「1つ質問し忘れた。お前弾幕打てるのか?ほら、黒駒がやっていたあれだ。」
「いや、出来ない。」
その言葉に2人は呆れた顔をし、黒駒は大笑いしていた。
「はっはっは!弾幕も打てないのに敵の所に行くなんてのは自殺行為だぞ(笑)!なあ吉弔!」
「よく笑えますね、その弾幕すら打てない人間に負けたのに。」
「まあともかく、要は弾幕を打てるようにすれば良いんだろ。じゃあ簡単なことだ。」
突然尤魔は自分の手を切って、その血を俺の口の中に無理矢理流し込んできた。2人は興ざめしながら見ていたが何がやばいかは分からない。そして血を飲んだ途端、物凄い痛みが走ってきた。
「私の血を飲んだ部下が弾幕の精度が上がったんだ。これでこいつも打てるようになるだろ。」
「し、しかしですよ饕餮、やるならやると一言言ってからやって下さい。不愉快極まりないです。」
「うえ〜、これを見たら食う飯が不味くなるんだよな。」
「別にいいだろ。これは選別だ。こいつが打てるようになるか、はたまた死ぬのか、それはこいつ次第だ。」
「じゃあそんな危険な物飲ませんなよ。」
俺は鋭いツッコミを入れた筈だが3人をびっくりさせ過ぎたようだ。
「おい饕餮、お前あまりにも気に入り過ぎて手加減したのか?」
「いや、むしろ部下の倍ぐらい飲ませたぞ。耐えると思ってかなりやったからな。」
「聞いた話によると3日ぐらい苦しんでようやく起き上がったと聞いてますが、まさか一瞬とは……。」
「と、とにかくどんな弾幕が身についたんだ?見せてくれよ。」
尤魔は興味津々で寄ってきたので早速屋外に移動した。
屋外に出ると急に黒駒が飛び出してきて、リベンジに燃える目で言った。
「さあ、実戦だ!早速私と戦おうじゃないか。最も容赦しないけど!」
そんな理由で黒駒は勝負を仕掛けてきた。絶対9割9分リベンジだろ。目が言っている。尤魔と八千慧は側の石に腰掛け、観戦している。まず体中に電気を流してどんな攻撃が来てもいいようにした。
次に黒駒のように手をかざして弾幕のイメージをした。だが、予想外のことが起きた。黒駒のように弾ではなく銃口が長いライフルが出てき、ビーム状に黒駒に向かっていった。流石の黒駒でもこれは驚いたが、あっさり回避されてしまった。がビームが当たって地面は燃え盛っており、直撃しなくてよかったと思った。すると回避先に黒駒はおらず目の前にいた。
「お前言ったよなあ、敵をよく見ろって、その言葉蹴りでお返ししてやる!」
俺は焦ったが体中に電気を思いっきり流してこの場を回避しようとした。しかし次の瞬間、おかしなことが起きた。黒駒だけでなく、尤魔や八千慧もゆっくりに見えたのだ。これは間違いなく奇妙な冒険に出てくる能力に酷似している。それにちなんでこの現象を
【王の鎮魂歌】(キングレクイエム)と名付けた。
キングレクイエム発動中はゆっくり動いているように見えて、あの素早い足もスローモーションだ。とりあえず背後に回ってビームの準備をした。
「チェックメイト。」
その言葉が言い終える瞬間に全てのライフルが黒駒の背中をめった打ちにした。