Coolier - 新生・東方創想話

第4話 頸牙の組長

2024/06/08 17:44:59
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 尤魔から貰った地図を辿るとそこにはザ・メトロポリス的な景色が広がっていた。周りには動物霊がおり、光がとても眩しい。しかし、周りには人間は人一人っ子いなかった。そこは寂しいが、景色だけなら東京の夜景も顔負けだろう。並ぶ店には昭和っぽい漫画やゲーム○ーイが販売されていた。是非とも買いたいがあいにく金がない。今は尤魔の所に行くのが目的なので、数分後にはきっぱり忘れた。
 路地裏方面に入ると、そこには狭い通路にごっつい熊と猪の霊がいた。ぶつかってしまうと思ったので避けた、が向こうの方からぶつかって来た。
 「痛ってえわー。これ骨折れたかもなあ。超痛いわー。」
 「てめえ!このお方が誰か知ってんのか!いずれはこの畜生界の頂点に立つ組織の頸g」
 「いや、知らんがな。こっちは避けたのに当たったあんたが悪い。これでこの話は終わり。じゃ。」
 すると熊の方が胸ぐらを掴んで迫って来た。
 「てめえ!人間のくせにその口の聞き方はなんだ!幹部舐めんな!」
強烈な拳がこちらに向かって来るが、余りにも遅い。恐らく狼よりも遅いだろう。これで幹部ならこの世界詰んでいてもおかしくない。俺は拳が到達するまでに、水の刀を生成し腕を切断してやった。さっきの威勢は何処えやらと言わんばかりに地面に転げて泣いていた。
 「お、俺の腕がぁ〜〜〜!!痛え!痛えよお〜〜!」
 「大丈夫ですか!しっかりして下さい!」
 「喚くな。俺の平穏を邪魔したんだ。斬られて当然だと思え。それから猪。こいつ連れてとっとと消えろ。お前の血が減ることになる前にな。」
それから猪は熊を担いで何処かに行ってしまった。とりあえず邪魔者は追い払ったので、再び目指すべき目的地に向かった。
 それからは熊みたいな奴は来なかったので順調に向かえた。そしてようやく目的地の大きなビルに到着した。庭園は広く、銀色のガラスは高級ホテル並みに綺麗だった。入り口のタイルはピカピカで中にはレッドカーペットが敷いてある。そして尤魔が持っていたスプーンが置いてあったのでここで間違いないだろう。
 突然後ろに殺気を感じ、素早く振り向くと、足があった。いや、厳密に言うとキックしている足だ。俺は咄嗟に回避したが風圧で吹っ飛んでしまった。起き上がってみると、俺がいた場所は亀裂が入り凹んでいた。
 「私の不意打ちを避けるとは流石だね。頸牙狩り。」
 煙が晴れるとそこにはカウガールの見た目をした女性がいた。頭にはカウボーイハット、首には白いスカーフ、そして背中には翼が生えており、馬の尻尾はいかにもプリティーダービー感があった。身長は俺の倍ぐらいあり、肌で感じる。こいつは尤魔が言っていた奴だと。
 「いきなり飛び込んでくるとは礼儀知らずだな。それになんだ、頸牙狩りって。ハッキリ言って身に覚えているのは3匹ぐらいだぞ。」
 「正確には5匹だ!それにクマイは腕を斬られてしまったんでね。片腕ぐらいならお前の命で十分だ!」
 そう言うとすぐさまこちらに向かって素早いパンチをしてきた。今度は回避できたが、頬に掠って血がでてきてしまった。その攻撃は敵ながら天晴れだ。直撃したら死んでただろう。
 「いくら速かろうが当たらなかったら意味はないぞ。もっと敵を見ろ。」
 「親切なアドバイスどうも。だが敵を見るのはそっちだぞ。」
その意味に気づき、その場を離れようとしたがもう遅い。パンチは攻撃するためではなく、肩を掴むためにやって来たことを知る。離れようとするが悲しいことにしっかりと掴んでいる。俺は後ろに投げつけられ、宙を舞った。
 「ここまでだ!くらえ!【頸疾技 ブラックペガサス流星弾】!」
次の瞬間上から星のような光る弾が俺の体をめった撃ちにした。防御はしたものの、頭部は守りきれずもろにくらった。その反動で地面に叩きつけられ俺は思った。
 (確かに強い、がこれほどとは。体力も限界、力量ではあいつが圧倒的に上、どうしたもんか。)
 地面の上で寝そべっていると、さっきの弾が飛んできたので力を振り絞り回避した、が回避した先にはまたしても奴がいた。しかもトドメの一撃を準備している。空中では体を捻ることすら出来ない。
 「あれをくらって生き延びた人間はお前が初めてだ。だが今度こそ終わりだ!【鬼畜の所業)!」
 今度は明らかに今までの弾とは違う。広範囲で確実に仕留める気だ。あれにあたればほぼ即死だろう。しかしこちらも無策で回避するほどバカではない。ここである工夫をし奴の弾を避けてやった。
 「バカな!あれを避けれるのは吉弔か饕餮ぐらいなのに!いや、まぐれに決まっている。きっとそうだ。こうゆう時こそ数撃ちゃ当たるさ!」
次々に弾を飛ばして来るが、これを見破らない限り当たることはないだろう。流石に奴は焦り始め遠距離戦法に飽きたか突っ込んできた。
 「こうなったら直接頭かち割ってやる!うおぉぉぉ!」
 「はい、俺の勝ち。」
そう言って真っ直ぐ向かってきた奴の足をこけさせると、そこには無数の弾があり、奴は全弾直撃した。奴は俺の倍ぐらい吹っ飛んで綺麗に着地したがその後が持たなかった。
 「あれは……私の……地面に当たったんじゃ…」
 「残念だったな、トリックだよ。お前さんの打った弾を水で受け止めて敷いていたんだ。寝っ転がっている時に入り口のレッドカーペットがヒントになったんでね。あとはお前さんが近づいたらいいだけのことだ。」
 「それでも…おかしい。なん…で全弾……避けれ……たんだ?」
 「ああ、あれは簡単に言うと陽炎(かげろう)と雷かな。俺は水、炎、雷を操れる程度の能力だからな。陽炎っつうのは炎を通してみる時、遠方の物体がゆらゆらしているように見える現象だ。雷はシンプルに肉体強化で避けてたってこと。体の神経に電気を流して…って聞いてないか。」
それもそのはず。奴は本気で飛ばした弾を自らがくらったんだ。まさに身から出たサビというやつだ。しかしこちらもかなりの深手で出血もしている。早く行かねば。指定された時刻には1時間半の猶予があるが、何分で着くか分からない。更にあの時のように傷の治癒が進んでいない。体力も限界なのだ。
 俺は重い体を引きずってなんとかビルの中に入った。幸い階段ではなくエレベーターだったので、フロアについて右に曲がった所のドアに入った。そこには尤魔の他にもう1人いた。龍と亀のハーフで水色の服、頭には鹿の角、金髪で龍の尻尾は手入れされている様に見え、甲羅部分はどこぞの赤い帽子でMのマークが書かれたおっさんのゲームのラスボスっぽく、全てを見下している目をしていた。
 「饕餮、どういうことですか。30分前なのに黒駒は来ない、来たと思えば血まみれの人間。また貴方が仕組んだんですか。」
 「こいつは私が招待した。こいつはこいつしか出来ない事をやってもらうからな。黒駒は知らん。」
その瞬間、俺は青ざめた。まさかとは思うがさっき倒したのが黒駒だという事を。だがまだ100%の確信はない。念の為聞いておこう。
 「尤魔、その…、黒駒って奴は外で気絶してるやつのk」
 「ああ〜くそ!もうちょっとで倒せたのに!吉弔みたいなやつだったよ。まさかこの黒駒早鬼が人間如きにやられるなんて!」
そう言ってテラスから侵入してきたのは先程倒したはずの黒駒だった。ピンピンしているが服はぼろぼろで筋肉が痙攣している。うん、やばいかも。
 「あっ」
そして互いに顔を合わせて、両者冷や汗が出てきた。すると黒駒がニヤリと笑い、カウボーイハットを投げた。
 「嬉しいね。まさかこんなにも早くチャンスが来るなんて。さあ、第二ラウンドだ!」
 黒駒は飛び掛かろうとしたが2人に抑えられ、ジタバタしていた。
 「お前、こいつに何かしたのか?こいつが因縁持つってことはよっぽどの事したんだろ。」
 「ああ、いきなり殺しにかかってきたんで返り討ちにした。」
頭をポリポリ掻きながら言うと、それを聞いた瞬間、少し間が空いて尤魔は大笑いし、もう片方も手を口に当て笑っている。当の本人は顔を真っ赤にして怒り、今にも飛び掛かろうとしている野犬みたいだった。
 「くくく、とても愉快でしたよ。黒駒。貴方が人間にやられるなんて。(笑)」
 「いや〜流石私の見込んだ人間だ。こんなに笑ったのは黒駒がみかんとレモンを間違えた時ぐらいだったよ。(笑)」
 「饕餮!次その話をしたら人間ごと蹴り飛ばしてやる!」
笑われまくってご立腹状態だ。それだけ触れられたくなかったんだろう。そして龍と亀のハーフの女性は手を叩き、
 「さあ、会議前に愉快な事を聞いたものですし、そろそろ初めましょうか。」
 「そうだ、この会議ではお前を試そうと2人で話していたんだが、どうやら必要なさそうだな。」
 各々席に着き、俺はあらかじめ用意されていたパイプ椅子に座った。
 「ではこれより、組長会議を始めます。」
我ながらかなりの力作です。何度も言いますが優しい言葉でコメントして下さい。
SABAMESI
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