Coolier - 新生・東方創想話

第3話 謎の刺客

2024/06/06 23:51:51
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ここでの生活も慣れてきた。特にする事と言えば、能力の特訓か刀の修行くらいだ。暇になれば崖の下で争っている動物霊を観戦していた。そして極めつけはこの謎のキノコだ。探索している時に見つけたものだが、奇妙なことに食べる度に味が変わるのだ。最初このキノコを食べたら特殊能力でも得られるんじゃないかと胸をふくらませたが、特に変化はなくスーパーな気分にもならなかった。ただ味は気に入っているのでそこにあった木の幹ごと回収した。驚くべきことにこのキノコは勝手に増殖して、半日も経てば1個から2個になっていた。代償としては食欲が無くなったことぐらいで困ることはなかった。俺はこの生活を一生続けていたかもしれない。あいつが来るまでは。
その日は朝から騒がしかった。ドアが激しく叩かれて、快眠から叩き起された。何者かがドアを破り俺の腕に噛みついて来た。ただでさえ治癒できていない傷のところを深深と噛まれたので死ぬほど痛かった。
「お前だな!いっつも高みの見物してた野郎は!」
「気に食わねえぜ!喉仏食いちぎってやろうか!」
「頸牙を舐めるなよ!」
噛まれた勢いで壁を突き破って外に転がってしまい、痩せ我慢気味に立ち上がる。
「動物ってのはノックの仕方を知らないのか?こちとら眠りから起こされ
て不機嫌なんだ。とっとと帰れ、絶滅危惧種。」
「ますます気に入らねぇ!その痩せ我慢ごと食らいつくしてやる!たかが人
間の分際でよぉ!」
そう言ってオオカミどもは飛びかかって来る、があまりにも遅い。スローモーションのビデオを見ているような気分になり、回り込んで奴らの背後を捉えた。とりあえず首トンでもして落ち着かせようと試みたが、予想外のことが起きた。何と体中に電気が走ったかと思った次の瞬間にはオオカミは強く地面に叩きつけられ、地面にはヒビが入った。流石に勝てないと見た残りのオオカミは文字通りしっぽを巻いて逃げていった。
「クソ!覚えていろよ!次会った時はテメエの脳みそぶち撒けてやるから
な!!」
「捨て台詞はいいから組長に報告だ!逃げるぞ!」
「何人足りとも逃がしはせんよ。」
そう言って俺は叩きつけたオオカミを持ち上げて奴らに投げつけてやった。見事命中し、計3匹のオオカミは伸びてしまった。これにて一件落着………とはならなかった。噛まれた右腕に目をやると噛まれた跡は無く、体中にある無数の切り傷以外は完治していた。そういえばこの切り傷はこんな風だったなと自分の中で思った。
自暴自棄で己を切り刻んだ感触は今でも覚えている。劣等感、不安、恨み、絶望、様々な感情の中で包丁で切りつけた。最後に左目を深深と切った所で意識が遠のき始め、もうすぐ死ぬと確信する。俺の居場所はない。それは未来永劫変わることは無いだろう。
突然バサバサと音がし、古い記憶にいた俺を引きづり出した。見た感じ鳥のようだが、これは非常に不味い。敵かどうかも分からない連中に見つかってしまった。すぐにここから離れようとしたがもう遅い。そこには1人の少女が立っていた。
「ここに人間がいると聞いてきたんだが、なるほど。かなり使えそうな
奴だな。」
「なんだお前さんは。見世物じゃあないんだから。」
口ではこういってるものの内心ではかなりビビっている。直感で分かったが今の俺より強い。見た目は子供なのに明らかに格の違いを見せつけられた気分だ。水色の服に赤いツノ、片手には大きなスプーンを持っており、その覇気は絶大だ。
「まあまあ落ち着け。殺しに来たんじゃない。むしろ勧誘しに来たん
だ。その前にどんな奴か見ていただけさ。」
そう言ってその場にあった石に彼女は腰掛けた。彼女が腰掛けると同時に俺も腰掛けた。
「私は剛欲同盟の長、饕餮尤魔。畜生界に生きる三大勢力の1つだ。お
前を見て興味が湧いた。あの一撃、確実に仕留める威力だろ?実に見
事だよ。人間があの威力をだすとは。それを見込んで、だ。お前、
ウチに来ないか。お前にしか出来ないことがある。是非来て欲しい
んだが。」
最初、新手の宗教勧誘か何かと感じた。だが、尤魔の顔は敵意が感じられないので恐らく本気だろう。
「いや、やめておこう。会って数秒の相手に仲間になれは無理だ。そ
んな事RPGゲームでもないぞ。それに俺は静かに平穏に暮らしたい
んでね。それにこちらになんのメリットがないからな。」
「メリットならある。しかも静かに平穏に暮らすことにも繋がる
ぞ。」
俺は覚えている。こいつらは映姫が言っていた奴らだ。いかに敵意がなくても本当に攻撃して来ないとは限らない。だがこんな酷い時こそ【チャンス】が訪れる。今は観察だ。
「お前が倒していたオオカミどもは頸牙組の連中だ。奴らの組長は筋
肉バカだからな。真っ先にお前を殺しにくるだろう。あいつは私よ
り強くは無いが私と同じ、三大勢力の1つだ。今のお前では勝て
ん。そこで私が間に入って仲裁する。お前は仲間に入っても特に指
示するようなことはしない。どうだ?」
俺は青ざめた。畜生界はこんなにヤバい連中がゴロゴロいるのかと。流石に入った方がいいと考えた。
「分かった。お前さんにつこう。しかし一時的だからな。他人と争
うことは虚しくなるんでね。」
「クックック、一時的でも結構。じゃあ指定された時間にここにき
な。いいもの見せてやるよ。」
尤魔が渡したのは地図だった。そこには路地やビルが載っている。顔を上げた時には尤魔はもういなかった。「メリットならある。しかも静かに平穏に暮らすことにも繋がるぞ。」頭の中でこの言葉が響く。
「ふん。まあいいさ。誰だろうと俺の永遠の幸せを脅かすものは許さ
ない。が、戦いを避けれるのはでかい。なってやろうじゃないか。
畜生に!」
改善点あればコメントして下さい。(あんまり強い言葉はやめてください)
よろしくお願いします┏○ペコッ
SABAMESI
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コメント



0.簡易評価なし
1.90名前が無い程度の能力削除
最後覚悟決めた感じ良かったです
2.100南条削除
面白かったです
饕餮も出てきて物語が動き題したような気がします
この後どうなるのか気になりました