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幻想夏色日和 ~真夏の大運動会(後編)~

2023/08/13 17:04:38
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 ――前回のあらすじ――

 幻想郷で開かれた大運動会。優勝者には賞金が出ると聞いて、霊夢と魔理沙はチームを組み、出場することにした。そして今、種目も一つでもある弾幕騎馬戦にて、最悪な展開を迎えていた。

◇◇◇

 射命丸「おっと、これは……結界の中が闇に覆われ何も見えなくなってしまいました! これはいったい、どういうことでしょうか解説のにとりさん」
 にとり「これはルーミアによる能力だね。彼女は闇を操れるからね……しかもただの闇じゃないから、光や明かりを無効化するんだよ。これは厄介だね」
 射命丸「だそうですっ!」

 闇の中、仲間の位置が把握でいない霊夢たち。

 魔理沙「クソッ、まんまとしてやられたぜ」
 アリス「これじゃあの時と一緒じゃない!」
 霊夢 「まずいわね……だけど、相手も同じで何も見えないはずよ」
 魔理沙「じゃあどうやって決着をつけるんだ?」
 霊夢 「向こうが何を考えているかは分からないけど……能力を解除しない限りこれは――」

 相手を甘く見ていた魔理沙。注意をしていたが、相手の策にやられてしまう霊夢とアリス。
 果たして、決着は着くのか? この戦いの勝者は、どちらに決まるのか。

 霊夢 「運試しをするしか、方法は無いわね!」
 魔理沙「正気かよっ! そんな適当な作戦で上手く行くわけないだろ!」
 アリス「魔理沙っ! 私は霊夢の作戦に乗るから」
 魔理沙「おいおい、アリスもどうしちまったんだよ! これじゃまるで二人が普段の私みたいじゃないか!」
 アリス「……で、その運試しって言うのは?」
 霊夢 「それは……私の言う通りに行動をする事よ!」
 魔理沙「おい霊夢……流石の私でも、呆れて寒気がしてくるぜ……」

◇◇◇

 射命丸「そろそろ五分が経過しますが、状況は一向に変わる気配がありません」
 にとり「何も見えないとなると、こちらとしては解説の仕様がないね」
 射命丸「どうします? いっそのこと二組とも脱落にしちゃいます?」

 審議が行われる中、状況は突然として動き出す。

 射命丸「――ん? うおおっと、闇が消えて行きます!闇が!」
 にとり「つまりこれは、決着が着いたってことだね?」
 射命丸「さあ、勝者はどっちだぁぁぁ!」

 闇が徐々に消え、うっすらと形が見え始めた。次第にそれは、確信へと変わる。

 射命丸「なんとぉ! 勝者は博麗組! 忌々しい博麗霊夢です!」
 霊夢 「そこのカラス! 聞こえてるわよ! あんた、おかしな異名付けたらシバきに行くから覚えてなさいよ!」
 射命丸「冗談ですよー」

 マイク越しでは笑う射命丸だが、音声が入らない様に顔を逸らし「あー怖い怖い」と呟いた。

 にとり「しかし、どうやってあの状況から起死回生を?」
 霊夢 「まずは、相手の出方から説明してあげるわ」

 ★博麗霊夢のよくわかる戦術攻略★

 霊夢 「まず、相手がどうやって敵に攻撃を仕掛けるのか。流石に、向こうから攻撃を待つ……とは考えにくい。視界を奪われた状態で闇雲に攻撃をしたところで、見方に攻撃をしてしまう恐れがある。しかしそれは、自分たちも例外ではない。それを避けるためにも、敵だと認識できる目印が必要になる。だけど、ルーミアの能力は完全に光や明かりを遮断する。つまりそれ以外の類で目印を必要とする」
 魔理沙「そこでチルノの出番ってわけだぜ!」
 霊夢 「ちょっと魔理沙! 割り込まないでよ!」
 魔理沙「細かいことは気にするなってー。チルノはルーミアの能力発動と同時に、氷の結晶を私たちの近く目印として置いたんだ。だから私は寒気を感じた」
 霊夢 「相手は冷気の感じ具合で、私たちの居場所を把握しようとしていたってこと。まあ、その場を離れた意味のない諸刃の剣だけど」

 アリス「って、大妖精が話してくれたわ」
 射命丸「そうでしたか……それで、肝心な打開策は?」
 アリス「簡単よ。魔理沙の八卦炉の出力を最大にして、一直線に放出。相手はひたすらゆっくりと前進、おまけにルーミアの能力で魔理沙の放つ八卦炉の光も見えないから回避不可」
 射命丸「なるほど! 霊夢さん、自身気に話してましたけど自分は何もしてないじゃないですかー」

 霊夢 「射命丸。あんたこの後、暇よね?」
 射命丸「いえ、まだ他の競技があるので、その実況が――」
 霊夢 「暇、よね?」
 射命丸「……あー! 私としたことがぁ! 急用を思い出しました。なので、にとりさん」
 にとり「ん?」
 射命丸「後は任せましたよっ!」

 一目散にその場から逃走する射命丸。逃足は一流だ。

 にとり「えっあ、ちょっと……あー、えっと……ここで一時休憩です!」

 空き時間が出来ると、出場者も含め、一斉に屋台へと出向く。もはや運動会と言うより、お祭り状態である。競技中は敵同士だったが、この時間だけはいつもと変わらない関係に戻る。と言うか、本来は共存しあることが難しい種族。この関係性もいつかは元に戻ってしまうのだろうか。

 魔理沙「おい霊夢! それは私のものだぞ!」
 霊夢 「いいじゃない少しくらい」
 アリス「あなた達、本当に仲良しよね」

 その後、実況が不在のまま、代わりの進行役で運動会は続行された。
 熱気が高まる中、運動会も終盤に差し掛かり、各組の現在の点数が表示される。
 紅魔組670点、博麗組630点、地霊組580点、蓬莱組610点、白玉楼組630点、妖精組440点――現在トップは紅魔組。

 霊夢 「あと50点……ギリギリってとこかしら」
 菜香 「やはり強いですね」
 魔理沙「つぎぃがぁ…最後の……ふもぐだろ? へんほふでひこうへ!」
 アリス「魔理沙、食べるか喋るかどっちかにしなさいよ。口元がベトベトだし」

 そしてついに、最後の種目が発表された。それは――各組員の個人による総当たり戦形式のポイントマッチ……名付けて、点数争奪戦(バトルロイヤル)だぁぁぁ!
 ルールは簡単! 各組の現在の点数を、組員全員に平等に振り分けられる。次にランダムで対戦相手が決まり、弾幕バトル。勝者が対戦相手の点数分を獲得。敗者は脱落だよ。最後に残った組が他の組の点数を総なめして、完全優勝ってわけ。まさに勝者に相応しい勝ち方だね!

 魔理沙「なあ、霊夢。人数が多い方が有利なんじゃないか?」
 菜香 「どうしてですか?」
 魔理沙「点数が平等に分けられるってことは、数が多いほど、一人に対する点数の負担が減るだろ? 連戦になるわけだし数が多い分、待機時間で体力の回復も出来る。私たちは四人しかいないから、一人160点くらいだな」
 菜香 「わ、わたし……そんな責任を背負えるでしょうか……」
 霊夢 「大丈夫よ。仮に負けたとしても、私が総なめして取り戻してやるわよ」

 ついに幻想郷大運動会も最後の種目に入り、歴代勝者が決まる――!! 果たして、優勝は誰の手に!?
 
前編の投稿から、一年以上が過ぎ、やっと後編が公開されました。
長らくお待たせしてしまい、申し訳ございません。この先も不定期ではありますが、更新は続けて参ります。皆様のコメントがモチベーションに繋がり、頑張る次第でございます。構成を少し変えました。度々変わる可能性があります。
柚木 明日夏
https://twitter.com/Yuzuki_Asuka_S
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