Coolier - 新生・東方創想話

銀翼の少女

2023/02/04 00:20:26
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雲の無い快晴の幻想郷では、今日も異変のない日々が続いていた。博麗神社の縁側でお茶を飲んでいる巫女の少女と1人の仙人の女性がいた。

「お師匠様。聞きたいことがあります!」

「どうしたのよ。」

「お師匠様がしている羽のペンダントのことで…」

仙人は羽の結晶を大事そうに触れながら、巫女に語りかける。

「この羽はね。私の友達から貰った形見なのよ…」

「形見…」

仙人は巫女の少女の頭を撫でながら、昔の記憶を思い出す。

「休憩時間だし、話してあげよっか?」

「いいんですか!」

「…いいわよ。これは、数百年前の幻想郷にいた博麗の巫女と妖怪の少女の物語。」



















寒き冬の幻想郷では、雪が降り続き白き世界が広がっている。楽園の巫女、博麗霊夢は、人里からの帰りを急いでいた。

「寒いのは苦手だわ。帰ったら、炬燵に入らないと…」

霊夢の住まいである博麗神社に到着すると、境内に血塗れで倒れている銀髪の白のワンピース、銀翼の少女を発見した。

「大変だわ!手当てしないと…」

少女を抱きかかれて、中に入れると、救急箱を持ってくると、応急処置をする。

(……永琳から教わって、正解だったわ。だけど、明日は永遠亭に行かないとダメね。)

応急処置を終えると、少女を冷やさないように、ストーブで、部屋全体を暖める。

(布団も持ってこなきゃ…)

少女を寝かせると、台所に行き、遅い夕食の準備を始める。

(鍋にしますか。寒い時期だし…)

霊夢が準備をしている最中に、少女が目を覚ました。

「どこ………?」

少女は部屋内を見渡していると、霊夢が部屋に戻ってきた。

「誰………?」

「目が覚めたのね。」

少女の銀の瞳が霊夢を見て、怯えている。霊夢は近づくのをやめて、話し掛ける。

「私の名前は、博麗霊夢。貴女は怪我をしていたの。覚えてない?」

「霊夢……私を…助けた…?」

途切れ途切れであるが、霊夢に話し掛けている。

「そうよ。応急措置をしたわ。痛くない?」

「大丈夫…ありがとう…霊夢…」

「これから、夕食なんだけど…食べない?鍋にしたんだけど…」

「いいの?」

霊夢は頷くと、少女は少しずつだが、霊夢に近づいて触れようとしている。

「大丈夫。」

「手……繋いで…いい…?」

不安な表情をしながら、霊夢に聞いてみると、少女の手を優しく握る。

「手が冷たいわね。貴女の名前は?」

「私……シオン…よろしく…」

すると、シオンのお腹がなり、霊夢は一瞬クスリと笑いかけた。

「霊夢……笑う……ダメ!」

「ごめんなさい。一緒に食べましょう。」

霊夢とシオンは遅めの夕食にする。立ち上がり、鍋を持ってくるため、台所に行こうとした。すると、シオンに異変が起きた。

「……痛い…頭が…」

シオンは猛烈な酷い頭痛を引き起こした。霊夢は急いで、救急箱から薬を取り出した。

「シオン!薬を持ってきたわ。飲める?」

「痛い…」

酷い痛みに襲われてるシオンは、薬を飲める状態ではなかった。

「仕方ない…」

霊夢は薬を口に入れると、シオンの顔を上げて、口移しで、薬を飲ませる。

「ん……んむ!?霊夢…」

薬を飲み込んだのを確認すると、シオンから離れた。



「ごめんなさい。」

「いいよ…ありがとう…ご飯…一緒…」

シオンは霊夢に笑みを浮かべながら、抱き締めてくると、されるがまま好きにさせた。

「シオン、頭痛は大丈夫?」

「大丈夫…だよ…」

気を取り直して、夕食を食べるのだった。










翌朝、シオンは霊夢に連れられて、永遠亭に向かっていた。昨夜は、応急処置をしたが、念のために検査を受けるためである。

「霊夢…着いた?」

「あの屋敷が、永遠亭。行くわよ。」

霊夢が戸をノックすると、薬師である八意永琳が出てきた。

「霊夢…どうしたの?」

「この子の治療をお願い。」

永琳は霊夢の隣にいたシオンに近づきながら、観察する。シオンの肩には、僅ながら傷があった。

「応急処置は適切のようね。私に任せなさい。」

「霊夢……?」

「シオン、私もいるから安心して。」

「……わかった。」

霊夢はシオンを永琳に任せると、永遠亭に入っていく。











永遠亭でシオンが治療を受けている頃。マヨイガの方では、冬眠しているはずの八雲紫が起きていて、無数の隙間を開き、幻想郷を覗いていた。

「紫様…」

「あの子が目覚めたようね。」

「ですが、500年に1度ではなかったのですか!?」

「………異変が起きるのかも…藍。監視を続けなさい。」


「畏まりました…紫様。」











治療を終えたシオンは、霊夢が戻ってくるまで、待合室で子供達と会話しながら待っていた。

「お姉ちゃん。本読んで!」

「私も!」

「…読むから…落ち着いて…」

子供達が集まってきて、慌てているシオン。すると、少年が頭を押さえながら、しゃがみこんでしまった。

「頭が痛いよ…」

「大丈夫…!?」

「何があったの?」

鈴仙優曇華院イナバがタオルを持ってやってきた。

「大変、急いで鎮痛剤持ってこないと。」

「待って…私が…治す…」

「貴女は何を言ってるのよ!?」

シオンは1枚の銀の羽を取り出すと、少年の頭の上に翳す。徐々に、銀の羽が黒く染まり始めた。

「な!?銀の羽が…」

「……これで…治った…」

「あれ?痛くない…」

少年の頭痛が治ったようだ。黒くなった羽を浮かしながら、眺めているシオン。

「その羽は?」

「病…私が…取り込む…」

黒くなった羽をシオンは、体内に入れと、急に苦しみだした。

「な!?」

「大丈夫…だから…」

暫くすると、苦しみが治まった。だが、少し疲れたようで椅子に座っている。

「シオン、大丈夫!?」 

「霊夢…うん…大丈夫…」

笑みを浮かべ霊夢を安心させる。すると、永琳が来て霊夢に薬の入った小瓶を渡した。

「寝る前に必ず塗ること。」

「わかったわ。」

霊夢とシオンは帰っていった。

「あの妖怪…持つ力は…気になるわね。」
















シオンが博麗神社に保護されて1週間。霊夢との暮らしが慣れ始め、充実していた。

「朝食できたわよ。」

「う…眠いよ…」

眠っていたシオンは、霊夢に起こされた。

「霊夢…寝かせて…」

「ご飯が冷めちゃうわよ。」

「起きる…」

目を擦りながら、ゆっくりと起き上がらせる。

「霊夢…おは…」

「ご飯食べるわよ。」

卓袱台には、玄米、胡瓜の漬物、油揚げの味噌汁の3品。

「おいしい…」

「本当?」

「嘘……苦手……」

ゆっくり食べるシオンを見て、霊夢は笑みを浮かべる。

「後で雪掻き手伝って。」

「わかった…」

ゆっくり、のんびりとご飯を食べ終えると、お茶を飲んだ。

「ごちそう…さまー…」

「片付けとくから、雪掻きの準備しといてね。」

「わかった……」

シオンは倉庫からスコップを取りに向かう。すると、境内に人の気配がしたため、スコップを持って境内に行く。

「シオン!遊びに来たぜ!」

普通の魔法使い、霧雨魔理沙が茸が入った篭を持ってきたようだ。

「魔理沙…毒茸…ダメ…」

「ちゃんと食べられる茸だぜ!?」

シオンが魔理沙を睨むように見つめる。次第に、魔理沙が落ち込んでしまった。

「ちゃんと…仕分け…してね…」

「………わかったぜ。」

霊夢が境内に出て来ると、シオンはスコップを渡して、雪掻きを始める。

「魔理沙は鳥居にある氷柱を処理して。後で、羊羹出してあげるから。」

「本当か!?」

「やるならね。」

「やって来るぜ!」

「寒い…」

シオンは霊夢に抱き締められている。

「どう?」

「暖かい…」

眠そうなのか、目を擦っている。霊夢に頭を撫でられて、寝かけている。

「シーオーン。起きなさい。」

「眠いよ……」

「雪掻きしたら羊羹出してあげるわよ。」

「今すぐ…やる…」

眠そうだったシオンが、急に目を覚ました。狸寝入りをしていたようだ。

「…さて、ちゃっちゃとやるわよ。」




雪掻きを終え、霊夢から羊羹が出された。シオンは小さく羊羹を切り、口に入れる。

「甘い…!」

「やっぱり、羊羹はうまいぜ!」

「紫が取り寄せた結構高い羊羹よ。」

羊羹を食べながら、雪の降り続く境内を眺めている霊夢。

「今思ったんだけどな。シオンは何の妖怪なんだ?」

「私はどんな妖怪でも、異変を起こさなければ、良いわよ。」

「霊夢…私…迷惑?」

シオンが落ち込みそうな表情で、霊夢を見ている。

「迷惑じゃないわよ。異変が起きずに、平和にお茶が飲めたらそれでいいわ。」

「…………」

黙々と、羊羹を食べ終えたシオンは、皿を台所に持っていく。

「さて…この寒い日は、布団で寝るのが一番よね。」

「また、寝る気かよ!?」

「今日は依頼も予定もないもの。」

「おー…寝る…サイコー!」

シオンは布団を準備しようとしている。その行動に魔理沙が止めさせる。

「まだ寝足りないのか!?」

「後…100年…寝たい…」

「それは…勘弁してほしいわね。私と魔理沙は人間。無理があるわ。」

「なら…50年…」

「人間は50年も寝れないぜ!」

魔理沙の発言にシオンは、目を見開いたまま霊夢を見る。苦笑している霊夢は、シオンの頭を撫でる。

「そうよ。50年は無理ね。」

「そう…寝たい…」

「仮眠しますか。」

「私も眠くなってきたぜ。」

霊夢、シオン、魔理沙の3人は夜まで眠った。










霊夢、シオンは紅魔館当主、レミリア・スカーレットに招かれた。理由は、シオンとの交流を深めることである。

「さて、シオン。紅魔館にようこそ。我、おもてなしを楽しんでくれ……てか、霊夢!?」

「どうしたのよ。レミリア?」

「……寝てるんだけど。」

霊夢におんぶされているシオンは、気持ち良さそうに寝ていたのだ。

「シオンは1日12時間は寝て過ごすのよ。」

「12時間!?寝すぎよね!」

レミリアはおんぶされているシオンを見て、少し嫉妬している。その表情を見て、霊夢はレミリアの手を引っ張って抱き締めた。

「な!霊夢!?」

「心配しなくても、レミリアも甘えたって、構わないわ。異変さえ、起こさなければ…だから、暫く動かないでよ。」

霊夢の言葉に、レミリアは大人しく抱き締められる。

「大人しくなったわね?」

「………ダメかしら?」

シオンが目を覚まして、背中から降りた。

「霊夢…おは…」

「シオン、よく眠れた?」

「寝れた…エヘヘ…何処?」

「紅魔館。目の前にいるのは、レミリア・スカーレット。種族は吸血鬼…」

シオンはレミリアに近づくと、笑みを浮かべて挨拶する。

「シオン…よろ…」

「レミリア・スカーレットよ。よろしく。咲夜、お茶会の準備をしなさい。」

レミリアの隣に、メイド長十六夜咲夜が出現。同時に、ティーセットと皿に盛られたクッキーが出現した。

「うわぁ…!」

「今はお茶会を楽しむわよ。」

シオンがお菓子を1つ食べると、目を輝かせた。

「甘い…おいしい…!」

「咲夜が作ったもの。本当おいしいわ。」

「ありがとうございます。お嬢様、シオン様。」

「シオン…様…?」

シオンが何か考えている。レミリアは聞いてみることにした。

「何を考えている?」

「シオン…様…?霊夢…様なし?」

理解したのか、レミリアと霊夢は苦笑している。

「様付けは苦手なのよ。堅苦しくてね…」

「そう…」

黙々とお菓子を食べると、眠くなったようだ。霊夢がシオンを抱き締めて寝かせる。

「そろそろ、お開きだな。また、遊びに来い。お茶は出すよ。」

「わかったわ。」



















この時、誰も気づかなかった。幻想郷を破滅させる程の異変が迫っていることに。
















人間達が住む集落、人里では、原因不明の病が発生していた。そのため、人里に住む人間達は、不必要に外出を控えていた。

「旦那、蓄えは大丈夫か?」

「なんとかな…ケホ、早く帰って安心させなきゃならん。」

「診療所に永遠亭の薬師が来たようだぞ!」

「これで…助かるな。んじゃ…帰るわ。」

「謎の病の拡大は怖いからな。気をつけんと…」

この会話を聞いていた者は、姿を消した。






「はぁ…あれから、客が来なくなったな。」

貸本屋、鈴奈庵の店番を任されている少女、本居小鈴は何時ものように、本の確認をしていた。

「この時期だと、経営に響くな…」

確認を終えた小鈴は、本を片付ける。

「入っても…大丈夫?」

「いらっしゃい。君は、大丈夫そうだね。」

店に入ってきたのは、寺子屋に通っている子狐の少年だ。ノートの交換に来たようだ。

「寺子屋も休みなの?」

「感染拡大を防ぐために、寺子屋も休みになっちゃった。」

子狐は小鈴に出されたお茶を飲みながら、寺子屋の状況を教える。

「これが続くと、どうなっちゃうんだろう…」

「外出する人が少なくなったよ。」

小鈴が溜め息をする。

「そろそろ、閉めようかな。今日はお客も来そうにないし…」

「だったら……!?」

子狐は外に出て、体を震えながら、空を見る。

「気のせい?でも…」

「どうしたの?」

「なんでもないよ。小鈴姉ちゃん。」


子狐は室内に戻る。だが、子狐の感じた気配は、勘違いではなかった。人里を上空から見ていた者は、暫くして姿を現したが、銀の羽を落としていった。


その直後、人里内上空に謎の黒い球体が出現した。























博麗神社に来ていた東風谷早苗は、人里の現状を霊夢に話している。

「なんとかなりませんか?」

「あのね…人里で発生したのは原因不明の病気よね。私に言われても、困るわよ。」

「妖怪が異変を起こした可能性は、考えないんですか?」

煎餅を食べながら、霊夢に訴える早苗。

「人間が存在していることで、妖怪の存在が維持できる。人里に悪影響を及ぼす異変を起こすメリットは妖怪にないわ。寒いのが続いたから、風邪が長引いてるだけよ。」

「そう言えば、最近…シオンさんを見掛けませんね?」

「シオンなら、散歩に出掛けてるわよ。毎回、疲れたのか、すぐに寝てるみたいだけど…」

お茶を飲んで、待ったりしていると、魔理沙が走って境内に駆け込んできた。

「霊夢!シオンが大変だぜ!」

「どういうこと!?」

霊夢が神社から出てくると、魔理沙は背負っていたシオンを霊夢に見せる。

「……な!?」

シオンは傷だらけ酷い状態だった。更には、銀の翼の一部の羽が黒く染まっていた。

「シオンを永遠亭に連れていかないと…」

「その必要は…ないわ。霊夢…」

隙間から妖怪賢者、八雲紫が姿を現した。だが、今の季節は冬。本来なら、冬眠をしている最中である。

「紫…どうして!?」

「シオンの事で、話があるわ。」

紫は冬眠をしていないのが原因か、若干疲労している。

「紫…今は休んでなさい。話なら、後でも…」

「話を聞きなさい博麗霊夢。」

紫の殺気に気を失う寸前で、咄嗟に霊力の結界で意識をはっきりさせる霊夢。

「霊夢が保護したシオンは、病神と呼ばれる妖怪よ。」

「病神…シオンは…」

「病神シオンは存在する者の病を取り込むが出来る妖怪。幻想郷に仇をなす存在ではないわ。」

「よかった…」

「それと、人里の状態を報告するわ。今、人里内に謎の黒の球体が現れたわ。このまま放置すれば、人里が滅びるわ。」

紫の言葉に、霊夢の表情が険しくなる。魔理沙は紫に方法はないのか、問い質す。

「人里内に出現した黒の球体を破壊すれば、異変は解決するはずよ。」

「でも…どうやって。」

「私が…やるよ…」

シオンが目を覚ましたが、応急処置がされたばかりだ。安静にしていなければならない。

「シオン、動かないで!安静にしてないと…」

「霊夢…私が…く…」

痛みが走ったのか、シオンは立ち上がれそうにない。

「紫、今すぐ異変解決にいくわ。早苗はシオンを見張ってて。」

「わかりました。」

「霊夢、私もいくぜ!」

「久し振りに、私も動こうかしら。」

「皆…私も…」

霊夢がシオンを抱き抱えて、大人しくさせる。

「ちゃんと、戻ってくるわ。」

「わかった…でも…」

シオンは1枚の銀の羽を霊夢に渡した。

「お守り…だよ…」

「ありがとう。行ってくるわ。」

「霊夢、魔理沙は私の隙間で、人里まで送るわ。レミリア達は先に向かってるわ。」

霊夢、魔理沙の2人は、人里に向かった。

「シオンさん、霊夢さん達が戻ってくるまで、大人しく……シオンさん!?」

傷だらけの状態にも関わらず、立ち上がって歩こうとする。それを早苗が必死に止める。

「早苗…邪魔しないで…」

「シオンは怪我人なんですよ!」

「邪魔するなら……容赦しない…」

シオンは銀の羽を操り、早苗の真横に発射する。

「どこを狙ってるんですか!」

「これで…いい…」

早苗は銀の羽で、手足を拘束された。

「私が…消えたら…拘束…消える…」

「待ってください!?」

「さよなら…」

シオンは銀の輝きを放ち、姿を消した。




















人里では、レミリア、咲夜の2人が既に戦闘を開始していた。人里内に組み込まれた緊急用の結界が発生して、住人達は家から出なければ安全である。因に、この結界を構築したのは、歴代から続く博麗の巫女達である。




「面倒ね…【スピア・ザ・グングニル】」


「お嬢様に、手を出したら殺す。【殺人ドール】」




2人がスペルカードを発動した。それぞれの弾幕が黒の球体の一部を破壊するが、再生を始めた。

「な!?再生するの…」

「手強いわね。」



黒の球体が周囲に弾幕を発射した。咲夜は素早く時を止めて、レミリアを抱えて、黒い球体の射程距離外まで避難する。

「危なかったわ。」

「近づかないと、あの球体は破壊できない。」

「援軍に来たぜ!」

「待たせたわね。」

人里内に隙間が出現して、紫、霊夢、魔理沙が姿を現した。

「霊夢!あの球体は再生能力を持ってるわ。」

レミリアが霊夢に黒い球体の能力を教えた。

「再生能力…一気に叩くわ!夢想封印!」

「マスタースパーク!」

「私は隙間で、援護するわ。」

黒の球体の周囲に隙間を出現させ、弾幕の雨を降らせ、霊夢、魔理沙の弾幕を
集中的に、浴びせるが再生した。

「倒せない…」

「そんな!?」

「このままじゃあ…」

「私が…やるよ…」

黒の球体の中心に、大量の銀の羽が突き刺さった。

「あの羽は…」

「私…だよ…」

上空から銀の羽が落ちてきたのだ。そして、霊夢達の前に現れたのはシオンだ。

「シオン…何で…」

「あれは…病…塊…倒せるのは…私だけ…」

黒の球体に突き刺さった銀の羽が黒く染まって、シオンが苦しみ出した。

「シオン…!?」

「早く…倒して…」

シオンの苦しみが増していく。

「……わかったわ。」

霊夢は札を取り出して、黒の球体に押し付けると、札が黒の球体に巻き付いて、そのまま消滅した。

「倒した…」

シオンは安心すると、力が抜けて、倒れてしまった。

「シオン、大丈夫!?」

「力…入らないや…眠い…」

シオンが消え始めている。霊夢はシオンを抱き抱えて、必死に叫ぶ。

「楽しかった…ありがとう…」

「そんな…」

シオンは数枚の銀の羽を霊夢に渡した。

「霊夢…私が…消えたら…埋めて…時が…来たら…わかるよ…」

「わかったわ。」

シオンの頼み事を聞き入れると、笑みを浮かべた。

「ありがとう…さよなら…」

シオンの体は薄くなり消滅した。残されたのは、銀の羽だった。














仙人が物語を終えると、巫女の少女は泣きながら、仙人を見ている。

「何で…泣いてるのよ!?」

「だって…お師匠様の友達…」

仙人は苦笑しながら、巫女の少女を抱き締める。

「実はなんだけど…この物語には、続きがあるのよ。」

「続き?」

「そうよ。タイミングがいいわね。」

仙人が神社の屋根を見ると、銀翼に、銀の瞳を持つ少女がいたのだった。






おわり






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コメント



0.簡易評価なし
1.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです
2.90名前が無い程度の能力削除
良かったです。
3.10名前が無い程度の能力削除
私がこれ書いたら炎上するだろうなというのが一つと、
そこから導いた一般論として「全能者はババ」というものがあって、ポーカーでババを5枚揃えてフルハウスというのは評価されないのです
なぜ他の住民がババを使わないかといえば、その場にはババの女王がいて恐怖により統治されているからなんですが、ババの帝王に挑む権利はあるのかもしれない・・・