「うう……痛い…… ここはどこ?」
セーラー服を着た少女が砂利の上で目を覚ました。
いわゆる外の世界出身で、不慮の事故で幻想入りしてしまった彼女が身体を起こす。左を見ると草原が広がっていて、右を見ると砂利の壁がそびえ立っていた。
「そういえば私、さっきトラックに轢かれて…… これってもしかして異世界転生?」
現在地を掴めない中、少女は鞄を持って立ち上がると、近くに看板が立っていることに気づいた。寄ってみてみると、看板には「博麗神社 この山の山頂」と書いてあり、彼女は砂利の壁が山の一部であることに気づいた。
「博い……麗しい……?」
少女は訝しみながら看板に描かれた矢印の方角を見ると、階段もなければ舗装もされていない急坂が待ち構えていた。
(どちらかと言えば雑で険しい神社ね)
彼女は心の中で呟く。しかし異世界転生と神社は相性が良さそうだと、彼女は砂利の坂道に足を踏み入れた。
登り初めてすぐのヘアピンカーブに差し掛かると、それまで地上を照らしていた太陽は樹木の葉に隠され、地面も落ち葉の量が歩くほどにだんだんと増えていく。
「これは妖怪が出そうな山ね……」
「誰が妖怪だって?」
樹木のトンネルを十数メートルほど歩いたところで後ろから声をかけられ、セーラー服の少女が振り向く。幻想入り直後の彼女が妖怪の名前を知る由も無いが、そこにはルーミアが手を横に広げて立っていた。あまりに急な出来事から、セーラー服の少女は「きゃっ?!」と声を上げて尻餅をついた。
「あなたは食べても良い人間ね!」
ルーミアの目が赤く煌めくと、セーラー服の少女は恐怖でガタガタと震え始めた。ルーミアは牙をむきだし、爪を尖らせ「いただきーます!」と大声を出してセーラー服の少女に襲いかかると、セーラー服の少女は文字に表せないような奇声を上げた。
「うちの敷地で暴れないで!」
ピシャっとした声が森の中に響き渡ると、木々の間から大量のお札が飛来し、ルーミアに直撃し、ルーミアは「うぐっ……!」と声を上げた。
「神霊『夢想封印』!」
木々の間から紅白の巫女が姿を現すと、お札に動きを封じ込められたルーミアに7つの光の玉を浴びせ、辺りが光に包まれる。目映い光は十数秒で消えると、ルーミアの姿はPアイテムと点アイテムへと変貌していた。
「大丈夫? 怪我は無い?」
紅白の巫女がPアイテムと点アイテムを回収し、セーラー服の少女の元へとやってきて、声をかける。
「大丈夫です、ちょっとびっくりしただけで……ところで貴女は?」
セーラー服の少女は腰を抜かしたまま紅白の巫女に声をかける。紅白の巫女は「私の名前は博麗霊夢。博麗神社(ここ)の巫女をやってるの。あなたは?」
「私の名前は――」
§
ここが幻想郷であること、力の無い人間が幻想郷で生きていくことは難しい。幻想入り直後の人間なら元の世界に帰ることができる。
「今回の異世界転生は、諦めます。強くなって、また遊びに来ます」
セーラー服の少女が霊夢に向かって力強く答えると、霊夢は「そう、頑張って頂戴」と塩っ気に答えた。
「じゃあ、元の世界に帰るわよ」
「またね、霊夢っち!」
セーラー服の少女は、隙間から現れた八雲紫と共にスキマの中へと入り、霊夢に別れの挨拶を告げる。霊夢は「最後の『っち』は何なのよ」と困惑気味に呟くと、「さようなら元気でね」と答え、手を振って見送った。
「『またね』ってことは、もう一回ここに来るつもりなの?」
スキマの中を歩きながら、紫はセーラー服の少女に訪ねる。セーラー服の少女は「はい! 私も霊夢さんみたいに強くなりたいんです! まあ行き方が分からないんですけど……」と答えた。
「じゃあ、このカードをあげるわ」
紫は別のスキマから、カードを5枚取り出し、セーラー服の少女に渡す。
「これは……?」
セーラー服の少女は不思議そうにカードを見る。
「このカードはゼナーカードよ。ESPカードとも言うけど、これが使いこなせるようになると幻想郷に行くことが出来るかもしれないわね」
紫は説明しながらスキマを開くと、「このスキマが貴女の元いた世界に繋がるわ」と、彼女に声をかける。
「ありがとうございました、紫さん!」
スキマの中に入ったセーラー服の少女が、ゼナーカードを鞄にしまいながら紫に礼を述べると、スキマが閉まり始めた。
「頑張って秘封(ひみつ)を暴いて頂戴な」
紫がニッコリと笑って答えると同時に、スキマは完全に閉まった。
セーラー服を着た少女が砂利の上で目を覚ました。
いわゆる外の世界出身で、不慮の事故で幻想入りしてしまった彼女が身体を起こす。左を見ると草原が広がっていて、右を見ると砂利の壁がそびえ立っていた。
「そういえば私、さっきトラックに轢かれて…… これってもしかして異世界転生?」
現在地を掴めない中、少女は鞄を持って立ち上がると、近くに看板が立っていることに気づいた。寄ってみてみると、看板には「博麗神社 この山の山頂」と書いてあり、彼女は砂利の壁が山の一部であることに気づいた。
「博い……麗しい……?」
少女は訝しみながら看板に描かれた矢印の方角を見ると、階段もなければ舗装もされていない急坂が待ち構えていた。
(どちらかと言えば雑で険しい神社ね)
彼女は心の中で呟く。しかし異世界転生と神社は相性が良さそうだと、彼女は砂利の坂道に足を踏み入れた。
登り初めてすぐのヘアピンカーブに差し掛かると、それまで地上を照らしていた太陽は樹木の葉に隠され、地面も落ち葉の量が歩くほどにだんだんと増えていく。
「これは妖怪が出そうな山ね……」
「誰が妖怪だって?」
樹木のトンネルを十数メートルほど歩いたところで後ろから声をかけられ、セーラー服の少女が振り向く。幻想入り直後の彼女が妖怪の名前を知る由も無いが、そこにはルーミアが手を横に広げて立っていた。あまりに急な出来事から、セーラー服の少女は「きゃっ?!」と声を上げて尻餅をついた。
「あなたは食べても良い人間ね!」
ルーミアの目が赤く煌めくと、セーラー服の少女は恐怖でガタガタと震え始めた。ルーミアは牙をむきだし、爪を尖らせ「いただきーます!」と大声を出してセーラー服の少女に襲いかかると、セーラー服の少女は文字に表せないような奇声を上げた。
「うちの敷地で暴れないで!」
ピシャっとした声が森の中に響き渡ると、木々の間から大量のお札が飛来し、ルーミアに直撃し、ルーミアは「うぐっ……!」と声を上げた。
「神霊『夢想封印』!」
木々の間から紅白の巫女が姿を現すと、お札に動きを封じ込められたルーミアに7つの光の玉を浴びせ、辺りが光に包まれる。目映い光は十数秒で消えると、ルーミアの姿はPアイテムと点アイテムへと変貌していた。
「大丈夫? 怪我は無い?」
紅白の巫女がPアイテムと点アイテムを回収し、セーラー服の少女の元へとやってきて、声をかける。
「大丈夫です、ちょっとびっくりしただけで……ところで貴女は?」
セーラー服の少女は腰を抜かしたまま紅白の巫女に声をかける。紅白の巫女は「私の名前は博麗霊夢。博麗神社(ここ)の巫女をやってるの。あなたは?」
「私の名前は――」
§
ここが幻想郷であること、力の無い人間が幻想郷で生きていくことは難しい。幻想入り直後の人間なら元の世界に帰ることができる。
「今回の異世界転生は、諦めます。強くなって、また遊びに来ます」
セーラー服の少女が霊夢に向かって力強く答えると、霊夢は「そう、頑張って頂戴」と塩っ気に答えた。
「じゃあ、元の世界に帰るわよ」
「またね、霊夢っち!」
セーラー服の少女は、隙間から現れた八雲紫と共にスキマの中へと入り、霊夢に別れの挨拶を告げる。霊夢は「最後の『っち』は何なのよ」と困惑気味に呟くと、「さようなら元気でね」と答え、手を振って見送った。
「『またね』ってことは、もう一回ここに来るつもりなの?」
スキマの中を歩きながら、紫はセーラー服の少女に訪ねる。セーラー服の少女は「はい! 私も霊夢さんみたいに強くなりたいんです! まあ行き方が分からないんですけど……」と答えた。
「じゃあ、このカードをあげるわ」
紫は別のスキマから、カードを5枚取り出し、セーラー服の少女に渡す。
「これは……?」
セーラー服の少女は不思議そうにカードを見る。
「このカードはゼナーカードよ。ESPカードとも言うけど、これが使いこなせるようになると幻想郷に行くことが出来るかもしれないわね」
紫は説明しながらスキマを開くと、「このスキマが貴女の元いた世界に繋がるわ」と、彼女に声をかける。
「ありがとうございました、紫さん!」
スキマの中に入ったセーラー服の少女が、ゼナーカードを鞄にしまいながら紫に礼を述べると、スキマが閉まり始めた。
「頑張って秘封(ひみつ)を暴いて頂戴な」
紫がニッコリと笑って答えると同時に、スキマは完全に閉まった。