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「うう……痛い…… ここはどこ?」
「菫子!」「良かった……!」
セーラー服を着た少女、宇佐美菫子がベッドの上で目を覚ますと、彼女の父親がベッドにせり出し、母親は泣き出した。
「えっと、金髪の妖怪に襲われて……紅白の巫女が……あれ? トラック?」
「変な夢でも見ていたのかもしれませんね」
病室で様態を診ていた主治医がカルテを見ながら呟くと、「脳震盪がありますが、幸い命に別状は無いですね。念のため二・三日入院しましょうか」と両親に提案する。父親が同意すると、「それでは、面会の時間もまもなくですので別室に行きましょう」と、主治医と両親が病室を去って行った。
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「やっぱり……夢じゃなかったんだ」
退院後、菫子は鞄の中を確認すると、そこにはゼナーカードが入っていた。
「幻想郷に行けるか分からないけど、まずはこのカードが何なのかからね」
菫子は「もう一回、霊夢っちに会うんだ……!」と決心すると、自身のスマートフォンで、「ゼナ―カード」と検索した。