Coolier - 新生・東方創想話

ハレの日の終わりに

2022/10/08 20:17:00
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 死屍累累として酒臭い私の神社。いつもに比べて酔い潰れる奴がちょっと多すぎる気がする。どれくらい多いかと言ったら、今、流しで宴会の後片付けをしているのが私と魔理沙くらいしかいない。いつもは後片づけを手伝ってくれる人たちまでもが、明日に二日酔いで後悔しそうなほどいい飲みっぷりだった。

「あんたがお酒を自制したなんて、明日は茸でも降ってきそう」
「バカ言え。今日はおまえがあんなに楽しそうにお酒を持って来たのにそれ以外のお酒が飲めるかって」

 そんなこと言われたら悪い気はしないよね。でも、魔理沙のことだから本音半分建前半分よ。

「なんのお酒か、一升瓶をくるんでた紫の布を開いて知ろうとした癖に、現金ねぇ」
「あんな色の布に包まれてたら、そりゃさぞかし稀少なお酒なんだろうと思うって」
「さっきも言ったけど、あれは里の蔵元から記念日のお祝いとしていただいたものよ。たしかに稀少ではあるけど……」

 熟成酒だから味わって飲んでねと言われた。1本だったから神社にお祝いに来てくれたみんなに分けるのが大変で、でも今日は私が主役だったから多めに飲んだ。

「霊夢の次に多く飲めたのは嬉しかったな。わざわざ他のやつらより多くしてくれた」
「ほら、やっぱりいつもお世話になってるし、これからも、ね」
「もちろんだぜ」
「はいはい、ありがとうね」
「それにしても、焼きおにぎりは本当にお酒に良く合ってたな。作るのも今こうやって片付けるのもお手軽なのに良いおつまみだな」

 おつまみは焼きおにぎりだった。大量に作る分には楽なのに、濃い味噌の香ばしい香りがお酒にぴったり。次も焼きおにぎりにしようっと。

「おにぎりを包んだ葉を捨てるだけで済むし、葉に包まれてるってだけでハレの日の珍しい食事に見えてくるからすごいよね」
「今日の味噌ってたしか守矢神社で仕込んだやつだったよな。今度はおまえの仕込んだ味噌で食べたい」

 おつまみを焼きおにぎりにしようと提案してきたのは早苗で、早苗が自分の神社から味噌を持ち込んできたから、今日はそれに甘えた。古い味噌を使いきって新しい味噌に入れ替えたいって言われたら、事情がしっかりしてるから協力しないのもちょっとね。

「私の味噌の方がもっと濃くて香ばしいわよ。でも、今日は塩味が足りなかったわね。早苗の味噌のせいじゃなくて、甘味が多すぎた」
「茨華仙、張り切っていろいろな甘味を作ってくれたのは良かったが、あれ自分自身のために作ってた側面あったろ」

 いただいたお酒を飲み終わった後、魔理沙と一緒に、茨華仙が作ってくれた甘味を食べ倒した。茨華仙が特におススメしてくれたのはレアチーズケーキ。美味しかったから、どこからチーズを手に入れたのかには深入りしない。珍しさも相まって、魔理沙と1ホールを食べきってしまった。でも、茨華仙が持ち込んできた材料の量から考えると、出された甘味は半分もいってないはず。残りは茨華仙のお腹の中に……

「人の記念日にかこつけて自分が楽しもうとする輩がいるのは昔からそうだから。でも、心から祝ってくれてるならそれで良いのよ。ほら、あんたも私のことを祝ってくれてるじゃない」
「当たり前だぜ。いつまでも祝うからな。何年目の記念日だろうとな」

 手癖こそ悪いけど、私を心から祝ってくれてると確信できる存在が魔理沙。23年目のこれからもよろしくね。
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コメント



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良かったです
6.90名前が無い程度の能力削除
良かったです
8.90南条削除
面白かったです
魔理沙が向ける優しさに心温まりました