Coolier - 新生・東方創想話

幻想夏色日和 ~真夏の大運動会(前編)~

2022/08/03 14:26:23
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「それではこれより、第一回幻想郷大運動会を開催いたします‼」

 射命丸の一言で会場は一斉に歓声で溢れた。
 妖怪の森で開かれた、幻想郷大運動会。人間や妖怪、妖精などが集まり四人以上で一組のチームを作る。今回は計十組が参加された。
 これは、賞金を賭けた負けられない戦いが、今始まる。


◇◇◇   ✦✧ 幻想夏色日和✧✦


 事始まりは三日前――。

「夏って嫌いなのよねー」
「そうか? 私は結構好きだぞ」

 真夏の中、蝉の音が辺りに鳴り響く。
 魔理沙と霊夢は縁側に座り、うちわを片手に西瓜を食べていた。

「ほら、夏っていくら涼しくしても暑いじゃない」
「冬だって同じじゃないか?」
「違うのよ。人間って体を暖められるけど、涼しくなるまで体を自動的に調節できないじゃない」
「まあ……そこまでいったら死体になるもんな」

 大きい一口で西瓜を頬張る魔理沙。ピュピュピュッと種を外に飛ばす。
 ふと思ったが西瓜の種を植えると、どうなるだろうか。芽が出て実に成るのか?

「……時々思うのよね」

 霊夢は魔理沙の方をジッと見つめる。

「あんた、年中同じ服来てるけど……夏は暑くないの?」
「何言ってるんだよ霊夢。よーく見てみろ」

 魔理沙に言われ、目を細めて足先から頭の先まで全て目を通す。

「別にいつもと同じじゃない?」
「チッチッチ。霊夢は見る目が無いな……これは生地が薄いもので出来てるんだぜ!」
「へー」
「通気性も良くて、着心地も最高なんだぜ」

 どこで売っているのかしら?

「てか、霊夢も一年中同じ服だろ?」
「冬着は暖かい生地で出来てるのよ」

 霊夢も西瓜を大きい一口で頬張る。

「お二人はのんきでいいですねえ」
「ッ!」
「おっ射命丸じゃないか」

 いきなり現れた射命丸に驚き、西瓜を喉に詰まらせる霊夢。
 必死に胸をたたき、詰まりを解消させ咳き込む。

「あやや、大丈夫ですか?」
「誰のせいだと思ってるのよ!」

 鬼の様な鋭い眼で、射命丸を睨みつける。

「珍しいな、詐欺師がうちに来るなんて」
「ここ私の神社なんですけど?」
「実はですね……」

 霊夢の話を無視して進める射命丸。
 腰のポーチらしき入れ物から、二枚の紙を霊夢と魔理沙に渡す。

「なんだこれ?」
「幻想郷……大運動会⁈」
「そうなんですよ。実は三日後に大運動会を開催することになったので、そのお知らせに来たんですよ」
「へえ、面白そうだな! もちろん霊夢も参加するよなっ!」
「私は参加しないわよ……巫女が妖怪と戯れてるなんて噂が広まったら、参拝客が来なくなるじゃない」
「なんだあ、私一人か……他には誰が参加するか決まってるのか?」
「えっとですね……」

 射命丸は再びポーチらしき入れ物から、一枚の紙を取り出す。

「紅魔館組と地霊殿組、早苗さんに董子さんですね。今のところ声をかけた全員が参加してますよ」
「董子も参加するのか? 厄介なメンツが集まってるな……」
「ああ、それから魔理沙さん」
「ん? なんだ?」
「参加するには最低でも、四人一組ではないと参加できませんので」
「……なあ霊夢――」
「嫌よ。参加しないわ」

 かたくなに参加拒否をする霊夢。
 巫女として名を汚すような行為は出来ない。そう心に誓った。例え親友の他の身だろうが、こればかりは譲れない。

「優勝者には賞金も出るんですけどねえ――」
「魔理沙、参加するわよ」
「本当か霊夢! やっぱり、持つべきものは友だな!」

 笑顔で霊夢と手を組む魔理沙。
 お金に目が眩んだのですね、と思う射命丸。霊夢の目は誰よりも輝いていた。

「よっしゃあ! 優勝者目指して、気合入れるわよ!」
「おう!」
「(なんか楽しそうですし……まあいっか)」

 腕を組み、円を描くように周り、はしゃぐ様子の霊夢と魔理沙。

「では、あと二人ですね」
「何言ってるのよ、あと一人でしょ?」
「候補がいるんですか?」

 すると霊夢は、射命丸に近づき軽く肩をポンポンッと二回叩く。

「あなたよ」
「よしっ! 決まりだなっ!」
「ちょっと! 勝手に話を進めないでくださいよ!」
「何よ、拒否するって言うの? あんたに拒否権なんて無いわよ?」

 この巫女、さっきまで拒否っていたくせに……。

「私は司会進行役なので、参加できないんですよ」
「そんなのカッパにでもやらせておけばいいだろ? なあ霊夢」
「そうよ。早くこっちに来なさい」
「残念ですが役割はもう決まっているので……今更変えられないんですよ」
「なんだ……がっかりだぜ」
「無能なカラスね……」

 霊夢と魔理沙のテンションは一気に急降下する。
 あんなにお祭り騒ぎだったのに、今度は世界が終わったかのような絶望感を露にする。

「あのー私、一応天狗なんですけど」
「……」
「……」
「聞いてますか?」

 話しかけるが返事をしない。もはや生きる屍だ。
 何なんですか、この人たちは? 人の話を聞かない自己中心的な方なんですか?

「ああ、そうだ。場所なんですけど、妖怪の森に夏場でも涼しい所があるので、そこで開催します。時間帯は夜です」
「え……夜なの?」
「夜の方が人も少ないから、いいんじゃないか?」
「参加者の関係上、夜が適切かと思いまして」
「ねえ射命丸」
「はい、なんでしょう?」
「誰か良い知り合いとかいないかしらあ?」

 不気味な笑顔でお願いをする霊夢。
 もう付き合っていられないと思い、やや疲れが出てくる射命丸。

「あー、他の方にも声をかけるので、私はこれで失礼しますね。それではっ」

 一言残すと、射命丸は逃げるかのように、一瞬でその場から姿を消した。辺りには、砂が軽く宙を舞っている。

「……仕方ないわね。なんとかして後二人集めましょう」
「それなら一人、心当たりのやつがいるんだぜ!」
「じゃあ、あと一人よね……当日までに探しておくわ」


 ――なんやかんやあって、迎えた運動会当日。
 色んな妖怪や妖精が集まり、いくつか屋台も出ていた。

「すごい賑やかね」
「おっ! 見ろよアリス、あっちに珍しい屋台があるぜ!」
「それより、霊夢と合流しないと――て、話を聞きなさいよ!」

 アリスの話を無視して、珍しい屋台に真っしぐらの魔理沙。

「まったくもう。子どもじゃないんだから」

 仕方なく魔理沙の後を追うアリス。
 魔理沙が向かった珍しい屋台と言うのは――、

「すっげえ。これ屋台って言うより、普通の店だな」
「……なんか見覚えのある雰囲気ね」
「ちょっと入ってみようぜ!」
「ああ待って!」

 中に入るが明かりは無く、真っ暗な状態。
 何があるのか全く分からないまま、とりあえず真っすぐ進む二人。

「ねえ魔理沙……もしかして、これってお化け屋敷なんじゃ……ない?」

 魔理沙の手を握り、少し怖がる様子のアリス。

「そうか? ていうか、もしかしてアリス……怖いのか?」
「べ、別に怖くなんかないわよっ!」

 魔理沙から手を離し、少し後ろに下がる。

「ほらね? 全然平気でしょ――いたっ」

 背後の何かにぶつかる。

「な、なに?」

 恐る恐る振り返る。しかし真っ暗で良く見えない。顔を近づけようとした次の瞬間、いきなり辺りが明るくなる。

「え?」
「え?」
「い、いやああああああ!」

 アリスの叫び声が部屋中に響く。それを聞きつけ、離れていた魔理沙が駆けつける。

「どうしたアリス!」
「ちょっと、驚かさないでくださいよ」
「……なんだ、霖之助じゃないか。それに……どうした、アリス?」

 驚きのあまり、腰を抜かしてしまい立てない様子のアリス。

「驚かしたのはそっちでしょ! なんでいきなり現れるのよ!」
「いや実は……彼女のせいなんだよ」
「あははっ。そーなのかー?」

 そこには室内をグルグル回る、ルーミアの姿があった。

「じゃあこの暗闇の原因は、ルーミアだったのか」
「そうなんだよ……何も見えなくて困っていたんだ」

 頭を抱える霖之助。余程長い間、暗闇が続いていたのだろう。

「店の準備をしようにも、何も見えなかったら手がつかなくてね……助かったよ」
「私は助かってないわよ! おかげさまで酷い目にあったわ」
「あはは。とんだ災難だったな」
「そもそも、魔理沙がこんな所に入ったのが原因よ!」
「まあ、そう怒るなって……ところで、ここは何の屋台なんだ?」

 屋台には見えないが、とりあえず屋台と言う事にした。

「ああ、ここは雑貨店だよ」
「……屋台で雑貨店をだしてるの……?」
「売り上げが厳しくてね……こういう機会を生かそうと思って」
「それで店を作ったという事か」

 なるほどなるほど、と頭を上下に動かし感心する魔理沙。

「名付けて、香霖堂二号店!」
「そのまんまね……それより、早く霊夢と合流しないと」
「まだ時間はあるだろ?」
「魔理沙と居ると……時間が……無くなるのよっ」

 魔理沙の腕を引っ張り、強引に店の外へ連れ出すアリス。だが、店を出かけた時だった。

「あら、この屋台は何かしら?」
「え、霊夢⁈」
「ん? 誰かと思えば、アリスに魔理沙じゃない。何してるの?」
「なにって……魔理沙の寄り道よ。それにしても、どうしてここが分かったの?」
「……え?」

 なんのことかわからず、ポカーンとする霊夢。
 その反応に、混乱するアリス。魔理沙はいつの間にか、拘束から逃げ出し霖之助と話をしている。

「だって、迎えに来たんじゃないの?」
「迎えですって? そんなわけないでしょ。私はただ、二人が来ないから暇つぶしに寄っただけよ」
「……そうね。霊夢はそう人だったわね」

 まだ来てしばらくと言うのに、すでに疲れが見え始めるアリス。
 三人は時間が来るまでの間、香霖堂二号店で時間暇つぶしをすることにした……が、商品を買うことは無くただ損をした霖之助であった。

「そーなのかー?」


◇◇◇   ✦✧ 幻想夏色日和✧✦


 ドカンッドカンッと、大きな花火が二発打ち上げる。
 これが大運動会の始まりの合図でもある。中央の大きな櫓から射命丸が姿を出す。マイク片手にスピーカーを通して、話を始めた。

「それではこれより、第一回幻想郷大運動会を開催いたします‼」

 射命丸の一言で会場は一斉に歓声で溢れた。
 妖怪の森で開かれた、幻想郷大運動会。人間や妖怪、妖精などが集まり四人以上で一組のチームを作る。

「えー、司会進行を務めます射命丸文と、解説の河城にとりさんです!」
「どうもー」

 射命丸の隣で手を振る。

「それでは、今回参加されました九組を紹介いたします! まず最初の一組は――紅き館のカリスマ、レミリア率いる紅魔組!」

 スポットライトが紅魔組に当てられると、拍手と歓声で溢れる。

「六人もいるけど、全員が参加するのかしら?」
「まあ、数が多ければ良いってわけじゃないのよ。力よ、力」
「そう言えば霊夢、あと一人来てないが……誰を呼んだんだ?」
「もうそろそろ来るわよ」

 何も知らされていない魔理沙とアリスは、期待と不安の感情が入り混じっていた。

「続きまして二組目は――地獄の底からペットを連れ参戦、さとり率いる地霊組!」

 その後も、次々と紹介される。
 月夜に輝く一輪の花、かぐや率いる蓬莱組!
 彷徨う霊界からの刺客、幽々子率いる白玉楼組!

「ん? あれって早苗と董子じゃないか?」
「あら本当ね」
「あの二人、あっち側に着いたのね。敵なら容赦なく潰せるわ」
「……物騒ね」

 一番危険なのは霊夢なんじゃないかと、そう思うアリス。恐らくその考えは違ってはいないだろう。

「なあ霊夢、流石に遅くないか? いつになったら来る――」
「すみません、遅くなりました!」
「うわっ!」

 魔理沙の背後から誰かが飛び乗り、前に倒れ下敷きになる。

「いってて……」
「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「来たわね」

 魔理沙の背中の上には、特徴的な赤い瞳に、青髪ショートヘアーの少女――、

「皆さん、お久しぶりです」
「もう一人って、菜香の事だったのね」

 次原菜香、彼女は過去に二回、幻想郷に訪れたことがある。

「最後にあったのは……一か月前よね?」
「あの時は霊夢に巻き込まれて、本当に大変だったわ……」
「私のせいでご迷惑をおかけして……」
「べ、別に気にしなくていいだぜ。それより……早く降りてくれ」
「ごめんなさい!」

 これで全員揃った博麗組。
 話がまとまったところで、博麗組の紹介をされた。

「最後の一組はこちら――主な仕事は妖怪退治、堕落な巫女率いる博麗組!」
「誰が堕落巫女よ! このカラス頭!」
「霊夢、落ち着て!」
「そうだぜ!」
「す、すごい力……」

 今にでも飛んで、射命丸に手をあげてしまいそうになる霊夢。それを三人で必死に押さえる。

「以上、計十組の紹介でした! この後はいよいよ、種目に入ります。準備があるので、しばらくお待ちください」

 櫓の灯は一旦消え、天狗とカッパたちが種目の準備に取り掛かる。
 その間、他の組たちは軽い雑談を挟む。霊夢と魔理沙は幽々子たちの組に訪れた。

「よっ菫子。元気そうだな」
「あ、魔理沙っちに霊夢っち! 何々、作戦でも盗み聞きに来たの?」
「作戦も何も、種目は一切教えられていないでしょ?」
「まあね……でも、こっちの世界にも運動会はあるんだよ。だからある程度の予想はついてるのさっ」

 自身気に話す董子。
 そこに早苗も割って話に加わる。

「私の世界にもあったので、もう勝ったも当然ですよっ!」

 こちらもかなり自信がある様子。
 打って変わって幽々子と妖夢はと言うと……。

「ねえ妖夢、あっちに美味しそうな屋台があるのだけれど……」
「ダメですよ幽々子様! 食べてる間に始まってしまいます!」
「一口だけなら……ね?」
「どの口が言ってるんですか! 幽々子様は食べ始めたら、満腹になるんで辞めないじゃないですか!」

 屋台には行きそうになる幽々子を、妖夢が必死に止めている様子だった。

「あっちも大変ね」
「私たちも、さっきまであんな感じだったけどな」
「……」

 その頃、アリスと次原は近くの屋台を巡っていた。
 そしてついに準備が終わり、いよいよ大運動会の最初の種目が始まる。
 出場者は元居た場所に集まり余裕を見せる者、準備運動をする者、食事をする者と多種多様。

「それでは、最初の種目を発表します! 最初の種目は――弾幕騎馬戦です!」

 弾幕騎馬戦。チームから三人を選び、それぞれのチームカラーの鉢巻きをする。先に相手の鉢巻きをすべて取ったチームが勝者となり、ポイントを獲得できる。弾幕で身を守り、攻めにも使用し上手く相手の鉢巻きを奪い取ろう! 尚、能力の使用を許可します。

「ねえ、周りに影響は無いの?」
「安心してください。試合は結界の中で行うので、外に弾幕は行きません」

 あの妖怪も関わってるのか……。

「誰が出るんだ? 私が出ても構わないぞ」
「ここは、私と魔理沙、アリスで行きましょう」
「分かったわ」
「皆さん、頑張ってください!」

 他の組からも続々と出場者が決まって行く。霊夢たちは三回戦の妖精組と当たった。

「相手は妖精か……余裕だな」
「……」
「ん? どうした?」

 何か考え事をする霊夢。

「いや、なんでもないわ」
「そうか……にしても、一回戦の相手が紅魔組と白玉楼組か。これは熱い試合になりそうだな」

 結界の外で様子を見る霊夢と魔理沙。
 紅魔組からは、レミリアと咲夜、パチェリーが選出。
 白玉楼組からは、妖夢と早苗、董子が選出。

「それでは、鐘の合図と共に試合開始となります。それでは――」

 ゴーンッと鐘の音が響く。

「始め‼」

「行くわよ咲夜!」
「はい、お嬢様」

 先手を取ったのは紅魔組。外野からは応援の声があがる。

「パチェリー様っ頑張ってください‼」
「お姉様ーがんばってえー」

 応援をする二人の横で、立ったまま居眠りをする美鈴。大きな洟提灯が出来ていた。

「私の力、見せてあげるわ」

 レミリアが無数の弾幕を放ち、防御態勢に入る。その後ろでパチェリーがレミリアの支援をする。互いを弾幕で守る完全な壁が出来上がる。

「ねえどうするのこれ! 近づけないよっ!」
「……私が道を切り開きます」
「妖夢さん、任せましたよ!」
「はい」

 すると妖夢は一本前に出て、刀を構える。

「……っ! ここだあ!」

 妖夢の剣技が、無数の弾幕を一瞬にして切り刻む。

「すごいよ妖夢っち!」
「流石です!」
「私に切れないものなど、あまりな――」

 パチンッ。

「チェックメイトね」
「ッ!」

 妖夢の隣に、突如として咲夜が現れる。そして、右手には三人分の鉢巻きが握りしめてあった。

「い、いつの間に⁈」
「あら、私は時間を止められるのよ?」

 ゴーンゴーン。鐘が試合終了の合図を鳴らす。

「し、試合終了です! 一回戦勝者は、紅魔組です!」

「そんなあああ」
「こうもあっさり負けるとは、思わなかったよ。ね、妖夢っち」
「みょん……」

 董子は妖夢の肩に手を当て、慰める。
 その試合を見た霊夢と魔理沙は、やや動揺を見せた。

「マジかよ……やっぱ咲夜の能力って、やばいな」
「今の見たいなルールだと、あっさりやられるわね」

 紅魔組は完全な防御態勢をとったかのように見せ、実際は咲夜の行動がバレないようにするための作戦だった。

「流石パチェリー様です!」
「いや私何もしてないんだけど。提案したのもレミィだし」
「フフ、咲夜の能力を活かしただけよ」

 喜びを見せる紅魔組。

「あらあ、妖夢負けちゃったのお?」
「はい……て、幽々子様……」
「ん? なあにかひいらあ?」
「何食べてるんですか?」

「ッ! べ、別に何も食べてないわよ。あは、あはは」

 幽々子の口の周りには、八目鰻のタレがついていた。

「はあ……まったくもう……」

 妖夢は感情を激しく揺さぶられるのであった。


◇◇◇   ✦✧ 幻想夏色日和✧✦


 二回戦は蓬莱組と妖怪組。もちろん勝者は蓬莱組。その圧倒的な力で難なく勝ってしまう。
 そしていよいよ、三回戦。霊夢たちの出番がやって来た。

「続いて、三回戦。博麗組と妖精組!」

 博麗組からは、霊夢、魔理沙、アリス。
 妖精組からは、チルノ、大妖精、ルーミア。

「妖精組って、ルーミアは妖怪でしょ?」
「まあ細かいことは気にすんって」

「わっはっは! 出たな博麗霊夢! このさいきょーのアタイが、一瞬で決着をつけてやる!」
「良い度胸ねえ。妖精ごときが何言ってるのかしらあ?」
「ちょっとチルノちゃん! 流石に失礼だよっ」
「そーなのかー?」

「あは、あはは……」

 カオスな状況に、苦笑いをするしかないアリス。この中でまともなのは、アリスと大妖精だけだろう。

「それでは――」

 ゴーンッ。試合開始!

「魔理沙、アリス。私が支援するから、二人で懐に攻めて頂戴!」
「了解だぜ!」
「分かったわ」

 全員が空を飛べるので、試合は空中戦になった。

「ふっふっふ。バカ連中だなっ! こっちには秘策があるのだ! 行け、ルーミア!」
「わかったのだー」

「ッ! アリス、魔理沙! 急いで戻ってきて!」
「どうしてだ?」
「……! 魔理沙、急いで戻るわよ!」
「お、おう」

 アリスと魔理沙が引き返したと同時に、ルーミアが能力を発動させる。

「おっと、これは……結界の中が闇に覆われ何も見えなくなってしまいました! これはいったい、どういうことでしょうか解説のにとりさん」 
「これはルーミアによる能力だね。彼女は闇を操れるからね……しかもただの闇じゃないから、光や明かりを無効化するんだよ。これは厄介だね」
「だそうですっ!」

 闇の中、仲間の位置が把握でいない霊夢たち。

「クソッ、まんまとしてやられたぜ」
「これじゃあの時と一緒じゃない!」
「まずいわね……。だけど、相手も同じで何も見えないはずよ」
「じゃあどうやって決着をつけるんだ?」
「向こうが何を考えているかは分からないけど……能力を解除しない限りこれは――」

 相手を甘く見ていた魔理沙。注意をしていたが、相手の策にやられてしまう霊夢とアリス。
 果たして、決着は着くのか? この戦いの勝者は、どちらに決まるのか。

「運試しをするしか、方法は無いわね!」

 幻想郷大運動会は、幕を開けたばかり。更なる戦いが、待っている!


◇◇◇   ✦✧ 幻想夏色日和✧✦

 ――後半へ続く……。
 いつも読んでいただき、応援してくれる方々、本当にありがとうございます!当初は、また新しい登場人物を考えていたのですが「普通に東方のSSも読んでみたい」と言う声もあったので、原作に登場人物をメインに書き上げました!ですが全てがそうだと、オリジナル感が薄れてしまいそうだったので、以前登場したオリキャラも再登場させております!今回は前編と言う事なので、後編もお楽しみに!あと、毎度の様に誤字脱字があるかもなので、ご了承ください……。
柚木 明日夏
https://twitter.com/Yuzuki_Asuka_S
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2.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです