博麗神社の台所では、博麗霊夢が悩みながら考え事をしていた。今夜の酒のおつまみを何にするか考えていたのだが、何も思い付かずに、悩んでいるのだ。
(困ったわね。今日は萃香もいるから、奮発しようと思ったけど…何が良いかな…)
冷蔵庫の中身を確認すると、ジャガイモとネギが入っていた。戸棚には油、小麦粉、塩が少しあった。
(天ぷらにしてもいいけど、物足りないわね。)
台所の時計を見ると、午前10時過ぎだ。おつまみを作る時間にはまだ早い。
(久し振りに、森にでも行こうかしら?)
霊夢が物置小屋から、軍手とノコギリを準備する。他にも、道具の準備をして居る最中にノコギリを見た。
(ノコギリ持ったまま移動したら、誤解されるわね。)
準備していたノコギリを異空間にしまうと、札、針を持って森に向かった。
(何を狩ろう…兎か熊が見つかればいいんだけど…)
暫く歩いていると、熊を発見した。木陰で眠っているようだ。霊夢は眠っている熊を目掛けて、針を投げて熊の足に命中した。
(ヤバイわね…)
痛みで、熊が目を覚ましてしまった。霊夢は浮いて熊の真上から弾幕を放ったが、命中する寸前に真横に避けた。
(な!?避けられた。)
一瞬慌てたが、霊夢は異空間からノコギリを取り出して、隙をついて熊の首を切り落とした。
(やっと、狩れたわ。)
切り落とした時に、霊夢は熊の血を頭から浴びてしまった、体と巫女服が血塗れの状態だ。
(血でベトベトだわ…誰かに見られたら、誤解されかねないわ。)
その場で、狩った熊を解体して、肉を丁寧に取ってからノコギリを異空間にしまう。
(帰りますか。)
この時。霊夢は気づかなかった。誰かに写真を撮られていることに。
神社に戻ると、縁側でお酒を飲んでいた伊吹萃香が、霊夢の姿を見て駆け寄ってきた。
「霊夢!?血塗れじゃないか!」
「大丈夫だから、安心して。」
「嘘じゃないよね?嘘だった霊夢を誘拐して、逃がさないように…」
「物騒な発言するな!」
炒り豆を取り出して、萃香の目の前まで持ってくると、急に怯えた。
「豆!?投げないで!」
「だったら、物騒な発言を今すぐやめて。さもないと、投げるわよ。」
「わかったから、豆を近づけないで!」
「この血は熊を狩った時に、頭から浴びちゃたのよ。だから、怪我してないわ。」
霊夢が萃香の頭を撫でると、萃香が抱きついてきた。
「血塗れだから…心配…」
「萃香。今夜の酒のおつまみは期待して良いわよ。」
「え!?」
熊の肉を取り出すと、萃香は目を輝かせた。
「熊肉だ!」
「だから、萃香もつまみを作るの手伝ってよ。」
萃香は嬉しそうに、何度も頷いた。
「霊夢。それよりも、風呂に入りなよ!血塗れだよ。」
萃香は能力でミニ萃香を3体出現させると、風呂の準備をさせる。その間に萃香は速攻でタオルと予備の巫女服を持ってくる。
「わざわざありがとう。」
風呂から上がった霊夢は、巫女服に着替えておつまみの準備をする。
(ジャガイモとネギは、天ぷらにして、熊肉は串焼きしますか。)
萃香に天ぷらの準備を指示して、霊夢はその間に熊肉を包丁で一口大の大きさで切って、串に刺していく。
「これで準備完了ね。」
「霊夢!天ぷら出来だよ!」
串で刺した熊肉を鉄製の網に置いて、火をつけて焼いていく。熊肉が生焼けにならないように、中まで火を通していく。
「できたわよ。萃香、生姜持ってきて。」
「これでいいの?」
萃香から生姜を受け取り、包丁で処理をした後で、微塵切りにする。
「後は、皿に盛り付けと。出来たわ。」
萃香と霊夢は酒を用意して、食べ始める。
「天ぷらサクサクして美味しいわ。」
「ネギうまい!」
熊肉の串焼きは生焼けにならずに、中まで火が通っていて、問題ないようだ。
「熊肉は久し振りだよ~」
「今回は贅沢したわね。」
料理を平らげて、満足しながらお酒を飲んでいると、文々。新聞が届いたようだ。萃香が新聞の内容を見ると、霊夢が血塗れの状態での写真が掲載されていた。気になる記事の内容は。
博麗霊夢に緊急事態!?
今日の昼未明。森の中で、博麗の巫女、博麗霊夢さんが血塗れの状態で発見されました。詳しい状況は不明であり、情報が入り次第、発表する方針である。
霊夢は新聞を破り捨てると、萃香と一緒に妖怪の山に襲撃に向かった。
終わり
おつまみに熊は通すぎる
萃香の反応がよかったです