博麗神社の巫女、博麗霊夢が動物を預かっていた。動物以外もいるが、半分以上の動物が霊夢の近くで、日向ぼっこをしている。
「橙。戸棚にある煮干しの袋を取ってきて。」
「わかった!」
「霊夢さん!私は?」
「あうんは皿の準備お願い。お燐はお空と待機してて。後で、ゆで卵をあげるから。」
霊夢は指示を出しながら、子猫達を撫でている。あうんと橙が準備ができたようで持ってきた。
「あうんと橙ありがとう。」
あうんと橙は撫でられて、満面の笑みを浮かべる。皿と煮干しを受け取った霊夢は、皿に盛ると子猫達に食べさせた。
「橙。紫と藍は明日まで帰らないのよね?」
「結界の点検で、帰れないらしいよ。」
「それは大変ね。」
子猫達が煮干しを食べ終えて、霊夢の足に頭を擦ってくると、子猫達の頭を撫でる。
「よく食べたわね。」
「お姉さん。お空が…」
「お空。ゆで卵準備したから来なさい。」
「ゆで卵!」
ゆで卵を貰い機嫌が良い。そんなお空を見て、お燐は眠そうにしている。
「お燐。眠いなら膝に来る?」
「ありがとう…」
猫になると、霊夢の膝の上で眠った。その光景を見て、あうんと橙が嫉妬している。
「お燐狡い…」
「む…」
「橙とあうんも此方に来なさいよ。」
あうんと橙は霊夢に言われて近づくと、抱き締められた。
「あうん、橙。仲間外れにはならないわ。」
あうんと橙は涙を流して、霊夢を押し倒した。
「霊夢!」
「霊夢さん!」
「流石にやり過ぎよ!起き上がれないわ!」
「…ごめんなさい。」
あうんと橙が落ち込んでしまったようだ。そんな2人を見て、お燐を起こさないように膝から下ろす。
「怒ってないわ。」
「でも…」
「貴女達の存在で私は孤独じゃないわ。特に、小さい頃の幻想郷は、殺伐してたから動物に触れる機会なんて無いようなものよ。ありがとう。」
あうんと橙を離さないように抱き締めると、あうんと橙が泣き出してしまった。
「泣かないの。」
「だって…」
「嬉しいんですよ。私達は妖怪で、人間から好かれる事なんて…」
妖怪の存在は、人間にとって恐怖の対象でしかないのだ。一部の人間でも妖怪を受け入れている者が少なすぎるため、いないのと変わらない。
「そうなのよね…妖怪は人間を襲わないと、存在が消える危険性があるから…仕方ないけど…巫女の立場だと、妖怪退治は絶対しないといけない。私自身の考えだと、消えるのは悲しいのよね…ルーミア。盗み聞きするのは、趣味が悪いわよ。」
「バレてたのか…霊夢。」
神社の裏からルーミアが出てきた。しかも、封印が解除されたバージョンだ。
「何年間…一緒にいたと思ってるのよ。」
「今の幻想郷は住みやすくなった。人間を食べなくても、驚かすだけで存在が保てるからな。感謝してるぞ。」
「妖怪に感謝される巫女は、どうなんだがね。ルーミア…今日は封印しなくても良いから、神社に泊まってよ。あうんと橙も良いわよね?」
「賛成ですよ!」
「賛成だよ!」
「仕方ないな…今日は泊まるよ。」
今日の夜は騒がしかったが、霊夢には充実した1日になったようだ。
終わり