夕日が沈む頃。人里の人間が慌ただしく人里内を大勢の大人達が走り回っていた。異変が起きたらしい。
「見つけたか?」
「駄目です!こちらにはいません。米問屋の旦那…やっぱり…神隠しでは?」
「見つからないとは。妖怪の仕業に違いない。慧音先生に報告しろ。これからの人里の見回りは、私の部下にも手伝わせると。」
「わかりやした。旦那!」
米問屋の店主の男性は、人里内にいる部下にとある指示を出す。
「畏まりました。」
数人の部下は人里内を走り回っていった。
「絶対に許さんぞ!全ての人外!私の復讐はまだまだ続くぞ!」
米問屋の店主は家に帰っていった。
翌朝。上白沢慧音の家では米問屋の店主が訪問してきて、神隠し事件の見回りについての話し合いが行われていた。
「慧音先生!どうするですか!?このままだと神隠しの被害が広がってしまいます。見回りの人数を増やしましょう!」
「だが…妖怪に太刀打ちできないぞ。」
「ですが、被害を減らすことは不可能ではありませんぞ。」
慧音は暫く考えると、決断した。
「わかった。見回りの人数を増やしてくれ。私に協力してくれるか?」
「勿論だ!私は部下に話しておきます。」
米問屋の店主は出ていった。慧音はお茶を飲む。
「これで無理なら、霊夢に頼むしかないな。」
夏が終わり、秋に突入する博麗神社の境内を掃除している博麗の巫女、博麗霊夢は縁側でお茶を飲んでいる鴉天狗、射命丸文から人里で広まっている噂話を聞いていた。
「人里で神隠し?」
「そのようです。人里の人間が行方不明になっているみたいで…」
詳しい話では、人里の人間が1週間で2人行方不明になっているようだ。その行方不明になる人数は一定で、今現在も行方不明者は帰ってきていない。
「異変だわ。行方不明が出たんなら、人里内でパトロールはしなかったの?」
「したそうなんですが…」
「神隠しなら紫が犯人になるだろうけど…有り得ないわね。外ならまだしも、人里で神隠しは幻想郷が滅びかねないから犯人じゃないわ。」
「そうなると、人里に紛れ込んでいる妖怪の仕業になるわね。幻想郷の掟を破る妖怪は討伐しないとね。」
霊夢は文に視線を向けて、針を構える。その行為から文は慌てて霊夢から離れるて、無実であることを伝える。
「文なら気づかれないで…」
「霊夢さん!?洒落になりませんよ!?」
「…………1割冗談よ。」
「9割疑っているんですか!?」
「冗談に決まってるでしょう。犯人である以前に、文は正体を隠さないで人里を出入りしてる。明らかに目立つわ。だから、犯人では有り得ないわ。」
霊夢は文が無実であることを確信している。冗談だとわかると、安心したようだ。文は霊夢に行方不明者捜索依頼を出した。妖怪が関係しているとなると、博麗の巫女は動かねばならない。
「問題なのは人里の人間が何故、神隠しされたのかよね。」
「神隠し問題で私は信頼されてるのですが、他の妖怪、妖精が人里で暴行を受けてまして…」
「何でそれを最初に言わなかった!?行くわよ!」
「え!?」
「このままだと、妖怪と人間の戦争の事態になりかねないわ。罪のない妖精も滅ぼされかねないわ。」
霊夢の言った意味が理解したのようで、文も一緒に人里に向かう。その途中で大妖精に遭遇した。
「霊夢さん、文さん!助けてください!」
「何があったの!?」
「人里で…」
大妖精の話によると、妖精が人里で買い物をしている最中に、大人達に取り囲まれて暴行を受けているらしい。
「妖精までも…文は大妖精をお願い。」
霊夢は人里に急いだ。人里では妖精が大人達に取り囲まれて暴行を受けていた。
「………!?」
「妖精が人里に来んじゃね!」
「何してるのよ!」
取り囲まれていた妖精を霊夢が助けて、大人達を睨み付ける。霊夢の行動に大人達は笑いながらいった。
「妖精が人里に来たから退治してやろうとしただけだ。人里の神隠し事件の犯人の可能性があったからな。」
「そうだな。俺達は正義だ!」
「何が正義よ。抵抗できない妖精を暴行してただけじゃない。」
霊夢の発言に、大人達は怒りだした。
「何だと!?」
「巫女は人間の味方じゃ…」
「何か勘違いしてない?私は中立であって、誰の味方でもないわ。でも、この妖精が何か悪いことでもしたの?」
「犯人の可能性…」
霊夢は大人の1人を殴り気絶させる。残りの大人達は霊夢に襲い掛かったが、瞬時に真後ろに移動。蹴りをいれて気を失わせた。
「大丈夫?」
「………!」
「霊夢さん!大丈夫ですか!?」
大妖精を送り届けた文が霊夢と合流した。霊夢は妖精を人里の外まで逃がしていた。
「大丈夫よ。神隠しの犯人を見つけないと。」
「この人間達は?」
「妖精に暴行をしてたから、気絶させただけよ。何が正義よ…悪いのは妖怪だけじゃないわ…」
「霊夢さん?」
「……気にしないで。噂の出所を調べないとね。」
霊夢、文は人里で神隠しの噂の出所を調べていると、魔理沙が鈴奈庵から出ていくのを目撃した。
「魔理沙。」
「霊夢と文じゃないか!人里にいるってことは、噂を調べてたのか?」
「魔理沙も調べてたようね。何かわかったの?」
「面白い情報がある。」
人里の神隠し事件の行方不明の最初の2人が米問屋の従業員。それ以降の行方不明者が子供なのだ。
「どうだ。不自然だろ?」
「そうね。神隠しの方法は?」
「それが謎だぜ。勿論だが、神隠しされた全員…帰ってきていないぜ。」
この不自然すぎる神隠し事件には、裏があると感じた霊夢。調べる必要がありそうである。
「文は噂を詳しく調べて。私と魔理沙で神隠しされた理由を調べるわ。」
「わかりました!」
霊夢と魔理沙は神隠しの被害者の家に訪問して、話を聞くことに。被害者の親の話だと、神隠しされた少年はいつも妖精と夕方まで、遊んでいることがわかった。
「人里からは出ていないんですね?」
「出ませんよ。妖怪に襲われたくありませんし。人里から出ないように、息子にも言い聞かせています。」
「わかりました。あと1つだけ。人里にルーミアが出入りしてるけど、ルーミアと遊ぶとかは…」
「ルールを守ってるなら、問題はありません。差別するつもりもありません。」
「ありがとうございました。」
被害者の家から出た2人は次に向かった。
霊夢と魔理沙が調べている頃。文は噂の出所を調べるために、聞き込みをしていた。だが、手掛かりが見つからない。
(困ったわね。人里内全域に噂が広がってる。出所を調べるのは、不可能に近いわ。)
文が捜査を諦めかけたその時。氷精のチルノに遭遇した。チルノは文を見て声をかけた。
「文!どうしたの…何かなくしたの?」
「何でもありませんよ。チルノさんはどうして、人里に?」
「毎週、あたいの氷を売りに行くの。大量に必要何だって!」
「氷?誰に売るんですか?」
「人里のサイキョーの米」
文はチルノの謎の発言に頭を悩ませる。
「人里のサイキョーの米?誰なんですか?」
「わかんない。」
「え!?わかんないのに売るんですか!?」
「お菓子と交換してくれるから。じゃあね!」
チルノは行ってしまった。文はチルノからの情報をメモする。たが、チルノの発言に違和感を感じたようだ。
(今の季節は秋。毎週、大量に氷を必要。米に大量の氷は必要無いはず。野菜を保存するため?チルノは妖精だけど、受け入れられている…)
文は捜査を一度中断して、霊夢と魔理沙に合流するために集合場所に向かう途中で、驚愕な噂を耳にする。
「やっぱり…この神隠しは妖怪の仕業みたいだ。」
「そうなのか?」
人里の人間が噂話の会話をしていたのだ。まだ、会話程度なら問題ではないが、その会話の内容は神隠しに関しての新たな噂だった。
「妖怪と目を合わせたり、話し掛けたりすると神隠しされるらしい。」
「そうなると、人里に住む妖怪を追い出さないとな。その噂…本当なのかよ?」
「本当らしい。お前も気をつけろよ。」
人間同士の噂話を聞いた文は、この噂が意図的に広まっていることに気がついた。
(完全にこの噂は、妖怪を人里から追い出すための噂ね。)
噂の内容をメモする。すると、霊夢と魔理沙に合流した。人里から出て、博麗神社に戻り、手に入れた情報で推理する。
「新たな噂…。人間嫌いの妖怪が流したのかしら?」
「そんな噂を流して、妖怪にメリットはあるのか?」
「でも、神隠しは妖怪、妖精の人外しか出来ませんよね?それと、人里でチルノさんを見掛けたんですよ。」
文の発言に霊夢と魔理沙は余り気にしなかったのだが…
「とある人物に毎週、チルノさんが大量の氷を売っているそうなんです。」
「大量の氷を?今は秋だよな。野菜を保存するにしても…毎週は不自然だよな?」
「誰に氷を売ってるのかわかれば…」
「チルノさんは『人里のサイキョーの米』と言ってましたけど。」
「人里のサイキョーの米?意味わからないぜ…」
チルノの謎情報に頭を悩ませる3人は、推理を中断して、霊夢と魔理沙の調べた情報を聞いた。
「神隠しされた子供の家に行ったんだけど、神隠しされる以前に妖怪と遊んでたらしいのよね。」
「遊んだ妖怪はルーミアなんだがな。」
「ルーミアさんが神隠し事件の犯人…」
文はルーミアに犯人確定させようとするが、霊夢に否定される。人里では妖怪の襲撃を避けるために、飛行不可結界を紫が施したのだ。
「この結界で、妖怪、妖精はおろか、私と魔理沙も人里内では空が飛べないの。それと、門番は人里から出た人間はいないそうよ。」
「人里内で神隠し。ワープ能力を持った妖怪の仕業ですかね?」
「それだと、紫が容疑者になるぜ。ワープが使える妖怪は紫だけだからな。だが、紫は犯人ではない。」
推理を進めようにも、進まない。人里内で神隠しをする方法がわかれば、犯人の正体がわかるかも知れないのだ。
「神隠しの方法がわかれば…霊夢さん。犯人はわかりますか?」
「霊夢いるか?」
博麗神社に上白沢慧音がやって来た。神隠し事件の依頼できたようだが、既に霊夢、魔理沙、文の3人が捜査しているのは知らないようだ。
「神隠し事件なら捜査中よ。」
「もう調べてるのか。」
「ある程度わね。不自然なのよね。結論から言わせてもらうと、神隠しされた人間は人里内にいると判断したわ。」
「そんな馬鹿な!?人里内は全て探したんだぞ!」
「本当に全て?」
「………何が言いたいんだ。」
慧音は霊夢の発言に嫌な予感を感じているが、認めたくないようでだ。だが、霊夢は問答無用で言った。
「人里の家も全て調べてるの?」
「そうなると……」
「神隠しの犯人は、拐った人間を殺した。神隠しされたように見せ掛けてね。」
「な!?そんなことが!?」
「どうしてなんだぜ!?霊夢!」
「あれ?魔理沙なら気づいてると思ったんだけど。」
魔理沙が気づいていないことに、疑問に思っている霊夢。慧音は信じられないらしい。霊夢は推理を続ける。
「だけど、私が推理出来たのはここまでよ。誰が犯人なのかはさっぱり。証拠がないのよね。」
「神隠しの方法は?」
「その方法はわからないけど、犯人は人間よ。この事件には妖怪は関わってないわ。」
「妖怪が…関わってないだと!?」
慧音、文、魔理沙の3人は、何も考えられなくなった。人里の人間の中に神隠しの犯人がいるのだから。それどころか、殺されている可能性が存在していることも、信じられないのである。
「慧音。後は任せるわ…」
「は?」
「神隠し事件の犯人が人間だと、わかった以上私の役目は終わったわ。調べた資料はもう私には必要ない。」
霊夢は境内に行き掃除をしようとする。それを慧音が止めた。
「霊夢は犯人を捕まえないのか?」
「私は人間の犯人を討伐する権利はないわ。私が裁くのは幻想郷の掟を破る者だけよ。」
霊夢は境内の掃除をする。慧音と魔理沙は神社を出ていった。魔理沙は出ていく時に霊夢を睨んだ。
「見損なったぜ!」
「………資料。忘れてるわよ…」
魔理沙は霊夢から資料を引ったくるように取ると、人里に向かった。文は掃除をしている霊夢を見る。
「霊夢さん…」
「文。人里に行くわよ。協力しなさい。」
「霊夢さん!?手伝って…」
「勘違いしないで。これからするのは、妖怪の討伐よ。数時間したら妖怪が人里に現れるわ。準備しなさい。」
「え!?でも、妖怪は神隠しの犯人では無いんですよね?」
神隠しの犯人は人間だと宣言した霊夢。だが、妖怪が人里に現れると宣言した意味がわからない文は、矛盾していないかと考える。
「説明するから…」
霊夢の説明に動揺を隠せない文。
「神隠しの犯人はとある行動を遣り過ぎて、幻想郷の掟を破った。だから、私はその犯人を裁かなければならない。」
「………わかりました。協力します。
霊夢と文は準備をして、人里に向かう。魔理沙と慧音は人里に到着した。捜査資料を確認しながら犯人を推理する。
「慧音。この最初の被害者の2人は突然と姿を消したのか?」
「そうみたいだ。米問屋の店主が2人が行方不明になったと言ってたから人里内を捜索したんだが、見つからなかったんだ。」
「ん?それじゃあ、慧音は神隠しされた場面を見てないんだな?」
「それが…まさか!?」
「米問屋の店主が怪しいぜ。それ以降の神隠し事件に関与している可能性がある。」
「動機は何なんだ!?あの店主が犯人であるなら。」
捜査資料の行方不明者名簿を慧音に見せる。神隠しされる以前の行動を調べた資料だ。
「最初の行方不明者以外は全員子供だ。神隠しされる条件は妖怪と遊んだ人間だぜ。動機は妖怪に関係してるだろぜ。」
「でも、証拠は?」
「もし、神隠しされた子供が全員殺されたならどうやって隠す?この狭い人里では、目立ってしまうぜ。」
「だがそれは、状況証拠だ。物的な証拠がないと。」
「証拠なら家の中にあるはずだぜ。」
魔理沙と慧音は米問屋の店主の家に到着した。すると、店主が家から出てきた。魔理沙は単刀直入に言った。
「神隠し事件で何か知ってることはないか?」
「神隠し…何が言いたいのかと思えば。私が犯人だと疑っているのか?」
「いや、疑ってないぜ。最初の行方不明者が米問屋の店主の部下2人だったから神隠しの場面を見ているかと思ってたんだが…」
魔理沙は米問屋の店主から情報を聞き出そうとしている。米問屋の店主は疑われていないとわかると、ある程度の情報を魔理沙に提供した。
「そうだな。私は基本に店から出ないからな。わからねえな。」
「子供が神隠しされた事件で、何か目撃したことはないか?」
「何も知らないな。私の部下にも見回りのしてもらったが、何もわからなかったよ。」
「最後に1つだけ。店主は家畜を飼ってるのか?馬とか。」
「飼ってない。それは何の関係がある?」
「いや、氷精のチルノから大量の氷を買ったと聞いたもんでね。」
氷の言葉に米問屋の店主は、一瞬目を見開いて魔理沙を睨む。睨まれた魔理沙は笑みを浮かべる。
「それじゃあ、教えてくれてありがとな。」
「魔理沙。危険すぎるぞ。」
「何がだぜ?犯人じゃないなら私を睨んだりしないだろ。後は1つ。神隠しの方法だ。子供2人を神隠しするんだ。店主1人では無理があるぜ。」
「どうやって…」
魔理沙は捜査資料を1から確認し直す。
「最初の部下2人が行方不明。その後は、子供が2人ずつ。神隠しの条件は妖怪と遊んでいる者。この作戦しかないぜ!慧音…私はちょっと用事を思い出したから帰るぜ!」
「………気をつけてな。」
魔理沙は慧音と別れて人里から出ていった。その様子を遠くから見ていた者は、姿を消した。
夕日が沈み暗くなる頃。人里の公園に2人の少年が遊んでいた。その様子を遠くから見ていた者が近づいてくると、2人の少年が二匹の子狸の姿になる。
「な!?」
「逃げられないぜ!米問屋の部下さんよ。」
神隠しの正体は、米問屋の店主の部下で、最初の神隠しの被害者だった人物。魔理沙はその人物を箒で気絶させる。
「協力感謝するぜ!マミゾウ。」
「それは良かったのじゃ。それではまた。」
マミゾウが姿を消した。すると、文がやって来ると魔理沙に視線を合わせる。
「霊夢と一緒じゃないのか?」
「霊夢さんは用事で一緒じゃありません。」
「そうか。この身柄を証拠に犯人を追い詰めるぜ!」
魔理沙と文は犯人の家に向かった。
霊夢は米問屋の店主の家に来ていた。
「これは巫女様。私に何のようですか?」
「この家に妖怪の気配がしたから、調べさせてほしいのよ。」
「そ、それはちょっと…」
店主は霊夢に調べられると不味いようだ。だが、霊夢にはそんなこと関係ないようだ。
「調べられたら、困るのかしら?もしかして、神隠しの犯人だったりして?」
「調べられているのなら仕方ないな。確かに、私は神隠し事件の犯人だ。だが、それがどうした!巫女には私を裁く権限がないだろ!」
「確かに、私にはあんたを裁く権限はないわ。」
確かに、博麗の巫女には殺人事件の犯人を裁く権利は存在しない。幻想郷の掟を破った者以外は裁くことは基本出来ない。
「だけどね。妖怪の仕業に見せ掛けるために、無理矢理噂を流したわよね?」
「それがどうした!」
「遣り過ぎたわね。妖怪の仕業に見せ掛けて、神隠しだけならまだしも、噂を流したらダメね。」
「だから……な!?」
店主の姿が醜い怪物の姿に変わってしまった。人間の理性は残っているだろうが、人間には戻れないだろう。
「殺人はダメよ。部下を使って子供達を殺したみたいだけど、呪われるわよ。」
「私は…妖怪に妻を殺されたんだ!妖怪は存在すら悪だ!」
「妖怪に復讐するのは、勝手だけどね。子供達は関係無いわ。妖怪と遊んでただけじゃない!」
霊夢は店主…怪物の発言に怒り、鋭い視線を向ける。
「妖怪と関わった人間は滅ぶべきだ!」
「もう、喋らないで。消えなさい…」
霊夢は札を怪物に押し付けると、怪物が札に吸い込まれて行く。抵抗するが、身動きできずに消滅した。
「…………紫。」
「どうしたの?霊夢。」
霊夢の隣に隙間が開いて、妖怪賢者の八雲紫が現れた。表情の暗い霊夢を見て心配になる紫。
「ごめんだけど、処理を頼むわ。」
「良いわよ。霊夢は隙間で神社に戻りなさい。」
「わかったわ。」
霊夢が神社に戻ったのを確認すると、この部屋の片付けをして、姿を消した。
神隠し事件から1週間後。霊夢は境内の掃除をしていると、魔理沙が神社にやって来た。
「霊夢…ごめ…」
「魔理沙。気にしてないわ…」
霊夢は魔理沙を抱き締めながら、頭を撫でる。霊夢に抱き締められて、抵抗できるのだがしなかった。
「大丈夫。気にしないで…」
「だけど…」
「そうね。だったら…」
霊夢と魔理沙の影が重なった。
1本筋の通った筋書きがあって読んでいて楽しかったです