【八雲紫のプロジェクト建設編】の続きです。
藍が博麗神社の建設計画を進めている頃。紫は地霊殿にて、妖怪屋敷に出演する者達と会議を行う。霧雨魔理沙だけは何で呼ばれたのか理解していない。
「紫!呼び出されて地霊殿まで、連れてこられたけど何なんだぜ!?」
「魔理沙。紫様の話を聞いてからでも遅くないよ!」
橙が魔理沙を宥めて、紫の方を見て話すのを待つ。
「霊夢さんの話では、妖怪屋敷の参加者を集めている話でしたよ!」
「私のところにも、御嬢様に言われました。」
美鈴はレミリアから、あうんは霊夢から話を聞いていたが、魔理沙は紫の企画について、何も知らないのである。
紫は魔理沙に今回の企画を説明する。
「そんな面白そうなの絶対参加するぜ!」
「魔理沙なら参加すると思ってたわ。」
「何で私が、この会議に呼ばれたのでしょうか?マッサージと御嬢様に言われてたんですが…」
「貴女の意見も聞きたいの…美鈴。」
「私の意見ですか?魔理沙さんなら、弾幕で星空とかですかね。」
「その提案は面白そうだぜ!」
魔理沙は美鈴の提案を気に入っている様子だが、紫からの一言。
「弾幕を使う場合だけど、安全性を考えないとダメよ。」
妖怪屋敷を博麗神社に建設しているため、観客の安全は大丈夫だろう。だが、博麗神社にもしものことがあれば、最悪の事態になりかねない。
「火薬は使わない方がいいわ。」
「簡単な演目なら御客も安心ですかね?」
「玉乗りならいいかな?」
あうんは自分の演目を考えている様子。お燐と橙は何もアイデアが浮かばず落ち込んでいる。魔理沙が提案を出した。
「三人が空中蹴鞠ですればよくないか?客の安全面は問題ないんだろ?当日に結界すれば。」
「空中でですか!?。」
「蹴鞠したことないよ。地底にいたし。」
「紫様。広さの方は…」
「私の境界を操ればどうにでもなるわ。」
あうん、お燐、橙の演目が無事決まったが、魔理沙の演目が決まらない。暫く考えると、とあるアイデアが一つだけ思い浮かんだ。
「紫。危なくない物なら問題ないんだよな?」
「決まったの?」
「一つだけな。必要な物があるが当日までには間に合うぜ。」
演目会議は中断して、あうん、お燐、橙の演目の空中蹴鞠の練習をするために、紫が用意した隙間に入ると球場に繋がっていた。
「広いですよ!」
「境界を操って準備したけど、球場整備は疲れるわ。この広さくらいあれば、練習出来るわよ。」
紫は隙間からサッカーボールを取り出して、橙に手渡した。見たことない物だからか、サッカーボールに興味を示す。
「空中でする前に、ボールを蹴って練習をするのよ。」
「わかりました………難しいです。」
あうんは思い通りにボールを蹴れないでいる。橙も同じようにボールを蹴れない。だが、お燐は軽々とボールを操っている。毎日の運び仕事で体力的にも問題無さそうだ。
「お燐凄い!」
「でも、結構疲れるよ…」
「疲れました…」
三人は体力切れで、疲れてしまったようだ。今後の課題として、適度の運動が必要になるだろう。紫はスケジュールを組ながら計画表を作る。
「持久力と集中力が必要ね。妖怪だから体力…どうしようかしら?」
「飛ばないで、走り込みをすればどうなんだぜ?体力的にも集中力も必要だぜ。でも、蹴鞠で使うのはあれじゃなかったよな?」
「あれは練習用。本番で使うのは、これより少し小さめのボールを使うわ。慣れさせないとね。明日は本番で使うやつを準備するわ。」
三人の練習が終わり、紫が特製ドリンクを渡した。妖怪用のドリンクのため、人間が飲んだら一発でアウトだ。
「紫。黒い布を五枚くらいお願い出来るか?」
「布?何に使うのよ?」
魔理沙は本を紫に見せる。鈴奈庵で借りた外来本だ。
本を読んで紫は納得して、隙間から魔理沙の要望通りの黒い布を出すと、魔理沙に渡した。
「これで材料が揃ったぜ!先に帰らせてもらうぜ!」
「当日の一週間前に連絡するから準備するように。」
魔理沙は先に帰っていった。あうん、お燐、橙の三人は夜遅くまで練習した。紫は練習を止めるように指示が出た。
「疲れました。」
「御苦労様。本番は一ヶ月後。体調には気をつけなさい。」
「わかりました……」
五人は夜遅いので、地霊殿に泊まった。
翌朝。地霊殿に泊まった五人は古明地さとりと朝食を食べることに。美鈴が朝から中華料理大量に作ってしまって、重たい朝食となってしまった。
「朝から大量の中華料理を作ってどうするんですか!?」
さとりからの駄目だしに美鈴は苦笑しながら、謝罪した。残ってしまった料理は昼に食べることに。朝食を食べ終えて、紫からの予定が発表される。
「今日はフリーよ。練習するなり自由にしなさい。」
紫、さとりは打ち合わせのために地霊殿に残る。あうん、お燐、橙は球場に向かう。紫から本番用の鞠を貰っている。美鈴は客室で寝ている。
球場に来たあうん、お燐、橙の三人は鞠を蹴って練習する。あうん、橙の二人は上達してきた。そろそろ、上空の練習をしても良さそうだ。
「それじゃあ、上に投げるよ。」
橙が鞠を上に投げ、あうんがタイミングを見計らって、飛んでお燐目掛けて鞠を蹴る。飛んできた鞠を蹴りあげて、あうんが蹴り落とす。
「ちょっと!?」
橙はもうスピードで落ちてきた鞠に恐怖を感じて逃げる瞬間。球場の一部にクレーターができた。
「あうん!?力一杯蹴りすぎだよ!紫様に何て言えば…」
「ごめんなさい。」
一部クレーターになっている部分の修復作業を終わった三人は、地霊殿に帰った。
話は進みましたが前の話のようなトラブルも苦戦もなくトントン拍子に話が進んでいて少し拍子抜けしました
地面にクレーターを作るあうんちゃんが特に面白かったです