博麗神社の境内を掃き掃除しているのは、博麗の巫女の博麗霊夢だ。いつもは人間の参拝客が来るのを期待しているのだが、来るのは妖怪や妖精の類いだ。
人間も来るのだが、賽銭はせずに霊夢の顔を見に来る者ばかりだ。時々、御裾分けで野菜やお菓子を貰うことがある。霊夢は妖怪、妖精、亡霊等に好かれている。
すると、博麗神社に白黒魔法使いの霧雨魔理沙が大量の茸を持ってやって来た。どうやら、御裾分けに来たらしいが、明らかに食用茸が少ない。魔理沙は食用茸だけを霊夢に渡した。
「霊夢!この茸で何か作ってくれよ。」
魔理沙は茸で何かを作ってもらうために、朝食も抜いてきたようだ。霊夢は暫く考えて、台所に向かい一時間後。
「茸の炊き込みご飯だけど、良いわよね?」
「文句ないぜ!」
魔理沙は茸の炊き込みご飯を勢いよく食べ始めると、途中で喉に詰まり苦しそうだ。霊夢は冷静にお茶をゆっくりと魔理沙に飲ませる。
「助かったぜ…」
「急いで食べるからよ。誰も取らないから、ゆっくり食べて。」
「霊夢は食べたのか?」
「朝食なら既に食べてるわよ。」
「え―!?霊夢と一緒に食べたいから、持ってきたのに…」
魔理沙はショボーンとした
表情で落ち込んでいる。霊夢は魔理沙の頭を撫でながら抱き締める。
「夕飯食べに来なさいよ。同じのでもよかったら…」
霊夢からの夕飯の誘いに、魔理沙は嬉しそうな表情で神社を出ていった。片付けをした後で、縁側でお茶を飲み暇を潰す。
「この気配は…」
霊夢が気配を感じ取り、後ろを向くと。古明地こいしが霊夢の背中に張り付いていた。悪戯な笑みを浮かべるこいしは、霊夢から離れる。
「こいし…いつからいたのよ?」
「ん?今日の深夜からいたの。無意識だから仕方無いよね…」
「無意識ね。私に張り付いていたのも、無意識なのね…?」
「それより霊夢。お茶頂戴!」
「わかったわかった。待ちなさいよ。」
こいしが縁側で待って、霊夢がこいしにお茶と茶菓子を出す。茶菓子を見て、霊夢に視線を向ける。食べて良いのか気にしているようだ。
「私の気紛れよ。だけど、内緒にね。」
「わかった!」
こいしは茶菓子を食べると、目を輝かせる。嬉しそうだ。
「良い天気ね…」
「御馳走様!…眠い…」
こいしが霊夢を抱き締めたまま眠ってしまった。霊夢は呆れたが、されるがままだ。
「こいしも妖怪なのよね…妖怪に好かれる巫女も悪く………は!何考えてるのよ私は!」
霊夢はこいしの帽子を取り、頭を撫でる。
「サラサラだ。」
霊夢が撫でるのをやめると、こいしは魘される。
「イヤ…行かないで…霊夢…」
「私はこいしの傍から離れないわ…安心して…」
霊夢はこいしを片手で抱き寄せて、ゆらゆらと揺れると、こいしの表情が穏やかになる。
「そろそろ、夕方ね。文。隠れてないで、出てきなさい。」
神社の裏から射命丸文が出てきた。
「あやや。バレてましたか?こいしさん…寝てますね。」
「起こさな……起きちゃったわね。おはよ…こいし。」
「……おはよ…霊夢…」
「こいし。今日は泊まっていきなさいよ。」
「良いの?」
「構わないわ。文はどうする?てか、泊まれ。じゃないと、今日撮った写真全て処分ね。」
「仕方ありませんね。写真を処分されるのは、困りますから…今日は泊まりますよ。」
こいし、文は神社に泊まることに。
「霊夢!茸……こいしと文も一緒か?」
「魔理沙も泊まりなさいよ。てか、強制ね。」
「わかったぜ!夕飯頼むぜ!」
こいし、文、魔理沙は霊夢が作った茸の炊き込みご飯を食べ終わった。その後…
温泉に入り、4人が同じ布団で眠った。