人里に来ていたルーミアは、ぶらぶらと歩きながら散策していると、大量の本を抱えて歩いている少女、本居小鈴を見かけた。見るからに危なげだ。
「小鈴!?危ないのだー!」
ルーミアは小鈴を抱えて、倒れないようにしている。
「ありがとう。ルーミア。助かったよ。」
「大量の本…どうしたのだー?」
「返却本を取りに行った帰りなんだけど、ちょっと疲れちゃって。」
「私も手伝うのだー」
「そう?じゃあ…お願いね。」
「わはー」
小鈴の持っている大量の本の半分をルーミアに持たせてみると、軽々と本を持ち上げる。
「ルーミア。重たくない?」
「軽いのだー」
「ルーミア。お礼にかき氷御馳走してあげるね。」
「良いかー?」
「手伝ってくれたお礼だよ。」
「わはー」
鈴奈庵に到着すると、小鈴はルーミアに頼み事をする。
「少しの間だけ、待ってもらってもいいかな?本のチェックとかき氷の準備をしてくるから。」
「わかったのだー」
小鈴はルーミアを店内に残して、奥の部屋に行った。ルーミアはソファーに座るなり、本棚の本を読んだりして暇を潰した。
「この本は…わからないのだー」
ルーミアは本棚から黒い表紙の本を発見して読んでみるが、何が書いてあるのかわからないようだ。
「仕舞っとくのだー」
「ルーミア。かき氷の準備出来たから上がってきて。」
「わかったのだー」
ルーミアは黒い本を本棚に戻して、小鈴の元に向かう。たが、ルーミアが戻した黒の本から禍々しいオーラが漂っていた。
小鈴の部屋でかき氷を嬉しそうに頬張るルーミアを見て、クスリと笑う小鈴。
「むー。何で笑うのだ―」
「ルーミアの食べ方が…ぷっ!」
「笑うなー!」
ルーミアが頬を膨らませると、小鈴の指がルーミアの頬を押すと、ぷしゅーと萎んだ。
「私は妖怪だぞー!ガオー!」
「それだと虎になっちゃうよ?」
「食べちゃうぞー」
ルーミアは小鈴に抱きついて、押し倒している。
「る、ルーミア!?食べないよね!?」
「小鈴とお昼寝するのだー!そしたら食べない。」
「仕方ないね。一緒にお昼寝しよ。」
ルーミアと小鈴は布団に入ると、眠気が来たのか眠ってしまった。
夜明け前に小鈴はルーミアを鈴奈庵の外までお見送りする。
「ルーミア…大丈夫?眠くない?」
「大丈夫なのか~」
ルーミアは眠いのか、テンションがおかしいことになっている。
「それじゃあなのだ~」
小鈴はルーミアが帰るのを見送ると、部屋に戻ろうとした。だが、ソファーに黒い本が置きっぱなしになっていた。
「こんな本。売り物にあったかな?」
小鈴は黒い本に触れた瞬間。導かれるように本を開き読み始める。
博麗神社ではいつものように、霊夢が境内の掃き掃除を行っていると、物凄いスピードで射命丸が突っ込んできた。
「危ないわよ!夢想封印(物理)!」
霊夢の右ストレートが炸裂して、射命丸の横腹に命中する。
「あややや!?霊夢さん!痛いじゃないですか!?私が人間だったら死んでますよ!」
「あんたが突っ込んできたせいで、掃除がやり直しになったんだけど。掃除を手伝ってもらうわよ。御賽銭もしなさい。」
物凄い睨みで、射命丸を見る。
「わかりましたよ。掃除手伝います。」
「で、私に何かよう?急いでたんでしょ。」
霊夢は掃除しながら、射命丸の用件を聞くことにした。
「博麗の巫女に依頼を頼みたいの。」
射命丸の記者モードではない、話し方で霊夢に頼み込んできた。
「妖怪の貴女が、博麗の巫女に依頼…人里関係?それとも、幻想郷での危機的なもの?どっち?」
「ある妖怪が噂をしてたんだけど、人間の少女に妖怪が討伐されている噂。気にならない?」
「殺し…規模は?」
「10~20。もっといるかもしれないけど。どうする?」
「他にわかっていることは?全て言いなさい。」
「降参よ。人間の少女以外に、黒の妖怪が他の妖怪を殺してるのよ。」
射命丸からの資料を受け取って読み進める。
「この内容だと、人里を攻め込められるわね。でも、黒の妖怪も他の妖怪を殺してる?まさか、全ての妖怪を殲滅するつもりじゃあ…」
「そうなったら、幻想郷のバランスが崩れかねないわね。博麗の巫女…貴女の判断に任せるわ。」
「射命丸文。他の勢力のトップに通達しなさい。人里には、妖怪の襲撃に警戒するように情報を流して。博麗の巫女、博麗霊夢としての依頼よ。」
「巫女の依頼なら断るわけにはいきませんね。」
霊夢は射命丸に書状を渡した。
「確かに…受け取りました。」
射命丸は博麗神社を出て行った。