博麗神社は今日もたくさんの人妖が集まる。
「よー、霊夢! 寒いからこたつ借りてくぜ……ってありゃ?」
霊夢は留守だった。誰もこたつには入ってない。
「こんな素敵なこたつがあるっていうのに、誰も使ってないなんて勿体無い! この霧雨魔理沙がたんと使ってやろう」
靴を脱ぎ、博麗神社にお邪魔して、畳に座り、こたつに入る。しかし。
「……なんだ、こたつに足が入らないぞ?」
寒い季節にこたつ、というのは例えるなら『砂漠の中のオアシス』なのである。
そして、こたつの中では一種の戦争が起こっていたのであった……。
「ふふふ、魔理沙。ごめんね、悪いけどこたつはこの……」
柱にでも隠れていたのか、突然現れたのは白玉楼の魂魄妖夢。ウザいくらいのしたり顔で現れた。
「魂魄妖夢がいただいた!!」
「……この足に当たってるのってもしかして、半霊か?」
「ご名答っ!!」
なるほど、魂魄妖夢は自身の片割れである半霊をこたつに入れることで、体を温めているらしい。
「これなら全身をこたつの中に入れられるでしょ?」
なかなかの名案でしょ、とにやにやしている。
「でもさ、半人の方は外に出てるわけじゃん」
「……うん」
「お前、寒くないの?」
「寒い」
しかし、世の中そんな上手くいくわけはない。
「じゃあ魔理沙、私もこたつに入れてよ」
「入れてやりたいのは山々なんだが、お生憎様、私すら足を入れられないんだよ」
「えっ? そんなはずは……だって半霊が入ったってまだスペースは全然あるはず……」
「ふふふ、悪いがお前たちには譲れないよ」
そんな言葉が聞こえたかと思いきや、こたつを見るとひょっこりと頭を出している伊吹萃香がいた。
「魔理沙、妖夢……悪いがこのこたつはこの伊吹萃香が支配した。もしもこのこたつを奪い返したいなら、私も本気を出さなくちゃいけないなぁ」
「これまた厄介な敵が現れたな」
「伊吹萃香……さっきまではいなかったはずなのに、どうして」
魔理沙は警戒心を高め、妖夢は困惑した。
「簡単なことさ。私の能力は知ってるだろう?」
「……『密と疎を操る程度の能力』つまり、霧になって姿を隠してたってわけか」
「その通り」
伊吹萃香は自身の密度を下げることで、霧状になることができる。それは簡単には見つからない。
「でも大丈夫なんですか、萃香さん」
「ん? どういうこと?」
隣の妖夢が喋り始める。
「寒い早朝に、よく霧が出るでしょう? でも時間が経つにつれ消えるじゃないですか」
「あー、そうだなぁ。そんな気がする、不思議だよな」
「霧というのは、私もあんまり詳しくは知らないのですが、温度が上がっていくと消えてくみたいなんですよ。多分実際には消えるというより見えなくなるなんですが……妖気を帯びた特殊な霧の場合、仮にも消えてゆく場合どうなるのかなぁって。こたつの中って熱いですし」
「あはは、そりゃあ大丈夫だよ。霧は消えやしない、見えなくなるだけ。それが仮に特殊な霧であったとしても……」
急に真顔になった萃香。
なんとなく魔理沙は察した。
「やけにこたつに入ってるのに寒いなぁと思ってたら……こたつに入ってる部分、全部消えてるわ」
いくら鬼といえど、しばらく回復には時間がかかりそうだった。教訓『こたつの中で霧になってはいけない』
「だがそれでもおかしいよな、妖夢」
「ん? 何が、魔理沙?」
「だって萃香は霧になってたんだ。ならスペースを取らないじゃないか」
「言われてみると!」
「……ということは他に誰かいる」
「ふふふ、正解だよ魔理沙」
声はこたつの中から聞こえてきた。満を辞してこたつをめくってみる。
すると、まるで海辺でパラソルの下で涼んでるように、のんびり満喫している少名針妙丸がいるではないか。
「やあ、魔理沙。どう? こんなこたつの中で優雅に過ごせるなんて、これこそ小人族の特権だよ」
「よお針妙丸。確かに優雅そうに見えるが、えっと、暑くないのか?」
素直な疑問である。
「全然平気だよ、サウナみたいなもんさ」
「そ、そうか、ならいいが」
嘘。
全くの嘘である。
正直、今の針妙丸は瀕死。驚異の暑さの中、ギリギリ生き延びてる状況である。
「あはは、みんなみんな、この世界は私の大きさに合わせて出来ちゃいない。ほとんどが小人族には不便だ。でも、こたつだけは違う。こたつだけはこの針妙丸が一番有効に使えてるっ!! 小人族が最強なんだ!!」
こたつの中で謎の舞をしながら、針妙丸の笑い声が響き渡る。
魔理沙にはもう分かる、これは脱水状態で気が狂っていると。慌てて針妙丸を外に出し、水分補給をさせた。
「正邪ぁ……私の餅取らないでよぉ……」
「ぐっすり寝てるな」
「寝言で何か言ってるけど……」
「まあ針妙丸も疲れてるんだろ」
妖夢の半霊もこたつから出し、萃香も離脱。針妙丸は冷ハンカチを額につけながら気持ちよく眠っている。もはやこたつに邪魔者はいない。
「半霊、追い出しちゃって良かったのか?」
「十分温まったはずだから、今度は私の番!」
「そうか、よし、今度こそこたつに入ろう」
魔理沙はもう冷えに冷えまくってるのだ。
ようやくその足をこたつに入れられる。しかし。
「全く暖かくない」
「うーん、どうして?」
再びこたつの中を覗いてみると、なんと謎の魔法陣が存在していた。
「これはパチュリーの魔法陣……?」
「なんでこんなところに魔法陣が」
「ふーん、なるほどね」
魔理沙は察した。博麗神社までの寒い道のりを耐えてもないくせに、こたつの温もりを横取りしようとしているやつがいることを。
「これは転移魔法だ。このこたつの熱気を横取りしてるやつがいる」
「そ、それはずるいよっ!!」
「あぁ、ずるいな。ならば、こちらも一つ考えがある」
ところ変わって紅魔館。
こたつというのものに興味津々だったパチュリー・ノーレッジは、こたつの熱気だけを奪い取り、図書館に暖房として送り込んでいた。
「暖かいですね〜。パチュリー様〜」
「ふふ、霊夢には悪いけど、冬の紅魔館の寒さを凌ぐため……ごめんなさいね」
だがしばらくすると、徐々に寒くなっていくではないか。
「ささささ寒いですね……パチュリー様……」
「な、なぜこんなに寒いの!? 魔法陣は!?」
慌てて魔法陣を設置した台の元へ向かうと、そこにはもう一つの魔法陣が発動されていた。
「これは……! 魔法陣の上に別の魔法陣を用意することで、全然違う場所からの空気を送り込んでる……」
そしてところ戻って博麗神社。
霧雨魔理沙はにやにやしていた。
「悪いな、パチュリー。外のさっむい空気をお前に譲ってやったぜ」
「パチュリーには悪いけど、自業自得だよ! ここまで来る努力はせめてしないとね」
安心しきった魔理沙と妖夢は再び、こたつに足を入れた。
ところで永遠亭では八意永琳が血迷っていた。
「できたわ、『体がポカポカする薬』」
「やったーーー! さすが永琳ーー!」
あまりの寒波で限界を迎えた永琳は、漢方で済むであろうところを必死に研究し、なんと飲んだ瞬間に体が温まる薬を開発したのである。
「良かったですね、姫様!」
「頑張ってくれた永琳とイナバのおかげよ。ありがとう」
「では、まずは私が毒味を」
と言いつつ、永琳は隣にいた鈴仙に飲ませた。
「温かいっ!!」
「どれどれ、では私も……うん、温かいわね」
「じゃあ私もっ。ポカポカして温かい!」
ポカポカする中、永琳は思った。
結構材料にお金がかかったし、生産には時間もかかる。そのくせ、効果時間は短い。
これはこたつを買った方が早いのでは、と……。
血迷った永遠亭はさておき、再びここは博麗神社。念願のこたつに入り、満足そうな霧雨魔理沙と魂魄妖夢であった。
「ふぅ、やっぱりこたつは良いな」
「魔理沙のおかげでようやく温まれたよ。ありがとう」
「私は自分のために頑張っただけさ。褒めないでくれ」
「魔理沙は素直じゃないよね〜」
「うるさい」
しかし感動も束の間、こたつの中が再び冷えてゆくではないか。
「もしかしてまたパチュリーか……? もう怒ったっ!! こうなったら、くらえ、マスタァァァァァァァーーーーーーーっ!!!!」
こたつの中では、一つのスキマがあった。
そのスキマの先は白玉楼に繋がっている。
「ごめんなさいね、妖夢は今出かけていて……」
「急に邪魔した私と紫が悪いのよ。気にしないで」
「そういえば霊夢、最近あなた、こたつでだらけ過ぎじゃない?」
「こたつはつい入っちゃうのよ。仕方ないじゃない」
その会話を聞いて西行寺幽々子は。
「……紫、こたつが欲しいわ」
「幽々子ったら、またワガママ言って。うーん、用意できないってことはないけど……あれは人を堕落させるものだから……」
「私は亡霊よ」
「そういうことを言ってるんじゃなくてね」
「そういえば紫の能力を使えば、こたつの熱気だけを持ってくることとかできるんじゃないの? この部屋少し寒いし」
「……まあ幽々子にはこたつの熱気がどれだけ人をダメにするのかを教えたいし、試しにやってみても良いかしら。博麗神社のこたつの中とここをスキマで繋いで」
三人の座ってる目の前に、スキマを召喚した。
「あら、温かい風」
「これがこたつの熱気というものよ、幽々子」
「……これ使えばこたつの外でも温まれるじゃない! 毎日やってくれない? 紫?」
「甘え過ぎよ、霊夢」
そのスキマの中から聞き覚えのある声が。
「ん?」
「マスタァァァァァァァーーーーースパァァァァァァァーーーーーーークッッ!!」
翌日、魔理沙はたんこぶをいくつも頭につけ、正座で霊夢に説教された。
おわり
「よー、霊夢! 寒いからこたつ借りてくぜ……ってありゃ?」
霊夢は留守だった。誰もこたつには入ってない。
「こんな素敵なこたつがあるっていうのに、誰も使ってないなんて勿体無い! この霧雨魔理沙がたんと使ってやろう」
靴を脱ぎ、博麗神社にお邪魔して、畳に座り、こたつに入る。しかし。
「……なんだ、こたつに足が入らないぞ?」
寒い季節にこたつ、というのは例えるなら『砂漠の中のオアシス』なのである。
そして、こたつの中では一種の戦争が起こっていたのであった……。
「ふふふ、魔理沙。ごめんね、悪いけどこたつはこの……」
柱にでも隠れていたのか、突然現れたのは白玉楼の魂魄妖夢。ウザいくらいのしたり顔で現れた。
「魂魄妖夢がいただいた!!」
「……この足に当たってるのってもしかして、半霊か?」
「ご名答っ!!」
なるほど、魂魄妖夢は自身の片割れである半霊をこたつに入れることで、体を温めているらしい。
「これなら全身をこたつの中に入れられるでしょ?」
なかなかの名案でしょ、とにやにやしている。
「でもさ、半人の方は外に出てるわけじゃん」
「……うん」
「お前、寒くないの?」
「寒い」
しかし、世の中そんな上手くいくわけはない。
「じゃあ魔理沙、私もこたつに入れてよ」
「入れてやりたいのは山々なんだが、お生憎様、私すら足を入れられないんだよ」
「えっ? そんなはずは……だって半霊が入ったってまだスペースは全然あるはず……」
「ふふふ、悪いがお前たちには譲れないよ」
そんな言葉が聞こえたかと思いきや、こたつを見るとひょっこりと頭を出している伊吹萃香がいた。
「魔理沙、妖夢……悪いがこのこたつはこの伊吹萃香が支配した。もしもこのこたつを奪い返したいなら、私も本気を出さなくちゃいけないなぁ」
「これまた厄介な敵が現れたな」
「伊吹萃香……さっきまではいなかったはずなのに、どうして」
魔理沙は警戒心を高め、妖夢は困惑した。
「簡単なことさ。私の能力は知ってるだろう?」
「……『密と疎を操る程度の能力』つまり、霧になって姿を隠してたってわけか」
「その通り」
伊吹萃香は自身の密度を下げることで、霧状になることができる。それは簡単には見つからない。
「でも大丈夫なんですか、萃香さん」
「ん? どういうこと?」
隣の妖夢が喋り始める。
「寒い早朝に、よく霧が出るでしょう? でも時間が経つにつれ消えるじゃないですか」
「あー、そうだなぁ。そんな気がする、不思議だよな」
「霧というのは、私もあんまり詳しくは知らないのですが、温度が上がっていくと消えてくみたいなんですよ。多分実際には消えるというより見えなくなるなんですが……妖気を帯びた特殊な霧の場合、仮にも消えてゆく場合どうなるのかなぁって。こたつの中って熱いですし」
「あはは、そりゃあ大丈夫だよ。霧は消えやしない、見えなくなるだけ。それが仮に特殊な霧であったとしても……」
急に真顔になった萃香。
なんとなく魔理沙は察した。
「やけにこたつに入ってるのに寒いなぁと思ってたら……こたつに入ってる部分、全部消えてるわ」
いくら鬼といえど、しばらく回復には時間がかかりそうだった。教訓『こたつの中で霧になってはいけない』
「だがそれでもおかしいよな、妖夢」
「ん? 何が、魔理沙?」
「だって萃香は霧になってたんだ。ならスペースを取らないじゃないか」
「言われてみると!」
「……ということは他に誰かいる」
「ふふふ、正解だよ魔理沙」
声はこたつの中から聞こえてきた。満を辞してこたつをめくってみる。
すると、まるで海辺でパラソルの下で涼んでるように、のんびり満喫している少名針妙丸がいるではないか。
「やあ、魔理沙。どう? こんなこたつの中で優雅に過ごせるなんて、これこそ小人族の特権だよ」
「よお針妙丸。確かに優雅そうに見えるが、えっと、暑くないのか?」
素直な疑問である。
「全然平気だよ、サウナみたいなもんさ」
「そ、そうか、ならいいが」
嘘。
全くの嘘である。
正直、今の針妙丸は瀕死。驚異の暑さの中、ギリギリ生き延びてる状況である。
「あはは、みんなみんな、この世界は私の大きさに合わせて出来ちゃいない。ほとんどが小人族には不便だ。でも、こたつだけは違う。こたつだけはこの針妙丸が一番有効に使えてるっ!! 小人族が最強なんだ!!」
こたつの中で謎の舞をしながら、針妙丸の笑い声が響き渡る。
魔理沙にはもう分かる、これは脱水状態で気が狂っていると。慌てて針妙丸を外に出し、水分補給をさせた。
「正邪ぁ……私の餅取らないでよぉ……」
「ぐっすり寝てるな」
「寝言で何か言ってるけど……」
「まあ針妙丸も疲れてるんだろ」
妖夢の半霊もこたつから出し、萃香も離脱。針妙丸は冷ハンカチを額につけながら気持ちよく眠っている。もはやこたつに邪魔者はいない。
「半霊、追い出しちゃって良かったのか?」
「十分温まったはずだから、今度は私の番!」
「そうか、よし、今度こそこたつに入ろう」
魔理沙はもう冷えに冷えまくってるのだ。
ようやくその足をこたつに入れられる。しかし。
「全く暖かくない」
「うーん、どうして?」
再びこたつの中を覗いてみると、なんと謎の魔法陣が存在していた。
「これはパチュリーの魔法陣……?」
「なんでこんなところに魔法陣が」
「ふーん、なるほどね」
魔理沙は察した。博麗神社までの寒い道のりを耐えてもないくせに、こたつの温もりを横取りしようとしているやつがいることを。
「これは転移魔法だ。このこたつの熱気を横取りしてるやつがいる」
「そ、それはずるいよっ!!」
「あぁ、ずるいな。ならば、こちらも一つ考えがある」
ところ変わって紅魔館。
こたつというのものに興味津々だったパチュリー・ノーレッジは、こたつの熱気だけを奪い取り、図書館に暖房として送り込んでいた。
「暖かいですね〜。パチュリー様〜」
「ふふ、霊夢には悪いけど、冬の紅魔館の寒さを凌ぐため……ごめんなさいね」
だがしばらくすると、徐々に寒くなっていくではないか。
「ささささ寒いですね……パチュリー様……」
「な、なぜこんなに寒いの!? 魔法陣は!?」
慌てて魔法陣を設置した台の元へ向かうと、そこにはもう一つの魔法陣が発動されていた。
「これは……! 魔法陣の上に別の魔法陣を用意することで、全然違う場所からの空気を送り込んでる……」
そしてところ戻って博麗神社。
霧雨魔理沙はにやにやしていた。
「悪いな、パチュリー。外のさっむい空気をお前に譲ってやったぜ」
「パチュリーには悪いけど、自業自得だよ! ここまで来る努力はせめてしないとね」
安心しきった魔理沙と妖夢は再び、こたつに足を入れた。
ところで永遠亭では八意永琳が血迷っていた。
「できたわ、『体がポカポカする薬』」
「やったーーー! さすが永琳ーー!」
あまりの寒波で限界を迎えた永琳は、漢方で済むであろうところを必死に研究し、なんと飲んだ瞬間に体が温まる薬を開発したのである。
「良かったですね、姫様!」
「頑張ってくれた永琳とイナバのおかげよ。ありがとう」
「では、まずは私が毒味を」
と言いつつ、永琳は隣にいた鈴仙に飲ませた。
「温かいっ!!」
「どれどれ、では私も……うん、温かいわね」
「じゃあ私もっ。ポカポカして温かい!」
ポカポカする中、永琳は思った。
結構材料にお金がかかったし、生産には時間もかかる。そのくせ、効果時間は短い。
これはこたつを買った方が早いのでは、と……。
血迷った永遠亭はさておき、再びここは博麗神社。念願のこたつに入り、満足そうな霧雨魔理沙と魂魄妖夢であった。
「ふぅ、やっぱりこたつは良いな」
「魔理沙のおかげでようやく温まれたよ。ありがとう」
「私は自分のために頑張っただけさ。褒めないでくれ」
「魔理沙は素直じゃないよね〜」
「うるさい」
しかし感動も束の間、こたつの中が再び冷えてゆくではないか。
「もしかしてまたパチュリーか……? もう怒ったっ!! こうなったら、くらえ、マスタァァァァァァァーーーーーーーっ!!!!」
こたつの中では、一つのスキマがあった。
そのスキマの先は白玉楼に繋がっている。
「ごめんなさいね、妖夢は今出かけていて……」
「急に邪魔した私と紫が悪いのよ。気にしないで」
「そういえば霊夢、最近あなた、こたつでだらけ過ぎじゃない?」
「こたつはつい入っちゃうのよ。仕方ないじゃない」
その会話を聞いて西行寺幽々子は。
「……紫、こたつが欲しいわ」
「幽々子ったら、またワガママ言って。うーん、用意できないってことはないけど……あれは人を堕落させるものだから……」
「私は亡霊よ」
「そういうことを言ってるんじゃなくてね」
「そういえば紫の能力を使えば、こたつの熱気だけを持ってくることとかできるんじゃないの? この部屋少し寒いし」
「……まあ幽々子にはこたつの熱気がどれだけ人をダメにするのかを教えたいし、試しにやってみても良いかしら。博麗神社のこたつの中とここをスキマで繋いで」
三人の座ってる目の前に、スキマを召喚した。
「あら、温かい風」
「これがこたつの熱気というものよ、幽々子」
「……これ使えばこたつの外でも温まれるじゃない! 毎日やってくれない? 紫?」
「甘え過ぎよ、霊夢」
そのスキマの中から聞き覚えのある声が。
「ん?」
「マスタァァァァァァァーーーーースパァァァァァァァーーーーーーークッッ!!」
翌日、魔理沙はたんこぶをいくつも頭につけ、正座で霊夢に説教された。
おわり
こたつひとつで話が盛り上がっていて読んでいて楽しかったです
こたつでバカンスを楽しむ針妙丸が特にかわいらしかったです