外の世界のものなんてろくに見た事が無い。それは香霖堂だったり、菫子が持ってきたり、その程度しか無かったはずなのに。それか、魔理沙がとても楽しそうに見せびらかしてくるかとか。「霊夢、珍しいものを見つけたから一緒に見に行こうぜ」とか、何とか。
それなのに……
カンカンカン……この鳴り響くこの音はなんだろう。
カンカンカン……この目の前にある黄色と黒の棒はなんだろう。
そもそもなんで私はこんなところにいるんだろう。
*
発端は別に何も無かったはずなのに。私の余計なことを聞いたからかもしれない。
「ねえ菫子、あんたここにいてていいの? お昼だけど」
縁側の部屋でごろごろとみっともなく回る菫子。
「いいのいいの。昼寝してたって私に話しかけてくるやつなんて居ないわよ」
そんなことを言いながら机の上のおせんべいを取ろうとする。私はそれを叩いて阻止をした。
「みっともないわよ」
「ちぇっ。お母さんかな……」
あんたの母親になったつもりなんて無いわよ。不思議なことを言うわね。そんなことを思いながら叩いた手をそのままおせんべいを摘んで一口入れた。
「あーっ、酷いわ。レイムッチばっかり食べてー」
バリバリと食べて飲み込む。
「みっともない食べ方をするからよ。ちゃんと座りなさいな」
はーい、と菫子は座っておせんべいに手を伸ばした。
「そういえばレイムッチは外の世界に興味は無いの?」
「無いわね。私はここでいいのよ」
何を唐突に言われるのだろうか。菫子は私に何をさせたいのだろうか。紫みたいに人を操るとは思えないけれど、それでも疑問に思った。
「ふうん、少しだけ外に出てみないの?」
「出ないわよ。ここでお散歩ぐらいならするけれど外の世界は違うわよ。私の住む世界じゃないのよ」
ふーんと、興味は無さそうに話した菫子は後ろを向いた。
「そっか。……あっ、そろそろ起きそうかな。帰るよ」
「ここに来てもまた何も無いけどね」
嘘ばっかりーって叫んで菫子は消えていった。いつも思うけれどどうやって消えているんだろうか。
「……外の世界って何があるんだろう」
そう呟いて、私は居眠りを始めていた。
*
カンカンカン……なんの音だろう。
カンカンカン……うるさい。私の眠りを妨げないで。
カンカンカン……うるさい!うるさい!
思わず目を開けるとゴウっと私の目の前に何が通っていく。ガタンゴトンと大きな音を鳴らしてそれは通り過ぎていく。
私の髪の毛をさらっていって思わず頭を押さえた。
な、何! 通り過ぎて行ったものを良く見るとあれは「列車」だった。紫に教えてもらった外の世界の乗り物、らしい。実際に動いているのは初めて見た。
そんなことを考えながら周りを見渡すと人が一人もいなかった。
ここはどこだろう、幻想郷なのかしら。
よくよく見渡すと知らない地名。外の世界なのかしら。辺りを見渡したくて空を飛ぼうとしたら体が重くて飛べはしなかった。
あれ、どうしてだろう。普段なら飛べるはずなのに。
謎が謎を呼んでいて理解が出来なかった。飛べない体をどうするかが問題だった。
カンカンカン
私の前の何がうるさい音を立てて棒が降りてきた。
なんだろうこれ。立ち尽くす中で何ができるかとか思わずにはいられなかった。
大きな音が鳴る、見えない向こうから何が来る音がする。
私の前にまた「列車」が通り過ぎて行った。
私はただそれを見ていただけだった。一歩も歩かず、ただ見ていた……だけだった。
それなのに……
カンカンカン……この鳴り響くこの音はなんだろう。
カンカンカン……この目の前にある黄色と黒の棒はなんだろう。
そもそもなんで私はこんなところにいるんだろう。
*
発端は別に何も無かったはずなのに。私の余計なことを聞いたからかもしれない。
「ねえ菫子、あんたここにいてていいの? お昼だけど」
縁側の部屋でごろごろとみっともなく回る菫子。
「いいのいいの。昼寝してたって私に話しかけてくるやつなんて居ないわよ」
そんなことを言いながら机の上のおせんべいを取ろうとする。私はそれを叩いて阻止をした。
「みっともないわよ」
「ちぇっ。お母さんかな……」
あんたの母親になったつもりなんて無いわよ。不思議なことを言うわね。そんなことを思いながら叩いた手をそのままおせんべいを摘んで一口入れた。
「あーっ、酷いわ。レイムッチばっかり食べてー」
バリバリと食べて飲み込む。
「みっともない食べ方をするからよ。ちゃんと座りなさいな」
はーい、と菫子は座っておせんべいに手を伸ばした。
「そういえばレイムッチは外の世界に興味は無いの?」
「無いわね。私はここでいいのよ」
何を唐突に言われるのだろうか。菫子は私に何をさせたいのだろうか。紫みたいに人を操るとは思えないけれど、それでも疑問に思った。
「ふうん、少しだけ外に出てみないの?」
「出ないわよ。ここでお散歩ぐらいならするけれど外の世界は違うわよ。私の住む世界じゃないのよ」
ふーんと、興味は無さそうに話した菫子は後ろを向いた。
「そっか。……あっ、そろそろ起きそうかな。帰るよ」
「ここに来てもまた何も無いけどね」
嘘ばっかりーって叫んで菫子は消えていった。いつも思うけれどどうやって消えているんだろうか。
「……外の世界って何があるんだろう」
そう呟いて、私は居眠りを始めていた。
*
カンカンカン……なんの音だろう。
カンカンカン……うるさい。私の眠りを妨げないで。
カンカンカン……うるさい!うるさい!
思わず目を開けるとゴウっと私の目の前に何が通っていく。ガタンゴトンと大きな音を鳴らしてそれは通り過ぎていく。
私の髪の毛をさらっていって思わず頭を押さえた。
な、何! 通り過ぎて行ったものを良く見るとあれは「列車」だった。紫に教えてもらった外の世界の乗り物、らしい。実際に動いているのは初めて見た。
そんなことを考えながら周りを見渡すと人が一人もいなかった。
ここはどこだろう、幻想郷なのかしら。
よくよく見渡すと知らない地名。外の世界なのかしら。辺りを見渡したくて空を飛ぼうとしたら体が重くて飛べはしなかった。
あれ、どうしてだろう。普段なら飛べるはずなのに。
謎が謎を呼んでいて理解が出来なかった。飛べない体をどうするかが問題だった。
カンカンカン
私の前の何がうるさい音を立てて棒が降りてきた。
なんだろうこれ。立ち尽くす中で何ができるかとか思わずにはいられなかった。
大きな音が鳴る、見えない向こうから何が来る音がする。
私の前にまた「列車」が通り過ぎて行った。
私はただそれを見ていただけだった。一歩も歩かず、ただ見ていた……だけだった。