おかしい、同じく悪さをする妖怪なのに風見幽花と自分の評判の違い過ぎる。」
気になる天邪鬼の女の子、鬼人正邪
悪が足りない故の侮りと思い、小悪を繰り返した。
悪声は上がらず。かえって、放っておいて安心な小物と認識され評判は据え置いている
なぜ、鬼人正邪は考え込む。
見れば、対抗馬の幽花は野菜や果物をお裾分けしたりしている。
特に悪事の限りを行っているわけではない。
たまに制裁を加えているとおもえば、それは花壇を荒らす者への懲らしめだったりする。当為たる処断は悪事でなくむしろ善事に近い。
評判倒しではないか。なんだというのだ。
嫌な思いなら霊夢や紫の方が多い、種類さえ問わなけの迷惑もば守家の迷惑も相当なものだ。
なのに皆幽花ばかり恐れ敬う。
鬼人正邪はちょっと空を見る。いや、敬ってはいないかも。
これだから志の低い庶民は嫌になる
イメージだ。幽花は怖いものだという影に怯えているのだ。
慣習は王だ。あの力ばかり強い小物どもは王に屈服し真実を見る勇気が無いのだ
今こそ精神に革新の時ぞ。幽花はそんなに怖くない。そして真に怖い存在はこの私、正邪ちゃんは怖い。
だが、馬鹿を活眼させることは難しい。どうすれば。
鬼人正邪は肩をすくめて笑った。
私の悪い癖だ。理屈を言うくせに実践は躊躇する。
私自信が、幽花と対峙せねばならない。
でも、その前に、ちょっとアリスに聞きに行こう。
「え?上海 なに お客さん?」
アリスの玄関先で、上海と呼ばれる人形にもてなされた。
端から見るとかわいらしい
だが、あれは一人でやっている。上海人形を操っているのはアリス本人であり、「え?お客さん?」というのもすでに知っての言葉である。
そして、アリスはくだらないことばっかり言う。
「誰も人形のかわいらしさをわかってくれない。」
当たり前だ。血を求めてぎらつく武装が気になって顔かたちなんか憶えていられない。
本体もあらゆる意味で目立ちまくっている。
アリスとの会話に辟易して、風見幽香のことを聞くのがおっくうになった。
ふんだ、聞かなくたっていい。
そして風見幽香と対峙する。
「お前は影だ、風見幽花」
「あら、気がつかなかったわ」風見幽香が脇に退いたため正邪に日光が当たる。
「そういうことじゃないんだよ、お前は恐怖の帝王なんかじゃない。」
「そうよ。わたしはサンタクロースだからね。いいこにプレゼントをあげるわ」
「それはなんなんだ」
「ミカンよ」量手のひらに余る黄色い柑橘系の果物を差し出しながら風見幽香は言った。
「大きいな。かぼすではないのか」
「かぼすはあっちにあるわ。」
見ればしなりきった枝の先に子馬ほどの黄色い塊が地面に付いている
「大きく育ちすぎて鉈を使っても皮を貫通しないのよ。刀を借りるしかないみたいなの」
ふん、と鼻を鳴らした正邪は、今し方風見幽香から渡されたかぼす大のミカンの皮をむき、剥き出しの実を口も付けずにその場に投げ捨てた。
「下克上だ、風見ゆうか、本当の恐怖の帝王が誰か教えてやる。リバースイデオロギー!!」
正邪ちゃんのテーマ曲が流れ始め、軽快な前奏の中、日傘を差したままの姿勢からはなたれた風見幽香の軽いトゥーキックがみぞおちに入り正邪を浮かせる。胃液を吐きその場に崩れ落ちる正邪。テーマ曲は第一楽章第一節で止まる。
「みかんが嫌いなの?」風見幽香は笑顔で尋ねる。
「いえ、大好きです。うっかりとりおとしていしまいました。もったいないからいただきます」弱気になる鬼人正邪
「落ちたものを食べるのはやめなさい。落ちたものはもう大地のもの。新しい樹木になる権利を得た種子なのだから。」
と言って新しいミカンを木からもいでくれる。
今正に目と鼻と口から汁をたらしている正邪にミカンを食べるように風見幽香は進める。
「…このミカンさくさくしてますね。それと、血と胃液の味がする」
「みかんとリンゴを融合してみたの。どう?」
「…。はい。」
「どう?」
「…、ここの果物はみんなこんなキメラなのですか」
「いいえ、キメラはたったの七割。味はどうなのよ」
「まずいよ!」鬼人正邪はイライラする。
「そう。失敗ね。それじゃあ全部持って行って」
「不味いっていったんだよ!」
「不味いなら持って行ってもらわないと困るじゃ無い」
「持って行ったら私が困るだろう?」
「だから?」
「…。」
「味の気に入った果物があればそれもあげるから。それならいいでしょう」
「いいこたあないよ!」
ゆうかりんは持っている傘を大地に突き刺し、正邪の肩に手を置く。オヤッという顔をした鬼人正邪の足を払う。
正邪はおへそを中心とした面回転で一回転をして再び元の姿勢で大地に立たされた。見えない時計の長針にくくりつけられて早送りをされたような感じ。五体満足なのに恐怖心が凄い。
「桃?メロン?天の邪鬼だから蓼なんか好きなのかしら?」
「だから…」
また一回転。また一回転。また回転。
「是非りんごミカンをおわけください」
「どのくらい?」
「なるべく少なく」
一回転。
「いくつ?」
「全部!」
「大丈夫なの
「大丈夫な訳あるか」
一回転
「…。全部ください」
「それじゃあ段ボールをあげるから詰めて持って行って」
「はい。」
「そうそう。モズがこの頃家の庭先に来るのよ。」風見幽香は傍らの樹木を見上げた。
「はあ」
「私が丹精込めて育てている果樹の枝に蛙が串刺しにされていてね、腹が立ったからそれをしたモズを串刺しにしてやったの。だけどやってみると楽しいものね。もっと大きなもので挑戦したくなったわ。ちょうどこの傘にいいくらいの大きさの獲物で。」
と正邪を見る。
「ああそうそう。段ボールだったわね。ちょっと待ってて。」
「…うう。」逃げたら串刺しにするんだろうな。
少女箱詰め中
「おいっ、りゅーこちゃん」お馬鹿さんで有名な氷妖精のチルノが鬼人正邪を発見する。
「正邪だよ、チルノちゃん。」
「そうそう。キルラキル!今日は何したの
「下克上」鬼人正邪の元気は無い。
「下克上かあ。あたいも今度混ぜろ」
「うん」
「それはなんですか」
「おみやげ」
「なんのおみやげ」
「下克上のおみやげ」
「そーなのかー」闇の妖怪ルーミアちゃんがほがらかに納得する。
「いやいや、ルーミアちゃん、なにがそうなのかさっぱりだよ。どうすれば下克上をしてお土産をもらう顛末になるんですか」真面目な大妖精こと大ちゃん。
「あの2p巫女じゃないが、幻想郷では常識にとらわれていてはいけないらしい。そうだ、お前達にこれをやるよ」
「果物?ゆうかさんに下克上したんですか」
「うん」
「命知らずなのかー」ルーミアは笑顔。
「ゆうかさん元気でした?」とムシの妖怪リグル君。もといリグルちゃん。
「なあに、私に恐れ入ってこれで勘弁してくださいと果物を差し出してきたんだ。私は寛大だから今日の所はそれで許してやったんだよ」こういうところが鬼人正邪の小妖怪たるゆえんである。
「「すげえ!」」この純粋さが妖精樽ゆえんである。
「それが本当ならお前を殺す。」風見幽香を好くリグルは殺気立つ。
「本当の訳はないのかー」ルーミアは笑顔。
「…。いいからこれ食ってくれよ。見て分かるとおり一人分には多すぎる。」
…。…。…。
なにこれ?
「みかんとリンゴを融合させたものらしい」
「みかご」
「りんん」
「みんご」
「りかん」と次々と名付け親が現れる。
「名前はどうでもいいんだよ!」と鬼人正邪
「それにしても既存の果物を全く新たな果物に変えてしまうなんて、幽香さんもとんだ下克上者ですね」と大ちゃんはなにげなく言う。
「ん!!!やっぱりお前らにこれを分けてやるのはやめた。これは私のものだ!」
「なんだと、ずっこいぞ」
「チルノちゃん!本当においしかった」
チルノは、ん?という顔をして未だ右手に握られているみんごをかじる。
「…。おいしくない。」としょんぼりする。
「じゃあ要らなく無い?」と気にかける大ちゃん
「本当だ!そんなもん要るか!」チルノはようやく理に気がつく。
「お前らにはやらないと言っているんだ!」と鬼人正邪
「うん。…ずっこいぞ!」
「チルノちゃん。無限ループって怖くね?」と大ちゃん
「あたいに怖いものなんて無い!」
「無限ループも?」
「怖い。」と不安な顔をするチルノ。
大後悔
アリスがのこのこやってきて幽花の驚異を説明する。
幽花の恐ろしいところは行動理念が完全に自分本位なところ。
お野菜をお裾分けしたいときはお野菜をお裾分けする。
お花を育てたいときはお花を育てる。
親切にしたいときは親切にする。
そして、その行動理念の延長線上に
欲しい物があるときは捕る。
殴りたいときは殴る。
殺したければ殺す。
という反社会的な基準があるところだ。
つまり、彼女があるとき、お野菜をお裾分けしながらぶっ飛ばしたいなと思ったら、
同じ表情で、同じ心持ちで、お野菜を渡しながら相手をぶっ飛ばすのだ。何の疑問もなく。
彼女にブレーキはないのか、ブレーキはあるだろう。しかし、それは自分の中の優先順位だけで、他人からは影響を受けない。
平たく言ってサイコパスなのだ。
アリスは興奮しながら自分もその被害を受けたと語った。
その昔マリサにされた非道を幽花に語ったことがある。そうしたら、その内容が気に入ったらしく、たちまち全く同じ事をされた。具体的に言うと縛り上げられて本を強奪された。
訴えたら本は返してくれた、しかし縛ったこの身は解いて貰えなかった。本の内容が興味深ければそのまま持って行かれたことだろう。
「でも最終的には解いて貰ったんだろう
三日間そのままにされたが偶然再会した、泣きながら訴えたが笑いながら行きすぎていった。そしてその三日後に捜索してくれていたマリサ達にようやく助けてもらった。私はほぼ気絶していたが、一同で幽花にねじ込みに行ったが、彼女はきょとんとした顔で出迎えた。ここまでのことをして完全に忘れ去っていたのだ。
その後、平気な顔で家にやってきて野菜を置いて大妖精の服の繕い物を頼んでいった。大妖精がサボテンにひっかけて破ったの見とがめたらしい。
親切と犯罪が混じり合っている。そして反省だけはすっかり抜け落ちている。
そして彼女はメチャクチャ強い。その上妖精相手だろうと本気を出す。
たまに親切なきまぐれな竜巻。それがゆうかりんなのよ。
アリスもアリスだ。よくそこまでされて友人関係を続けているな。
ギロチンにかけられている人と世間話をしながら助けもせず作動させもせず通り過ぎ、なおかつ忘れきることができる妖怪。
頭蓋骨を砕くことと世間話が同じ閾値な妖怪。
わざわざそれを教えに来たのか。聞きしに勝る暇な奴らしいな
「なによっ、親切で教えてあげたのにっ」
「アリス、これをやるよ。」
「天の邪鬼がよこす食べ物を食べろってこと?」
「ふふ。それはそのゆうかから貰ったのさ。りんごとみかんを融合させて両方のいいところを奪った代物だ。はっきり言って全部土に戻したいが、そんなことをしたらわたしが土に戻ることになるかもしれん。減らすの手伝ってくれよ。」
「馬鹿ねっ、ゆうかに挑戦して負けて押しつけられたんでしょう。もっとも勝っても負けても押しつけてくるみたいだけど。」
「勝ったらいいものをくれるのか?」
「ううん。いつでもそのときに余っているものをくれるのよ」
「じゃあ、私はただ運が悪かったのか。」
アリスちゃんはみかごを食べる。常識に反してふーんと果物を捧げ持ち何かを考え始めた。
「お前舌が馬鹿なのか?グルメっぽい顔してるのに」
「失礼ねっ、このまま食べるとミカンとリンゴを同時に食べて居るみたいだけど、お菓子にしたらおいしいかもって思って」
「へえ。いいよ、好きなだけお菓子につかってくれ」
夜中に起こされる正邪、眠気眼をこすりながら礼を言う。
「いい時間に起こしてくれたなっ!」
お菓子を突きつけられる。
「おいしい。」寝ぼけているせいで天邪鬼なのに思った通り言ってしまった。
「でしょ」
段ボールの中の果物は消え、代わりに山のようにお菓子が積まれている。
なるほど、こいつがゆうかと友達付き合いできるわけだ。
気になる天邪鬼の女の子、鬼人正邪
悪が足りない故の侮りと思い、小悪を繰り返した。
悪声は上がらず。かえって、放っておいて安心な小物と認識され評判は据え置いている
なぜ、鬼人正邪は考え込む。
見れば、対抗馬の幽花は野菜や果物をお裾分けしたりしている。
特に悪事の限りを行っているわけではない。
たまに制裁を加えているとおもえば、それは花壇を荒らす者への懲らしめだったりする。当為たる処断は悪事でなくむしろ善事に近い。
評判倒しではないか。なんだというのだ。
嫌な思いなら霊夢や紫の方が多い、種類さえ問わなけの迷惑もば守家の迷惑も相当なものだ。
なのに皆幽花ばかり恐れ敬う。
鬼人正邪はちょっと空を見る。いや、敬ってはいないかも。
これだから志の低い庶民は嫌になる
イメージだ。幽花は怖いものだという影に怯えているのだ。
慣習は王だ。あの力ばかり強い小物どもは王に屈服し真実を見る勇気が無いのだ
今こそ精神に革新の時ぞ。幽花はそんなに怖くない。そして真に怖い存在はこの私、正邪ちゃんは怖い。
だが、馬鹿を活眼させることは難しい。どうすれば。
鬼人正邪は肩をすくめて笑った。
私の悪い癖だ。理屈を言うくせに実践は躊躇する。
私自信が、幽花と対峙せねばならない。
でも、その前に、ちょっとアリスに聞きに行こう。
「え?上海 なに お客さん?」
アリスの玄関先で、上海と呼ばれる人形にもてなされた。
端から見るとかわいらしい
だが、あれは一人でやっている。上海人形を操っているのはアリス本人であり、「え?お客さん?」というのもすでに知っての言葉である。
そして、アリスはくだらないことばっかり言う。
「誰も人形のかわいらしさをわかってくれない。」
当たり前だ。血を求めてぎらつく武装が気になって顔かたちなんか憶えていられない。
本体もあらゆる意味で目立ちまくっている。
アリスとの会話に辟易して、風見幽香のことを聞くのがおっくうになった。
ふんだ、聞かなくたっていい。
そして風見幽香と対峙する。
「お前は影だ、風見幽花」
「あら、気がつかなかったわ」風見幽香が脇に退いたため正邪に日光が当たる。
「そういうことじゃないんだよ、お前は恐怖の帝王なんかじゃない。」
「そうよ。わたしはサンタクロースだからね。いいこにプレゼントをあげるわ」
「それはなんなんだ」
「ミカンよ」量手のひらに余る黄色い柑橘系の果物を差し出しながら風見幽香は言った。
「大きいな。かぼすではないのか」
「かぼすはあっちにあるわ。」
見ればしなりきった枝の先に子馬ほどの黄色い塊が地面に付いている
「大きく育ちすぎて鉈を使っても皮を貫通しないのよ。刀を借りるしかないみたいなの」
ふん、と鼻を鳴らした正邪は、今し方風見幽香から渡されたかぼす大のミカンの皮をむき、剥き出しの実を口も付けずにその場に投げ捨てた。
「下克上だ、風見ゆうか、本当の恐怖の帝王が誰か教えてやる。リバースイデオロギー!!」
正邪ちゃんのテーマ曲が流れ始め、軽快な前奏の中、日傘を差したままの姿勢からはなたれた風見幽香の軽いトゥーキックがみぞおちに入り正邪を浮かせる。胃液を吐きその場に崩れ落ちる正邪。テーマ曲は第一楽章第一節で止まる。
「みかんが嫌いなの?」風見幽香は笑顔で尋ねる。
「いえ、大好きです。うっかりとりおとしていしまいました。もったいないからいただきます」弱気になる鬼人正邪
「落ちたものを食べるのはやめなさい。落ちたものはもう大地のもの。新しい樹木になる権利を得た種子なのだから。」
と言って新しいミカンを木からもいでくれる。
今正に目と鼻と口から汁をたらしている正邪にミカンを食べるように風見幽香は進める。
「…このミカンさくさくしてますね。それと、血と胃液の味がする」
「みかんとリンゴを融合してみたの。どう?」
「…。はい。」
「どう?」
「…、ここの果物はみんなこんなキメラなのですか」
「いいえ、キメラはたったの七割。味はどうなのよ」
「まずいよ!」鬼人正邪はイライラする。
「そう。失敗ね。それじゃあ全部持って行って」
「不味いっていったんだよ!」
「不味いなら持って行ってもらわないと困るじゃ無い」
「持って行ったら私が困るだろう?」
「だから?」
「…。」
「味の気に入った果物があればそれもあげるから。それならいいでしょう」
「いいこたあないよ!」
ゆうかりんは持っている傘を大地に突き刺し、正邪の肩に手を置く。オヤッという顔をした鬼人正邪の足を払う。
正邪はおへそを中心とした面回転で一回転をして再び元の姿勢で大地に立たされた。見えない時計の長針にくくりつけられて早送りをされたような感じ。五体満足なのに恐怖心が凄い。
「桃?メロン?天の邪鬼だから蓼なんか好きなのかしら?」
「だから…」
また一回転。また一回転。また回転。
「是非りんごミカンをおわけください」
「どのくらい?」
「なるべく少なく」
一回転。
「いくつ?」
「全部!」
「大丈夫なの
「大丈夫な訳あるか」
一回転
「…。全部ください」
「それじゃあ段ボールをあげるから詰めて持って行って」
「はい。」
「そうそう。モズがこの頃家の庭先に来るのよ。」風見幽香は傍らの樹木を見上げた。
「はあ」
「私が丹精込めて育てている果樹の枝に蛙が串刺しにされていてね、腹が立ったからそれをしたモズを串刺しにしてやったの。だけどやってみると楽しいものね。もっと大きなもので挑戦したくなったわ。ちょうどこの傘にいいくらいの大きさの獲物で。」
と正邪を見る。
「ああそうそう。段ボールだったわね。ちょっと待ってて。」
「…うう。」逃げたら串刺しにするんだろうな。
少女箱詰め中
「おいっ、りゅーこちゃん」お馬鹿さんで有名な氷妖精のチルノが鬼人正邪を発見する。
「正邪だよ、チルノちゃん。」
「そうそう。キルラキル!今日は何したの
「下克上」鬼人正邪の元気は無い。
「下克上かあ。あたいも今度混ぜろ」
「うん」
「それはなんですか」
「おみやげ」
「なんのおみやげ」
「下克上のおみやげ」
「そーなのかー」闇の妖怪ルーミアちゃんがほがらかに納得する。
「いやいや、ルーミアちゃん、なにがそうなのかさっぱりだよ。どうすれば下克上をしてお土産をもらう顛末になるんですか」真面目な大妖精こと大ちゃん。
「あの2p巫女じゃないが、幻想郷では常識にとらわれていてはいけないらしい。そうだ、お前達にこれをやるよ」
「果物?ゆうかさんに下克上したんですか」
「うん」
「命知らずなのかー」ルーミアは笑顔。
「ゆうかさん元気でした?」とムシの妖怪リグル君。もといリグルちゃん。
「なあに、私に恐れ入ってこれで勘弁してくださいと果物を差し出してきたんだ。私は寛大だから今日の所はそれで許してやったんだよ」こういうところが鬼人正邪の小妖怪たるゆえんである。
「「すげえ!」」この純粋さが妖精樽ゆえんである。
「それが本当ならお前を殺す。」風見幽香を好くリグルは殺気立つ。
「本当の訳はないのかー」ルーミアは笑顔。
「…。いいからこれ食ってくれよ。見て分かるとおり一人分には多すぎる。」
…。…。…。
なにこれ?
「みかんとリンゴを融合させたものらしい」
「みかご」
「りんん」
「みんご」
「りかん」と次々と名付け親が現れる。
「名前はどうでもいいんだよ!」と鬼人正邪
「それにしても既存の果物を全く新たな果物に変えてしまうなんて、幽香さんもとんだ下克上者ですね」と大ちゃんはなにげなく言う。
「ん!!!やっぱりお前らにこれを分けてやるのはやめた。これは私のものだ!」
「なんだと、ずっこいぞ」
「チルノちゃん!本当においしかった」
チルノは、ん?という顔をして未だ右手に握られているみんごをかじる。
「…。おいしくない。」としょんぼりする。
「じゃあ要らなく無い?」と気にかける大ちゃん
「本当だ!そんなもん要るか!」チルノはようやく理に気がつく。
「お前らにはやらないと言っているんだ!」と鬼人正邪
「うん。…ずっこいぞ!」
「チルノちゃん。無限ループって怖くね?」と大ちゃん
「あたいに怖いものなんて無い!」
「無限ループも?」
「怖い。」と不安な顔をするチルノ。
大後悔
アリスがのこのこやってきて幽花の驚異を説明する。
幽花の恐ろしいところは行動理念が完全に自分本位なところ。
お野菜をお裾分けしたいときはお野菜をお裾分けする。
お花を育てたいときはお花を育てる。
親切にしたいときは親切にする。
そして、その行動理念の延長線上に
欲しい物があるときは捕る。
殴りたいときは殴る。
殺したければ殺す。
という反社会的な基準があるところだ。
つまり、彼女があるとき、お野菜をお裾分けしながらぶっ飛ばしたいなと思ったら、
同じ表情で、同じ心持ちで、お野菜を渡しながら相手をぶっ飛ばすのだ。何の疑問もなく。
彼女にブレーキはないのか、ブレーキはあるだろう。しかし、それは自分の中の優先順位だけで、他人からは影響を受けない。
平たく言ってサイコパスなのだ。
アリスは興奮しながら自分もその被害を受けたと語った。
その昔マリサにされた非道を幽花に語ったことがある。そうしたら、その内容が気に入ったらしく、たちまち全く同じ事をされた。具体的に言うと縛り上げられて本を強奪された。
訴えたら本は返してくれた、しかし縛ったこの身は解いて貰えなかった。本の内容が興味深ければそのまま持って行かれたことだろう。
「でも最終的には解いて貰ったんだろう
三日間そのままにされたが偶然再会した、泣きながら訴えたが笑いながら行きすぎていった。そしてその三日後に捜索してくれていたマリサ達にようやく助けてもらった。私はほぼ気絶していたが、一同で幽花にねじ込みに行ったが、彼女はきょとんとした顔で出迎えた。ここまでのことをして完全に忘れ去っていたのだ。
その後、平気な顔で家にやってきて野菜を置いて大妖精の服の繕い物を頼んでいった。大妖精がサボテンにひっかけて破ったの見とがめたらしい。
親切と犯罪が混じり合っている。そして反省だけはすっかり抜け落ちている。
そして彼女はメチャクチャ強い。その上妖精相手だろうと本気を出す。
たまに親切なきまぐれな竜巻。それがゆうかりんなのよ。
アリスもアリスだ。よくそこまでされて友人関係を続けているな。
ギロチンにかけられている人と世間話をしながら助けもせず作動させもせず通り過ぎ、なおかつ忘れきることができる妖怪。
頭蓋骨を砕くことと世間話が同じ閾値な妖怪。
わざわざそれを教えに来たのか。聞きしに勝る暇な奴らしいな
「なによっ、親切で教えてあげたのにっ」
「アリス、これをやるよ。」
「天の邪鬼がよこす食べ物を食べろってこと?」
「ふふ。それはそのゆうかから貰ったのさ。りんごとみかんを融合させて両方のいいところを奪った代物だ。はっきり言って全部土に戻したいが、そんなことをしたらわたしが土に戻ることになるかもしれん。減らすの手伝ってくれよ。」
「馬鹿ねっ、ゆうかに挑戦して負けて押しつけられたんでしょう。もっとも勝っても負けても押しつけてくるみたいだけど。」
「勝ったらいいものをくれるのか?」
「ううん。いつでもそのときに余っているものをくれるのよ」
「じゃあ、私はただ運が悪かったのか。」
アリスちゃんはみかごを食べる。常識に反してふーんと果物を捧げ持ち何かを考え始めた。
「お前舌が馬鹿なのか?グルメっぽい顔してるのに」
「失礼ねっ、このまま食べるとミカンとリンゴを同時に食べて居るみたいだけど、お菓子にしたらおいしいかもって思って」
「へえ。いいよ、好きなだけお菓子につかってくれ」
夜中に起こされる正邪、眠気眼をこすりながら礼を言う。
「いい時間に起こしてくれたなっ!」
お菓子を突きつけられる。
「おいしい。」寝ぼけているせいで天邪鬼なのに思った通り言ってしまった。
「でしょ」
段ボールの中の果物は消え、代わりに山のようにお菓子が積まれている。
なるほど、こいつがゆうかと友達付き合いできるわけだ。
オチもファンシーで平和で楽しい。いいものを読ませてもらった
正邪推しなので小物扱いされてほしくないけどそこも魅力の1つだと改めて思いました。