Coolier - 新生・東方創想話

東方現夢郷 第一章 幻想という名の夢と地獄の始まり 2

2021/02/26 19:52:11
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何故か体中が痛い。そうか、そういえば神隠しに遭ったんだった。体中が鈍い痛みに襲われる中、無理矢理起き上がり状況を確認する。
 まず目に入ってきたのは階段だった。その時点でここがさっきまでいた所とは違う事が分かった。階段の上には鳥居が立っているのが見える。そして寝て起きた直後のような思考がだんだんハッキリしてくる。ここが違う世界なのだとしたら神社に誰かいるかもしれない。階段を上りつつ現状の考察をする。
 さっきのがスキマ送りだとするとここはおそらく日本のどこかにある結界で隔たれた場所なのだろう。日本なら日本語が通じるだろうが、結界で隔たれているという事は現代とは文化などがかなり違っている可能性が高い。そうなるとうかつに話したりしない方がいいかもしれない。それに今の服装だとかなり目立つだろう。ちなみに今の服装は上から、黒の帽子に黒いヘッドフォン、黒のTシャツの上に布地の黒い長そでの上着、そしてジーンズと白黒(黒の割合高め)のスニーカーと最後に黒い腕時計に黒い斜め掛けの鞄という現代でも悪目立ちする格好である。くそ暑い中何故更に暑くなるような格好なのかと言うと、特に理由は無い。ただ黒が好きだからなのと肌の露出が嫌いなだけだ。外に出るときはこの服装じゃないと落ち着かないから、どれだけ暑かろうとこの格好をやめるつもりはない。階段を登りきると改めてここがさっきまでいた場所とは違うという事を実感する。森の中でもなければ山もない。何より鳥居の文字がはっきり読める。
「博麗・・・・・・神社?」
 聞いた事ない名前だった。趣味でよく神社について調べたりしていたが見た覚えがない。不思議に思いながら鳥居をくぐり賽銭箱の前まで行く。鞄から財布をとりだすが、小銭が無かったのでとりあえず手だけ合わせることにする。
「できればここで平和に暮らせますように」
 現代に未練がない訳ではないが、オカルト好きとしては便利よりオカルトの方が大事だ。そもそも帰る方法などあるのだろうか。まあ帰ることが出来るとしても俺はこっちで暮らすことを選ぶが。またしても何も祈らずに目を開ける。周りを見るが人の気配はなかった。偶然誰もいなかっただけだろう。ここ以外ならきっと人はいるはずだ。Uターンしてもと来た道を戻る。
「そこのあんた、ちょっと待ちなさい!」
 そこで後ろからいきなり声がかかる。誰もいないと思い完全に不意打ちだったのと声色にかなりの圧を感じ恐る恐る振り返る。そこにいたのは巫女だった。正確には巫女服姿の少女だった。身長は俺より低く、明治時代の少女の平均身長といった感じだ。だがそれ以上に目を引くのが肩の辺りから脇にかけて肌が露出していることだ。それにお祓い棒まで持っていてコスプレのように思えたが、何故だか殺気を感じた。
「えっと・・・・・・何?」
 いきなり声をかけられたら誰だってこういう返し方になるだろう。しかも初対面で殺気なんて放たれたらろくな返し方はできないと思う。
「あんた、異変を起こす気じゃないでしょうね」
「は? 異変って何? 意味が分からんねやけど・・・・・・」
「しらを切ったって無駄よ。あんたからは嫌な魔力を感じるんだから」
「いや、魔力って何? そんなもの俺にあるわけないだろ」
 この少女の言っている事が何一つとして理解できない。異変やら魔力やらオカルト臭い単語が出てきたが、ここはそんな世界なのか? だとしたら俺の不幸が目に見えるものにでもなったのだろうか。いや、そんな事より今はこの場をどう切り抜けるかだ。
「俺の話を聞いてくれよ。まだ状況が理解できてないんだから」
「あんたが選べる選択肢は二つだけよ。ここから立ち去るか今すぐ私に退治されるか。さあ、選びなさい」
 俺の話を聞く気は毛頭ないようだ。やはり言っている意味が分からないが、とりあえず穏便に済ませる方向でいこう。
「分かった。今すぐここから立ち去る。だから退治とやらはせんでくれ」
 両手を挙げて何もしないというジェスチャーを出す。
「・・・・・・本当に何もしないんでしょうね」
「ああ、何もしない。約束する」
「なら早く消えなさい。次会った時に怪しい事をしていたら即刻退治するから」
「へいへい。じゃあ消えさせてもらいますよ」
 挙げていた手を下ろし少し速足で階段を下りる。少し後ろを見てみると階段の上から少女が睨んでいた。
「おーこわ」
 階段を降りそのまま道なりに歩く。とりあえず人がいる所に行きたい。それにしてもあの少女は一体なんだったのだろうか。魔力なんて言われても俺にそんなものを感じ取る能力なんて無い。せいぜい事件が起きる前に嫌な予感がする程度だ。魔力という目に見えない不確定要素があるという事はここは異世界の類なのだろうか。さっきの少女が日本語だった事を考えるとパラレルワールドの可能性もある。そういえば空間の裂け目のようなものの中に誰かがいた。それも人間の形をしたなにかが。それがもし噂にあった奴なのだとしたら、この世界のどこかにいるかもしれない。そいつを見つけることができれば元の世界に帰ることができるが、その前に死ぬという事もありえる。魔力があるのならモンスターとかがいてもおかしくない。そんなものに遭ったら俺は確実に死ぬだろう。
 そんな事を考えていると人の声が聞こえてきた。考え事をしていて周りが全く見えていなかったがどうやら人がいる所には着いたらしい。高い建物が無くイメージとしては明治初期のようだ。普通ならここで情報収集などをするだろうが、人間嫌いである俺は真っ先に人がいないところへ行く。(人がいる所に行くとは言ったが情報収集をするとは言っていない)そこまで広くないようで少し歩くとすぐに畦道に出た。道は森の方に続いているようだ。畦道を辿りながらまた考察に入る。
 これは憶測だが、俺をこっちに引き込んだ奴は何か目的があるのではないだろうか。なんとなくだがあの手は俺を確実に引き込むためだった気がする。もしかしたらスキマ送りの犯人は俺を引き込んだ奴なのかもしれないが、これはまだ推測の域を出ていない以上できればただの杞憂で終わってほしい。
 さっきの話に戻るが、俺から嫌な魔力を感じるとはどういう事なのだろうか。俺は中二病ではないので魔力が何なのかさっぱり分からない。オカルト肯定派と言っても黒魔術とかをやっているわけではなく、都市伝説が本当なのか調べたり、心霊現象が起こる場所に片っ端から行っているだけである。まあ都市伝説のほとんどが嘘だったり尾ひれがついたものだったりでろくに調べるまでもなかったし、幽霊も見えるのだが近づいたり触られた瞬間消えてしまうので結局見えないのと同じようなことになっている。こっくりさんをした事もあるがそもそも一人でやってはいけなかったらしく、黒っぽい何かが出てきたがそれもすぐ消えてしまった。こんなことを誰かに言ってもどうせ誰も信じないだろう。中二病か障害者扱いされるに決まっている。俺はいたって普通である。人間嫌いという事を除いて。
 しばらく歩いてようやく森の入り口に着いた。俺としては森は好きだ。自然の音に満ちていてそれでいて人もいない。この森も同じようで、人が通った跡が無い。そして奥へ行けば行くほど霧のようなものが濃くなってきている。ここは樹海かというレベルで木が生えており、足場なんてあったもんじゃなかった。直感に任せてしばらく歩くと森と崖が一緒になったような場所に出た。
「こりゃ完全に迷ったな・・・・・・」
 人が森で迷うのは気づかない内に同じ場所をぐるぐる回っているせいだったり、同じような風景が続いてもと来た道が分からなくなったりするせい(確かそんな感じだった)だが俺自身あまり迷った事が無い。別に森の外に出るつもりもなければ目的地があるわけでもないので、迷ったと言うのか分からないが、さっき通った道を戻ることはできないだろう。ここからどこへ行こうか。理由は無いが適当に歩き回ることにする。
「そこのお前、ここで何をしている」
 そこでまた後ろから声がかかる。今日はそういう日なのか? 二度目の圧を感じ、またゆっくり振り返る。今度は刀を持った少女だった。しかも抜き身だった。背中にもう一本刀が見えた。それだけならまだいい(よくはない)のだが、隣に白くて丸い表現的には魂? のようなものが浮いている。そしてこの少女もただならぬ殺気を放っていた。
「・・・・・・何もしてないんだが」
「嘘をつくな。お前のような悪魔が何もしていないはずがないだろう」
「今度は悪魔扱いかよ。ただの人間にかなり酷い事言うんだな」
「お前が人間? 笑わせるな。お前のような悪質な霊力を持った人間がこの世のどこにいる」
「今度は霊力ですか・・・・・・。お前も俺を退治しようとするのか?」
「退治? そんな生温くない。斬ってこいと幽々子様に言われたので斬らせてもらう!」
 少女が刀を横に振ったかと思った瞬間その軌跡上から何かが飛んでくる。それを全力の横っ飛びで回避するが、右腕に激痛が走る。どうやら斬撃を飛ばせるらしい。どこぞの三刀流の剣士を思い出した。
「痛ってぇ・・・・・・。ちょっと待て、俺が何したってんだ? 俺は何の力も持ってねぇ人間だ。力があったらとっくにお前に攻撃してるぞ」
「そんな言葉で私を騙せると思うな!」
 俺の話を聞く気は全く無いようで、縦横斜めと飛んでくる斬撃を勘で避けまくっていく。と言っても自分に飛んでくると分かっていれば銃弾を避けるよりは比較的楽だ。斬撃で地面が抉れることなどお構いなしに、休む暇なく飛んでくる。あまりに話を聞かないので少し頭にきた。避けながら説得を試みる。
「待てって言ってんだろ! 話だけでも聞いてくれ。何もしねぇから」
 そこでようやく少女が攻撃をやめる。
「・・・・・・証拠はあるのか」
「さっきから言ってるが、俺に力がありゃ反撃してる。それに俺は悪魔じゃなく何の力もない人間だ。だから魔力やら霊力なんてものは見ることも出来なきゃ感じることも出来ねぇんだよ。そもそも俺はこの世界に来てまだ一時間も経ってないんだ。何かするどころかここがどこなのかも分からねぇ。そんな奴をお前は容赦もなく斬り殺すのか?」
 ここまで言えば攻撃してくる事はないだろう。だが相手の返答次第で俺の生存率が大きく変わる。少女はまだ刀を収めておらず、いつでも俺に斬りかかることができる。対して俺は武器など一つも持っていない。たとえあったとしても刀の前には無力だろう。そもそも持っていたら銃刀法違反で捕まってしまう。そしてこの世界にまともな法律が無いという事が分かった。
 もうこれ以上の説得など微塵も思いつかない。後は少女がどう答えるかだ。
「分かった。今は斬らないでおく。だが悪事を働こうとすれば斬られると思え」
 さっきの巫女と似たようなことを言われた。俺はそんなに悪人面なのだろうか。だがこれで窮地は脱したようだ。少女が刀を収める。
「そうだ。色々聞きたいことがあるんだが・・・・・・」
 と、そこまで言ったところで地面が崩れるような音が鳴る。このままここにいるのはやばいと思ったが、逃げる暇もなく踏んでいた地面の感触が無くなった。声を出す暇もなく頭が下になる形で落ち、少女の姿が見えなくなる。ここからの高さは分からないが、落ちれば確実に死ぬ高さだったのは覚えている。高い所から落ちると時間が遅く感じるらしいがそんな事はなく、ただただ死んだな、と思うだけだった。最期に見る光景が雄大な自然で良かったと思った所で意識が完全に途絶えた。
お待たせしました。雑な導入ですみません。間違った情報があるかもしれませんがご了承ください。
もりさきこうや
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コメント



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3.100名前が無い程度の能力削除
ええやん
5.10名前が無い程度の能力削除
これはナイス天龍ちゃん