「……何でうちにいんの?」
霊夢は不機嫌だった。
朝起き、準備を整えた瞬間まるで打ち合わせしたかのように友人たちがなだれこんできたからだ。
「暇潰し。」
「かなこさまからお裾分けにと…」
「貧乏巫女の観察だぜ♪」
「スクープ探しにです。」
上からレミリア、早苗、魔理沙、文である。
「…(可愛いから)レミリアは歓迎するわ。ついでに(お裾分けが嬉しいから)早苗もよしとしましょう。でもあんたらは帰れ。」
「おーこわい…」
魔理沙は大袈裟に身震いしたが動く気はないらしい。
文は微動だにしない。
霊夢はため息をつくと友人を追い出すのを諦めた。
「で来た理由はわかったわ。用事が終わったならかえってよ。」
そう言いながらお茶とお菓子を用意している。
ついでにちゃっかりレミリアをだっこしていた。
「まあまあそう言うなって。そうだ恋愛トークしようぜ?!私達乙女だろ?」
「「恋愛トーク?!」
早苗と霊夢は叫ぶ。一人は楽しそうに、一人は驚いたように。
レミリアと文は冷静にお茶をすすっていた。
魔理沙は二人のリアクションに満足したようだ。
「それじゃ乙女の恋愛トークスタートだぜ!」
勝手に始められ霊夢はため息をつくが気にはなるのか耳は傾ける。
こうして魔理沙考案恋愛トークは始まったのだった。
「さてじゃあ先ずはこれだ!好きな人がいるかだな。」
自称17才の隙間妖怪が乱入し霊夢においかえされると言うこともあったが恋愛トークは何事もなく開催される。
魔理沙の質問にいきなりつまる参加者たちだがレミリアだけは物思いに更けるような顔をしていた。
「それじゃ時計回りにいくぜ。霊夢にだっこされてるレミリアは最後な。じゃあ先ずは早苗!」
「ええっ!?私ですか?…んーと言われましても外の世界にいた頃に好きな子はいましたね…と言っても小学生だったのでドキドキしたーとか言う恋愛じゃないですけど。」
早苗は少し考えたあと言葉を述べる。何処と無くイキイキしてるのは気のせいか。
「じゃあ次文。」
「私ですか?私はですねー…そりゃあ何百年もいきてますから好きな子はいる…と言うかいましたけど正直何年も前なので覚えてないですね!」
文は清々しい笑顔でいい放つ。
「そ…そうか。んじゃ次霊夢。」
「いないわよ。そもそも巫女の修行だとかで忙しくて恋愛なんてする暇もなかったわ。興味もないし。」
霊夢は未だに更けるレミリアをぎゅっとしながら淡々と答える。
魔理沙は最後はレミリアにかかっていると言わんばかりの表情で問いかける。
「最後はお前だレミリア。どうなんだ!?」
「……」
しかしレミリアはよほど浸ってるのか返事をしない。
「レミリア?」
「あっえ…なに?!」
もう一度呼び掛けるとやっと気づいたみたいだ。
「いや次レミリアの番だぞ?」
「あー私ねー…う~ん私かー…」
なにやら悩むレミリア。好奇心旺盛な少女たちが突っ込まないはずがない。
「レミリアさんどうなんですか?」
「いい内容だったら記事にしてもいいですか?」
「ちょっと気になるわ…」
「ああー…うん…」
しばらく目をきょときょとさせたあとレミリアは諦めたようにため息をつき話始めた。
「いたわよ。昔の話だけど恋人もいたし。でも何人いたかは覚えてないんだよね…」
最後の言葉に一同は凍りついた。
「何人もいたってどういうことですか!?」
早苗の大きな声に目をぱちくりさせたレミリアは何でもないように話す。
「そのまんまの意味だけど?好きな人間が死ぬでしょ?それから何年もたつとまた好きな人ができる。それの繰り返しよ。」
レミリアの淡々とした答えに少女たちは満足そうにうなずく。
どうやら思ったより恋愛トークは楽しかったようだ。
「じゃあ今回の恋愛トークはこれで終了だな。今回の収穫はレミリアはプレイガールだったってことで。」
「おいこら。どう考えても違うだろ。」
レミリアが言うか早いか魔理沙はほうきにのり飛び立った。
早苗もお使いだけだからと帰っていった。
神社に残ったのは霊夢とレミリアと文。
霊夢は記事にすると言い張る文と絶対するなと叫んでいるレミリアを眺めながら
「魔理沙と早苗はともかく妖怪の恋愛って大変なのね。」
とどこかずれたことを呟いていた。