博麗神社で開かれる恒例の宴会の日、弾幕や酒が飛び交いいつも通りに賑やかだ。
そんな喧騒のなかレミリアは一人で飲んでいた。妹は遊びに行きメイド長もついていったので必然的に一人になったのだ。
一人で飲みながら月を見上げるレミリアのそばによる人影があった。
「お邪魔するわよレミリア。」
この神社の巫女霊夢だ。レミリアはちらりと見上げるだけで無言で肯定を示した。
霊夢はレミリアの横に座ると黙って酒を飲む。暫く沈黙が続きやがて不意にレミリアが口を開いた。
「私が生まれてきた意味ってなんなのかしら。」
普段は聞かないレミリアの弱々しい声に霊夢は驚いた顔を向ける。
レミリアはぼんやりと微笑んでいた。
「なんなのよいきなり..」
霊夢は驚きながらも返す。
「なにいってるのよ。認めるのは癪だけどあんたは能力も戦闘能力も強いし..本気を出されたら私も紫もかなわないぐらい強いじゃない。なのに何でそんなことを言うのよ。」
レミリアは誉め言葉を聞いても喜ぶどころか顔に影が射す。そしてうつむいたまま呟く。
「そんなんじゃないわ。だって私は『失敗作』だから。『いらない子』だから。」
そのどこか悲しそうな諦めたような声に霊夢は目を瞬かせる。
「ほんとにどうしちゃったのよ..レミリア。」
レミリアは霊夢の問いに答えず壊れた機械のような声で続ける。
「昔からそうなの。何をやってもダメダメで。礼儀もマナーも戦闘訓練もすぐに間違えるし、怪我をする。一族の皆も他の吸血鬼たちもいつもいっていたわ。『失敗作』、『いらない子』ってね。私もそういわれるのが嫌だったからたくさん練習したのよ?練習して、努力して。でも報われなかった。いつしか私は努力することを止めたわ。両親も親戚も召し使いも誰も私を愛してくれなかった。」
そこでレミリアは口をつぐむ。
予想外のレミリアの話に霊夢は目を丸くする。
「大丈夫なの?レミリア。あんたがそんな話をするなんて。」
その霊夢の言葉に自嘲的な笑みを返すレミリア。
「どうしてかしらね。でも霊夢には知っててほしかったのよ。きっと。」
他人事のように返すレミリアに霊夢は聞いた。
「....続きはあるの?」
レミリアはまた壊れた機械のような声で続けた。
「続きと言う続きはないわ。それからも同じだった。何をしても失敗するし報われないし、結局一族が全滅するまで愛されることはなかった。私は『失敗作』という言葉を言われ続けながら生きてきたの。だから私が強いのかどうかなんて知らないし。霊夢は買い被りすぎよ。」
そこまで言うと疲れたようにため息をつきグラスを傾ける。
霊夢は黙っていた。最初と同じように沈黙が進む。
やがて霊夢が口を開こうとしたとき、
レミリアがポツリと続ける。
「私は悪魔だけどそれでも神に願いたいわ。もしも生まれ変われたら愛される子になれますように。ってね。」
そこでレミリアは本当に黙ってしまい再び沈黙が支配した。
その時誰かがふらふらと近づいてきた。そして
「おーねぇーさまぁー♪」
という舌ったらずな声が聞こえレミリアの膝になにかが飛び込む。
「フランったら....飲みすぎよ....」
困った顔をしたレミリアがそっと妹の頭を撫でる。
フランはレミリアにしがみついたまま離れない。
寝言に近いことを漏らしながら更にすり寄る。
「お姉様....だぁい好き..ずっとフランと一緒に..むにゃむにゃ..」
レミリアはそんな妹を優しく見つめながら抱き締める。
やがてフランが寝付くのを確認した霊夢はレミリアに寄り添い珍しい優しい声で告げた。
「レミリア。あなたは失敗作なんかじゃないわ。」
レミリアがくるりと霊夢を振り替える。
「あなたは失敗作なんかじゃない。そしていらない子でもない。あなたの家族がおかしいだけ。あなたは..ちゃんとこの世に選ばれた子なのよ。悪魔だろうと関係ないわ。選ばれた子なの。よくフランドールを見なさいよ。そんなに甘えてるじゃない。あなたは愛されているわ。勿論咲夜たちだってあなたを愛しているし私だってあなたのこと好きよ。だから自分のことを失敗作というのをやめなさい。いらない子なんて言わないで。あなたは決して失敗作ではない。強いのも、礼儀正しいものすべて本当のこと。勿論要らなくもない。だからそんなに自分を卑下しないで。
それにあなたがいなかったら幻想郷の治安はもっとひどくなっている。だからあなたは必要なのよ。いらない子なんかじゃない。私が保証するわ。」
そういうと霊夢は照れたようにそっぽを向く。
レミリアは目を見開いて驚いたように霊夢を見ていたがやがてふっと目に涙を浮かべると
「....ありがとう。」
そう呟いた。
そんな喧騒のなかレミリアは一人で飲んでいた。妹は遊びに行きメイド長もついていったので必然的に一人になったのだ。
一人で飲みながら月を見上げるレミリアのそばによる人影があった。
「お邪魔するわよレミリア。」
この神社の巫女霊夢だ。レミリアはちらりと見上げるだけで無言で肯定を示した。
霊夢はレミリアの横に座ると黙って酒を飲む。暫く沈黙が続きやがて不意にレミリアが口を開いた。
「私が生まれてきた意味ってなんなのかしら。」
普段は聞かないレミリアの弱々しい声に霊夢は驚いた顔を向ける。
レミリアはぼんやりと微笑んでいた。
「なんなのよいきなり..」
霊夢は驚きながらも返す。
「なにいってるのよ。認めるのは癪だけどあんたは能力も戦闘能力も強いし..本気を出されたら私も紫もかなわないぐらい強いじゃない。なのに何でそんなことを言うのよ。」
レミリアは誉め言葉を聞いても喜ぶどころか顔に影が射す。そしてうつむいたまま呟く。
「そんなんじゃないわ。だって私は『失敗作』だから。『いらない子』だから。」
そのどこか悲しそうな諦めたような声に霊夢は目を瞬かせる。
「ほんとにどうしちゃったのよ..レミリア。」
レミリアは霊夢の問いに答えず壊れた機械のような声で続ける。
「昔からそうなの。何をやってもダメダメで。礼儀もマナーも戦闘訓練もすぐに間違えるし、怪我をする。一族の皆も他の吸血鬼たちもいつもいっていたわ。『失敗作』、『いらない子』ってね。私もそういわれるのが嫌だったからたくさん練習したのよ?練習して、努力して。でも報われなかった。いつしか私は努力することを止めたわ。両親も親戚も召し使いも誰も私を愛してくれなかった。」
そこでレミリアは口をつぐむ。
予想外のレミリアの話に霊夢は目を丸くする。
「大丈夫なの?レミリア。あんたがそんな話をするなんて。」
その霊夢の言葉に自嘲的な笑みを返すレミリア。
「どうしてかしらね。でも霊夢には知っててほしかったのよ。きっと。」
他人事のように返すレミリアに霊夢は聞いた。
「....続きはあるの?」
レミリアはまた壊れた機械のような声で続けた。
「続きと言う続きはないわ。それからも同じだった。何をしても失敗するし報われないし、結局一族が全滅するまで愛されることはなかった。私は『失敗作』という言葉を言われ続けながら生きてきたの。だから私が強いのかどうかなんて知らないし。霊夢は買い被りすぎよ。」
そこまで言うと疲れたようにため息をつきグラスを傾ける。
霊夢は黙っていた。最初と同じように沈黙が進む。
やがて霊夢が口を開こうとしたとき、
レミリアがポツリと続ける。
「私は悪魔だけどそれでも神に願いたいわ。もしも生まれ変われたら愛される子になれますように。ってね。」
そこでレミリアは本当に黙ってしまい再び沈黙が支配した。
その時誰かがふらふらと近づいてきた。そして
「おーねぇーさまぁー♪」
という舌ったらずな声が聞こえレミリアの膝になにかが飛び込む。
「フランったら....飲みすぎよ....」
困った顔をしたレミリアがそっと妹の頭を撫でる。
フランはレミリアにしがみついたまま離れない。
寝言に近いことを漏らしながら更にすり寄る。
「お姉様....だぁい好き..ずっとフランと一緒に..むにゃむにゃ..」
レミリアはそんな妹を優しく見つめながら抱き締める。
やがてフランが寝付くのを確認した霊夢はレミリアに寄り添い珍しい優しい声で告げた。
「レミリア。あなたは失敗作なんかじゃないわ。」
レミリアがくるりと霊夢を振り替える。
「あなたは失敗作なんかじゃない。そしていらない子でもない。あなたの家族がおかしいだけ。あなたは..ちゃんとこの世に選ばれた子なのよ。悪魔だろうと関係ないわ。選ばれた子なの。よくフランドールを見なさいよ。そんなに甘えてるじゃない。あなたは愛されているわ。勿論咲夜たちだってあなたを愛しているし私だってあなたのこと好きよ。だから自分のことを失敗作というのをやめなさい。いらない子なんて言わないで。あなたは決して失敗作ではない。強いのも、礼儀正しいものすべて本当のこと。勿論要らなくもない。だからそんなに自分を卑下しないで。
それにあなたがいなかったら幻想郷の治安はもっとひどくなっている。だからあなたは必要なのよ。いらない子なんかじゃない。私が保証するわ。」
そういうと霊夢は照れたようにそっぽを向く。
レミリアは目を見開いて驚いたように霊夢を見ていたがやがてふっと目に涙を浮かべると
「....ありがとう。」
そう呟いた。