完全に日が沈み辺りが暗くなったのに対し博麗神社には賑やかな声と多くの光が溢れ出す。今日は博麗神社で大晦日の祭りが開かれていた。
「あれ? 少し遅かったか?」
普通の魔法使い、霧雨魔理沙が箒からおり、声を上げる。
ー意外に早く来たつもりだったんだけどな。そういや霊夢は主催しといてどこにいるんだ?
そんなことを思いながら鳥居をくぐると様々な屋台が並んでおり見慣れた面々が並んでいたり色々なものを提供していた。
「へえ、色んなのがあるんだな。私も射的とか後でやってみたいな」
河城にとりの射的屋を見ていると
「魔理沙さーん」
と聞き慣れた声が聞こえる。
「うん? ……ああ、なんだミスティアか。ミスティアも何かやってるのか?」
その声の正体は夜雀のミスティア・ローレライだった。
「ええ、八目鰻をやってます。一ついかがですか」
「ふーん、今日は焼き鳥店はなさそうなのにやってるだな」
「だからこそ宣伝を込めてやってるんです!」
「ごめんって。少しからかっただけだって」
屋台に近づいてみるとそれは移動式の屋台のようでまあまあ繁盛しているようだった。
「あれ?響子もいるのか」
よくよくみるとミスティアが鰻を焼いている隣で団扇で火加減の調整をしているようだった。
「待てよ、響子もいるってことはまさかあれをやる気じゃないだろうな」
この二人は二人とも音に関する能力を持っているからか一緒にグループを組んでいる。確か名前は『鳥獣伎楽』だったはずだ。でも音楽というよりはノイズで大音量の単なる音だが。
「やりたかったんですけどちょっと前にしばかれちゃって……」
響子が横槍を入れてくる。
『鳥獣伎楽』は若者の妖怪には人気があるみたいだが深夜に大音量でやるため人里で迷惑になっていたはずだ。
「私が白蓮に言ったのが聞いてるみたいだな」
そう告げ口したのは私だ。魔法の森までシャウトが来るため響子が修行している命蓮寺の住職である白蓮に告げ口したのだがそれが聞いていたみたいだった。
「あ、言ったの魔理沙さんだったんですか?」
「大変だったんですよ」
「はじめに迷惑行為をしたのはお前らだろうが」
二人が文句を言ってるのでうまくひっくるめていると
「まああれはノイズですからねえ。あの雀酒もう一回くださあい」
誰が口出ししてきたかと思えば鴉天狗で記者の射命丸文だった。雀酒をねだっているらしく何杯も飲んでる様子だが全くよっているように見えない。
「お、お前もいたのか」
「当たり前じゃないですか。記事のネタですよネタ。最近は異変もないですしそこまで好調じゃないんですよ」
こいつは異変をネタだとでも思ってるのか?と思っていると文がもう一度口を開く
「そういえば魔理沙さんはなんで祭りに来たんですか。シンプルにエンジョイですか?」
「うーんそういえばそうなんだがまずは霊夢を探しててな。見なかったか?」
「見てないですけど多分置くか本堂にいるんじゃないんですか?」
「お、そうだな、悪いあとでまた来ると思うから」
「はいわかりました待ってますね」
ミスティアに見送れながら本堂を目指す。
今日は一段と寒いな。やっぱり大晦日だし寒いのか。そう思いなが本堂を目指すとなぜかより寒くなり何かに袖を引っ張られる。
「うん?誰だ?」
「あんたにうちの屋台に来ていいことにするわ!」
「なんだチルノか。お前も屋台やってのんか?どこだ見てやってもいいが。」
「あそこよ!見てわからないの?」
「えっと……あそこか? 人が誰もいないぞ?」
チルノが指をさした方には手で回す型のかき氷機と向きが逆のひらがなで『みずあじ』と書かれていた。また何もかかっていない山盛りのかき氷が食べられるのを待っているかのようにおいてある。
「おい待て。まさかあのかき氷屋じゃないよな?」
少し驚きながら焦りながら聞くと当たり前だというように
「当然よ!祭りの屋台といえばかき氷でしょ!バカじゃないの?」
「バカはお前だ!こんな大晦日で寒いのにかき氷を買う野郎は物好きでもいないぞ!」
「え……?かき氷を冬には食べないの?」
氷の妖精だからか寒さというのはわからないのだろうかと呆れているとかなり時間が経っているようだ。さっさと本堂の方に行きたいのだが裾を離す気はなさそうだ。
「わかったわかった。あとで霊夢を連れてくるから一回離してくれないか」
「わかったわよ。約束しなさいよ!」
チルノを後にすると本堂の方に歩く。すると冬に差し掛かっているというのに変わらず腕が出ている巫女服の女がいる。
「あら魔理沙じゃないの。あなたも祭りに来てたのね。ついでに賽銭もしていかない」
相変わらず変わらない口調で無駄に賽銭をねだってくる。
「すまないが何を祀ってる巫女すら分からない神社に賽銭をする趣味はないさ」
「まあいいわ。その答えは予想通りだし」
私は縁側に座っている霊夢による。
「来年は何もなく平和に過ごしたいな。なあ霊夢」
「私は妖怪退治があるからあんたみたいに家に籠ってられないのよ」
「ちゃんと研究流行ってるんだぜ」
数秒ほど沈黙が流れる。
「あの桜、今年も咲くといいな」
「そうね。まあ花見ができればいいけど」
会話が全く続かないと思っていると
「おい遅いぞ!」
「うん?あらチルノじゃない。何が遅いのよ」
「約束しただろ。食べにくるのが遅いんだよ!」
「約束?」
何か知ってるのかという感じで霊夢が見つめてくる。
「しょうがないだろ。離してくれなかったんだ」
「はあ。厄介なもの押し付けてくれたわね……まあいいわ。主催者が何もしないってのはいけないだろうし。行くわよ魔理沙」
「わかったよ」
少し寒いなが夜がだんだん更けていく。
みんな楽しそうで何よりでした
わいわいした祭りの雰囲気が続いて欲しいなあと思いました