「「霊夢さん霊夢さーん! 何かお手伝い出来ることはありませんかー!」」
「ぐえっ!」
朝、起きるとあうんは分身して私の寝室に飛び込んできた。寝ぼけた私のお腹の上に分身したあうん二人が乗るものだから変な声が出た。
「あっ、ごめんなさい!」
「ちょっと私、霊夢さん困らしちゃダメじゃない」
飛び退いたかと思えば分身で話し合っている様がとてもシュールだった。
「いたた……手伝ってくれるなら嬉しいけれど、神社をめちゃくちゃにしてくれたら困るわよ?」
「「大切に守ってきた神社を壊しはしません!」」
ワッと二人で大きな声を出すものだからキーンと耳鳴りが響く。つい、指を耳に突っ込んでしまった。
威勢が良いのはいい事だけれども。私の勘が今日の一日の災難をもの語っているように思った。でもあうんが手伝ってくれると言ったことが嬉しくて、その勘を気にしないことにした。
「うぅーん。それじゃあ、二人で境内の掃き掃除をしてきてくれるかしら? 私は着替えて朝ごはんを作っておくわよ」
「「ありがとうございます! 行ってきます!」」
ぴゅーっと二人は競い合うようにドタバタと私の寝室を出ていった。
「……あの二人とても元気ね」
ぽつりとそんな言葉が出てしまった。まるで孫を見る祖母のような感じだった。私は祖母なんて見たことないけど。
「よっし、早く着替えて朝ごはんも作ってしまいましょうか」
そう思って枕元に置いてある服を手に取った。
「「うわあああ!?」」
キュッとリボンを結び終えた時に外からあうんたちの悲鳴が聞こえた。なにがあったのかしら。畳んだ布団を持って押し入れに入れて、縁側に出た時にその惨状を知る。
秋の桜の葉は沢山落ち葉になる。その集めた山の中に魔理沙が頭から突っ込んでいた。落ち葉はとても散り、魔理沙は惜しくも脳天から石畳にぶつかっている様だった。
「「霊夢さーん! 魔理沙さんが!」」
「……あーはいはい、とりあえず部屋に連れて行ってあげて。頭揺らさないようにに気をつけて」
一人に肩を、一人に足を持たれて魔理沙は運ばれて行った。なんであいつ着地に失敗したのかしら……
放り投げられていた二本の神社の箒と魔理沙の箒を賽銭箱に立てかけて、そのうち一本で掃除を始めた。二度手間でとても面倒くさかった。
「ふぁあ……」
大きなあくびが出た。少し眠たいが、どうにか境内の掃除は終わる。落ち葉を袋に入れてまた後で焼き芋でもしようかしら、なんて思いながら。
「霊夢さん……魔理沙さんはまだ寝てます。もう一人の私が見てはいるんですけど」
「あー、とりあえず苦しむような素振りがなかったら大丈夫よ。掃除終わったからこの袋境内の端っこに置いておいてくれるかしら。私は朝ごはん作ってくるわ」
「はい、分かりました!」
意気揚々とあうんは袋を持って行っていた。
私はいい加減朝ごはんを作りましょうか。台所で火を起こし始める。昨日作りかけて食べなかったお味噌汁だけでいいかしら。冷ご飯なら残っているけれど暖めるのも大変だし。あとは漬物くらいでいいわね。あうんが喜んでくれると嬉しいけれど。一応魔理沙の分も見とくか。
そんな必要なことを思えば楽しくなってくる。少しだけ鼻歌がこぼれ出していた。
お味噌汁が温め終わって鼻歌交じりに後ろを向くとあうん二人がこちらを見てにこにこにと笑っていた。
……恥ずかしくて殴りそうになったけれど耐えた。
「あうん、いつからいたのかしら」
「「鼻歌を歌い始める時から!」」
「もーっ、声をかけてくれればいいじゃない」
「えへへ、随分と楽しそうだったのでつい」
「私はお腹空いたー」
二人は笑いながら各々の言いたいことを言っていた。余程楽しそうな笑顔だったので殴り飛ばすのはやめておこうと思った。
「はいはい、もうできたから配膳手伝ってちょうだい。お椀とお皿二人で四人分持って行ってね」
温めた鍋を持ちながら言う。よいしょと鍋敷きも持ちながら二人の間を抜けていった。いつものちゃぶ台の上に鍋を置く。
「私たちの分一人づつで見てくれているんですか?」
さっき楽しそうに私に笑いかけた方がそう言う。
「分身なのでお味噌汁とかは半分づつでお願いします。一人に戻ったら吐きそうになっちゃう……」
さっきぐでーっとお腹空いたと言った方が言う。
へえ、分身だとそんなことが起こるのね。そういえば分身といえば地底の橋姫も分身したわね。あいつはあうんと同じようになるのかしら。関係の無いことが頭をよぎった。
「わかったわ、そうする。ほら早く食べたいならお椀とお皿持ってきなさいよー」
「「了解です!」」
びしっと二人で決めて取りに行っている。大丈夫かしら。
「うわーっ!」
一人のあうんが叫んだ声がした。
「どうしたのよ!」
「あー、お椀落としたみたい」
お皿を持ってきていたあうんが言った。
「ごめんなさい霊夢さん! 洗ってきます!」
「ちょっと慌てないでゆっくり来なさいよー!」
はあ、寝起きすぐに感じた勘は嘘じゃなかったのね。まあいいわ、余程のことがない限り大丈夫だとは思うから。
「霊夢さんはどうして私たちを受け入れてくれるんですか」
そんなことを聞いてくるものだから面食らう。どうして、ね。
「どうしてもなにも、二人は私の家族よ? それを忘れているんじゃないかしら」
言い終わると同時にあうんは飛びついてきた。その勢いのままわたしは寝転がる。
「うわぁん、霊夢さんありがとうございます〜!」
「ちょっと飛びつかないでちょうだい」
恥ずかしくなって慌てて言うものだから顔が赤くなったように感じた。
「えへへ〜霊夢さん……」
私の頬に頬ずりしてくるものだからくすぐったい。
「あー! 羨ましい!私もする!」
もう一人も帰ってきてはいきなりそう言うものだから驚く。
「へへーん、霊夢さんは私のものだ!」
「私だって霊夢さんに頬ずりする!」
ガバッともう一人も空いている右側に入り込んでくる。
「ちょっと、ちょっと待ってちょうだい……」
寝転んでいるところに左右両方から頬ずりされて動けない。嬉しいけれど、何もここまでしろなんて言ってない。
「「霊夢さん大好きです〜」」
二人分の大好きを受け取って心が、感情が嬉しい。名残惜しくてもしなくちゃいけないことがある。
「ほら、朝ごはん食べるわよ。頬ずりはまた違う時にしなさい」
無理矢理狭いところを抜けるかのように二人の間から脱出した。
「「ええ〜嫌ですもう少しします!」」
「いい加減にしなさいよ。私も嬉しいけれど限度ってものがあるの」
キツめにそういうと二人はしゅんと尻尾を下げて落ち着いた。
それを見て言いすぎたようにも思ったけれどこれでいいかな。ああ、でも一つだけ言っておかないとね。
「あうん、ありがとうね。私だって大好きよ」
「「れ、霊夢さん……」」
ぷるぷると二人は震えて下を向いた。あれ、まさか……
「「霊夢さーん! ありがとうございます!」」
二人は飛びついて来て、私はまた畳に転がった。
「ああもう、いい加減にしなさいよー!」
博麗神社に霊夢の声が響き渡った。
「ぐえっ!」
朝、起きるとあうんは分身して私の寝室に飛び込んできた。寝ぼけた私のお腹の上に分身したあうん二人が乗るものだから変な声が出た。
「あっ、ごめんなさい!」
「ちょっと私、霊夢さん困らしちゃダメじゃない」
飛び退いたかと思えば分身で話し合っている様がとてもシュールだった。
「いたた……手伝ってくれるなら嬉しいけれど、神社をめちゃくちゃにしてくれたら困るわよ?」
「「大切に守ってきた神社を壊しはしません!」」
ワッと二人で大きな声を出すものだからキーンと耳鳴りが響く。つい、指を耳に突っ込んでしまった。
威勢が良いのはいい事だけれども。私の勘が今日の一日の災難をもの語っているように思った。でもあうんが手伝ってくれると言ったことが嬉しくて、その勘を気にしないことにした。
「うぅーん。それじゃあ、二人で境内の掃き掃除をしてきてくれるかしら? 私は着替えて朝ごはんを作っておくわよ」
「「ありがとうございます! 行ってきます!」」
ぴゅーっと二人は競い合うようにドタバタと私の寝室を出ていった。
「……あの二人とても元気ね」
ぽつりとそんな言葉が出てしまった。まるで孫を見る祖母のような感じだった。私は祖母なんて見たことないけど。
「よっし、早く着替えて朝ごはんも作ってしまいましょうか」
そう思って枕元に置いてある服を手に取った。
「「うわあああ!?」」
キュッとリボンを結び終えた時に外からあうんたちの悲鳴が聞こえた。なにがあったのかしら。畳んだ布団を持って押し入れに入れて、縁側に出た時にその惨状を知る。
秋の桜の葉は沢山落ち葉になる。その集めた山の中に魔理沙が頭から突っ込んでいた。落ち葉はとても散り、魔理沙は惜しくも脳天から石畳にぶつかっている様だった。
「「霊夢さーん! 魔理沙さんが!」」
「……あーはいはい、とりあえず部屋に連れて行ってあげて。頭揺らさないようにに気をつけて」
一人に肩を、一人に足を持たれて魔理沙は運ばれて行った。なんであいつ着地に失敗したのかしら……
放り投げられていた二本の神社の箒と魔理沙の箒を賽銭箱に立てかけて、そのうち一本で掃除を始めた。二度手間でとても面倒くさかった。
「ふぁあ……」
大きなあくびが出た。少し眠たいが、どうにか境内の掃除は終わる。落ち葉を袋に入れてまた後で焼き芋でもしようかしら、なんて思いながら。
「霊夢さん……魔理沙さんはまだ寝てます。もう一人の私が見てはいるんですけど」
「あー、とりあえず苦しむような素振りがなかったら大丈夫よ。掃除終わったからこの袋境内の端っこに置いておいてくれるかしら。私は朝ごはん作ってくるわ」
「はい、分かりました!」
意気揚々とあうんは袋を持って行っていた。
私はいい加減朝ごはんを作りましょうか。台所で火を起こし始める。昨日作りかけて食べなかったお味噌汁だけでいいかしら。冷ご飯なら残っているけれど暖めるのも大変だし。あとは漬物くらいでいいわね。あうんが喜んでくれると嬉しいけれど。一応魔理沙の分も見とくか。
そんな必要なことを思えば楽しくなってくる。少しだけ鼻歌がこぼれ出していた。
お味噌汁が温め終わって鼻歌交じりに後ろを向くとあうん二人がこちらを見てにこにこにと笑っていた。
……恥ずかしくて殴りそうになったけれど耐えた。
「あうん、いつからいたのかしら」
「「鼻歌を歌い始める時から!」」
「もーっ、声をかけてくれればいいじゃない」
「えへへ、随分と楽しそうだったのでつい」
「私はお腹空いたー」
二人は笑いながら各々の言いたいことを言っていた。余程楽しそうな笑顔だったので殴り飛ばすのはやめておこうと思った。
「はいはい、もうできたから配膳手伝ってちょうだい。お椀とお皿二人で四人分持って行ってね」
温めた鍋を持ちながら言う。よいしょと鍋敷きも持ちながら二人の間を抜けていった。いつものちゃぶ台の上に鍋を置く。
「私たちの分一人づつで見てくれているんですか?」
さっき楽しそうに私に笑いかけた方がそう言う。
「分身なのでお味噌汁とかは半分づつでお願いします。一人に戻ったら吐きそうになっちゃう……」
さっきぐでーっとお腹空いたと言った方が言う。
へえ、分身だとそんなことが起こるのね。そういえば分身といえば地底の橋姫も分身したわね。あいつはあうんと同じようになるのかしら。関係の無いことが頭をよぎった。
「わかったわ、そうする。ほら早く食べたいならお椀とお皿持ってきなさいよー」
「「了解です!」」
びしっと二人で決めて取りに行っている。大丈夫かしら。
「うわーっ!」
一人のあうんが叫んだ声がした。
「どうしたのよ!」
「あー、お椀落としたみたい」
お皿を持ってきていたあうんが言った。
「ごめんなさい霊夢さん! 洗ってきます!」
「ちょっと慌てないでゆっくり来なさいよー!」
はあ、寝起きすぐに感じた勘は嘘じゃなかったのね。まあいいわ、余程のことがない限り大丈夫だとは思うから。
「霊夢さんはどうして私たちを受け入れてくれるんですか」
そんなことを聞いてくるものだから面食らう。どうして、ね。
「どうしてもなにも、二人は私の家族よ? それを忘れているんじゃないかしら」
言い終わると同時にあうんは飛びついてきた。その勢いのままわたしは寝転がる。
「うわぁん、霊夢さんありがとうございます〜!」
「ちょっと飛びつかないでちょうだい」
恥ずかしくなって慌てて言うものだから顔が赤くなったように感じた。
「えへへ〜霊夢さん……」
私の頬に頬ずりしてくるものだからくすぐったい。
「あー! 羨ましい!私もする!」
もう一人も帰ってきてはいきなりそう言うものだから驚く。
「へへーん、霊夢さんは私のものだ!」
「私だって霊夢さんに頬ずりする!」
ガバッともう一人も空いている右側に入り込んでくる。
「ちょっと、ちょっと待ってちょうだい……」
寝転んでいるところに左右両方から頬ずりされて動けない。嬉しいけれど、何もここまでしろなんて言ってない。
「「霊夢さん大好きです〜」」
二人分の大好きを受け取って心が、感情が嬉しい。名残惜しくてもしなくちゃいけないことがある。
「ほら、朝ごはん食べるわよ。頬ずりはまた違う時にしなさい」
無理矢理狭いところを抜けるかのように二人の間から脱出した。
「「ええ〜嫌ですもう少しします!」」
「いい加減にしなさいよ。私も嬉しいけれど限度ってものがあるの」
キツめにそういうと二人はしゅんと尻尾を下げて落ち着いた。
それを見て言いすぎたようにも思ったけれどこれでいいかな。ああ、でも一つだけ言っておかないとね。
「あうん、ありがとうね。私だって大好きよ」
「「れ、霊夢さん……」」
ぷるぷると二人は震えて下を向いた。あれ、まさか……
「「霊夢さーん! ありがとうございます!」」
二人は飛びついて来て、私はまた畳に転がった。
「ああもう、いい加減にしなさいよー!」
博麗神社に霊夢の声が響き渡った。
可愛すぎてたまらんですわ。好きです。
あうんちゃんもさることながら、突っ込んできて気絶した魔理沙に笑いました
霊夢と動物の組み合わせはいいものだ