幻想郷にもバレンタインという風習が曖昧に伝わった結果、2月14日、霊夢は困っていた。朝から5人ほどの男性が神社の境内に立っている。窓からそれを盗み見るように見て、博霊霊夢はひとりつぶやいた。
「どうしよう、今日何かある日だったかしら」
どういうわけか博麗神社にはその情報が伝道しておらず、道化ともいうべき5人はあてもなくただなんとなくそれぞれの距離を保ちながらどことなくハードボイルドな雰囲気を出しながら立ち尽くしている。どういうわけだか、彼らは霊夢がチョコレートをくれると信じているのだ。神事と誤解しているのかもしれない。風が吹くまだ寒い季節の話である。
そんな状況下で、霧雨魔理沙が彼らに見つからないように裏口から入ってきた。
「霊夢、どうしたんだ、あれは」
「どうしたもこうしたも、よくわからないのよ。何か期待しているみたいなんだけど、いったい何を期待されてるのか」
「そうか。お前はバレンタインも知らないんだな……」
哀れみのこもった目で霊夢を見て、魔理沙は説明をし始めた。
「つまり」霊夢は少し赤面しながら言った。「好きな人にチョコレートをプレゼントするっていうどこかの宗教の風習なわけね」
「ああ、あいつらはお前からもらえるのを期待しているんだ。ただ、義理チョコという風習もある。別に好きな相手じゃなくてもとりあえずくれてやれば帰るだろう」
「でも見なさいよ」
霊夢は家の中を指差し、くるりと回した。
「ここにチョコレートなんてあると思う? おせんべいでも代用できるものなの?」
「それはちょっとさすがに……風情ってもんがないぜ……。だけど、安心しろ霊夢! 私が魔法で出してやる」
というと魔理沙は本当に魔法でチョコレートを出し始め、食卓の上にみるみる溢れていった。
「わあ、すごい。これって食糧問題も解決じゃない? すごいどころじゃないわよ」
「残念ながら、カロリーも栄養もなんにもないんだな、これが。味は甘いが食べた気がするだけだし、明日になれば消えてしまうのさ」
「ふーん、残念。それはそれで需要がありそうだけどね」
2人はそれを適当に包んで5つに分けた。
早速霊夢は外を徘徊している5人に渡しに行った。幸い、数は変わっていなかった。近づくと彼らは確かに見覚えのあるような顔で、ほとんど霊夢と同い年くらいで、たぶん恋人はいないんだろうなという感じの少年たちだった。
「どうぞ、義理ですけど。今日中に食べてくださいね」
そう言って手渡してまわると、それぞれ彼らはほんのり嬉しげな顔と、自分はわかってるよとでも言うような顔をするので霊夢には若干うっとおしかった。用が済んだので、霊夢は神社に引っ込んでもう外は見ないようにした。彼らもさすがに帰るだろう。
「でも、その、義理とはいえ魔法のチョコレートなんて、悪かったかしら?」
「何を言ってるんだ、明日になれば消えてしまうからこそいいんじゃないか」
そう言われて理屈はよくわからないが霊夢も深く考えないことにした。どうせ、さっき知ったばかりの風習だ。
「それはそうと、私も、その……一緒に食べようと思ってチョコレートを持ってきたんだ。本物だぜ」
魔理沙は時々かわいい。
「どうしよう、今日何かある日だったかしら」
どういうわけか博麗神社にはその情報が伝道しておらず、道化ともいうべき5人はあてもなくただなんとなくそれぞれの距離を保ちながらどことなくハードボイルドな雰囲気を出しながら立ち尽くしている。どういうわけだか、彼らは霊夢がチョコレートをくれると信じているのだ。神事と誤解しているのかもしれない。風が吹くまだ寒い季節の話である。
そんな状況下で、霧雨魔理沙が彼らに見つからないように裏口から入ってきた。
「霊夢、どうしたんだ、あれは」
「どうしたもこうしたも、よくわからないのよ。何か期待しているみたいなんだけど、いったい何を期待されてるのか」
「そうか。お前はバレンタインも知らないんだな……」
哀れみのこもった目で霊夢を見て、魔理沙は説明をし始めた。
「つまり」霊夢は少し赤面しながら言った。「好きな人にチョコレートをプレゼントするっていうどこかの宗教の風習なわけね」
「ああ、あいつらはお前からもらえるのを期待しているんだ。ただ、義理チョコという風習もある。別に好きな相手じゃなくてもとりあえずくれてやれば帰るだろう」
「でも見なさいよ」
霊夢は家の中を指差し、くるりと回した。
「ここにチョコレートなんてあると思う? おせんべいでも代用できるものなの?」
「それはちょっとさすがに……風情ってもんがないぜ……。だけど、安心しろ霊夢! 私が魔法で出してやる」
というと魔理沙は本当に魔法でチョコレートを出し始め、食卓の上にみるみる溢れていった。
「わあ、すごい。これって食糧問題も解決じゃない? すごいどころじゃないわよ」
「残念ながら、カロリーも栄養もなんにもないんだな、これが。味は甘いが食べた気がするだけだし、明日になれば消えてしまうのさ」
「ふーん、残念。それはそれで需要がありそうだけどね」
2人はそれを適当に包んで5つに分けた。
早速霊夢は外を徘徊している5人に渡しに行った。幸い、数は変わっていなかった。近づくと彼らは確かに見覚えのあるような顔で、ほとんど霊夢と同い年くらいで、たぶん恋人はいないんだろうなという感じの少年たちだった。
「どうぞ、義理ですけど。今日中に食べてくださいね」
そう言って手渡してまわると、それぞれ彼らはほんのり嬉しげな顔と、自分はわかってるよとでも言うような顔をするので霊夢には若干うっとおしかった。用が済んだので、霊夢は神社に引っ込んでもう外は見ないようにした。彼らもさすがに帰るだろう。
「でも、その、義理とはいえ魔法のチョコレートなんて、悪かったかしら?」
「何を言ってるんだ、明日になれば消えてしまうからこそいいんじゃないか」
そう言われて理屈はよくわからないが霊夢も深く考えないことにした。どうせ、さっき知ったばかりの風習だ。
「それはそうと、私も、その……一緒に食べようと思ってチョコレートを持ってきたんだ。本物だぜ」
魔理沙は時々かわいい。
魔理沙カワイイ
カロリー完全0の魔法のチョコレートはちゃんと甘いのにいくら食べても気にしなくてよくて無敵ですね…