Coolier - 新生・東方創想話

阿求が知った本当の親友小鈴

2020/01/13 02:19:59
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私が転生したら最後に出す予定のアガサクリスQの原稿の中に挟んでおきました。
小鈴、見つけてくれてありがとう。
確実に小鈴だけに渡せる手段としてはこれしか無かったから。


何年も前の今となっては笑い話。
夏の日に鈴奈庵を訪れた時の事だった。
暑いにも関わらず小鈴が布団を被り下腹部を押さえ項垂れていた。
熱でも出てるのかと思い問うと、「解らないの、女の子の日でしょ」と返された。
「お大事に」と言い、資料用の本を借り事務的なやり取りをして駆け足で後にした。

九代目として転生してから当時私はまだ女になることを迎えていなかった。
嫌な汗が背中を伝わった。
そもそも歳だってそう変わらないし個人差も有る。
自分より背の低い友人が来ているのに自分はまだ来ていない焦りではない。


何か光り輝く異様なものが心を過ぎった。
これまで転生を繰り返して来た自分の記憶の中に封印したい何かがある。
八回も転生を繰り返し死に至るまでの過程は今更恐れることはない。
生きられるなら長い事生きたい。
ましてや今回は小鈴という素晴らしい親友が居る。

そんなことが頭にこびり着きながら屋敷の門を越えた直後、気の緩みが有ったのか。
自分の頭で理解する前に吐き出してしまった。
胃の内容物を出し尽くして、胃壁が裂けて出た血が混じった粘液だけが出てるのみであった
吐瀉物の中に崩れ落ちてクシャクシャの顔になりながら号泣を繰り返した。
使用人が私を担ぎ上げ、顔を拭き、水を呑ませ布団に寝せても嗚咽は止まらなかった。

気付いてしまったのだ。
自分の命は初潮までの年の倍だったという事を
16歳の時に来た時は32歳…
15歳の時は30歳…
14歳の時は28歳…
13歳の時は26歳…
12歳の時は24歳…
どういう理由か分からないが月の朔望の様に初潮を境として命が欠け始めると言うことに。

体の震えが止まらなかった。
転生寸前にならねば分からなかった自分の最後が後少しで分かってしまう。
使用人が沸かした風呂に入った。
冷静になり自分の体を鏡に映すと膨らみ始めた胸は小さく硬くも、股には十分な量の陰毛が生えていた。


残された時間は無い。
行動開始の撃柝(げきたく)が響いた。
翌日から食事は最低限とし、出来る限り体に負担を掛けて初潮を遅らせ様と努力した。

私の体は目に見えて痩せて行くに連れ、事情を知らない小鈴が度々心配の言葉を掛けてくれた。
でも小鈴と長く居たいという理由は話せなく、「長生きしたい」とだけ零した。
気兼ねして何も言わず、表面上は誰もが私に敬意を払う人里の中で遠慮なく私に言ってくれる唯一の存在である小鈴。
柔らかく暖かい小鈴の手が私の手を、顔を、髪を、首を、肩を撫でた。
唯一弱さを見せることが出来る小鈴が私に一つの優しさという空気を作り…私は言葉にならぬ声で叫び始めた。


一時期は子宮を取り出そうかさえ本気で考えた。
しかし自分がここに生きてる理由と子を産むのは御阿礼の子としての運命だから仕方がなかった。

食事を満足に摂らなくなった結果すっかり臥せって布団から出ないい日々。
でもそこでやっと気付いたのであった。
私は小鈴の前ですら人里の分限者として弱みを見せないようにしていたと言うことを。
でも小鈴の優しさに包まれて、何度も泣きついて、短い時間でも布団の中ではなく有意義に過ごしたいと思うようになってきた。
そして幾ら短い命でも小鈴と深い関係を築こうと決心したの。



私は小鈴が居る限り長生きしたい。
前途に困難な日々が待ってる事は確信してた。
でも長生きするのも悪くは無いが当時の私にはどうでもいい。
私は幸せの絶頂に立っていたのだから。

小鈴と同じ様に長生きしたい。一秒でも一緒に居たい。
私は小鈴と親友となることを許され、初めて人間としての幸せの絶頂を見たの。
でも小鈴、あなたとは一緒に行けない。
御阿礼の子としての義務を履行せざるを得ないから。

私はあなたと一緒に行けないから何倍も生きて幸せになって。
親友として死ぬまで私を忘れないで。

今私は幸せです。恐れもなにもない。
小鈴。私の転生成功を笑いながらその目で見て頂戴。
鈴奈庵は貸本屋と同時に二人の秘密の場所でもあった。
一つお願いが有るの、私が転生した時も思い出の場所である鈴奈庵を存続させてるように努力して。
そしてあなたのお墓参りをし、あなたの子孫から本を借りて相談もしたいの。
小鈴、唯一のお願いよ。


そして、この決意の後に時を経ずして御阿礼の子としてでは無く、小鈴の親友である一人の少女となった。
また二人だけの秘密を共有する仲、アガサクリスQとして付き合って来た。
二人だけのサークルみたいだったね。
以前小鈴から借りた外来本に、外の世界では自費出版本を出す人達を「サークル」と言うと書いて有ったけどまるでそれみたいだったね。
鈴奈庵の合間合間で印刷しなきゃならないから締切に追われて徹夜で入稿、印刷した時は大変だったけど楽しかったね。


小鈴
どうもありがとう
アガサクリスQの正体を知ってるのも本当にあなただけになっちゃったね。
二人で創った自費出版本を私があなたの親友として生きた証拠として忘れないで頂戴。

どこででも良い。
またどこかで会えたら。
あなたが私の記憶を失ってたも良いから、今度は私から恩返しさせて。


御阿礼の子、稗田阿求では無く
あなたの親友アガサクリスQより
阿求の寿命(30程度)という数を見ていたら初潮年齢を倍にしたのと大して変わらないというインスピレーションを受けて書き上げたものです。
初潮年齢12歳なら24歳,15歳なら30歳と考えると全く矛盾は無いと思います。
不思議なことに阿求の寿命と初潮・生理とを関連付けた話は幾ら探しても出て来なかったのが意外です。
ところで一つ思ったのですが,幻想郷の年齢は満年齢なのでしょうか?数え年なのでしょうか?

>1.
ありがとうございます

>2
>気色悪さが目立ち過ぎますね。
お褒めの言葉ありがとうございます

>3
>今までにないアイディアだとは思いましたが、いまいち乗り切れませんでした
どうもありがとうございます
アイディアだけで勢いで書いてしまったので構成とかが相当甘い事は認めます
いずれこのアイディアをまた活かしたいと思います
あおくろ
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コメント



0.180簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
2.無評価名前が無い程度の能力削除
気色悪さが目立ち過ぎますね。
8.80南条削除
今までにないアイディアだとは思いましたが、いまいち乗り切れませんでした
10.100終身削除
行動を強制されるだけでなくで自分の意思で弱みを見せないように気を張ってる阿求が健気で良いなと思いました 自分の役目のせいで名前にまで縛られるといけないからせめてアガサクリスQとして接させて欲しいという所が痛々しくてとても印象に残りました