昔、流星ーー流れ星に憧れた。
今だって憧れている。どうしてなんて言われても、私にとって大切な人と、流れ星を見て、憧れたんだ。
だから私は今日も星の弾幕を放つのだ。
ドスン。
「いてて……」
霊夢に撃破された私は神社の境内に減速しつつもお尻から落ちる。枯れた桜の葉が落ちた風で舞う。今日も負けた。ここ二週間ずっと弾幕ごっこをしているけれど二勝十二敗。また負け越しだ。
「大丈夫? お茶用意するから縁側で待ってなさい」
痛む体を起こして霊夢の言われた通りにする。縁側に座って、霊夢が置いたと思う救急箱取って手当てを始めた。
何がいけないんだろうか。私の敗因を考える。
避け方がいけないのか。スペルカードを発動するところが悪かったのか。私の動きを把握されているのは分かっている。手当しながら考えても分からなかった。
「持ってきたわよ」
「お、ありがとう」
お盆を霊夢は置いて座った。湯のみを手に持った霊夢は神社全体を見ているんだろうか。外を見ている。私もお茶を貰う。ズズと飲んだら昨日のやつよりも味が薄かった。出涸らしをさらに使っているからだろうな。暖かくて美味しかった。まあ薄いけど。
「あんたは……」
空から目を離した霊夢は何かを言いながらこちらを向く。
「あんたは……どうして今も星の弾幕を使うの」
黒の両目が私を射抜く。微塵も変わらないその目、その髪、その姿勢。私が求めるもの。 星を見たあの日からその黒を求めている。
「どうしてって、おまえ、私が使いたいからだよ」
「答えになってないんじゃない」
「私が使いたいから使う。これが答えだろ?」
「私はあんたが星の弾幕を使い続ける理由が知りたいの」
今日の霊夢は一味違った。いつもなら聞くだけ聞いて興味の無さそうにふうんって言って会話は終わるのに。
「それを知って何になるんだ」
「私がただ聞きたいだけよ。それ以外に理由なんてないわ」
「なんだよほんと……」
霊夢が分からなくて頭をくしゃくしゃと掻く。
本当に今日はどうしたんだ。分からない。霊夢は意外と頑固だ。いつも流すのに時々水をせき止めるかのように言うことを聞かないのだ……
「不機嫌そうね」
「時々出る頑固なお前に困惑してるだけさ……」
ああ、ちくしょう。分かってるなら言わないでくれよ。でもここまで聞かれるからには言わないと気が済まないんだろうな。本当は言いたくなかったけど。今更なのかもしれないから。
「私が星を使う理由だろ」
「ええそうよ」
少しだけぬるくなったお茶をごくごくと飲み干した。元のお盆に湯呑みを置いて話す。
「流れ星に憧れたんだよ。私もあんなふうになりたかった。その願望だけだ。流星になってしまいたかった……」
零れるような言葉で最後は声に出なかった。
「なあんだ、そんなこと」
「そんなことって、なんだよ」
霊夢はお茶をすすった後にこちらを見て話す。
「だってあんたは既に流星じゃない。空を駆ける星になってるわよ」
どういうことなんだ。霊夢の言葉の真意を測りかねる。
「なんでそんなに目を丸くしてるのよ。あんたはもう星になってるの。私は彼岸にお見送りに行ってあげる」
……彼岸に見送り?あっ。
「私を勝手に殺すな。死んでないわ!」
「冗談よ冗談。でもね、実際のところあんたはもう流れ星なのよ。その印象を人妖に見せつけてる。存在は確立されてるのよ」
存在確定。そういう話だったのだろうか。私が星になっているのは納得はいかないけれどもそういうことでいいのだろうか。半分諦めのような感情でそれを受け入れた。
#####
「あんたは既に流星よ。私のーー」
今だって憧れている。どうしてなんて言われても、私にとって大切な人と、流れ星を見て、憧れたんだ。
だから私は今日も星の弾幕を放つのだ。
ドスン。
「いてて……」
霊夢に撃破された私は神社の境内に減速しつつもお尻から落ちる。枯れた桜の葉が落ちた風で舞う。今日も負けた。ここ二週間ずっと弾幕ごっこをしているけれど二勝十二敗。また負け越しだ。
「大丈夫? お茶用意するから縁側で待ってなさい」
痛む体を起こして霊夢の言われた通りにする。縁側に座って、霊夢が置いたと思う救急箱取って手当てを始めた。
何がいけないんだろうか。私の敗因を考える。
避け方がいけないのか。スペルカードを発動するところが悪かったのか。私の動きを把握されているのは分かっている。手当しながら考えても分からなかった。
「持ってきたわよ」
「お、ありがとう」
お盆を霊夢は置いて座った。湯のみを手に持った霊夢は神社全体を見ているんだろうか。外を見ている。私もお茶を貰う。ズズと飲んだら昨日のやつよりも味が薄かった。出涸らしをさらに使っているからだろうな。暖かくて美味しかった。まあ薄いけど。
「あんたは……」
空から目を離した霊夢は何かを言いながらこちらを向く。
「あんたは……どうして今も星の弾幕を使うの」
黒の両目が私を射抜く。微塵も変わらないその目、その髪、その姿勢。私が求めるもの。 星を見たあの日からその黒を求めている。
「どうしてって、おまえ、私が使いたいからだよ」
「答えになってないんじゃない」
「私が使いたいから使う。これが答えだろ?」
「私はあんたが星の弾幕を使い続ける理由が知りたいの」
今日の霊夢は一味違った。いつもなら聞くだけ聞いて興味の無さそうにふうんって言って会話は終わるのに。
「それを知って何になるんだ」
「私がただ聞きたいだけよ。それ以外に理由なんてないわ」
「なんだよほんと……」
霊夢が分からなくて頭をくしゃくしゃと掻く。
本当に今日はどうしたんだ。分からない。霊夢は意外と頑固だ。いつも流すのに時々水をせき止めるかのように言うことを聞かないのだ……
「不機嫌そうね」
「時々出る頑固なお前に困惑してるだけさ……」
ああ、ちくしょう。分かってるなら言わないでくれよ。でもここまで聞かれるからには言わないと気が済まないんだろうな。本当は言いたくなかったけど。今更なのかもしれないから。
「私が星を使う理由だろ」
「ええそうよ」
少しだけぬるくなったお茶をごくごくと飲み干した。元のお盆に湯呑みを置いて話す。
「流れ星に憧れたんだよ。私もあんなふうになりたかった。その願望だけだ。流星になってしまいたかった……」
零れるような言葉で最後は声に出なかった。
「なあんだ、そんなこと」
「そんなことって、なんだよ」
霊夢はお茶をすすった後にこちらを見て話す。
「だってあんたは既に流星じゃない。空を駆ける星になってるわよ」
どういうことなんだ。霊夢の言葉の真意を測りかねる。
「なんでそんなに目を丸くしてるのよ。あんたはもう星になってるの。私は彼岸にお見送りに行ってあげる」
……彼岸に見送り?あっ。
「私を勝手に殺すな。死んでないわ!」
「冗談よ冗談。でもね、実際のところあんたはもう流れ星なのよ。その印象を人妖に見せつけてる。存在は確立されてるのよ」
存在確定。そういう話だったのだろうか。私が星になっているのは納得はいかないけれどもそういうことでいいのだろうか。半分諦めのような感情でそれを受け入れた。
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「あんたは既に流星よ。私のーー」
理解した瞬間レイマリだ!ってなる