鈴瑚が喉に団子を詰まらせた。
喉とは口奥から食道、気道へと通づる道を指すものだ。要するに、喉である。
失敬。私は今とても焦っている。
目の前で苦しげに首を抑える鈴瑚。
これは先程、吃逆と同時に団子を噛まずに飲み込んだ結果である。
吃逆とは横隔膜の痙攣のことであり───
失敬。私は今とても焦っている。
焦っている焦っているとは言えども、それを自覚するばかりで何をすればいいのか分からないものだ。
まず助けを呼ぶべきと思った私は、辺りを見回した。
迷いの竹林と呼ばれるこの地で、助けを呼んでも果たして誰か来るものか。
「誰かー!!!」
3秒が経過した。
「やっほー!!!」
山彦が返ってきた。
一体どうなっているんだこの竹林は。
そもそも山彦とは音の───
失敬。私は今とても焦っている。
全くもって巫山戯た地である。
しかしこんな地でも団子屋を営み、学ぶ事は多かった。
人が我々に感謝をするのだ。美味い美味いと団子を食べる人々を見て学んだことと言えば、小さな子供と老人に団子を打ってはならないという事だ。
理由は喉に詰まるからであり、要するに───
失敬。私は今とても焦っている。
しかしこのままでは鈴瑚が窒息してしまう。
別に鈴瑚を子供とか老人とかと言うつもりはない。
まったく、鈴仙に会いに来たはいいが、そのまま帰る足で土に還ってしまうとは一体何をしたいのか。
まぁ月兎である我々が不浄の土に還るかと言えば───
失敬。私は今とても焦っている。
こんな時の対処を習ったような気がする。
何だっただろうか。吸引すればいいのだろうか。
押すとかそんな感じだった気もする。
「鈴瑚!!」
取り敢えず押し倒した。
青い顔で困惑する鈴瑚の顔が見える。
後は吸えばいいのか。吸う。どこから?
口か。
「───!??」
接吻とは親愛や友愛、愛情を示す行為である。
月では接吻を仲間と興味本位でしたことが懐かしい。
あの頃の私は柔らかな相手の唇の感触に───
失敬。私は今とても焦っている。
鼻から息を吐き、全力で吸い込んだ。
鈴瑚が目を白黒させているのが見える。
まぁもう少し我慢して欲しい。
これが正しい救助なのだから───
すぽん
と気持ちの良い音ともに、鈴瑚の口から何かが入ってきた。
そのまま喉へと滑り込み、私は驚きに目を見開く。
気道とは喉から繋がる道の一つであり、肺へと通づるそこは塞がってしまうと───
失敬。私は今とても焦っている。
○
「ゲホ…なにしてんだか…」
目の前で手足をバタつかせる清蘭を見下ろすと、ゆっくり息を吸った。
体の節々に酸素が行き渡る。
「気道異物除去の方法はっと」
暴れる清蘭を後ろから抱きしめると、おおよそヘソと鳩尾の間ぐらいの位置に拳を当てた。
「こう、でしょ?」
「ぐぉえ!!」
腹部突き上げ法により、清蘭の口から勢い良く団子が飛び出した。
「ゲッホゲホ!!」
暫し青い顔で浅い呼吸を繰り返す清蘭。
やがて呼吸が落ち着くと、ゆっくりとこっちを向いた。
「そう、それそれ」
「どんな助け方よまったく…」
すぐに冷静を失う清蘭には困ったものである。
呆れながら団子を口に含むと、
「ヒッキュゴ!?」
またまた吃逆が最悪のタイミングで出てきた。
喉に団子の詰まる感覚。
しかし今度は安心できる。
何故なら腹部突き上げ法を思い出した清蘭が───
「鈴瑚!!」
一直線に唇を奪いにきた清蘭に、ひょっとしてコイツは私にキスをしたいだけなのでは無いだろうかと思う。
何も学ばず、再度団子を詰まらせた清蘭を前に、私は大きくため息を吐いた。
「ぬん」
「ぐぼぇ!!」
喉とは口奥から食道、気道へと通づる道を指すものだ。要するに、喉である。
失敬。私は今とても焦っている。
目の前で苦しげに首を抑える鈴瑚。
これは先程、吃逆と同時に団子を噛まずに飲み込んだ結果である。
吃逆とは横隔膜の痙攣のことであり───
失敬。私は今とても焦っている。
焦っている焦っているとは言えども、それを自覚するばかりで何をすればいいのか分からないものだ。
まず助けを呼ぶべきと思った私は、辺りを見回した。
迷いの竹林と呼ばれるこの地で、助けを呼んでも果たして誰か来るものか。
「誰かー!!!」
3秒が経過した。
「やっほー!!!」
山彦が返ってきた。
一体どうなっているんだこの竹林は。
そもそも山彦とは音の───
失敬。私は今とても焦っている。
全くもって巫山戯た地である。
しかしこんな地でも団子屋を営み、学ぶ事は多かった。
人が我々に感謝をするのだ。美味い美味いと団子を食べる人々を見て学んだことと言えば、小さな子供と老人に団子を打ってはならないという事だ。
理由は喉に詰まるからであり、要するに───
失敬。私は今とても焦っている。
しかしこのままでは鈴瑚が窒息してしまう。
別に鈴瑚を子供とか老人とかと言うつもりはない。
まったく、鈴仙に会いに来たはいいが、そのまま帰る足で土に還ってしまうとは一体何をしたいのか。
まぁ月兎である我々が不浄の土に還るかと言えば───
失敬。私は今とても焦っている。
こんな時の対処を習ったような気がする。
何だっただろうか。吸引すればいいのだろうか。
押すとかそんな感じだった気もする。
「鈴瑚!!」
取り敢えず押し倒した。
青い顔で困惑する鈴瑚の顔が見える。
後は吸えばいいのか。吸う。どこから?
口か。
「───!??」
接吻とは親愛や友愛、愛情を示す行為である。
月では接吻を仲間と興味本位でしたことが懐かしい。
あの頃の私は柔らかな相手の唇の感触に───
失敬。私は今とても焦っている。
鼻から息を吐き、全力で吸い込んだ。
鈴瑚が目を白黒させているのが見える。
まぁもう少し我慢して欲しい。
これが正しい救助なのだから───
すぽん
と気持ちの良い音ともに、鈴瑚の口から何かが入ってきた。
そのまま喉へと滑り込み、私は驚きに目を見開く。
気道とは喉から繋がる道の一つであり、肺へと通づるそこは塞がってしまうと───
失敬。私は今とても焦っている。
○
「ゲホ…なにしてんだか…」
目の前で手足をバタつかせる清蘭を見下ろすと、ゆっくり息を吸った。
体の節々に酸素が行き渡る。
「気道異物除去の方法はっと」
暴れる清蘭を後ろから抱きしめると、おおよそヘソと鳩尾の間ぐらいの位置に拳を当てた。
「こう、でしょ?」
「ぐぉえ!!」
腹部突き上げ法により、清蘭の口から勢い良く団子が飛び出した。
「ゲッホゲホ!!」
暫し青い顔で浅い呼吸を繰り返す清蘭。
やがて呼吸が落ち着くと、ゆっくりとこっちを向いた。
「そう、それそれ」
「どんな助け方よまったく…」
すぐに冷静を失う清蘭には困ったものである。
呆れながら団子を口に含むと、
「ヒッキュゴ!?」
またまた吃逆が最悪のタイミングで出てきた。
喉に団子の詰まる感覚。
しかし今度は安心できる。
何故なら腹部突き上げ法を思い出した清蘭が───
「鈴瑚!!」
一直線に唇を奪いにきた清蘭に、ひょっとしてコイツは私にキスをしたいだけなのでは無いだろうかと思う。
何も学ばず、再度団子を詰まらせた清蘭を前に、私は大きくため息を吐いた。
「ぬん」
「ぐぼぇ!!」
山彦はこんなところで何やってるのw
妙に生々しくてどうしてこうなったんだと思いました
やっほー!って山彦が返ってくるの好きです