宵闇に支配される神社で、二人の少女が倒れていた。
片や、胸元からの出血で、黒い衣服が赤で汚れ。
片や、不自然な程までに、その衣服に汚れがなく。
ガバリと。
黒と白のツートーンカラーが、勢いよく上半身を起こした。
「成功ってところかな」
沈黙に包まれる世界で、霧雨魔理沙は、ぽつりと呟いた。
「しかし、酔っていたとはいえ、まさかあの霊夢がこんな手に騙されるとはなぁ……」
そう言いながら、血で——否、血糊で汚れた服を脱ぎ捨てる。
「くそっ、寒い…… 着替えを出してから服を脱ぐんだった……」
ひとりごちりながら、神社の中へと戻り、家から持ってきた鞄から、先ほどまで来ていた服と、全く同じデザインの服を取り出す。
「さて、片付けるか」
つまりは、そういう事だ。
自分が死んだ時、霊夢がどうなるのか。
ある日、魔理沙は急にそれが気になって仕方がなくなった。
自分と霊夢、どちらが長く生きるかは分からないが、どちらにせよ、その時に自分は霊夢の様子を確認することは出来ない。
そうなれば、魔理沙の行動は早かった。
変装魔法の一環である、本物さながらの血糊を用意し、服に仕込む。
ちょうど香霖に貰った酒が有ったので、それを口実に、怪しまれないように着替えを忍ばせた鞄を持ち込み、実行に移した。
結果は、上々。いや、むしろ、想像以上、想定以上の良い結果だったと言えるだろう。
「普段、妖怪を殺して、返り血を浴びても、眉一つピクリとも動かさない霊夢が、私の血を見て、私の死を見て、気絶までするとはな……」
己の死が、確かに彼女の心を、これ以上ない程に強く揺さぶったのだ。
これ以上、望む結果があっただろうか?その可能性を、魔理沙は即座にNoと切り捨てる。
黒い感情、褒められた事ではないであろう喜びに、心が満たされる。
魔理沙は、自分の口角が、歪に釣り上がる事を自覚した。
己の死が、親友——いや、それ以上の感情を持った相手に、これほどまで大きいものとして受け止められる。
これ以上の喜びがあるはずもない。
今宵あった全てを、夢の彼方と追いやる為の後始末をしながら、純真とは程遠いひどく純粋な感情を、魔理沙は何度も口の中で転がして味わっていた。
と、そう思いはするけど、その一方で魔理沙の心理が分からないでもない
なんとも複雑な感じ
霊夢からすればたまったものではありませぬがw
ブラックなレイマリもありですね。
それを実際に行動に移しちゃうのは正直ちょっとひくw
終わった後で霊夢に対する大したフォローもなく、罪悪感もなく、喜びという感情だけで締めくくろうとするあたりも、魔理沙に対する酷いという印象を濃くしているような気がします。
いっその事、ヤンデレ感バリバリな感じの魔理沙としてキャラクタライズされていたらこういう酷い言動の魔理沙もアリかなって思ったかも。
もっとえげつねえのに魅力と個性がすげえの知ってるので
この評価ですみません