Coolier - 新生・東方創想話

謎の少女―幻想―

2017/07/20 23:00:21
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 果たして"それ"を始めに言い出したのは人か、それとも妖怪か。今となってはわからない。だが噂話は必ず誰かにつながっている。噂から噂へ、人から人へ、妖怪から妖怪へ。まるでねずみ算のように膨れ上がった"それ"の行く先は、一体何処なのか。
 ネジを巻き終えたオルゴールは演奏を始め、終えるまで決して止まらない。生まれた噂話はいつしか手足を得て、一人静かに踊り出す。まるで紅い靴でも履いているかのように。
 聞くところによると、最初に"それ"を見たのは人間の里だったという。溢れる噂話の中で所々偏りがあるが、なぜかこれだけは変わらず、人間の里から始まる。だが登場人物が話によって違うため、ここは分かりやすいように主人公を「少年」ということにしておこうか。
 ――少年は夜の人里を歩いていた。寺子屋の帰り道だという。遅くまで居残りしていたせいか、疲れが全身に回り始め、瞼も大分重くなってくる。虚ろう視界に踊らされるまま、自宅へ歩き続けることほんの少し。
 気づけば見知らぬ場所へ足を踏み入れていた。しかし見知らぬ場所といっても外観は人間の里そのもの。見慣れた家々が立ち並び、その中から溢れる光が道を照らす。いつもと変わらない風景……のはず。だがなぜだろう。人間の里は風の音しか聞こえないほど静かだっただろうか。
 頬を撫でる風に違和感を覚え始めると、途端にすべてが怖くなっていく。これは妖怪の仕業なのだろうか。そうだとすれば自分は食べられてしまうのではないか。不安と恐怖が鬱積し、心の余白を埋め尽くすのにそう時間はかからない。
 埋め尽くし、溢れ出しそうになった――その時。"それ"は姿を現した。
「――」
 いつから其処に居たのか。まるで急にピントが合ったように瞳に一人の少女が映った。しかも目と鼻の先、言葉通りの近さに少年は思わずたじろぐ。突然のことに目を白黒させていると、少女は少年を見つめ、足の先から頭の上までなぞるように見えると、僅かに微笑みながら少年の周りを絡みつく風のように回り、家々の間、狭い路地に走って行く。
 少年は唖然としいたが、去って行く少女の目が"ついてきて"と訴えているように思えて、急ぎ彼女を追った。少女が入っていった路地を見ると、その向こうで少女が突き当たりを右に曲がっていくのが視界の端に見える。少年は急いで突き当たりまで走り、右に曲がる。それからも視界の端に見える少女の後を右へ、左へ。少年も全力で追いかけているが、決して追いつけない。だが、それでも曲がり角や、道が分かれるところでは必ず少女の姿を視界に捕らえることができる。なんとも不可思議な距離感だ。
 そして必死に走っていると、どこからか喧騒が聞こえ始めた。生活感を感じる音や声。気づけばもう家はすぐそこにあった。なんだったんだろう――少年が走り疲れた足を止め、上下する肩を押さえようとしていると、不意に背後から視線を感じる。
 咄嗟に振り返れば、家々の物陰から少女が手を振って、その影に消えていくのが見えた。

 ――――――
 ――――
 ――

 片付け損なった炬燵は意外にも役に立つ。夏がやってきたからといって決して肌寒い日が無いとは言い切れないからだ。先日初夏の訪れを感じさせた太陽は今は雲の上。雨粒が屋根の瓦に当たれば、なんとも風情のある音がする。だが逆に吹き付ける風に揺られ続ける風鈴は、耳に痛い。しかし取り外そうにも、今縁側に出ればずぶ濡れになることは避けられないだろう。
 久々に暖めた炬燵の中で、博麗霊夢は横になりながら少し湿気た煎餅をかじった。やはり炬燵の魔力は夏も健在のようで、霊夢を掴んで放さない。だが単に放心している霊夢ではなかった。頭の中で回る考え事は、今度も少々面倒だ。――まあ、博麗の巫女の悩みごとなど、面倒事以外ありはしないのだが。
「よう、霊夢。なんだかシラけた面してんな」
 考えている最中に、面倒事は増えるものだ。この雨の中、わざわざ神社へとやってきたのか、ずぶ濡れな服をそのままに縁側から部屋の中へと入ってくる霧雨魔理沙に、霊夢は一つため息をついて、近くにあったタオルを彼女の顔めがけて投げつけた。
「なんだよ、ほら」
 タオルの受け渡しが不服だったのか、少し不満げな声色の魔理沙は手に持っていた風鈴を霊夢に向かって下から投げ渡した。
「うるさかったから外しといたぜ」
「そっ、ありがと。表に出る手間が省けたわ」
「それで? なに面倒そうな顔してんだよ」
 受け取ったタオルを濡れた衣服と髪をそれとなく拭き終えると、魔理沙は暖まっている炬燵の中に体を入れる。雨で冷えた体には天国のように暖かい。蜜柑でも食べたい気分になるが、さすがに夏の今日にそれはなかった。
「……別に」
「別にってことないだろ。顔に書いてるぜ。面倒だな……動きたくないな……ってな」
 さすがに長い時間一緒にいるだけあって、表情の変化が少ない霊夢の微妙な違いを知っている。――ここで隠して下手に詮索したり、話を大きくされたりしても困るのは私の方だ。炬燵のテーブルに手を伸ばす。煎餅はもう無い。口を塞ぐ物もなくなってしまったか。
 渋々、といった雰囲気で、霊夢は口を開いた。
「ここ最近、都市伝説とか噂話が具現化して使えるようになったり妖怪化したことあったでしょ」
「あったなーあれはあれで楽しかった」
「あれ以来、少しずつ収まりを見せてたんだけど、ここ数日で新しい噂話が一気に広がったのよね。しかも面倒なのよ、内容だけに」
「ふうん。どんなは話なんだ?」
 興味津々と言わんばかりに目を輝かせる魔理沙に、霊夢は「その前にお茶もってくる」と炬燵を立った。――名残惜しさは尋常ではない。それだけに部屋の空気は一段と寒く感じた。軋む廊下を進みながら台所に入る。確か茶葉をまだ切れていなかったはず。この雨の中、人間の里まで買い出しに行きたくはない。
 棚の中をあさり茶葉を発見すると、茶葉をお湯とともに急須に入れ、引き返し始める。それにしても魔理沙も物好きだ。自分から面倒事に首を突っ込むあの精神を未だに理解することはできない。できることなら面倒事抱えたくない霊夢にとって、魔理沙の方が博麗の巫女にむいているのではないか――そんなことを考えつつ、元いた部屋へ戻った。
「おっ、帰ってきたな。それでどんな話なんだ」
「お茶いれるまで待ちなさいよ」
 部屋の戸棚から二人分の湯飲みを取り出し、やっと炬燵に体を戻した。お茶を注ぎ、それを一気に飲み干して喉を潤すと、霊夢はある噂話について語り始める。
「色々なパターンがあるから有名どころを掻い摘まむけど……なんでも、ふとした拍子に見た目は同じだけど、何かが違う世界に引き込まれるらしいわ」
「今までに無いタイプの噂話だな、それだけか?」
「一応続きがある。その世界に入り込んだ後、女の子と会うらしいの。その女の子は走って逃げて行っちゃうんだけど、その後を追うと元の世界に戻ってこられるみたい」
「なんだそりゃ、あんまり面白くない話だな」
 期待外れだったらしく、魔理沙は腰を倒して寝転んだ。一体何を期待してたのか、霊夢はお茶を入れ直すと、今度は一口だけ口に含む。
 魔理沙はこの噂話の恐ろしさを分かっていない。確かになぜこの話が広く知れ渡ったのかは疑問を抱くが、問題はそこではなく、何かの拍子に違う世界へ引き込まれることだ。今の幻想郷では先日の都市伝説異変のように、目も葉も無い噂であろうと広く知れ渡ればそれが形として現れる可能性がある。そうなれば、引き込まれたまま帰ってこれなくなる者も出てくるかもしれない。事実、引き込まれたまま戻ってこれなくなるパターンの話も実在している。そうなる前に収拾を付けなければ。もっとも、すでに具現化している可能性も――。
「この話が現実になると、色々面倒なの」
「まっ、霊夢が言うならそうなんだろうよ。でもそっち系の話なら、紫がいれば一発で解決しそうなもんだけどな」
「あーダメダメ。アイツ、別世界間の境界は操れないって言うのよ。肝心なところで使い物にならないんだから」
 面倒事は持ってくるくせに、解決には全く関与してこない。
 それにしてもどうやって解決したものか。今回は事を起こしている妖怪を力任せに叩けばいいというものではない。霊夢にとっては苦手な案件だ。前例として人間の里の噂話の事件を解決したことがあったが、あれはうまいこと話題を転換させただけ。今回はうまい転換が浮かんでこない。だが、自然消滅するまで待つということも立場上できない。その間に被害がでたら自分のせいである。さてはて、どうしたものか。
 部屋を静けさが包む。――静かだ。雨音が聞こえないことに違和感を感じた霊夢が炬燵から出ずに手だけ伸ばして障子を開けると、すでに雨は上がっていた。雨上がりの破れた雲のすき間から陽射しが差し込む。これはまた蒸し暑くなりそうだ。
「雨、あがったな。それでどうするよ」
「……面倒だけど、またいつ降り出すかも分からないし、夜の買い出しのついでに様子を見に行ってくるわ」
 何はともあれ現状把握だ。相手は実態を持たない噂話。実際にこの目で見て、確かめるほかないだろう。重い腰を上げ、炬燵の誘惑を振り払う。顔を出した陽射しは湿った空気を熱し、蒸し暑さを生み出す。――帰ってきたら炬燵は仕舞おう。
「そんじゃ、私も行くかな」
「……勝手にしなさい」
 魔理沙は指を鳴らして箒に飛び乗ると、霊夢は地面を蹴った。風に流れていく雲を隣に、二人は空を飛んでいく。耳に聞こえる衣服がはためきが、胸をかすめる違和感をより一層大きくしていくのが、霊夢には手に取るように分かった。


     ◇◆


 雨上がりの人里。今だ今だと言わんばかりに人が行き交う。

 泥濘む地面に足をとられそうになる人々の隙間。視線は一人の少女を捕らえる。整った顔立ちは少女をその年齢より大人びてみせた。紅と白の巫女服という一目見て派手に見えるはずの服装だが、少女はそれを自然に着こなしている。
 少女は何かを探しているようで、忙しなく辺りを見回す。隣に立つもう一人の少女に話しかけると、二人は別れ、少女一人きりとなった。
 それを見た視線が弧を描くと、ふわり風に乗り、その場を離れる。そして背後から地面を蹴る音が聞こえると――さらに弧を歪ませた。

 ――――――
 ――――
 ――

 まだ雨の匂いが色濃く残る人間の里は、人の行き来で溢れていた。
 雲の隙間から陽射しが、今が夏だと言うことを思い出させる。そこに人口密度が加わって、もう蒸し風呂のように感じた。足音しか広がらない里の中は、霊夢の目には伽藍堂としているように見える。特段、興味を引かれるものもない。踏みしめる足が泥濘んだ地面にとられそうになりながら、人間の里を進んでいく。あまり風がないせいか、どんよりした空気が漂っていた。
「で? どうやって探すよ、その女の子」
「さあね。どの話でも、その子の容姿は語られてないから」
 いつも変わらない。霊夢の瞳に映る情報はそう告げている。だが霊夢の勘はそれとは逆の言葉を告げる。――違う、何かがおかしい。
 必要の無い情報を遮断するために、静かに目を閉じた。耳に入ってくる雑音を一つ一つ取り除いていく。誰かの会話、無数の足音、次第に無音になっていく空間。そこから違和感の正体を掴もうと、神経を張り巡らせる。
 ――そして気づく。大体向かい側だろうか。流れる弱々しい風に、僅かだが歪みを感じる。何か違うモノが混じっている。辺りを見回して、人々の安全を確認すると、隣に立つ魔理沙の耳を借りた。
「ここからは二手に分かれましょ、そっちの方が手っ取り早い」
「ああ、わかった。そんじゃ私はこっちな」
 魔理沙が右手の道へ歩いて行くと、霊夢は前方へ視線を走らせた。
 行き交う人の波の中、ゆらり揺れる人影。確かにその容姿を視界に捕らえているはずなのに、なぜがその容姿の情報が頭に入ってこない。分かるのは、まるで自分と人影の間に半透明なガラスがあるような、妙にピントが合わないような感覚だけ。どうりでどの話の中でも、その容姿が語られないわけだ。
 そして人影は家々の脇道に姿を消す。――見失う!
 霊夢は強く地面を蹴り、人々の間を目にも止まらぬ速さですり抜ける。急ぎ人影が入っていった脇道へ入ると、突き当たりを右に曲がる人影が見切れた。
「何処までも噂通りね」
 だったら――霊夢の体がふわり宙に舞う。狭い脇道での飛行は制御が難しいが、走るより何倍も速い。人影が曲がった方へ進路をとると、かなり先の通路を左に曲がる人影が見えた。人の足であそこまで遠くに行けるとは到底思えない。やはり都市伝説異変の名残がこの人間の里に残っているのだろうか。
 その後も出せる限りの速度で追ってみるも、二人の距離は決して変わらない。
「疲れる。やめよ、やめ」
 霊夢は地面に足を着き、ゆっくり歩き始めた。追いつきもしないが見失いもしないだろう。最悪、見失わないように待っていてくれるかもしれない。
 しかし、人間の里はこれほど入り組んだ作りになっていただろうか。
 先ほどまでは追うことに気をとられて感じていなかったが、まるで迷宮に迷い込んだみたいだ。思えばいつからか人々の喧騒が聞こえない。あんなに蒸し暑かったはずなのに、今は頬を撫でる風が妙に涼しく感じる。
 やはり噂通りだった。人影がそうしたように、霊夢も角を曲がり脇道を向ける。
「あー……やっぱりね」
 霊夢の目に映るのは見慣れた人間の里だが、まず違和感は足の裏から。靴越しでも伝わってくる熱。雨上がりで泥濘んでいた場所とは到底思えない。頭上の空も、雲一つ無く、夕焼けに染まっている。閑散とする辺りに人気はない。どうやら話に違わず、よく似た別の世界に来てしまったのだと、霊夢はため息をついた。
 大して当惑することもない。こういったときは踏んできた場数がものをいう。異なる環境に足を踏み入れたからといってあたふたしていたら幻想郷の異変など解決できないのである。――さて、どうしたものか。このまま人影を追っていって元の世界に戻ることはできるかもしれないが、それでは事態の解決にはならない。かといって、ここであの人影を退治してしまっては自分が元の世界に戻れるかどうか分かったものでは――。
「――」
「うわっ」
 深く考え込んでいた霊夢の視界に急に人影が現れる。いや、初めから目の前に居たのかもしれないが、霊夢は気づいていなかった。傾く陽射しを後ろから受け、逆光の中非常に見づらいが、その姿を瞳に捕らえることができた。
 肩をかすめるブロンドの毛先には緩くウェーブがかかり、ふわっとした印象を受ける。肌も白く、顔は美人の部類にはいるだろう。その小さな顔に収まった大きな瞳は、霊夢を捕らえて放そうとしない。容姿や胸の膨らみから話と通り女性だということが分かるが、少女というほど幼いとは思えない。そう見えてしまうのは、きっと彼女の表情の内に幼さが残っているからだろうか。
「アンタは……妖怪? それとも人間?」
「――」
 霊夢の問いかけに少女は答えない。だが言葉が通じていないわけではないようで、少女は悩むように首を捻る動作を見せた。どうやら考えられる知性はあるようだ。状況が状況名なだけに霊夢は手が出しづらい。話し合いで解決すればそれが一番なのだが、どうやら言葉は喋れないらしく、質問しても首を動かすことで意思表示するだけ。
「じゃあ、この世界に人を連れ込んでるのはアンタ?」
「――」
 首を捻るニュアンスから、「そういうときもあれば、そうじゃ無いときもある」と言ったところだろうか。
「ふうん。今回のわた」
 自分の場合を聞こうとしたとき、不意に少女の手が霊夢に伸びる。頬に触れた手は、冷たく、その存在を強く感じた。指先は滑るように頬から首、肩、腕、と順になぞる。瞳は霊夢を見つめて、一歩近づいたかと思うと、まるで絡みつく風のように霊夢を回り、近くの路地へ走って行く。
「ちょっと! まだ話は――」
 霊夢の言葉を聞くことなく、少女の姿は物陰に消えた。
 このまま彼女を追っても元の世界に戻るだけ、解決にはならない。しかし追わなければ戻れなくなる可能性もある。
 霊夢は少女を追った。先ほどと同じく視界に見切れる彼女の足取りを、そのまま辿っていく。少女は時折振り返っては、こちらを見て微笑む。何が狙いなのか、目的なのか、まるで分からない。ただの追いかけっこに、意味があるとは思えない。
 もしかしたら――霊夢に予感が走ったとき、里の喧騒が聞こえ始めた。
 気づけば、元いた場所、魔理沙と別れた場所に戻ってきている。白昼夢でも見ていたかのような感覚だ。だが、温くか弱い風が、何処か懐かしく感じる。
「おーい、霊夢」
 前方から馴染みの声が聞こえ、釣られるように顔を上げると、魔理沙が手を振りながらこちらへ歩いてくる。
 さて、なんと説明したものか。頭をかく霊夢が視線を足下に下ろすと、一匹の黒猫が足に擦り着いてきていた。霊夢が屈むと黒猫は、にゃー、と小さく泣き、霊夢の手に擦り寄ると、家々の路地に去って行く。
「あっ――――」
 猫を追う視線。
 その先に見えた、あの少女。
 物陰からこちらを覗き、微笑み手を振る。
 霊夢と少女の間を人が行き交った、その後には――もう誰も居なかった。
「こっちは駄目だったぜ。いや~尻尾すら掴めん。そっちはどうだった?」
「……この件はもう大丈夫よ」
 隣に来た魔理沙の声で我に返ると、霊夢はそうこぼした。なんとなく、そう思えた。あれは人に危害を加えるような存在じゃない。それでも何かあれば、その時にまた動くとしよう。
「なんだよ、もしかして霊夢は会ったのか?」
「会ったような……会っていないような」
 霊夢自身、それが本音。確証など何処にも無い。もしかしたらさっきの黒猫と戯れていただけかもしれない。
 大きく息を吐いて、空を仰ぐ。雲は大分消え、青空がこちらを覗く。太陽と目が合えば、眩しい、と目を細める。
「……じゃあ……ね」
 夕飯の支度のため、買い物に歩き出す。その後ろを納得いかない顔の魔理沙がついて回る。何があったのか聞き出そうとする魔理沙をあしらう霊夢の顔は、いつもより少し涼しげだ。この蒸し暑いなか、なんとも賑やかなこと。
 
 だが、今回の件はなんだったのだろうか。
 最後まで知ることができなかったことの発端。噂話は辿れば必ず誰かにつながっている。一体誰が得をしたのか、一体誰が損をしたのか、意図の掴めぬ噂話。ならば少女は誰の手によって生み出されたのか。彼女の存在を必要とするモノがきっと何処かにいるのではないか……と胸を過ぎる。
 不意に世界のピントがズレる瞬間、それはアナタも体験するかも知れない不思議な感覚。もし、見る世界を違えてしまったら、アナタも少女を頼ってみるのもいいかもしれない。運良く会えたら――の話だが。結局少女の謎は謎のまま、今も少しズレたところで踊っている。きっと何処かで笑っていることだろう。例えばアナタの後ろ……とか。
 ――そうそう。そういえば数日後、何処かの誰かが往年の探し物を見つけたとか。
原曲も好きですが、某オルゴールアレンジも好きです。
てんのうみ
[email protected]
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コメント



0.180簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
小難しくて吐きそうになった。
ssでと言うか文章で吐きそうになるのは始めて。
うげーってなって内容が頭に入らない。途中で読むの諦めたというよりも本当勘弁してほしい。
こんなの始めて。だから100点
3.70名前が無い程度の能力削除
地の文がやたら説明したがりなのに所々で文章が拙いのが残念。
4.80名前が無い程度の能力削除
文がぎっしり詰められていて、少し読みづらいです。話自体は良かったので、このまま続けて下さい。
5.100名前が無い程度の能力削除
結局私には真相はわかりませんでしたが、描写や話の進め方が面白かったです
6.100スベスベマンジュウガニ削除
こういうふうな謎って、何だったかもわからない、あったかどうかもわからないのが一番面白いと思うんですよね
8.100名前が無い程度の能力削除
読ませられる文章に惹きつけられました。
文章の余韻が心地よいです。