Coolier - 新生・東方創想話

小話集

2017/05/23 09:50:49
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 1.納豆の話


「な、なぁフラン。そんなに嫌がることはないだろう」
「……」
「ほら、なかなかおいしいぞ。1つやろう」
「……お姉様、近寄らないで。臭いがうつるんだけど」
「ひどいこと言うなよ。半分ならどうだ?」
「いらないって言ってるでしょ。それより、洗面台に行ってくれない?口の周りが汚いよ」
「もうひとつ食べたら行くとしよう」
「いくつ食べるのよ、もう」


 ほんとにいくつ食べるつもりだ。それで6つ目だろ。なんでそんなに納豆が好きなのよ。吸血鬼らしく血でも飲んでなさいよ。
 というかいつまでかき混ぜるつもりだ。真剣な表情なのがシュールすぎる。いいからはやく食べろ。


「……ふう。こんなものだろう。流石に手首が痛い」
「中途半端にかっこ悪いことしないで……」
「なんだ。納豆をバカにするのか。食べ物の恨みは怖いぞ」
「その納豆への執着心のほうが怖いんだけど」
「いまに見てろ。枕元に納豆総立ちだからな。震えて眠れ」
「マジで震えてきたじゃない。おぞましいこと言わないでよ」
「ちなみに私は納豆を枕にして寝ているわ」
「納豆を粗末にするな。食べ物の恨みは怖いんじゃないのかよ」
「おかげで夢にまで納豆が出てくる」
「あんたの枕元に出てきてるのね……」
「文字どおり寝食をともにしているというわけだ」
「生活が浸食されてるじゃない」
「切っても切れない縁だからな。この納豆の糸のように」
「うまくないよ。あんたとの縁を切りたくなってきたわ」
「むう。つめたいやつ」
「当然じゃない。納豆くさい姉はごめんこうむるね」
「いいもん、納豆と添い遂げるから……。後悔しても遅いんだからな!」
「するやついないでしょ」
「棺桶には納豆を入れてね」
「醬油もかけてあげるわ」
「納豆に生まれ変われそうね。悪くない」
「一体どこに納得したんだよ」


 納豆への愛が強すぎる。死んでも納豆と一緒がいいのかよ。性格までねちっこくなってるじゃない。
 そのうち弾幕まで納豆になってそうね……。うわ、想像したくねぇ。自機狙いとかしつこく追い回してきそう。
 

「そうそう、納豆にちなんだスペルカードを考えたのだけど」
「お願いだからやめて」



 2.猛暑の話


 
 ―――あついです。あつい。めっちゃあつい。まだ春先ですよ。桜が咲いたばかりじゃないですか。
 日陰にいてもあんまり涼しくないです……。あぁ、あつい。なにもかんがえられません。
 このままずっと休憩していたいです。ちくしょう、日差しが憎い。


「なんでそんな平気な顔してられるんですか……。咲夜さんは相変わらずクールですねぇ」
「そんなことないわよ。これでも内心は暑さに参っているわ」
「ほんとですかぁ?汗一つ掻いてないじゃないじゃないですか」
「服のあらゆる隙間に保冷剤を入れているもの」
「……ほんとうだ。なにしてんですか。ドヤ顔しないでください」
「中での勤務なのも幸いしたわ。キッチンは涼しいし。涼しいのよふふん」
「二度も言う必要ないでしょう……」
「とくに冷凍庫が涼しいわ。開けっ放しにすると最高よ」
「そんなことしてたんですか!?そりゃあ涼しいわけで」
「なかの食べ物をつまみながら涼める素晴らしい環境よ」
「解雇待ったなしですよ」
「お嬢様も一緒よ」
「主がすでに手遅れでしたか……」
「冷凍庫のなかに入って『これなら気持ちよく眠れそうね』と仰っていたわ」
「閉じ込めてやりましょうか、まったくもう」
「もう閉じ込めたわ」
「いや、冗談のつもりだったんですけど」
「鎖で封じて南京錠もしてきたわ」
「隙がなさすぎる」
「妹様も喜んで手を貸してくれたわ。盛り上がってハイタッチまでしてくれたのよ」
「お嬢様って嫌われてるんじゃ……?」
「閉じ込めたときに胸のこの辺りがチクチクしてたわ。なんでかしらね」
「良心が必死に抵抗してるじゃないですか」
「これが恋かしら…」
「歪んでやがる、遅すぎたんだ」
「まあ、お嬢様はもう手遅れかもしれないわね」
「助ける素振りくらいしてください」
「暑さでおかしくなったのよ。見逃してほしいものだわ」
「自覚があるあたりタチが悪すぎる」


 お嬢様の様子を見に行った方がいいでしょうか……?でも、暑くて動きたくないなぁ。
 まあ、寝てるみたいですしそのままにしておきましょう。うん。起こすのはよくない。
 きっと自力で出てこれるでしょう。出てきてください。


 ***


「そんなわけで、こちらが氷漬けのお嬢様になります」
「白目剥いてるじゃないですか」
「なんて穏やかな寝顔……」
「目を背けるな」
「主の眠りを妨げるなんて、そんなこと出来ませんわ」
「永眠しそうな勢いですけど」
「お嬢様は私の心のなかで生き続けるのよ」
「まだ生きてますって」
「死んでしまうのも時間の問題よ。ああ、なすすべはないのね」
「解凍してあげてくださいよ」
「火で炙ればいいのかしら」
「もうそれでいいんじゃないですかね……」
「パチュリー様のロイヤルフレアなんてどうかしらね。もしやりすぎても、火葬ということにできるわ」
「死ぬ方向で話を進めないでください」
「喪服の用意しなくちゃ……」
「別れの言葉くらいは考えておきましょうか」
「そうと決まれば早くやりましょう。溶けてしまっては燃やせませんわ」
「じゃあ私はパチュリー様呼んできますね」
「え?ほんとにやるの?」




「………(全部聞こえてるからな、まったく。動けるようになったら覚えてろよあの2人。そもそもなんで私は閉じ込められてたんだ?
 うーん、記憶がない。……あれ、パチェがきた。え、え。ほんとにやるの?冗談じゃないの?冗談でしょう、パチェ?
 あちっ、あつい。あっっっつ!じわじわ炙るな!咲夜も美鈴もパチェもガチ泣きじゃない。こんな時だけノリがよすぎる。
 絶対仕返ししてやるからな、絶対だ。いまにみてろこんちくしょう。だから炙るのをやめろぉ!)」


 ―――魔女狩りよろしく炙られた結果、無事解凍されましたとさ。めでたしめでたし。




3.髪の毛を切る話




「おはよう、フランドール」
「……なんでいるの。お姉様の部屋は上だよ」
「つめたいなぁ。もう。それも可愛いけれどな!」
「……」


 目が覚めると姉が目の前にいた。おまけに頭を撫でてきやがる。
 なんでだ。いつ来たんだこんちくしょう。さまになっているのが腹立つなぁ。


「フランも髪のびたなぁ。腰まであるんじゃないかこれ」
「……あんまりベタベタさわらないで」
「いっそのこと散髪してあげようか。あー、おそろいとかどうだ?もれなく私が喜ぶ」
「咲夜にやってもらうからいい」
「あの従者めうらやましい…。この髪を好きにできるなんて。くそ。くそ。私は姉なのに」
「本気でくやしがらないでよ。ちょっと怖いよ」
 どんだけわたしの髪に執着してるんだ。髪切り妖怪かなにかか。寝起きに髪を切られてなかっただけましかもしれない。
 考えたらこわくなってきたなぁ。やめやめ。そもそも寝床に入られてる時点でアウトな気もするけど。
「……で、なんでわたしのベッドに入っているわけ?扉の鍵はかけたはずなのに」
「いわゆるピッキングよ。咲夜直伝のね。これほど咲夜に感謝した日はないわ」
「もっと感謝すべきことがあるだろ」
「だって咲夜は基本私には塩対応だし……。ちょっかいをだしてもかまってくれないし……」
「なんで雇い主が仕事の邪魔してるのよ」
「出資者の無理難題というやつさ。嫌われるギリギリのラインを攻めていきたいわね」
「そんな遊び心いらない……」
「パチェのところにも行ったんだがな。研究の邪魔だと追い返された」
「当然だね」
「美鈴は狸寝入りをやめなくてさ。グングニルでも起きないから諦めたわ」
「存在を真っ向から否定されてるじゃない」
「そ、そんなことはないぞ。ないはずだ。うむ。思い当たる節もないし……。……ないよな?」
 わたしの姉ってこんなに残念だったかなぁ。
「とにかくな。手持ち無沙汰になってしまってな。ここに来たわけだ」
「暇つぶしでカギを壊してわたしの眠りを邪魔したわけね」
「私は寝顔が見れて満足したからな!むしろもっと見ていたいくらいだ」
「……本人のまえでシスコンを拗らせないで」
 ちょっと嬉しかったなんて思ってない。思ってないからね。まったく。恥ずかしいから蹴ってやろう。えい。えい。
「痛っ、いたいいたいっ。脛はずるいだろう。いたい。ごめ、いたい。何回蹴るんだ。いてて」
「寝起きにセクハラなんてするからよ」
「でも蹴られるのも悪くないかもしれないな。もう少し優しく蹴ってくれ。いてて」
「シスコンでマゾの姉は御免だよ」
「可愛さゆえというやつだ」
「……さすがに気持ち悪い」
 いつからわたしの姉はこんなに拗らせたやつになってしまったの。ネーミングセンスのほうが100倍ましじゃない。
 

      

           *        *        *



「髪の毛なんだけど」
「お、私に切らせてくれるのか」
「なわけないでしょ。三つ編みのことよ」
「結んでみたいのか?やってあげるぞ」
「ん。まあ。そうね。じゃあ。お願いしようかしら」
「よしきた。私にまかせておけ。特別可愛くしてやろう」
「わたしはもとから可愛いよ」
「ふふっ。そうだなぁ」
「……」
 こんな時に限ってカリスマがあるのはずるいでしょ。なんか慣れてる感じがするし。ホストか。
「しっかし、この髪すごいな。サラサラだ。枝毛もないぞ。これを羽織って寝たら気持ちよさそうだ」
 前言撤回。やっぱり気持ち悪い。こいつほんとにわたしの姉か?髪切り妖怪で間違いないでしょもう。
 髪に対する愛が重いよ。だいたい髪を羽織るってなんだよ。
「む。こうも長いと結びにくいな…。やっぱり切っちゃだめ?」
「だめ。いま切られると髪を何に使われるかわかんないもん」
「保存したり飾ったりなんてするわけないじゃない」
「……飾るなんて発想はさすがになかったなぁ」
 どこの妖怪屋敷だ。そんなおぞましい考え知りたくなかったよ。
「…ここをこうして。よしよし。慣れてくるとなかなか楽しいな」
「三つ編みを結んでるんだよね?遊んでたりしないよね?」
「ふふん。心配するな。完成は近いぞ」
「ほんとかなあ」
「ほんとほんと。永遠亭の薬師もびっくりの三つ編みになるぞ」
「ならいいんだけどね」
「ちょんまげなんて結ってないからな」
「……お姉様のことスキンヘッドにしてやろうかしら」
「頭を洗うのが楽そうでいいな。夏も涼しそうだし」
「……」
「あ、すんませんでした。ごめんなさい。そんな目で見ないで。家族に向ける目じゃないよそれ」
「遊びすぎるとほんとに怒るからね。真面目にやって。まったくもう」
「ちくしょう。おもしろいのに」
 まあお姉様ならスキンヘッドになっても気にも留めなさそうだけど。似合うとすら思ってそうね。





           *        *        *




「よぅし。終わった。できたぞー、フラン」
「……フラン?フーラーン?フゥゥゥラァァァン?」
「ちゃっかり寝てるしこんにゃろう」
「完成したから褒めてもらおうとおもったのになあ」
「それにしても。うん。かわいいなこれは。やばいぞ。心拍数上がってきたし」
「え。え。ほんとにかわいい。どうしよ」
「あー。おちつけ。おちつけ私。おちつくのよ。深呼吸をしましょう」
「……ふぅ。ふぅ。よし。もう大丈夫だ」
「このまま寝かしておこうかしら。起こすのもあれだしな。毛布でも掛けておこう」
「……髪にキスくらいは許してくれるだろうか。うーん。まあ。私が結ったわけだしいいよね」
「………」
「……めっちゃいい臭いがする。ふさふさだし。うーんこの手触り」
「おっと。いかんいかん。起こしてしまう」
「寝顔もみれたし。イチャイチャできたし。そろそろ戻ろうか」
「たまには私の部屋に来てくれてもいいんだからね。というか来てほしい」
「おやすみなさい、フランドール。話せて嬉しかったよ」





「………」
 思わず起きたじゃない。なによ。なによキスって。妙にさまになるあたりがずるいのよ。顔が真っ赤になったわ。まったく。
 きっと素でやってるんだろうなぁ。なんなのよもう。気持ち悪かったりかっこよかったり忙しいわね。
 お礼だって言いそびれちゃったし。あとで部屋にいってあげようかしら。
 この三つ編みはどうしようかな。ほどくのはもったいないよね。髪をきるのはもっとあとにしよう。うれしいからとかではないからね。
 まだちょっと眠たいわ。すこしだけ寝ようかな。お姉様のところには起きてからいこう。そうしよう。
 おやすみなさい、お姉様。来てくれて嬉しかったわ。






            *        *        *
 



「なあなあ」
「なに」
「その髪はいつきるんだ」
「……三つ編みに飽きたらきるよ」
「ふふっ。そうか。そうか。気に入ってくれたか。うれしいなぁ」
「ふん。たまにはロングもいいかな、って思っただけよ。それだけよ。」
 




「あ、そうそう。きるときはおしえてね。その三つ編みを玄関に飾るから」
「ぜんぶ台無しだこのやろう」
勢いに任せて書いたらこうなりました。

3つ目はレミフラかもしれない。レミフラいいよね……。
ノノノ
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コメント



0.340簡易評価
1.20名前が無い程度の能力削除
奥行きのない話が幾つも連なってるだけ。
読んでて飽きる作品でした。
2.80名前が無い程度の能力削除
6.100南条削除
かわいいながらも狂気じみたレミリアが良かったです
他のメンバーからの扱いは妥当だと思いました
9.100桜野はる削除
テンポの良いお話とキレの良い突っ込みと、レミリアのカリスマにやられました。
レミフラ最高です!
10.80名前が無い程度の能力削除
テンポのいいコントみたいでした
姉の愛は重いのだ