Coolier - 新生・東方創想話

東方真剣勝負……2

2015/08/30 22:58:54
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 妖怪の住む寺、命蓮寺。
 そこに住む一匹の鼠妖怪が「ナズーリン」であった。「良心」と言ってもいい。
 寺の中で、物事を俯瞰的に把握する能力に関しては、彼女は飛びぬけていた。
 宗教とは言わば共通した信念。さらに言えば凝り固まった思想。そこには足りないものがあった。そして彼女はそれを持っていた。偶然ながら。
 つまり彼女は唯の尊大で矮小なお目付け役に過ぎなかったのだ。

 数刻前、彼女は命蓮寺の住職「聖白蓮」と相対していた。その隣では彼女にとっての上司であり保護対象である「寅丸星」が心配そうに自らの部下を見つめていた。
 
最初に口を開いたのはナズーリンだった。

「あの、大丈夫でしょうか?」

「……大丈夫、とは?」

 白蓮が問い返す。

「大丈夫、とはとても便利な言葉です。分かりますか?席を譲りましょうかと尋ねたとき『大丈夫』。怪我をしているとき『大丈夫』。危ない!天井が落ちてきた!『大丈夫』!ここは任せて先に行け!」

「……」

「『大丈夫』と言われたほうは、それが『大丈夫』に見えなくても受け入れるしかなくなる。他にもあります。友達を慰めるときに『大丈夫』?と尋ねたりしますね。相手を慮りながらも自分の意思を表明したい、そんなときにこの言葉はとても便利です」

「……」

「そもそも、先程のあなたの問いには主語がありませんでした」

「……」

「ナズーリン、あなたはいったい何を心配しているのですか?」

 一瞬、白蓮は言葉を切った。

「自らの身の安全ですか?」

「この寺の体裁ですか?」

「それとも」

 次の白蓮の言葉に、息を飲んだ。




博麗神社。
対戦カードが発表された三日後。再び寂れた境内に活気が集まっていた。
そう。今宵は戦いの時。どちらかが勝ち、どちらかが負ける。
ここぞとばかりに賭博が始まる。なんでもいい。退屈という辟易を少しでも遠ざけたいが為だ。

「はいはーい!というわけでこんにちは皆さん!レポーターの小鈴でーす!」

 ごきげんよう、皆さん。ここ最近巷で噂のエターナルメモリーとは私のこと。稗田阿求です。本日はついに決戦の時。ついにその映像を皆さんにお見せできるということです。

「おっす、前回からなぜか解説役に抜擢された魔理沙だぜ。エターナルメモリーは置いといて、楽しみだな。個人的にも今回の勝負は面白いと思ってるんだ。皆の注目度も高そうだしな」

 境内に集まっている人たちの量と熱気からもそれが伺えますね。まるで人がゴミのよう……おっと失礼。

「ところで魔理沙さん。両者の票の集まり具合はどんな感じですか?」

「ああ、いま集計してるところだぜ。終わるまで色々と解説しといてくれや」

 了解しました。ではまず勝負の概要を説明しましょうか。小鈴、お願い。

「じゃあ基本的なところから説明しますね。ちょっと長くなるかもだけど、気楽に聞いててくれていいからね!」

「まず、対戦カードと種目が博麗の巫女『博麗霊夢』さんから発表される。これは前回見たと思うんだけど、覚えてるかな。霊夢さんが夜空に弾幕で字を書いて発表するの。なんでそんな風に発表するのかは分からないけど……」

 勝負はその一週間後に行われます。この期間は主催グループがルールの設定をしたり、双方の対戦者の作戦会議及び心の準備をするのに当てられるらしいですね。ちなみにこの期間中は対戦者同士が顔を合わせたり連絡を取り合ったりすることはあまりありません。禁止されているわけではないのですが、自重される傾向があります。

「発表から一週間後、つまり今回で言う今日なんだけど、その日に対戦は行われます!そして死闘の末、勝利したほうには、その名誉が与えられます!」

 大まかな流れとしてはこんな感じかしらね。じゃあ次はちょっと細かいところを説明します。ルールとして原則禁止されている行為は基本的にはありません。何でもあり、ということになるわね。

「基本的には、ね」

 そう。これはあくまでも「暇つぶし」ですから。皆が楽しめるように設定された規則は存在します。例えば、対戦者以外の第三者による介入。勝負のバランスを著しく損なう反則行為。故意による対戦相手の「消滅」など。

「『消滅』ってところが幻想郷らしいよねー。ここ、殺しただけじゃ死なない人とか大勢いるから。存在自体を『消滅』させるとこまでやっちゃダメだよってことね」

 さらに種目によって様々なルールが追加されます。ただしそれは大まかな枠組みを作るだけであって、裏を返せば「それ以外は何をしてもいい」ということですね。これも例を出すと「二点先取の三本勝負」だったり「対戦場所の指定」だったり。

「そしてここからが面白いところなんだけどね、対戦者同士がルールを追加することが出来るんだよ!」

 そう。小鈴の言った「ルールの設定」は勝負の直前に、観衆の面前で、対戦者同士の話し合いによって行われます。

「流れとしては、まず一方がルールを提示。もう一方がそれを承諾、もしくは拒否。承諾された場合はそのルールは勝負の時に効力を持つ、って感じかな」

 あまりにも一方が有利になるようだったら当然通らない。しかしそれをうまく隠して一旦相手に承諾させさえすれば、一気に勝負が有利になる。もしかしたら相手が、無理なルールを通すことを条件に、それと同等、もしくはそれ以上のルールを相手に通させることが出来るかもしれない。

「無理が通れば道理引っ込む。ならばこちらも無理を通すぞ、とこういうことだね。この『ルール設定』でだいぶ勝敗が変わってくるから面白いんだー」

 特に対戦者の実力差が如実に表れているときはね。例えば今回みたいな。

「ふう。これで一通りの説明は終わったかな。魔理沙さーん、集計は終わりましたかー?」

「おーう。いまちょうど終わったところだ。なかなか面白い結果になってるぜ?」

「え、見せてください……ほーう、なるほどなるほど」

 勝負とは別に、対戦者の勝敗に賭けをする催しも行われています。その得票数によって大体の観衆の期待度が把握できるので、一つの指標として見ていきたいと思います。視聴者の皆さんに具体的な数字を見せるわけにはいかないのが残念ですが……。ちょっと二人とも、私にも見せなさいよ。

「ああ、いいぜ。ほらよ」

 ありがとうございます。どれどれ……。


 ふむ。なるほど。片方が微有利だといった感じでしょうか。

「いーや、まだわかんないぜ。『ルール設定』が始まる瞬間まで受け付けてるからな。あくまでも『今の時点では』ってことだ」

「それにしても、そんなに差がついてないね。私はもっとあっちのほうに流れると思ってたんだけど」

「あー、そもそもの話をするとだな、ここ(幻想郷)にはギャンブラーが多いんだよ。だからわざと負けそうなほうに賭けるやつが結構な数いてな。もしかしたらその数字はあんまりあてにならないかもしれねえ」

 いえ、魔理沙さん。この数字は面白い変化を生みそうな気がしますよ。それに実は私も賭博は人並みに好きでして。こういう数字は大好きなんです。さて私はどっちに賭けようかしら。

「今のところ、あっきゅんはどっちが勝つと思ってるの?」

 うーん。まだどうとも言えないわね。一週間前も言った気がするけど、今回の対戦カードでは直接対決をしたら勝敗は明らかなの。でも今回の種目は「かくれんぼ」。これなら面と向かって殴り合う必要が無いから、そこに作戦を立てる余地が生まれる。

「圧倒的な力の差を知略で埋めることが出来るかってことだよね」

 そう。そしてその知略が如何なく発揮されるのは間違いなく「ルール設定」の時なのよね。
締め切るギリギリまで悩みたいところだけど……。

「堅実派だねえ。魔理沙さんは?」

「ナズーリンだな」

 あら、即答ですか。理由を伺っても?

「ああ、なんてったってあいつはダウジングの天才だ。隠れてるものを探すことに関してはあいつの右に出るものはいないと言っても過言じゃあない。そしてその能力は探すときだけじゃなくて隠れているときにも有効だ。自分を探している相手の位置を把握できたら、かくれんぼにおいてこれ以上の強みはないぜ。まあ、隠れている最中に動いちゃいけない、なんてルールが今回のかくれんぼ勝負にあったら話は変わってくるがな」

「確かに。私はむしろ今回の勝負はナズーリンさんに有利な気がするんだけど……?」

「得票数が気になるか」

「うーん、確かにフランさんの能力は強力なんだけど、今回の勝負に限って言えば、ナズーリンさんの能力のほうが上手を行くと思うんですよねー。だから私も勝つのはナズーリンさんかなーって」

「なるほどな。おい阿求」

 なんでしょう。いま私、二人の能力とステータスを吟味するのに忙しいんですけど。

「私たち二人がナズーリン側についたんだからさ、お前はフランの応援をするべきじゃないのか?全員が一方の肩を持つとつまらんだろう」

 え、そんなこと言われましても。というか私たちは本来どちらの肩を持つべきでもないんですから。

「えー、だってあっきゅんもどっちかっていうとギャンブラーなんでしょ?」

 私はどちらか一方の肩を持っているわけじゃないから。単純に「こっちが勝ちそう」って思ってるだけだからいいの。レポートは公平にするつもりよ。あと「あっきゅん」はやめろって言ってるでしょ。てい。

「あ痛った!」

「おーおー、仲が良くて微笑ましいこった。ははは!」


一際大きな歓声があった。


 魔理沙さんも笑ってる場合ですか。ほら見てください。フランドールさんが会場に到着しましたよ。ああ、姉も一緒ですね。

「お、ほんとだな。仲良さげにお喋りしてやがる。勝負前の緊張っていうのは無さそうだな」

勝負慣れというか、もうそこんとこの感覚が麻痺しているのかもしれませんね。なんせ495年間でしょう?

「ばっかお前。あいつに聞こえたら『きゅっ』ってされるぞ。やめとけやめとけ」

「そういえば、二人の詳しいデータを説明してなかったね。二人が揃って『ルール設定』が始まるまでにちゃちゃっと済ませちゃおうか」

 そうしましょうか。

「おっ。そういうデータなら私に任せてくれ。なんせ実際にやり合った仲だからな」

 説明に協力するのは当然ですよ。そのために呼んだんですから。

「あっはい、そうですか」




閑話休題


「霧雨魔理沙」Common and uncommon

力…低 俊敏…高 耐久…低
頭脳…高 危険度…低 潜在…極高

種族…人間 所属…魔法の森
能力…魔法を扱う程度




 そもそも「ナズーリン」や「フランドール」というのは本当に彼女たちの本名なのかどうか分かりませんけれど。それを言い出したらきりがありません。さしあたり、今この時点で判明している情報を公開していく形になりますか。

「それが賢明だろうな。プライバシー?著作権?よくわからんが不可侵な領域ってのは誰にだってあるだろうし。それにこの放送がきっかけでどっかの勢力に目ぇ付けられるのはごめんだぜ」

「魔理沙さんはもう色んなとこから注目されてると思いますけど」

「まじか。私って人気者だな」

 はいはい、説明していきますよ。まずは東方紅魔郷、EXボス、「フランドール・スカーレット」。種族は「吸血鬼」。能力は「あらゆる物を破壊する程度」。

「湖の畔に立つ紅い館、通称『紅魔館』の主、『レミリア・スカーレット』の妹さん。数年間、館の地下に幽閉されてたらしいけど、異変の時に霊夢さんと魔理沙さんに会って、外の世界を知ることになったんですよね」

「私が初めて会ったときに比べて随分と丸くなったような気はするが、それでも性格は凶暴だ。なんというか、吸血鬼年齢に換算するとまだ子供なんだろうな、あの年は。無邪気さの中にある残忍性を前面に押し出してる感じだぜ。その分、細かいことを考えるのは苦手だろうさ」

 吸血鬼が持つ高い身体能力もあり、純粋な戦闘力という面からなら幻想郷の中でもトップクラスだと言えるでしょう。

「ただし忘れちゃいけねえ。今回は『かくれんぼ』だからな。能力をどう有効活用していくか。これが重要になってくる」

「って言っても、私にはあまり活用方法が思い浮かばないんだけどな……」
 やり方は色々あるでしょう。ただ、彼女がそれを思いつくかどうかは分からないけど。

「次だ。東方星蓮船、打って変わって1ボス、『ナズーリン』。種族は『鼠の妖怪』になるのかな。能力は『物を探し出す程度』らしい。命蓮寺っていうちょっと変わった寺に住んでるんだ」

「私、彼女のことあんまり知らないんだけど、どういう立ち位置の人なの?」

 命蓮寺の住職曰く、彼女は監視役だそうよ。

「監視役?」

 命蓮寺という寺、謳い文句は「人と妖怪とが手を取り合って生きられる世の中」っていうものなの。その文句の是非は置いといて、有言実行ってことなのかしらね、命蓮寺では妖怪が何人も暮らしてるわ。

「え、それって危なくないの?」

「大丈夫だ。あいつらは怒らせなければ普通の人間と変わらずに接してくれる。むしろ人間より人間らしいところがあるくらいでな」

 そう。それが一人の妖怪の「失くし癖」なの。

「失くし癖って……、え、もしかしてナズーリンさんって、その人の失くし癖のためにその寺に住んでるの?失くしたものを探し出せるから?」

「多分そういうことだな。偶々、直属の上司が異動したから付いて行かざるを得なかった。だからあいつはそんなに宗教関係にもうるさくない。飄々とした奴だが、毎回上司が失くしたものを律儀に探しに行くあたり、根は真面目って印象だ」

「知らなかった……。じゃあナズーリンさんにとって、隠れてるものを探したりすることは普段からやってることなんだ」

しかもかなり頭が切れるらしいわ。なんせ「賢将」って呼ばれてるくらいだし。

「ただし戦闘には向いてない、というかそもそも管轄外なんだろうな、あいつにとっちゃ。初めて会ってやりあった時も割とあっさり通してくれたし」

 だから今回、こういう形であれ、彼女の戦っている姿を記録できることがとても嬉しいんですよ。もしかしたら彼女が公表していない能力があるかもしれませんし。

「ま、それはフランにも言えることだがな。あいつとまともにやりあって生きてる奴なんて、私と霊夢くらいしかいないんじゃないのか?隠し玉の一つや二つ、持っててもおかしくはないだろ」

「そうそう。紅魔館に住んでる人たちってみんな強いんでしょ?ここに来ているのは吸血鬼の姉妹と咲夜さんだけみたいだけど、美鈴さんとかパチュリーさんとかも紅魔館の人だったっけ」

「そうだぜ。そいつらのことも説明し出したらきりがないから割愛するが、あいつらのことを端的に言うなら、そうだな、『厄介な奴ら』だな」

 パチュリーさんのこと?あの人の持ってる蔵書は貴重なものが多いのよね。度々お借りしているから今度お礼しなくちゃいけないかなって考えてるところなの。

「あいつは見かけによらず和菓子とか好きだぞ。最中なんかいいんじゃないか?」

そうなんですか。じゃあそうしようかしら。

「というかお前はいいなあ。パチュリーから本を借りられるなんて。私なんか話も聞かずに門前払いだぜ。門番は倒して入るんだけどな」

「そうやって強引に借りていくからでしょう?私だって鈴奈庵の本を勝手に持っていかれたら怒りますし」

「この前なんて館の中に入ったのはいいんだけど、パチュリーのやつ、図書館に独自の結界を張ってやがってな。こじ開けようとしても破れないから諦めることになっちまったんだぜ。しかも咲夜に見つかって戦闘になるし。あの時は散々だったな」

「完全に自業自得ですよ、それ」

 私からは因果応報という言葉を贈りましょう。
「余計なお世話だ」


 大きな歓声があった。


「あっ!ナズーリンさんも来たみたいですね!」

「おい、あいつ、一人か?他の命蓮寺の奴らが見当たらないが……」

 そういえば魔理沙さん。もしかして東方星蓮船のメンバーがこの真剣勝負の対戦カードに選ばれることって、今までに何回くらいあったんですか?

「んー、確かぬえが出たことがあったが……。あいつは命蓮寺に入信してるってわけじゃなさそうだし」

 やっぱりそうでしたか。つまり事実上、命蓮寺のメンバーがこの真剣勝負に参戦したのは、今回が初めてってことですね。

「そういうことになるな」

「え、それって結構プレッシャーなんじゃない?」

「そうだな……。命蓮寺の奴らは仲間が負けて帰ってきたからって、そいつをぞんざいに扱うことは絶対にしないだろうが……。うーん……」

 心配ですね。

「ああ、心配だな」

「し、心配なの?なにが?」

「この勝負、勝った奴には名誉が貰えるが、負けた奴はどうなると思う?」

「う、うーん……。負けたら悲しいし、恥ずかしいし。なんだか惨めだし……」

 そう。負けたということは即ち自らの弱さの証明です。そして負けた者の弱さはそのまま、その者が所属している団体の弱さになりかねない。

「この勝負の勝敗はあっという間に幻想郷中に知れ渡るから、その弱さを喧伝していくことになる。この放送もあるわけだしな」

 すると何が起きるか。簡単に言うと人気が無くなるの。

「それってつまり……」

「ああ。命蓮寺は信仰を集めることを信条としてるわけじゃないが、元々いた信者が離れていくのは辛い。しかもあいつらの信者の大半は妖怪の類だ」

 妖怪は人間以上に長いものに巻かれる傾向があるの。生き抜くための知恵なんでしょうけど。

「それも種族によりけりだがな。それでも信者の中には『命蓮寺は自分を守ってくれる力がある』と思ったから入信した奴も少なからずいるはずだ」

 そこでもし、今回の勝負でナズーリンが負けたら。どうなる?

「……信者が減ってしまうのね」

「そうだ。だから命蓮寺の思惑としては、是が非でもナズーリンに勝ってもらいたい。これは確かに相当なプレッシャーになってるだろうな」

「でもなんで?あの人たちが幻想郷に来てもう結構時間は経ってるでしょ?なんで今まで選ばれなかったの?」

「さあな。それこそ神のみぞ知るってやつだぜ」

 もしくは、やっと認められたのかもね。

「認められたって、誰に?」

 幻想郷に、よ。

「へっ、洒落たこと言いやがるぜ」

 でもあながち間違ってないと思いませんか?この放送が始まったのと、命蓮寺の初参戦。この勝負の勝敗が外の世界にも報じられるってことには、なにか偶然を通り越した、誰かの意図を感じるんです。

「誰かって、誰だよ。まさかお前も『それは神のみ』なんて言うんじゃないだろうな」

 世の中のしがらみをとりあえず全部神様のせいにしとけば、この世の中も随分と生きやすくなると思うんですが、どうでしょう?

「お前、神様連中にそれ聞かれて天罰受けても知らねえからな」

「ふたりとも!そろそろ始まるみたいだよ!そんな小難しい話はあとにして、早くこっち来て!」

小鈴、いつの間にあんなところに。あーはいはい。じゃあ行きましょうか、魔理沙さん。一旦「しーえむ」を挟むみたいですから、その間に。





ヴワル大図書館

数刻前。

「ねえ、パチェ」

「……なあに?レミィ」

「今回の勝負、フランが選ばれたらしいの」

「ふーん」

「ふーん、て。興味無さそうね」

「だって、暇じゃないもの。私」

「逆によく退屈しないわね。毎日本ばっかり読んでるからそんなに青白いのよ。外に出て運動でもすればいいのに」

「肌が白いのはあなたも同じでしょうに……」

「ね、どう思う?この勝負」

「相手が誰であれ、種目が何であれ、フランは勝つでしょうね。あの子、ああ見えて結構狡猾なところがあるし」

「違う違う。私が言ってるのは勝敗のことじゃなくて、この勝負の利用価値。どうかしら?ここらへんで少し力を知らしめとくっていうのは」

「……対戦相手は?」

「命蓮寺の下っ端。確か名前はナズーリンって言ったかな」

「……いいんじゃない?私は協力しないけど」

「ありがとう。パチェなら賛成してくれると思ってたわ」

「あまり大それた真似はしないようにね」

「分かってるって。というか、今回の勝負の行方は、もう既に『視えて』いるから」

「あらそう。ちなみに、その結果は?」

「勿論のこと。『私たちの完全勝利』よ」

 紅い悪魔はくっくと笑った。
いちいち冗長になってしまうのは本当に申し訳ない。
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コメント



0.130簡易評価
3.10名前が無い程度の能力削除
私は嫌いです。
いちいち、メンドくせぇ
5.10名前が無い程度の能力削除
面白いと思っているのは書いてる本人だけ。後書きのそのネタも滑ってますよ。
10.30名前が無い程度の能力削除
対戦数どのぐらい想定してるか知りませんがこのペースで複数だと結構長く掛かりませんか?
せめて1話一回ぐらいだといいのですが
後、作者名半角か全角に統一してないと検索しづらいですよ