今日は、5/14。こいしと読める日。
つまるところ、私の日というわけ。
「お姉ちゃんは、祝ってくれるかな」
誕生日ではない。ただ、数字がこいしと読めるだけ。
しかしそれでも、私がそれを喜んでいるのだから、姉もきっと何かしてくれるだろう。いや、そうでないはずがない。
足取りも軽く、姉の部屋へ。
戸を叩く。
「お姉ちゃん。あのね、今日ね」
「ええ、そうね。シハモニ国王誕生日ね」
「何それ!? というか誰それ!?」
想像を絶する回答が返ってきた。
「そ、そうじゃなくて」
「佐々成政が切腹をした方かしら」
「そうなんだ!? 縁起でもない!」
姉の脳内辞典が情報豊富すぎてついていけない。
「そうじゃなくて、5/14だから、あの」
「あのアンリ4世が暗殺された日?」
「どの!?」
しかもまた暗い話題だし……
私は首を振る。
「そーじゃなくて! 5/14でしょ!」
「そうね」
ようやく想定した話の流れに乗せられた。
「だから、それをご、いち、よんで、読み方変えてさ」
「なるほど、つまりこれね」
そういうと、姉はポケットから黒と白の玉石のようなものを取り出した。
「何コレ?」
「碁石」
「惜しい!」
思わず叫んじゃった。でも、なんとなく判ってきた。
判っててからかってるなこれ。
「そうじゃなくて」
「ところでこいし」
「何?」
遮られっぱなし。
「冷蔵庫にケーキが買ってあるわ」
「お姉ちゃん大好き」
「いつも思うけどあなた現金よね」
なんとでも云ってくれと思う。
なによ、ちゃんと気付いててくれたんだ。判っててくれたんだ。なんだ。なんだ。
冷蔵庫を開ける。箱があった。
「お姉ちゃん、これ!? ホール!?」
「それよ」
取り出して、テーブルに置く。お姉ちゃんはいつの間にか紅茶を用意していた。出来る姉。
「さぁ、開けてご覧なさい」
姉がすごいドヤ顔してた。
「わぁ……」
大きなショートケーキには、プレートがついている。
『ごいしの日』
「お姉ちゃん、濁点付いてる!」
台無しだよ!
「……どうゆうこと?」
お姉ちゃんは予想外って顔してた。わざとじゃないらしい。
ゆっくりケーキの前に回り、プレートを確認する。それから、ゆっくり崩れ落ちた。
「お姉ちゃん!?」
「これを依頼したケーキ屋と私とで、意思の疎通が、誤っていたってことね」
「え、うん、まぁ……そう?」
フォローしようとして、浮かばなくて、肯定で終わる。
「そう……」
姉は悲痛な表情を浮かべ、重々しく呟いた。
「……誤意思の日」
「うるさいよ!」
今日も地霊殿は平和です。
つまるところ、私の日というわけ。
「お姉ちゃんは、祝ってくれるかな」
誕生日ではない。ただ、数字がこいしと読めるだけ。
しかしそれでも、私がそれを喜んでいるのだから、姉もきっと何かしてくれるだろう。いや、そうでないはずがない。
足取りも軽く、姉の部屋へ。
戸を叩く。
「お姉ちゃん。あのね、今日ね」
「ええ、そうね。シハモニ国王誕生日ね」
「何それ!? というか誰それ!?」
想像を絶する回答が返ってきた。
「そ、そうじゃなくて」
「佐々成政が切腹をした方かしら」
「そうなんだ!? 縁起でもない!」
姉の脳内辞典が情報豊富すぎてついていけない。
「そうじゃなくて、5/14だから、あの」
「あのアンリ4世が暗殺された日?」
「どの!?」
しかもまた暗い話題だし……
私は首を振る。
「そーじゃなくて! 5/14でしょ!」
「そうね」
ようやく想定した話の流れに乗せられた。
「だから、それをご、いち、よんで、読み方変えてさ」
「なるほど、つまりこれね」
そういうと、姉はポケットから黒と白の玉石のようなものを取り出した。
「何コレ?」
「碁石」
「惜しい!」
思わず叫んじゃった。でも、なんとなく判ってきた。
判っててからかってるなこれ。
「そうじゃなくて」
「ところでこいし」
「何?」
遮られっぱなし。
「冷蔵庫にケーキが買ってあるわ」
「お姉ちゃん大好き」
「いつも思うけどあなた現金よね」
なんとでも云ってくれと思う。
なによ、ちゃんと気付いててくれたんだ。判っててくれたんだ。なんだ。なんだ。
冷蔵庫を開ける。箱があった。
「お姉ちゃん、これ!? ホール!?」
「それよ」
取り出して、テーブルに置く。お姉ちゃんはいつの間にか紅茶を用意していた。出来る姉。
「さぁ、開けてご覧なさい」
姉がすごいドヤ顔してた。
「わぁ……」
大きなショートケーキには、プレートがついている。
『ごいしの日』
「お姉ちゃん、濁点付いてる!」
台無しだよ!
「……どうゆうこと?」
お姉ちゃんは予想外って顔してた。わざとじゃないらしい。
ゆっくりケーキの前に回り、プレートを確認する。それから、ゆっくり崩れ落ちた。
「お姉ちゃん!?」
「これを依頼したケーキ屋と私とで、意思の疎通が、誤っていたってことね」
「え、うん、まぁ……そう?」
フォローしようとして、浮かばなくて、肯定で終わる。
「そう……」
姉は悲痛な表情を浮かべ、重々しく呟いた。
「……誤意思の日」
「うるさいよ!」
今日も地霊殿は平和です。
……誤意思で十分オチてると思うの
ありがとうございます
ともあれ博識天然な(あるいはわざとか)、さとり様もよいものです
シンプルながら、場面が想像できると楽しいですね。