Coolier - 新生・東方創想話

愛憎有象無象

2015/04/05 18:02:54
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ヤンデレというかメンヘラ? そんなんが書きたかった 短い
初投稿です














私は博麗霊夢、巫女。あと言うことは特にない。…何もない。

私には小さい頃からの友達、幼馴染? が、いる。そいつの名は霧雨魔理沙。天才だ。こいつは、私が一週間かけなきゃできないことを三日でやるようなやつだ。それも素晴らしい出来で。
具体的に言うと、私が一ヶ月かけてようやく30センチ浮けるようになった頃、突然私もやる! とか言ってやり始めて、それから二週間で自由に大空を駆け巡ることが出来るようになっていたとか、私が二ヶ月かけてやっと裁縫針レベルの針を出せるようになった、と言ったらあいつは手のひらサイズのミサイルをその場で出しやがったり。そんな感じだ。
何もかも私の先を行く。それでいて驕り高ぶったりせず、人も良くて人気がある。もしかしたら、もう天才という言葉では役不足かもしれない。


私はよく「天才だ」とか、「才能がある」とか言われるが、それは私「博麗霊夢」ではなくその姓、「博麗」に向けて言われている言葉だ。この博麗もかわいそうだ。私なんかに付いて、今頃こいつじゃ役不足だ! とでも言っているだろう。
博麗の字は重く、大きい。それゆえ威圧感を持つ。それを引き連れて歩いているんだから、当然人は寄り付かない。私は常時虎の威を借る狐状態だ。……その状態をからかわれたこともあった。私は何も言えなかった。図星だから。しかしそのからかったやつは、次の日どこかに消えていた。おそらく、紫あたりが粛清したのだろう。博麗のために。 ……みじめだった。うまく言葉には出来ないが、とにかく情けなくてもどかしくて、苛々した。身近にとても強大な才能を持っておきながら、天才だとかは言われずにうまく周りとも馴染めていて、さらにそこが人気の元である魔理沙がいたし、反対に私は私一人では何も出来なかったから。その差はどうしようも出来なかった。


さらに私を苛々とさせるのは、魔理沙が私に対しても優しく、平等であることだ。さっき言った通り私と魔理沙の差は、飛び降りたら間違いなく死ねるほど高く、大きかった。そこから私を見るということは、本人にその気がなくても見下す姿勢に私からは見える。そんな僻んだ視界から見たら、心からの善意で出来た笑みも詐欺師のそれに錯覚してしまうし、差し出された手は冷やかしとしか思えないのだ! そしてその僻み歪みがまた私を苛める! いくら歪んでいても、たまにあの子の光はまっすぐ通ってしまうのだ! そして急に暗くなり、「お前は歪んでいる」「お前は霧雨魔理沙に嫉妬しているんだろう」と私にねとねと絡みついて囁いてくるのだ。……わかっている。絡みついてくるのは私だ。囁いているのも私。ただの被害妄想だ。気持ち悪い…、どこまで私は惨めなのか。こんなもの生きていたって、ただただ酸素やその他食料を無駄にするだけだ。だが私に自決する道を歩むことは出来ない。歩もうとしても「博麗」が許さない。この憎き首輪は私を幻想郷の犬としてしか生かす気がないのだ!


私には自由がないのだ。誰かが私のことを自由奔放な人間だと言ったが、そんなことはない。私のどこを見て言っていたのか! お前こそ自由奔放だ。いや、どこに行っても「博麗」が私の代わりにベラベラと喋るから、その博麗を見て言ったのかもしれない。それなら納得だ…。あ、そうだ。やっぱり私には自由が少しあった。思考だ。これは「霊夢」の物だ。私の自由だ。こうして博麗を散々馬鹿にすることもできるし、巫女の仕事以外のことも考えられる。
……しかし、この自由だ。という考えがもう「博麗」に完全支配されている証拠ではないか? とも最近思うようになった。いや、そんなことはない。ふざけるな。私から思考、「霊夢」を取ったら「博麗」しか残らないではないか! ……博麗しか残らなかったら私はただの木偶人形だ。駄目だ! そんなことは許されない! 私だってまだ生きたい! 苦しい、ふざけるな木偶人形だなんて生きていないのと一緒じゃ、なんで私がここまで苦しまなくてはいけないんだなんで私はこんなに苦しいんだやめて苛めないで痛い痛い苦しいなんで私がこんな目に、ああそうだ魔理沙だ魔理沙のせいだやめてこんなことはもうやめて霊夢を苛めないで苛めるなら博麗にしてよお願いだから私から私を奪わないでやめて……


……馬鹿か? こんなことを考えている場合ではない。そんなことは私が一番よくわかっている。だが止まらない。何故。止められない。やはり私は支配されるのが似合っているのかもしれない…? ああ、もうすぐ三時だ…、視界が変わる。台所に向かっているようだ。急須を手に取る。茶葉を入れる…。なんだ? これは私の意思でやっているのか? そうだろう。博麗はこんなことしない。だが、イマイチ掴めない。やっぱり私の意思じゃない? じゃあ、何故…


「霊夢ー! 魔理沙さんが来てやったぞー! いるかー?」


――そうか! ははははは! 面白い! これは面白い! ははは!


「霊夢? ちゃんと言っといたはずだぞー? どこだ?」


私は最後の意思で自分の自由を捧げたのか! ははは! 尽くすのが正義てか! いつの時代だ!


「おーい? …あ、見つけた! 全く、返事くらいしたらどうなんだ?」


やっぱり私に自由はない。全くない。身体の半分は博麗にくれてやった。いいだろう。はは、は、はあ。ああ面白い。そして、私は残ったもう半分をこいつ、霧雨魔理沙に捧げたのだ。おかげで私は白ばっかの赤なんだか黒なんだかよくわからない奇怪な存在になった! 素晴らしい! 後悔などない。むしろ、捧げてよかった。1人で博麗の侵略に怯えるよりずっといい。というか、魔理沙が私に繋がったリードの先を握るなんて、最高だ。体の芯が熱くなる。ははは、最高。さっきまでなんて暗いことを考えていたのだろう! 恐ろしい。さっきの考え、結構重たかったけど魔理沙に会ったら急に軽くなった。すごいわね、やっぱり。魔理沙は天才。魔理沙様。私の大切なご主人様。とっても賢くて、とっても優しい霊夢のご主人様。憎いし、妬ましい。殺意が芽生えたこともあったけど、やっぱり好き。大好き。


「……おーい? 何やってんだ。台所で茶を飲むつもりか? 早く縁側に行こうぜ」


ああそうね。魔理沙にこんな場所でお茶を飲んでもらうわけにはいかないわね。早くお茶を入れなきゃ。ああ? そんな、いいのに手伝いなんて。やっぱり魔理沙は優しい。早く済ませよう、私が頑張らなきゃ。大切で大嫌いで大好きな賢く優しく才能あふれる天才様、霧雨魔理沙のために。
天才な魔理沙さんがこの霊夢の気持ちに気が付いていない訳ないと思うんですけどね?
「自分の才能を見ないで都合のいい解釈をして、そして不幸自慢か。本当に自分勝手な奴」
レトロメトロ
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コメント



0.280簡易評価
3.70名前が無い程度の能力削除
魔理沙は人間として天才
霊夢は単に天才なだけの凡才ってイメージ
11.10名前が無い程度の能力削除
自分でそういうふうに書いたくせにグチグチとキャラ批判とか気持ち悪いです。