「幽々子様の秘密その①!」
王様はロバの耳的な勢いで、妖夢は掘った穴に向かって叫んだ。面積よりも深さにこだわったお気に入りの穴だ。
「ついこの間まで、スイカの種を食べるとお腹の中で芽を出すと思っていた!」
実はこれはまったくの出鱈目。割とまだ精神的に成長してない妖夢は、ちょっと幽々子の言いつけがきつかったりするとこうやってストレスを発散するのだった。
ちなみに、今回の言いつけは紫が訪問時に置いて行った縦10cm横10cmの四角いケーキを、幽々子と妖夢と妖夢半霊にきっちり3等分してわけなさいという指示だった。
100ヘクタール?を3等分に?
100割る3?
妖夢はちょっと算数とか単位とか苦手でその辺は割愛してもらいたい。
まあ、とにかく分け切れなかった。
だから、心の中では食い意地の張っている幽々子様だと思いながら、4:3:3に切り分けたのだった。
「幽々子様の秘密その②!」
まあ、ケーキの事だけなら妖夢だって穴掘ってまで叫ぶつもりはない。精々、心中で叫ぶ程度である。
「体重計に乗るときはちょっと浮いて誤魔化している!」
しかし、今回はそれは違った。だって、この間、お寿司の件があるのだから。
「ねえ、妖夢。今日はお寿司が食べたいわ。お寿司屋さんに連絡して持ってこさせて」
そう、あの時は5人前の寿司を、幽々子が2人前食べて。残りを妖夢と妖夢の半霊が食べたのである。
1人だけ2人前食べるなんてとても食い意地がはっているのだ。
「幽々子様の秘密その③!」
妖夢だって、そこまでなら、そこまでならば。まだ、空井戸に向かって叫べばまだ耐えられる。さすがに普通の井戸に向かって叫んで耐えられるほど、妖夢は大人じゃなかった。
ちなみに、空井戸と普通の井戸に向かって叫ぶことに何か違いがあるのかは本人と井戸の水にしか分からぬ基準だった。
「実は春度を集めて白玉楼の桜を満開にしようとしている!」
これは、今までの出鱈目とは違ってまだ誰にも言ってはいけない秘密だった。でも、穴相手ならいいだろうと。そして、耐えがたきストレスの発散のために仕方無いことだと妖夢は思い至った。
「……ねえ、妖夢。この着物は胸がきついから少しゆるいのを新しく作って」
答えは成長なのだが、妖夢は食べすぎのせいだと思う。あの時の美味しいケーキは4:3:3で幽々子が4。寿司は5人前中2人目は幽々子。こんなに食べていたら太るのは当然だと結論する。
だが、妖夢は従者、幽々子はその主人。耐えるしか無かった。
「では、新しい着物注文してきますね」
と、笑顔で言えて注文に出かけた。その道中が今に至るのである。とうとう、耐え切らず穴を掘って叫んでしまった。
妖夢と妖夢の半霊をあわせても幽々子の胸囲にならないのだから。食べすぎだと思うのであった。
妖夢が真実を知るのにはまだ幼すぎた。
そういうネタなんだよ
『妖夢ってばお馬鹿さんだな~』を楽しませたいんだよ