「チルノ、4の半分はいくつだ?」
霧雨魔理沙が氷精チルノに問題を出した。
「…………2?」
「正解だ、大したもんだ」
「まーね、けねのガッコ(慧音の寺子屋)で勉強してるからね」
チルノは不敵に笑った。
「なるほどな。ところでこの饅頭、4個あったよな?」
「うん」
「半分食べて良いって言ったよな?」
「うん」
「どうして1個しか残ってないんだ?」
「んーー」
チルノは少し考えた後に饅頭をパックリと割った。
「これで1、2個!」
「……へえ、賢くなってきたなあ」
「まーね えへん!」
腰に手をあて胸を張る。
ゴツン!
「いったーーい!」
------------------------------
魔理沙とチルノが連れ立って歩いている。
暇な二人は博麗神社に向かうところだ。
「ったく、3個も食べやがって」
まだブツブツ言っている。
「あたい、2個食べたよ」
「ん? 3個だろ?」
「1個はここ」
チルノはポケットから饅頭を取り出した。
「あー! あるじゃないかよ」
「うん、これは持って帰る」
「何言ってんだよ! 返せっ」
「おいしかったから友達にあげるんだ」
「友達って、髪を横で結わえている妖精か?」
「うん、今日は会えないから明日食べてもらうんだ」
「む、…………そうか、じゃあ、ソイツによろしくな」
「まりさ、ありがと」
魔理沙は、ふーーっとため息をついた。
「いいかチルノ『霧雨魔理沙さんからいただいた』って言うんだぜ? 分かったな?」
「わかった」
「しょーがないなー くそっ」
「今日のまりさは良いヤツだなー」
「へん! そりゃどーーもっ」
「いつもその調子で頼むよ」
「ああそーーかい! 分かりましたよ!」
------------------------------
博麗神社には先客がいた。
「お二人とも、こんにちはー」
「おーう」
「さなえー、おーっす」
東風谷早苗だった。
「早苗、お前どうしたんだ?」
「暇が出来ましたので遊びに来ました」
「あたいたちもヒマなんだ」
客人三人が挨拶しているのを半眼で眺めているのは家主である博麗霊夢。
「ここは暇人の寄合所じゃないのよ、ったく」
「そう言うなよ」
「はあー、なんか美味しいもん食べたいわねー」
霊夢が後ろ手で仰け反りながらどうでもいいことを言った。
「お前、いつもそればっかりな」
「それじゃ、最近食べた美味しいものの話でもしましょうか」
「それって虚しくならないか?」
「次回のための情報交換ですよ。女子トークの基本です」
ノリノリの早苗、ネタに自信があるのだろう。
「まずは私からですね。先日、某女子と里のお蕎麦屋さんで鴨南蛮そばを食べました」
「某女子って誰だ?」
「あのイカレた天人の娘でしょ」
「ああアイツか、早苗、仲良いよな」
「仲良くなんかないですよ。今は天子さんの話じゃなくて鴨南蛮そばですよ」
比那名居天子は東風谷早苗に友達宣言をしている。
否定し続けている早苗だが、なんだかんだで一緒にいることが多い。
「それにあのヒト、そんなにイカレてませんからね」
「お? かばうんだな」
「そーじゃありませんけど、意外に物識りだったり優しかったり」
早苗はゴニョゴニョ。
「もーいいわ、で、鴨南はどうしたの?」
「鴨南蛮そばのキモは鴨の脂です! これが最高なんです」
「確か合鴨だよな」
「そうです、あの肉と脂身のコントラスト、汁に浮いた脂の煌き、はああ」
「甘味のあるあの汁とネギも良く合うのよね」
「ネギもちょっと焼いてあるほうが良いですよね。
んんー、誰が編み出したか知りませんが鴨とネギ、最強コンビです」
「あんたと天人のコンビみたいに?」
「そ、それはもういいんですよ!」
------------------------------
「すき焼き食べたわ」
霊夢の番だった。
「へー、いつ?」
「おとといの夢で」
「……そうか」
「霜降りで溶けるような柔らかい牛肉をお腹いっぱい食べたのよ」
虚空をうっとりと見つめている霊夢。
「魔理沙さん、私、涙出てきました」
「私もだぜ」
「あれはおいしいよな」
チルノの発言に三人とも驚いた。
「すき焼き食べたことあるの?」
早苗がチルノに聞いた。
「あるよ」
「へー、どこで?」
「みすちーんとこ」
「あの屋台、すき焼きも出すのか?」
「初めて聞いたわ」
「みすちーのは全部すみ焼きだよ」
「……すみって、ふー」
そんなことだろうと思った。霊夢がため息をつく。
「す、き、や、き、だ!」
魔理沙が一音ずつ区切って言った。
「『すき』……なの?」
「そうだ、『すき』なんだよ」
チルノは魔理沙を見上げちょっと考える。
しばし見つめ合う魔法使いと妖精。
「こまったなー、あたい、そんなつもりじゃなかった」
「は? お、おい、なに言ってんだ?」
「まりさー、ごめん、友達でいようよ」
チルノがペコッと頭を下げる。
「おまっ、ちょっと待てよ」
「うっひゃっひゃ、チルノに振られちゃったわね」
霊夢がケタケタ笑っている。
「他にもいいヒトいますよ、きっと、へはははは」
早苗もここぞと乗っかってくる。
「ぬぐぐぐっ」
魔理沙は無性に全方位マスパを撃ちたくなった。
------------------------------
「私はビーフガノンドロフを食べたぜ」
次は魔理沙の発表。
「それはゼル伝の親玉ですよ。ビーフストロガノフですよね?」
「そんな洒落たモンどこで食べたのよ」
「アリスんとこだぜ」
「ふん、魔理沙が洋風料理食べるのは大概アリスのところよね」
霊夢が忌々しそうに言った。
「牛肉の薄切りを炒めてタマネギやマッシュルームと煮込んでサワークリームってヤツをたっぷり入れるんだ」
「アリスは魔理沙に甘すぎるわよ」
「ご飯にかけて食べたら洋風牛丼って感じになったな」
「……それはちょっともったいないですね」
早苗が残念そうに言った。
「そうか? あ、でもアリスも少しがっかりしてたな」
「いつも夕食だけタカリに行ってんの?」
霊夢はまだ面白くないらしい。
「いーや、そん時はお泊りだったぜ」
「お泊まり?」
早苗が食いついてきた。
「風呂入ってマッサージしてもらって……」
「ちょと待ってください、マッサージ?」
「ああ、全身くまなくやってくれるぜ。泊まる時は」
「それって、まさか、ぜ、全裸ですか?」
「はあ? 変なこと言うなよ、下着くらいつけてるさ」
「下着姿で全身マッサージ……」
早苗は血が滾り始めた。
「そのあとは?」
霊夢も身を乗り出す。
「あとは一緒に寝るだけだ」
「い、一緒に!?」
早苗さん、興奮しすぎ。
「ベッド、一つしか無いからしょうがないだろ」
「そして、そしてどうなるんですか!」
「別に何もないぜ」
魔理沙は至って普通の返答。
「霊夢さん、これ、なんかヤバくないですか?」
「んー、アリス、グイグイ来てるわねー。油断できないわ。
で、魔理沙、大丈夫だったの?」
「何が」
「色々とよ」
「別に」
実にそっけない。
「アリスはまりさが好きなんだよ」
それまで黙って聞いていたチルノが言った。
「そ、それはっ」
早苗は大慌て。それを言っちゃあオシマイなのに。
「アリス、いっつもまりさのこと見てるもん」
「そうなのか?」
魔理沙がビックリしている。
「あたい、アリス好きだよ、お菓子くれるもん」
チルノが次に何を言い出すか、他の三人はドキドキしながら待っている。
「あ! わかったぞ」
チルノが叫んだ。
「どうしたの?」
「アリスはまりさが好きで、まりさはあたいが好きで、あたいはアリスが好き」
「は?」
「これって、さんかくかんけいだ!」
「待て、チルノ、いいから待て」
「チルノちゃん、あとで説明してあげるから」
「うっひゃっひゃ、こりゃおかしいわー」
------------------------------
「あたい、おモチ食べたよ」
どうにか場をとりなしてチルノのターン。
「ふーん、餅かぁ」
「チルノちゃん、火は大丈夫なの?」
「みすちーが焼いてくれた」
「それなら平気ね」
「焼いてからおしょーゆをつける、ビッタビタに。
そんで、おしょーゆには砂糖いれるんだ」
「甘辛ですね」
「それもアリだよな」
「れいむからもらったノリ巻いて、もっかいちょっとだけ焼く。
おしょーゆとノリが焼けるイイ匂いがした」
ごくりっ
「……旨そうだな」
「そうですね」
「餅、まだあったかしら」
三人はいつの間にか引き込まれている。
「チルノ、お前、餅なんて熱いモン食べられるのか?」
「冷めるまで待ったよ。でもおいしかった。
甘くてしょっぱ辛くて、びろーんってのびるおモチ、ノリ巻くのがぽいんとかもしんない。あれおいしいよ」
ごくりっ
------------------------------
「今日の美味しいもの話大賞はチルノちゃんですね」
「ああ負けたぜ」
「そうね、チルノ、はい景品」
最近作っている【博麗神社名物 梅外郎】の一口サイズが二つ。
「私はこのアメちゃんあげます」
「ありがと、あれ? まりさは?」
「さっき饅頭やったろうが」
「けち」
「おまっ」
------------------------------
「どうする? 餅焼くか?」
「でもすき焼き食べたいなー」
「お前の夢に付き合うのかよ」
「脂身とか牛肉とか甘辛味とか聞いてたらすき焼き食べたくなったわ」
「すき焼き、最近やってませんね」
「んんーすき焼きー」
霊夢はごろごろ転がり始めた。
「まずは肉だろ、当てがあんのかよ」
「誰か肉持ってこーーーい」
「ダメだこりゃ」
「神さまーーー」
「他力本願とかいうレベルじゃありませんね」
むくりと起きた霊夢は本殿に向かっていった。
そして姿勢を正し、何やら唱え始めた。
「高天原に神留座す。神魯伎神魯美の詔以て。
皇御祖神伊邪那岐大神。
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に
御禊祓へ給ひし時に生座る祓戸の大神達」
「お、おい、本気で神頼みかよ」
「諸々の枉事罪穢れを拂ひ賜へ清め賜へと申す事の由を
天津神国津神。
八百萬の神達共に聞食せと恐み恐み申す」
「……あれは正式な祝詞ですよ」
「こーんなこと神様にお願いしたらマズくないか?」
「ええ、呆れられるか、バチが当たるかしそうです」
「おいっ霊夢! やめろって」
「霊夢さん、巫女として一線超えちゃってますよ!」
------------------------------
「放しなさいよ! 二人ともっ」
霊夢の超絶お馬鹿な所業を力ずくで止めようとする二人。
それをボケーっと見ていたチルノが気配に気づいて振り返る。
「あ、ナズーリンだ」
「これは何の騒ぎだい?」
「よくわかんない」
「止めたほうが良くないかい」
「よし、氷のかたまり、ブツケてみるか」
「いやいや、それは危ないよ」
「ナズーリンは何しにきたんだ?」
「おすそ分けなんだがね。牛肉だよ」
「ぎゅーにく?」
三人がピタリと動きを止めた。
------------------------------
「私の願いが届いた……」
霊夢ははらはらと涙をこぼしている。
「もー、なんかコイツ、色々ダメになってるな」
「神様ってホントにいるのね……」
「このヒトが巫女やってて良いんでしょうか?」
ようやく落ち着いた三人娘にナズーリンが事情を説明する。
「良い肉をたくさんいただいたのだが、寺で盛大に食べるのもなんなのでね」
手荷物をほどいて牛肩ロースの薄切りを見せる。
量も結構ありそうだ。
「うぐっひっく、ありがとう……ナズーリンさん」
「もらったのは私じゃないよ、あくまで命蓮寺だ」
それでも博麗神社におすそ分けしようとするのはナズーリンだけだろう。
「こんなに喜んでもらえるとはね」
「いやまあ、細かい事情は聞かないでくれると助かるぜ」
「巫女として人として諸々の沽券に関わりますから」
まだへぐへぐ泣いている霊夢に塩辛い視線を注ぐ魔理沙と早苗。
「しかし、恐ろしいタイミングだな」
ナズーリンにはすき焼きの話題で盛り上がっていたとだけ言っておいた。
「これも皆さんの日頃の行いの賜物だろうね」
そう言って笑った賢将だが、嫌味かどうかは読み取れない。
「牛肉、寺じゃどうやって食べるんだ?」
魔理沙が聞く。
命蓮寺は基本は菜食だが、寄進されたものは肉でもいただくのだ。
「塊り肉ならステーキといきたいところだが、命蓮寺が出来てからは食べていないな。
まぁ、寺でステーキと言うのも外聞がね」
確かにお寺で血の滴るステーキをジュウジュウというのは宜しくないだろう。
「ビフカツを知っているかい? 牛肉のトンカツだね。
これはトンカツほど厚みが無くても十分に美味しいよ」
「写真で切り口を見たことがありますが、赤くて何だかなって思いました」
外の世界での記憶を手繰った早苗が感想を漏らす。
「牛肉だからね。あまり火を入れない方が良いんだよ。
衣のサクサクと肉の柔らかみがうまい具合に絡む。
肉の旨味は豚より牛が上だからね。これはクセになるよ」
「そうなんですか」
「最近好評なのはロースの薄切りを小片にしてたっぷりのバターで焼いたものだったね。色が変わり始めたら酒と醤油、そして半分に切ったシソの葉をこれでもかと入れる。余熱ですぐにしんなりするからすぐ火を止める。汁ごとご飯にかけて熱いうちに食べるんだ」
「むう、イケそうだな」
「青椒肉絲もやってみたね」
「ピーマンとタケノコでしたっけ」
「うん、あとビーフストロガノフもあるよ」
「それ、アリスのとこで食べたことあるぜ」
「ウチでは結局、ご飯にかけちゃうんだけどね」
「だろ? やっぱそうするよな」
「端の方の肉は時雨煮にしたり、タマネギと豆腐と煮込んで牛めし(牛丼)かな」
「それも美味しそうですね」
「骨があればブイヨンにするね。
色んな野菜を煮込めばご馳走スープだよ」
「どれも美味しそうだぜ」
「命蓮寺は和洋中なんでもイケるんですねー」
魔理沙と早苗は素直に羨ましがった。
「まぁ、この肉ならすき焼きが良いだろうね。
すき焼きは流儀が様々、好きにやると良い。
一つだけ言わせてもらえるなら『火を入れ過ぎるな』かな」
「おい霊夢、すき焼き用だってさ、良かったな」
「うん……ありがとう」
------------------------------
「お豆腐、入れますよね」
具は何にするか、重要会議が開催されている。
「焼き豆腐よ。普通のだと、たくさん水が出ちゃうから」
ナズーリンが帰ったあと、霊夢は肉の頼もしさによって復活した。
いつもの図太い神経と傍若無人な振る舞いが戻っている。
「それでも出るけどな」
豆腐は焼き豆腐になった。
「シラタキはお肉と離して入れるんですよ」
「細かいヤツだな」
「根拠があるんですよ、シラタキに含まれる消石灰のカルシウムが肉を硬くしてしまうんです」
「はいはい」
「じゃあ、葛切りにすればいいだろ」
「売ってますかね?」
「大丈夫よ」
シラタキに代わりまして葛切り。
「ネギ、入れましょうね」
「当然ね」
「鍋物の影の支配者とも言われてるしな。
ネギが無いと話にならないぜ」
「あたい、ネギきらい、鼻がツーンとするから」
「それは生で食べるからよ」
「チルノ、ネギ食べると頭が良くなるんだぜ~」
「ホント?」
「それって俗説じゃないんですか?」
「クタクタに煮込んだネギは旨いぜ~」
ネギ、当然採用。
「鍋物ですから白菜は要りますよね」
「却下」
「どうしてですか?」
「水が出るもの」
「そうだぜ、他の煮込む鍋なら良いが、すき焼きにはダメだ」
「でも、すき焼きは焼きとは言っても実際は煮込みますよね?」
「それは言わないことになってるんだぜ」
「でも、焼くのは最初だけですよね?」
「細かいこと言わないの」
白菜不採用。
「タケノコはどうですか?」
「うーん、なんか気取ってる感じ」
「カッコつけすぎだぜ」
タケノコ不採用。
「お麩なんかいかがですか? 汁を吸って美味しいですよ」
「べろべろになるからヤダ」
「私は好きだけどな、ま、無くてもイイか」
お麩不採用。
「なあ、キノコは何入れる? やっぱシイタケか?」
「却下」
「なんで」
「主役の肉にキノコの味がついちゃうじゃない」
「相互作用でうま味がアップすると言いますけどね」
「それでもダメよ」
「このあいだは入れたじゃないか」
「あんときは肉なかったもの」
「……ちょっと待ってください、肉がないって?」
「博麗神社名物、肉なしすき焼きだぜ」
「牛脂をたくさん使うのがコツね」
「そんなのすき焼きじゃないですよ」
「雰囲気だよ、雰囲気」
「とにかくシイタケはダメ」
「うー、じゃ、シメジは?」
「ダメ」
「マイタケは?」
「ダメ、キノコは一切ダメ」
「うううう」
幻想郷のキノコ女王霧雨魔理沙、全否定されガックリ。
「まりさ、今度、キノコ鍋やろ」
チルノが魔理沙の肩をポンと叩いた。
様々なキノコを一緒くたに煮る豪快な鍋料理。
毎回味が微妙に異なるのがお楽しみだ。
「あたい、まりさのキノコ鍋大好きだ」
「チルノ、ありがとうな、大好きだぜ」
そう言ってチルノに抱きついた。
「あたいたち、友達でいよう、な?」
「……それはもういいぜ」
キノコ、すべて不採用。
「春菊は必須だよな」
「あれはどうなんでしょうか」
「いや、旨いし、彩りに欠かせないだろ」
「香りが強いからね、どうしよっか」
「キノコ諦めたんだぞ? 私の要求も少しは聞けよっ」
「はいはいはい」
「はーーい」
「お前たち『はい』は短く一回だ!」
結局、具は焼き豆腐、葛切り、ネギ、春菊になった。
------------------------------
「すきやき用の鍋持ってるんですか?」
「滅多にやらないのにな」
保温性と油なじみの良い厚い鉄製で、浅めの丸い鍋。
「これは立派なモノですねー」
早苗が専用鍋に感心している。
「河童に作らせたのよ」
「特注品だったのか。にとりか?」
「アイツらちょくちょく騒ぎを起こすからね」
「締め上げて作らせたんですか?」
「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい。
『お詫びに何か』って言われたから〝落とし前〟の希望を述べたまでよ」
「タチの悪いゴロツキみたいだな」
「お゛? 何ですって?」
「やめてくださーい!」
------------------------------
「んじゃ、材料の調達だな」
「玉子はあるから買わなくていいわよ」
「焼き豆腐と葛切りは早苗な。私はネギと春菊を仕入れてくる」
「あと、牛脂、忘れないでよ」
「合点承知だぜ」
「チルノちゃんは?」
「チルノは私と一緒にご飯の支度よ」
「バッテンあらかわだぜー」
「お前、意味分かってんのか?」
「九州ローカルの芸人さんですよね」
------------------------------
「割り下作んなきゃだな」
「すると関東風ですか?」
「煮込むのはイヤね」
「では関西風ですか?」
「うーん、どうしようかしらね」
「聞いた話だが、牛脂を塗ったあとに肉より先に砂糖を入れるとイイらしいぜ」
「砂糖を熱で溶かすんですか?」
「そう、そのあと肉入れて焼くんだと」
「醤油とかは?」
「火が通りかけたらチョビっとジャーって入れるんだ」
「醤油、お酒、砂糖でしたっけ」
「はじめっから混ぜときゃ手間がないぜ」
「すき焼きは濃い味で食べたいわ」
「玉子がありますからねー」
「だから割り下はチョビっとずつ投入しようぜ」
「あくまで〝焼き〟にこだわるわけですね」
「いずれ水が出て煮込みになっちゃうけどな」
「では、その線で行ってみましょうか」
------------------------------
「鍋奉行は誰だ?」
この場合、具材投入と食べ頃のタイミング指示を行う。
「早苗はダメね」
「だな、うるさそうだからな」
「ヒドくないですか?」
「私はイヤよ、面倒臭いから」
霊夢お得意のフレーズ〝面倒臭い〟が出た。
「そう言うと思ったぜ。私だって面倒だ」
「じゃあ、チルノちゃんですか?」
「お? あたいがなべぶぎょー? よし、まかせろ」
スチャっとカッコ良く敬礼した。
「いやいやいやいや、それはないから」
「分かったよ、私がやるぜ」
霧雨魔理沙がこの度の鍋奉行に就くことになった。
------------------------------
「では始める前にすき焼きの歌を歌いましょー!」
早苗が高らかに宣言した。
「なんだそれ?」
「知りませんか? 有名ですけど」
「歌ってみ」
「こほん、では……
うえをーむーうーいて あーるこうおうおうおう」
「待て、誰に教わったか知らんけど、違うと思うぜ」
「神奈子様も諏訪子様も一緒に歌いますよ」
「あの二人かよ」
「あいつら変なとこズレてるわね」
------------------------------
「玉子はたくさんあるわよ」
霊夢が玉子の入った籠を持ってきた。
「生玉子のおかわりがあるって贅沢ですよね」
「だんだん減ってく玉子が切ないからね」
「なあ、これって、どのくらい混ぜるもんなんだ? ざっくり? 泡立つほど?」
「白身を切るように十回くらい混ぜればいいんじゃないでしょうか」
「私、白身のドロっとしたのが嫌いだからよーく混ぜるわ」
ちゃかちゃかちゃかちゃかちゃかちゃか
四人とも無言で玉子をかき混ぜる。
「うわあああー! 醤油入れんなよっ」
チルノが玉子の入った取り皿に醤油を垂らしていた。
「生玉子にはおしょーゆが合うんだよ」
まったく悪びれる様子のないチルノ。
「すき焼きの玉子は違うんだよ」
「ふーん」
「どうすんだこれ……仕方ないな」
魔理沙はチルノのご飯にその玉子をあけた。
「おい、早苗、これ食べといてくれ」
玉子かけご飯を差し出す。
「えー、これからすき焼きなのに」
「文句言うなよ」
「もー〈ズルッ、ズル、ザルッ、ザララ〉これでいいんですか?」
「はやっ! お前、よく噛まないとだぜ?」
「玉子かけご飯は飲み物ですよ?」
ケロッとして言い放った。
------------------------------
「チルノ、箸使えるようになったのか?」
「ばっちり」
そう言いながらバッチリ握り箸だ。
そんなチルノを早苗が微笑みながらサポートしてやっている。
妖怪には厳しいが妖精には甘い風祝なのだ。
「針妙丸はどうしたんだ?」
「寝てるわ、あのコ生活サイクルが短いみたいだから」
「やっぱり体が小さいからですかね」
「材料ちょっとずつ取ってあるから後で食べさせるわよ」
霊夢は実質的な少名針妙丸の保護者。
魔理沙に言わせると過保護なほど可愛がっているらしい。
------------------------------
お待ちかねのすき焼きが始まった。
「ふああ、この肉、素敵……ナズーリンさんありがとう」
霊夢は肉を口に含み、恍惚の表情。
「どうしてあんなネズミ妖怪を持ち上げるんですか?(ぱくぱく)」
「あの御方はあんたが思ってるよりずーっと大人よ」
「そうは思えませんけど(ぱく)。買収されてるだけですよ(ぱくぱく)」
「アイツはなんて言うか、ちょっと違うんだよな」
「魔理沙さんまで?(ぱーくぱくぱく)」
「ナズーリンは生意気だけど頭が弱いんだよ。かんべんしてやんなよ」
チルノがナズーリン嫌いの早苗に言った。
「チルノちゃん?(ぱく)あのヒト知ってるんですか(ぱくぱーく)」
「まーね、あたいの敵じゃないけどさ」
以前、なぞなぞで圧勝したチルノはナズーリンを格下と思っている。
霊夢と魔理沙は苦笑するしかない。
「ふーん(ぱく)、そうだったんですか(ぱくぱく)」
「早苗! お前、少しは噛んで食べろよっ」
「噛んでますよ(ぱーくぱくぱくぱーく)」
------------------------------
「チルノ、春菊も食えよ」
「あたい、これキライ」
「好き嫌い言うと大きくなれないぜ」
「だいじょーぶ、いつかまりさの2倍くらい大きくなるよ」
「そっか、楽しみにしてるぜ」
「私も春菊、あんまり好きじゃありません。香りがちょっとキツいです」
「えー、それが旨いのになー」
「そんじゃ、魔理沙は春菊の係ね、早苗は豆腐、チルノは葛切りね」
「れーむは?」
「私は責任もって肉をやっつけるわ、ついでにネギも」
「待てよ、そんなバカな専任担当制があってたまるか」
すき焼きは中盤戦、わいわいと座は盛り上がっている。
(お、そうか、これは……)
鍋奉行である魔理沙は人気のない春菊を利用することを思いついた。
春菊の束の下に自分用の肉をどっさり仕込んだのだ。
(ぬはははは、ぐっどあいでぃーあ、だぜぃ)
「あたい、それ食べてみようかな」
「あっ? そこはダメだっ」
チルノの拙い箸がその春菊の砦を突き崩した。
隠し資産が露呈してしまった。
「あら? なんですかこれは?(ぱく)」
「くそう、盲点だと思ったのに」
「何やってのよ、せっこいわねー」
へへへっと笑いながら肉を口にする魔理沙。
「むっ、肉が……青臭いぜ」
「バカじゃないの」
返す言葉もない。
------------------------------
「早苗、豆腐、煮えてるぜ」
「はいはい(ひょいぱく)」
「こっちの豆腐もだ」
「はいはい(ひょいぱく)」
チルノの面倒を見ながらも自分の倍のストロークで具材を拾っていく早苗。
それを牽制するために豆腐を盛んに勧めているのだが。
魔理沙は首を傾げる。
(おっかしいなあ、豆腐だけでも三、いや四丁分は食わせてるはずなのに全然ペースが落ちないぜ。
ご飯も二回おかわりしてんのに。一体どうなってんだ?)
「チルノちゃんも豆腐どう?」
「とーふ食べるとおなかがいっぱいになっちゃうよ。肉が食べらんなくなる」
(だよな、そのはずなんだが。コイツ、私が思っている以上にトンでもないヤツなのかも知れないな)
それほど大それたことではないのだが。
------------------------------
「ふいー、食った食った」
「そろそろ〝しめ〟ですかね」
「最後のお楽しみね」
「おじや? うどん? どっちにします?」
「おじやにしようか」
「そうですね」
「待てよお前ら、うどんに決まってるぜ」
「なんで」
「鍋物のしめに雑炊は分かるが、すき焼きだけは別なんだ。
煮汁が甘じょっぱいからうどんの方が絶対合うんだよ」
「おじやと雑炊って違うんですか?」
「おじやはご飯そのまま、雑炊はご飯を水洗いしてサラっとさせるのよ」
「うどんですかあ……」
今ひとつ釈然としないモヤっとした空気が漂う。
「あたい、この汁でおモチ食べてみたい」
チルノが手を挙げて発言した。
甘辛で肉や野菜の旨味がたっぷり出た煮汁に餅……。
「ふーむ、そうね」
「確かにイイな」
「チルノちゃんのお餅の話、美味しそうでしたからね」
チルノの提案を検討した三人だが、結論は早かった。
「そんじゃ、おモチ、な?」
「異議なーし」×3
その〝しめ〟は予想以上に美味しかったそうな。
閑な少女たちの話 了
霧雨魔理沙が氷精チルノに問題を出した。
「…………2?」
「正解だ、大したもんだ」
「まーね、けねのガッコ(慧音の寺子屋)で勉強してるからね」
チルノは不敵に笑った。
「なるほどな。ところでこの饅頭、4個あったよな?」
「うん」
「半分食べて良いって言ったよな?」
「うん」
「どうして1個しか残ってないんだ?」
「んーー」
チルノは少し考えた後に饅頭をパックリと割った。
「これで1、2個!」
「……へえ、賢くなってきたなあ」
「まーね えへん!」
腰に手をあて胸を張る。
ゴツン!
「いったーーい!」
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魔理沙とチルノが連れ立って歩いている。
暇な二人は博麗神社に向かうところだ。
「ったく、3個も食べやがって」
まだブツブツ言っている。
「あたい、2個食べたよ」
「ん? 3個だろ?」
「1個はここ」
チルノはポケットから饅頭を取り出した。
「あー! あるじゃないかよ」
「うん、これは持って帰る」
「何言ってんだよ! 返せっ」
「おいしかったから友達にあげるんだ」
「友達って、髪を横で結わえている妖精か?」
「うん、今日は会えないから明日食べてもらうんだ」
「む、…………そうか、じゃあ、ソイツによろしくな」
「まりさ、ありがと」
魔理沙は、ふーーっとため息をついた。
「いいかチルノ『霧雨魔理沙さんからいただいた』って言うんだぜ? 分かったな?」
「わかった」
「しょーがないなー くそっ」
「今日のまりさは良いヤツだなー」
「へん! そりゃどーーもっ」
「いつもその調子で頼むよ」
「ああそーーかい! 分かりましたよ!」
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博麗神社には先客がいた。
「お二人とも、こんにちはー」
「おーう」
「さなえー、おーっす」
東風谷早苗だった。
「早苗、お前どうしたんだ?」
「暇が出来ましたので遊びに来ました」
「あたいたちもヒマなんだ」
客人三人が挨拶しているのを半眼で眺めているのは家主である博麗霊夢。
「ここは暇人の寄合所じゃないのよ、ったく」
「そう言うなよ」
「はあー、なんか美味しいもん食べたいわねー」
霊夢が後ろ手で仰け反りながらどうでもいいことを言った。
「お前、いつもそればっかりな」
「それじゃ、最近食べた美味しいものの話でもしましょうか」
「それって虚しくならないか?」
「次回のための情報交換ですよ。女子トークの基本です」
ノリノリの早苗、ネタに自信があるのだろう。
「まずは私からですね。先日、某女子と里のお蕎麦屋さんで鴨南蛮そばを食べました」
「某女子って誰だ?」
「あのイカレた天人の娘でしょ」
「ああアイツか、早苗、仲良いよな」
「仲良くなんかないですよ。今は天子さんの話じゃなくて鴨南蛮そばですよ」
比那名居天子は東風谷早苗に友達宣言をしている。
否定し続けている早苗だが、なんだかんだで一緒にいることが多い。
「それにあのヒト、そんなにイカレてませんからね」
「お? かばうんだな」
「そーじゃありませんけど、意外に物識りだったり優しかったり」
早苗はゴニョゴニョ。
「もーいいわ、で、鴨南はどうしたの?」
「鴨南蛮そばのキモは鴨の脂です! これが最高なんです」
「確か合鴨だよな」
「そうです、あの肉と脂身のコントラスト、汁に浮いた脂の煌き、はああ」
「甘味のあるあの汁とネギも良く合うのよね」
「ネギもちょっと焼いてあるほうが良いですよね。
んんー、誰が編み出したか知りませんが鴨とネギ、最強コンビです」
「あんたと天人のコンビみたいに?」
「そ、それはもういいんですよ!」
------------------------------
「すき焼き食べたわ」
霊夢の番だった。
「へー、いつ?」
「おとといの夢で」
「……そうか」
「霜降りで溶けるような柔らかい牛肉をお腹いっぱい食べたのよ」
虚空をうっとりと見つめている霊夢。
「魔理沙さん、私、涙出てきました」
「私もだぜ」
「あれはおいしいよな」
チルノの発言に三人とも驚いた。
「すき焼き食べたことあるの?」
早苗がチルノに聞いた。
「あるよ」
「へー、どこで?」
「みすちーんとこ」
「あの屋台、すき焼きも出すのか?」
「初めて聞いたわ」
「みすちーのは全部すみ焼きだよ」
「……すみって、ふー」
そんなことだろうと思った。霊夢がため息をつく。
「す、き、や、き、だ!」
魔理沙が一音ずつ区切って言った。
「『すき』……なの?」
「そうだ、『すき』なんだよ」
チルノは魔理沙を見上げちょっと考える。
しばし見つめ合う魔法使いと妖精。
「こまったなー、あたい、そんなつもりじゃなかった」
「は? お、おい、なに言ってんだ?」
「まりさー、ごめん、友達でいようよ」
チルノがペコッと頭を下げる。
「おまっ、ちょっと待てよ」
「うっひゃっひゃ、チルノに振られちゃったわね」
霊夢がケタケタ笑っている。
「他にもいいヒトいますよ、きっと、へはははは」
早苗もここぞと乗っかってくる。
「ぬぐぐぐっ」
魔理沙は無性に全方位マスパを撃ちたくなった。
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「私はビーフガノンドロフを食べたぜ」
次は魔理沙の発表。
「それはゼル伝の親玉ですよ。ビーフストロガノフですよね?」
「そんな洒落たモンどこで食べたのよ」
「アリスんとこだぜ」
「ふん、魔理沙が洋風料理食べるのは大概アリスのところよね」
霊夢が忌々しそうに言った。
「牛肉の薄切りを炒めてタマネギやマッシュルームと煮込んでサワークリームってヤツをたっぷり入れるんだ」
「アリスは魔理沙に甘すぎるわよ」
「ご飯にかけて食べたら洋風牛丼って感じになったな」
「……それはちょっともったいないですね」
早苗が残念そうに言った。
「そうか? あ、でもアリスも少しがっかりしてたな」
「いつも夕食だけタカリに行ってんの?」
霊夢はまだ面白くないらしい。
「いーや、そん時はお泊りだったぜ」
「お泊まり?」
早苗が食いついてきた。
「風呂入ってマッサージしてもらって……」
「ちょと待ってください、マッサージ?」
「ああ、全身くまなくやってくれるぜ。泊まる時は」
「それって、まさか、ぜ、全裸ですか?」
「はあ? 変なこと言うなよ、下着くらいつけてるさ」
「下着姿で全身マッサージ……」
早苗は血が滾り始めた。
「そのあとは?」
霊夢も身を乗り出す。
「あとは一緒に寝るだけだ」
「い、一緒に!?」
早苗さん、興奮しすぎ。
「ベッド、一つしか無いからしょうがないだろ」
「そして、そしてどうなるんですか!」
「別に何もないぜ」
魔理沙は至って普通の返答。
「霊夢さん、これ、なんかヤバくないですか?」
「んー、アリス、グイグイ来てるわねー。油断できないわ。
で、魔理沙、大丈夫だったの?」
「何が」
「色々とよ」
「別に」
実にそっけない。
「アリスはまりさが好きなんだよ」
それまで黙って聞いていたチルノが言った。
「そ、それはっ」
早苗は大慌て。それを言っちゃあオシマイなのに。
「アリス、いっつもまりさのこと見てるもん」
「そうなのか?」
魔理沙がビックリしている。
「あたい、アリス好きだよ、お菓子くれるもん」
チルノが次に何を言い出すか、他の三人はドキドキしながら待っている。
「あ! わかったぞ」
チルノが叫んだ。
「どうしたの?」
「アリスはまりさが好きで、まりさはあたいが好きで、あたいはアリスが好き」
「は?」
「これって、さんかくかんけいだ!」
「待て、チルノ、いいから待て」
「チルノちゃん、あとで説明してあげるから」
「うっひゃっひゃ、こりゃおかしいわー」
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「あたい、おモチ食べたよ」
どうにか場をとりなしてチルノのターン。
「ふーん、餅かぁ」
「チルノちゃん、火は大丈夫なの?」
「みすちーが焼いてくれた」
「それなら平気ね」
「焼いてからおしょーゆをつける、ビッタビタに。
そんで、おしょーゆには砂糖いれるんだ」
「甘辛ですね」
「それもアリだよな」
「れいむからもらったノリ巻いて、もっかいちょっとだけ焼く。
おしょーゆとノリが焼けるイイ匂いがした」
ごくりっ
「……旨そうだな」
「そうですね」
「餅、まだあったかしら」
三人はいつの間にか引き込まれている。
「チルノ、お前、餅なんて熱いモン食べられるのか?」
「冷めるまで待ったよ。でもおいしかった。
甘くてしょっぱ辛くて、びろーんってのびるおモチ、ノリ巻くのがぽいんとかもしんない。あれおいしいよ」
ごくりっ
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「今日の美味しいもの話大賞はチルノちゃんですね」
「ああ負けたぜ」
「そうね、チルノ、はい景品」
最近作っている【博麗神社名物 梅外郎】の一口サイズが二つ。
「私はこのアメちゃんあげます」
「ありがと、あれ? まりさは?」
「さっき饅頭やったろうが」
「けち」
「おまっ」
------------------------------
「どうする? 餅焼くか?」
「でもすき焼き食べたいなー」
「お前の夢に付き合うのかよ」
「脂身とか牛肉とか甘辛味とか聞いてたらすき焼き食べたくなったわ」
「すき焼き、最近やってませんね」
「んんーすき焼きー」
霊夢はごろごろ転がり始めた。
「まずは肉だろ、当てがあんのかよ」
「誰か肉持ってこーーーい」
「ダメだこりゃ」
「神さまーーー」
「他力本願とかいうレベルじゃありませんね」
むくりと起きた霊夢は本殿に向かっていった。
そして姿勢を正し、何やら唱え始めた。
「高天原に神留座す。神魯伎神魯美の詔以て。
皇御祖神伊邪那岐大神。
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に
御禊祓へ給ひし時に生座る祓戸の大神達」
「お、おい、本気で神頼みかよ」
「諸々の枉事罪穢れを拂ひ賜へ清め賜へと申す事の由を
天津神国津神。
八百萬の神達共に聞食せと恐み恐み申す」
「……あれは正式な祝詞ですよ」
「こーんなこと神様にお願いしたらマズくないか?」
「ええ、呆れられるか、バチが当たるかしそうです」
「おいっ霊夢! やめろって」
「霊夢さん、巫女として一線超えちゃってますよ!」
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「放しなさいよ! 二人ともっ」
霊夢の超絶お馬鹿な所業を力ずくで止めようとする二人。
それをボケーっと見ていたチルノが気配に気づいて振り返る。
「あ、ナズーリンだ」
「これは何の騒ぎだい?」
「よくわかんない」
「止めたほうが良くないかい」
「よし、氷のかたまり、ブツケてみるか」
「いやいや、それは危ないよ」
「ナズーリンは何しにきたんだ?」
「おすそ分けなんだがね。牛肉だよ」
「ぎゅーにく?」
三人がピタリと動きを止めた。
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「私の願いが届いた……」
霊夢ははらはらと涙をこぼしている。
「もー、なんかコイツ、色々ダメになってるな」
「神様ってホントにいるのね……」
「このヒトが巫女やってて良いんでしょうか?」
ようやく落ち着いた三人娘にナズーリンが事情を説明する。
「良い肉をたくさんいただいたのだが、寺で盛大に食べるのもなんなのでね」
手荷物をほどいて牛肩ロースの薄切りを見せる。
量も結構ありそうだ。
「うぐっひっく、ありがとう……ナズーリンさん」
「もらったのは私じゃないよ、あくまで命蓮寺だ」
それでも博麗神社におすそ分けしようとするのはナズーリンだけだろう。
「こんなに喜んでもらえるとはね」
「いやまあ、細かい事情は聞かないでくれると助かるぜ」
「巫女として人として諸々の沽券に関わりますから」
まだへぐへぐ泣いている霊夢に塩辛い視線を注ぐ魔理沙と早苗。
「しかし、恐ろしいタイミングだな」
ナズーリンにはすき焼きの話題で盛り上がっていたとだけ言っておいた。
「これも皆さんの日頃の行いの賜物だろうね」
そう言って笑った賢将だが、嫌味かどうかは読み取れない。
「牛肉、寺じゃどうやって食べるんだ?」
魔理沙が聞く。
命蓮寺は基本は菜食だが、寄進されたものは肉でもいただくのだ。
「塊り肉ならステーキといきたいところだが、命蓮寺が出来てからは食べていないな。
まぁ、寺でステーキと言うのも外聞がね」
確かにお寺で血の滴るステーキをジュウジュウというのは宜しくないだろう。
「ビフカツを知っているかい? 牛肉のトンカツだね。
これはトンカツほど厚みが無くても十分に美味しいよ」
「写真で切り口を見たことがありますが、赤くて何だかなって思いました」
外の世界での記憶を手繰った早苗が感想を漏らす。
「牛肉だからね。あまり火を入れない方が良いんだよ。
衣のサクサクと肉の柔らかみがうまい具合に絡む。
肉の旨味は豚より牛が上だからね。これはクセになるよ」
「そうなんですか」
「最近好評なのはロースの薄切りを小片にしてたっぷりのバターで焼いたものだったね。色が変わり始めたら酒と醤油、そして半分に切ったシソの葉をこれでもかと入れる。余熱ですぐにしんなりするからすぐ火を止める。汁ごとご飯にかけて熱いうちに食べるんだ」
「むう、イケそうだな」
「青椒肉絲もやってみたね」
「ピーマンとタケノコでしたっけ」
「うん、あとビーフストロガノフもあるよ」
「それ、アリスのとこで食べたことあるぜ」
「ウチでは結局、ご飯にかけちゃうんだけどね」
「だろ? やっぱそうするよな」
「端の方の肉は時雨煮にしたり、タマネギと豆腐と煮込んで牛めし(牛丼)かな」
「それも美味しそうですね」
「骨があればブイヨンにするね。
色んな野菜を煮込めばご馳走スープだよ」
「どれも美味しそうだぜ」
「命蓮寺は和洋中なんでもイケるんですねー」
魔理沙と早苗は素直に羨ましがった。
「まぁ、この肉ならすき焼きが良いだろうね。
すき焼きは流儀が様々、好きにやると良い。
一つだけ言わせてもらえるなら『火を入れ過ぎるな』かな」
「おい霊夢、すき焼き用だってさ、良かったな」
「うん……ありがとう」
------------------------------
「お豆腐、入れますよね」
具は何にするか、重要会議が開催されている。
「焼き豆腐よ。普通のだと、たくさん水が出ちゃうから」
ナズーリンが帰ったあと、霊夢は肉の頼もしさによって復活した。
いつもの図太い神経と傍若無人な振る舞いが戻っている。
「それでも出るけどな」
豆腐は焼き豆腐になった。
「シラタキはお肉と離して入れるんですよ」
「細かいヤツだな」
「根拠があるんですよ、シラタキに含まれる消石灰のカルシウムが肉を硬くしてしまうんです」
「はいはい」
「じゃあ、葛切りにすればいいだろ」
「売ってますかね?」
「大丈夫よ」
シラタキに代わりまして葛切り。
「ネギ、入れましょうね」
「当然ね」
「鍋物の影の支配者とも言われてるしな。
ネギが無いと話にならないぜ」
「あたい、ネギきらい、鼻がツーンとするから」
「それは生で食べるからよ」
「チルノ、ネギ食べると頭が良くなるんだぜ~」
「ホント?」
「それって俗説じゃないんですか?」
「クタクタに煮込んだネギは旨いぜ~」
ネギ、当然採用。
「鍋物ですから白菜は要りますよね」
「却下」
「どうしてですか?」
「水が出るもの」
「そうだぜ、他の煮込む鍋なら良いが、すき焼きにはダメだ」
「でも、すき焼きは焼きとは言っても実際は煮込みますよね?」
「それは言わないことになってるんだぜ」
「でも、焼くのは最初だけですよね?」
「細かいこと言わないの」
白菜不採用。
「タケノコはどうですか?」
「うーん、なんか気取ってる感じ」
「カッコつけすぎだぜ」
タケノコ不採用。
「お麩なんかいかがですか? 汁を吸って美味しいですよ」
「べろべろになるからヤダ」
「私は好きだけどな、ま、無くてもイイか」
お麩不採用。
「なあ、キノコは何入れる? やっぱシイタケか?」
「却下」
「なんで」
「主役の肉にキノコの味がついちゃうじゃない」
「相互作用でうま味がアップすると言いますけどね」
「それでもダメよ」
「このあいだは入れたじゃないか」
「あんときは肉なかったもの」
「……ちょっと待ってください、肉がないって?」
「博麗神社名物、肉なしすき焼きだぜ」
「牛脂をたくさん使うのがコツね」
「そんなのすき焼きじゃないですよ」
「雰囲気だよ、雰囲気」
「とにかくシイタケはダメ」
「うー、じゃ、シメジは?」
「ダメ」
「マイタケは?」
「ダメ、キノコは一切ダメ」
「うううう」
幻想郷のキノコ女王霧雨魔理沙、全否定されガックリ。
「まりさ、今度、キノコ鍋やろ」
チルノが魔理沙の肩をポンと叩いた。
様々なキノコを一緒くたに煮る豪快な鍋料理。
毎回味が微妙に異なるのがお楽しみだ。
「あたい、まりさのキノコ鍋大好きだ」
「チルノ、ありがとうな、大好きだぜ」
そう言ってチルノに抱きついた。
「あたいたち、友達でいよう、な?」
「……それはもういいぜ」
キノコ、すべて不採用。
「春菊は必須だよな」
「あれはどうなんでしょうか」
「いや、旨いし、彩りに欠かせないだろ」
「香りが強いからね、どうしよっか」
「キノコ諦めたんだぞ? 私の要求も少しは聞けよっ」
「はいはいはい」
「はーーい」
「お前たち『はい』は短く一回だ!」
結局、具は焼き豆腐、葛切り、ネギ、春菊になった。
------------------------------
「すきやき用の鍋持ってるんですか?」
「滅多にやらないのにな」
保温性と油なじみの良い厚い鉄製で、浅めの丸い鍋。
「これは立派なモノですねー」
早苗が専用鍋に感心している。
「河童に作らせたのよ」
「特注品だったのか。にとりか?」
「アイツらちょくちょく騒ぎを起こすからね」
「締め上げて作らせたんですか?」
「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい。
『お詫びに何か』って言われたから〝落とし前〟の希望を述べたまでよ」
「タチの悪いゴロツキみたいだな」
「お゛? 何ですって?」
「やめてくださーい!」
------------------------------
「んじゃ、材料の調達だな」
「玉子はあるから買わなくていいわよ」
「焼き豆腐と葛切りは早苗な。私はネギと春菊を仕入れてくる」
「あと、牛脂、忘れないでよ」
「合点承知だぜ」
「チルノちゃんは?」
「チルノは私と一緒にご飯の支度よ」
「バッテンあらかわだぜー」
「お前、意味分かってんのか?」
「九州ローカルの芸人さんですよね」
------------------------------
「割り下作んなきゃだな」
「すると関東風ですか?」
「煮込むのはイヤね」
「では関西風ですか?」
「うーん、どうしようかしらね」
「聞いた話だが、牛脂を塗ったあとに肉より先に砂糖を入れるとイイらしいぜ」
「砂糖を熱で溶かすんですか?」
「そう、そのあと肉入れて焼くんだと」
「醤油とかは?」
「火が通りかけたらチョビっとジャーって入れるんだ」
「醤油、お酒、砂糖でしたっけ」
「はじめっから混ぜときゃ手間がないぜ」
「すき焼きは濃い味で食べたいわ」
「玉子がありますからねー」
「だから割り下はチョビっとずつ投入しようぜ」
「あくまで〝焼き〟にこだわるわけですね」
「いずれ水が出て煮込みになっちゃうけどな」
「では、その線で行ってみましょうか」
------------------------------
「鍋奉行は誰だ?」
この場合、具材投入と食べ頃のタイミング指示を行う。
「早苗はダメね」
「だな、うるさそうだからな」
「ヒドくないですか?」
「私はイヤよ、面倒臭いから」
霊夢お得意のフレーズ〝面倒臭い〟が出た。
「そう言うと思ったぜ。私だって面倒だ」
「じゃあ、チルノちゃんですか?」
「お? あたいがなべぶぎょー? よし、まかせろ」
スチャっとカッコ良く敬礼した。
「いやいやいやいや、それはないから」
「分かったよ、私がやるぜ」
霧雨魔理沙がこの度の鍋奉行に就くことになった。
------------------------------
「では始める前にすき焼きの歌を歌いましょー!」
早苗が高らかに宣言した。
「なんだそれ?」
「知りませんか? 有名ですけど」
「歌ってみ」
「こほん、では……
うえをーむーうーいて あーるこうおうおうおう」
「待て、誰に教わったか知らんけど、違うと思うぜ」
「神奈子様も諏訪子様も一緒に歌いますよ」
「あの二人かよ」
「あいつら変なとこズレてるわね」
------------------------------
「玉子はたくさんあるわよ」
霊夢が玉子の入った籠を持ってきた。
「生玉子のおかわりがあるって贅沢ですよね」
「だんだん減ってく玉子が切ないからね」
「なあ、これって、どのくらい混ぜるもんなんだ? ざっくり? 泡立つほど?」
「白身を切るように十回くらい混ぜればいいんじゃないでしょうか」
「私、白身のドロっとしたのが嫌いだからよーく混ぜるわ」
ちゃかちゃかちゃかちゃかちゃかちゃか
四人とも無言で玉子をかき混ぜる。
「うわあああー! 醤油入れんなよっ」
チルノが玉子の入った取り皿に醤油を垂らしていた。
「生玉子にはおしょーゆが合うんだよ」
まったく悪びれる様子のないチルノ。
「すき焼きの玉子は違うんだよ」
「ふーん」
「どうすんだこれ……仕方ないな」
魔理沙はチルノのご飯にその玉子をあけた。
「おい、早苗、これ食べといてくれ」
玉子かけご飯を差し出す。
「えー、これからすき焼きなのに」
「文句言うなよ」
「もー〈ズルッ、ズル、ザルッ、ザララ〉これでいいんですか?」
「はやっ! お前、よく噛まないとだぜ?」
「玉子かけご飯は飲み物ですよ?」
ケロッとして言い放った。
------------------------------
「チルノ、箸使えるようになったのか?」
「ばっちり」
そう言いながらバッチリ握り箸だ。
そんなチルノを早苗が微笑みながらサポートしてやっている。
妖怪には厳しいが妖精には甘い風祝なのだ。
「針妙丸はどうしたんだ?」
「寝てるわ、あのコ生活サイクルが短いみたいだから」
「やっぱり体が小さいからですかね」
「材料ちょっとずつ取ってあるから後で食べさせるわよ」
霊夢は実質的な少名針妙丸の保護者。
魔理沙に言わせると過保護なほど可愛がっているらしい。
------------------------------
お待ちかねのすき焼きが始まった。
「ふああ、この肉、素敵……ナズーリンさんありがとう」
霊夢は肉を口に含み、恍惚の表情。
「どうしてあんなネズミ妖怪を持ち上げるんですか?(ぱくぱく)」
「あの御方はあんたが思ってるよりずーっと大人よ」
「そうは思えませんけど(ぱく)。買収されてるだけですよ(ぱくぱく)」
「アイツはなんて言うか、ちょっと違うんだよな」
「魔理沙さんまで?(ぱーくぱくぱく)」
「ナズーリンは生意気だけど頭が弱いんだよ。かんべんしてやんなよ」
チルノがナズーリン嫌いの早苗に言った。
「チルノちゃん?(ぱく)あのヒト知ってるんですか(ぱくぱーく)」
「まーね、あたいの敵じゃないけどさ」
以前、なぞなぞで圧勝したチルノはナズーリンを格下と思っている。
霊夢と魔理沙は苦笑するしかない。
「ふーん(ぱく)、そうだったんですか(ぱくぱく)」
「早苗! お前、少しは噛んで食べろよっ」
「噛んでますよ(ぱーくぱくぱくぱーく)」
------------------------------
「チルノ、春菊も食えよ」
「あたい、これキライ」
「好き嫌い言うと大きくなれないぜ」
「だいじょーぶ、いつかまりさの2倍くらい大きくなるよ」
「そっか、楽しみにしてるぜ」
「私も春菊、あんまり好きじゃありません。香りがちょっとキツいです」
「えー、それが旨いのになー」
「そんじゃ、魔理沙は春菊の係ね、早苗は豆腐、チルノは葛切りね」
「れーむは?」
「私は責任もって肉をやっつけるわ、ついでにネギも」
「待てよ、そんなバカな専任担当制があってたまるか」
すき焼きは中盤戦、わいわいと座は盛り上がっている。
(お、そうか、これは……)
鍋奉行である魔理沙は人気のない春菊を利用することを思いついた。
春菊の束の下に自分用の肉をどっさり仕込んだのだ。
(ぬはははは、ぐっどあいでぃーあ、だぜぃ)
「あたい、それ食べてみようかな」
「あっ? そこはダメだっ」
チルノの拙い箸がその春菊の砦を突き崩した。
隠し資産が露呈してしまった。
「あら? なんですかこれは?(ぱく)」
「くそう、盲点だと思ったのに」
「何やってのよ、せっこいわねー」
へへへっと笑いながら肉を口にする魔理沙。
「むっ、肉が……青臭いぜ」
「バカじゃないの」
返す言葉もない。
------------------------------
「早苗、豆腐、煮えてるぜ」
「はいはい(ひょいぱく)」
「こっちの豆腐もだ」
「はいはい(ひょいぱく)」
チルノの面倒を見ながらも自分の倍のストロークで具材を拾っていく早苗。
それを牽制するために豆腐を盛んに勧めているのだが。
魔理沙は首を傾げる。
(おっかしいなあ、豆腐だけでも三、いや四丁分は食わせてるはずなのに全然ペースが落ちないぜ。
ご飯も二回おかわりしてんのに。一体どうなってんだ?)
「チルノちゃんも豆腐どう?」
「とーふ食べるとおなかがいっぱいになっちゃうよ。肉が食べらんなくなる」
(だよな、そのはずなんだが。コイツ、私が思っている以上にトンでもないヤツなのかも知れないな)
それほど大それたことではないのだが。
------------------------------
「ふいー、食った食った」
「そろそろ〝しめ〟ですかね」
「最後のお楽しみね」
「おじや? うどん? どっちにします?」
「おじやにしようか」
「そうですね」
「待てよお前ら、うどんに決まってるぜ」
「なんで」
「鍋物のしめに雑炊は分かるが、すき焼きだけは別なんだ。
煮汁が甘じょっぱいからうどんの方が絶対合うんだよ」
「おじやと雑炊って違うんですか?」
「おじやはご飯そのまま、雑炊はご飯を水洗いしてサラっとさせるのよ」
「うどんですかあ……」
今ひとつ釈然としないモヤっとした空気が漂う。
「あたい、この汁でおモチ食べてみたい」
チルノが手を挙げて発言した。
甘辛で肉や野菜の旨味がたっぷり出た煮汁に餅……。
「ふーむ、そうね」
「確かにイイな」
「チルノちゃんのお餅の話、美味しそうでしたからね」
チルノの提案を検討した三人だが、結論は早かった。
「そんじゃ、おモチ、な?」
「異議なーし」×3
その〝しめ〟は予想以上に美味しかったそうな。
閑な少女たちの話 了
会話のテンポが良くて読みやすく、しかも面白い! そして飯テロ! 絶許(ぉ
ビールと唐揚げをたらふく食った後なのに、またしても食欲が湧きそうだな(笑)
それにしても雑炊とおじやの違いは初めて知りましたね
勉強になりました
妖夢や咲夜の自機組も出してください。
ああ・・・すき焼き食べたくなった
今回はチルノ無双でしょうかね。
ありがとうございました。
奇声様:
ありがとうございます、ちょっとましになりましたかね。
大根屋様:
いつもは地の文が多い話なんですが、会話主体にトライしております。
お気に召していただけたのなら幸いです。
絶望を司る様:
こちらもお読みいただきありがとうございます。
9番様:
ありがとうございます。
あまり区別はないようなんですが、昔、お店の人や上司から教わりました(都合3人かな)。
調理用語辞典でもこうなってましたから大丈夫だと思います。たぶん。
15番様:
ありがとうございます。
シリーズ化ですか、最高のご評価を頂きました。
妖夢や咲夜、うん、やってみましょうかね。
16番様:
のんべんだらりのお話に過分なコメントありがとうございました。
17番様:
春菊が旨いと感じられるようになったのは大人になってからでした。
いずれチルノも大人に……いや、なりませんね。
18番様:
ありがとうございます。
23番様:
いわゆる「おもうつぼ」でしょうか?
ありがとうございました。
ありがとうございます。よくある食事風景をだら~んと書いていきますね。
26番様:
ありがとうございます。たまにはこんな感じもアリでしょうか。
チルノを可愛がる早苗さんってのは珍しいですが
妖怪に厳しい所と合わせてなかなか良い味出してますね
それと愛されチルノは和みます^^
ありがとうございます。早苗は現代っ子なので妖精にはファンシーなイメージを持ち続けているんだ、と勝手設定しております。
33番様:
ありがとうございました。こんな感じでもう少し書きます。