博麗の巫女は、常に、孤独であるべき。
私はそう思っていた。
私、博麗霊夢は一人、卓袱台の前に座りながら、お茶を啜っていた。少し開いた襖の先には、外の景色。天気は晴れ。空は、気持ち悪いくらいに綺麗だった。雲ひとつない、快晴。
とくになにかがあるわけでもなく、いつも通り。参拝客も来なければ、異変も起きないし、事件もない。
本当に、平和な日。
「まったく、暇ね。誰か、来てくれないかしら?」
そんなことを一人呟いたところで、誰かが来るわけがない。そもそも、博麗の巫女に好き好んで近寄ろうとする馬鹿はいない。
なぜ、近寄る人間がいないのか?その訳は、とても簡単なことだ。
私がもつ――博麗の巫女が持つ、力。それを恐れているからだ。
まるで、人間ではないような、力。妖怪を退けるその力を、人々は恐れ、その力を持つ人間を、意図的に避ける。
それはまぁ、仕方がないことだろう。いつの時代でも、常識の外にいる人間は恐れられ、避けられるものだ。
博麗は、その力故に孤独。
人々を守る立場にあるが為に、孤独なのだ。
たまにそんな、自分がたたされている理不尽な立ち位置に疑問を抱くこともあるが、考えても答えが出るわけがない。
湯呑の中のお茶が少なくなってきたので、注ぎなおし、卓袱台の真ん中においてある煎餅を手に取り、齧る。醤油のしょっぱさと、米の甘さが口の中に広がり、その余韻を楽しみながら、お茶を啜る。
そんなことをしていると、珍しく。本当に珍しく、博麗神社へと続く階段の方から足音が聞こえた。
こつんこつんと、気持ちのいい音を響かせながら、近づいてくる。久しぶりの来客が気になり、思わず襖を開き、靴を履いて外に出る。そして、それが決して来客の姿をみたいがためにとった行動ではないと主張するように、箒で境内の掃除をしていたフリをする。
しばらく箒で境内を掃いていると、漸く、その来客の姿が見えた。
年は・・・私と同い年ぐらいだろうか?大体6歳ぐらいの少女。そして、特徴的なのは、その綺麗な金髪、金の瞳。
私はその少女を見て、素直に、綺麗だと思った。
柔らかそうな、その金髪が。
意志の強そうな、その金の瞳が。
なぜだか。とても、綺麗に見えた。
「あんたが、博麗の巫女さんか?」
綺麗に見えたけれど、言葉遣いは綺麗ではないようだ。
「そうよ。私が、博麗の巫女」
「・・・驚いた。私と同い年ぐらいなのか」
金髪の少女は、その意志の強そうな瞳を見開きながら、本当に驚いたように、そう言った。
ドコに、そんな驚くような要素があるのだろうか。
「?・・・なんで、そんな驚くのよ?」
「――だって・・・博麗の巫女には近づくな、博麗の巫女は人間じゃない、とかさ。そんな風に、里の人間達が言ってたもんだから。もっと、怖い人なのかと思ってた」
まぁ、そんなことだろうとは思っていた。
そりゃぁ、こんな人間離れした力を持った人間のところに、子供を行かせたくはないだろう。ましてや、こんな女の子一人で。
「でも、やっぱり違ったか。とっても、かわいい女の子じゃないか」
「――――ッ!!」
か、わいい?
今、この少女は――?私のことを・・・?かわいい、と?
「な、なによそれ。私全然かわいくなんか――」
私の言葉を、少女は強引に遮りながら、
「いや、かわいい。私が男だったら、一目惚れしてるぜ?」
「――ッ・・・・・・」
恥ずかしい。
心の中で、そう呟いた。
「あ、ちなみに私の名前は霧雨魔理沙だからな~」
唐突に名前を教えられて、少々戸惑いながらも、私も名乗り返す。
「わ、私は博麗霊夢よ」
「博麗霊夢・・・んじゃぁ、これからは霊夢って呼ばせてもおうかな」
「・・・な、馴れ馴れしいわね」
困った。
こういった会話は久しぶりなのだ。いや、本当に。何ヶ月ぶりだろうか――こんな風に。人と、会話するなんて。
「おっと、そろそろ帰らないと。あ、これからも、ここに来ていいか?」
私はその言葉に驚く。目を見開いて、口元を引きつらせ、不器用な笑みを顔に浮かべてしまった。
これからも?
ここに――博麗神社に?
そんなことをして、貴女にメリットなんてないでしょうに。そんな考えが、頭に浮かぶが、結局――正直なところ。
その、一言が――その、魔理沙の一言が。
とても、嬉しかった。
けれど、不器用で、人とあまり関わったことがない私は。
「こんなところ、何回も来るような場所じゃないわよ。・・・でもまぁ、来たけりゃ来ていいわよ」
と。
これはまた、不器用な言葉を吐いてしまった。
けれど、魔理沙はそんなの気にする風もなく、
「そうか。それじゃぁ、これからもここに来るぜ」
そういって、魔理沙は帰っていく。人里にある自分の家へ帰るため。素早く、階段を降りていく。
しばらくすると、魔理沙の足音も聞こえなくなった。
一人残された私は、とりあえず手に持っていた箒を地面に置いた。そして、卓袱台の前に戻り、再びお茶を啜り、煎餅をかじる。
朝に一人で飲んで、食べていたときよりも。
その味は、ずっと美味しかった。
私はそう思っていた。
私、博麗霊夢は一人、卓袱台の前に座りながら、お茶を啜っていた。少し開いた襖の先には、外の景色。天気は晴れ。空は、気持ち悪いくらいに綺麗だった。雲ひとつない、快晴。
とくになにかがあるわけでもなく、いつも通り。参拝客も来なければ、異変も起きないし、事件もない。
本当に、平和な日。
「まったく、暇ね。誰か、来てくれないかしら?」
そんなことを一人呟いたところで、誰かが来るわけがない。そもそも、博麗の巫女に好き好んで近寄ろうとする馬鹿はいない。
なぜ、近寄る人間がいないのか?その訳は、とても簡単なことだ。
私がもつ――博麗の巫女が持つ、力。それを恐れているからだ。
まるで、人間ではないような、力。妖怪を退けるその力を、人々は恐れ、その力を持つ人間を、意図的に避ける。
それはまぁ、仕方がないことだろう。いつの時代でも、常識の外にいる人間は恐れられ、避けられるものだ。
博麗は、その力故に孤独。
人々を守る立場にあるが為に、孤独なのだ。
たまにそんな、自分がたたされている理不尽な立ち位置に疑問を抱くこともあるが、考えても答えが出るわけがない。
湯呑の中のお茶が少なくなってきたので、注ぎなおし、卓袱台の真ん中においてある煎餅を手に取り、齧る。醤油のしょっぱさと、米の甘さが口の中に広がり、その余韻を楽しみながら、お茶を啜る。
そんなことをしていると、珍しく。本当に珍しく、博麗神社へと続く階段の方から足音が聞こえた。
こつんこつんと、気持ちのいい音を響かせながら、近づいてくる。久しぶりの来客が気になり、思わず襖を開き、靴を履いて外に出る。そして、それが決して来客の姿をみたいがためにとった行動ではないと主張するように、箒で境内の掃除をしていたフリをする。
しばらく箒で境内を掃いていると、漸く、その来客の姿が見えた。
年は・・・私と同い年ぐらいだろうか?大体6歳ぐらいの少女。そして、特徴的なのは、その綺麗な金髪、金の瞳。
私はその少女を見て、素直に、綺麗だと思った。
柔らかそうな、その金髪が。
意志の強そうな、その金の瞳が。
なぜだか。とても、綺麗に見えた。
「あんたが、博麗の巫女さんか?」
綺麗に見えたけれど、言葉遣いは綺麗ではないようだ。
「そうよ。私が、博麗の巫女」
「・・・驚いた。私と同い年ぐらいなのか」
金髪の少女は、その意志の強そうな瞳を見開きながら、本当に驚いたように、そう言った。
ドコに、そんな驚くような要素があるのだろうか。
「?・・・なんで、そんな驚くのよ?」
「――だって・・・博麗の巫女には近づくな、博麗の巫女は人間じゃない、とかさ。そんな風に、里の人間達が言ってたもんだから。もっと、怖い人なのかと思ってた」
まぁ、そんなことだろうとは思っていた。
そりゃぁ、こんな人間離れした力を持った人間のところに、子供を行かせたくはないだろう。ましてや、こんな女の子一人で。
「でも、やっぱり違ったか。とっても、かわいい女の子じゃないか」
「――――ッ!!」
か、わいい?
今、この少女は――?私のことを・・・?かわいい、と?
「な、なによそれ。私全然かわいくなんか――」
私の言葉を、少女は強引に遮りながら、
「いや、かわいい。私が男だったら、一目惚れしてるぜ?」
「――ッ・・・・・・」
恥ずかしい。
心の中で、そう呟いた。
「あ、ちなみに私の名前は霧雨魔理沙だからな~」
唐突に名前を教えられて、少々戸惑いながらも、私も名乗り返す。
「わ、私は博麗霊夢よ」
「博麗霊夢・・・んじゃぁ、これからは霊夢って呼ばせてもおうかな」
「・・・な、馴れ馴れしいわね」
困った。
こういった会話は久しぶりなのだ。いや、本当に。何ヶ月ぶりだろうか――こんな風に。人と、会話するなんて。
「おっと、そろそろ帰らないと。あ、これからも、ここに来ていいか?」
私はその言葉に驚く。目を見開いて、口元を引きつらせ、不器用な笑みを顔に浮かべてしまった。
これからも?
ここに――博麗神社に?
そんなことをして、貴女にメリットなんてないでしょうに。そんな考えが、頭に浮かぶが、結局――正直なところ。
その、一言が――その、魔理沙の一言が。
とても、嬉しかった。
けれど、不器用で、人とあまり関わったことがない私は。
「こんなところ、何回も来るような場所じゃないわよ。・・・でもまぁ、来たけりゃ来ていいわよ」
と。
これはまた、不器用な言葉を吐いてしまった。
けれど、魔理沙はそんなの気にする風もなく、
「そうか。それじゃぁ、これからもここに来るぜ」
そういって、魔理沙は帰っていく。人里にある自分の家へ帰るため。素早く、階段を降りていく。
しばらくすると、魔理沙の足音も聞こえなくなった。
一人残された私は、とりあえず手に持っていた箒を地面に置いた。そして、卓袱台の前に戻り、再びお茶を啜り、煎餅をかじる。
朝に一人で飲んで、食べていたときよりも。
その味は、ずっと美味しかった。
回想なのかこれ続くのか判断つかないけど
続きがあるなら気になります
ただ句読点が多いので読みづらさを感じました。
これからも頑張ってください。
ただ構成を変更すれば
もっと良くなったと思います。
もしも私なら「サンドイッチ(私が勝手に名付けた構成)」
で物語を展開します。
序盤に結論を持ち出しますが
この時点で読者は意味を理解していません
その結論に説得力を持たせる為に
中盤で具体例を出します。
そして立証が加わった状態で
もう一度終盤で結論を持ち出し
物語をしめる構成です。
ポイントは
序盤の結論の文言と
終盤の結論は同じ文言
で統一することです。
すると物語が引き締まると
感じております。
長文、失礼致しました。