Coolier - 新生・東方創想話

魔理沙が怖い夢を見る話

2014/08/18 04:07:09
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「や、やめろッ!こっちに来るなッ!」
言葉が通じていないのか、それともこちらの言葉を無視しているのか、あいつはこちらに迫ってくる。
私は全力で走る。
もうどれだけこの無限に続く空間を走っているだろうか。
息も絶え絶えで、口を大きく開け酸素を取り入れながら走る。
もう止まってしまいたい。体力はもう限界だ。
でも、あいつには絶対に捕まりたくない。
捕まったら何をされるか分からない。
そう思いながら必死で走る。

地面に落ちていた何かに躓く。
顔を強く打つ。口の中に血の味が広がる。
はは、私もこれで終わりか…。
転んだ拍子に何かが転がり出る。
八卦炉…?
私、魔法使えるじゃん。
空も飛べるじゃん。
悪いな化け物。恨むなら私を襲った自分を怨め!
「マスタァァスパァァァァクッ!」
今出せる全力でマスパを撃つ。
マスパの反動で後方に吹っ飛ぶ。
はっ、私のマスパを受けて無事な奴がいるか。
立ち込める煙の中には、ぴんぴんとしている化け物が立っていた。
「……嘘…だろ?」
疲弊しているとはいえ、今出せる力を出した手加減なしの全力マスパだぞ?
逃げなきゃ…!
足に力を入れる。力を入れても少しピクリ、と動くだけ。
飛ぼうとするが、体が言うことをきかない。
何で?何で動かないんだよ!
さっきのマスパで体力が無くなったのか?

化け物がゆっくりと私に近づいて来る。近づくにつれ、咽せ返る程の酷い悪臭がする。化け物が鋭い牙が生えている口を大きく開き、鋭い爪をこちらに向ける。
もう限界だ。私は叫び声をあげる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



眼が覚めた。汗がびっしょりだ。
今のは夢なのか?おいおい冗談はよしてくれ…。

ガタッ

「ひゃっ!」
後ろで物音がした。
後ろに得体の知れないモノがいるかもしれない。もしいたらどうする?見たくない。だけど気になって見てしまう。ゆっくりと、時間をかけて首を動かす。

…本が落ちただけじゃないか。驚かせやがって。

何で私は机で寝ているんだ?
机の上には、開きかけの本と、実験器具が並べてあった。
あぁー、そういや実験してた途中で寝たんだっけ…。
今、何時だ?窓の外を見ると、太陽が西に沈み、もう夜が始まるような時間だった。
ま、いいや。まずシャワーを浴びて汗を流したいな。そんで何か飯を食うか。




シャワーを浴びている時は少し怖かったが、なんとか大丈夫だった。
今は飯を食ってる最中なんだが、何処かから物音が聞こえる度ビクビク怯えなければいけない。
一人は怖い。どうしようか。
博麗神社なら泊めてくれるだろうか。
最近霊夢に会ってないしな。顔合わせ程度に行ってやるか。
そうと決まれば急がないとな。
部屋着を脱ぎ、いつも着ている白黒の服を身に纏い、愛用している箒を手に取る。
玄関の扉を開ける。
さっきまでは日の光があったが、辺りはもう真っ暗だ。
……行くのやめようかな。
いや、一人は怖い。暗いのなんて気合いで何とかなる!





特にこれといった事は起きずに博麗神社についた。何だ、案外怖くなかったぜ。

「おーい!霊夢ー!」
……あれ?居ないのか?此処まで来ていないとかは困るぜ?
障子を開け放つ。
…居るじゃないかよ。
魔理沙さんが来てやったってのに、霊夢の野郎、寝てやがる。
寝るなら布団で寝ろよな。風邪でもひいたらどうするんだよ。
取り合えず上がらせてもらうぜ。
「おい、霊夢起きろ!魔理沙さんが来てやったぞ!」
少し大きめな声で霊夢を起こす。
「うぅん」
そう言って寝返りをうつ。
霊夢の横にしゃがみこみ
「おい!霊夢ー起きろ!」
と声をかけ霊夢の頬をぺちぺちと叩く。
「うん?……魔理沙?」
「やっと起きたな!」
「…こんな時間にどうしたの?」
「えっ?いや、最近霊夢に会ってないなーって思ってさ」
「ふぅん。ま、どうでもいいけど」
そう言いながら空を眺めている霊夢。
雲の隙間から覗く月光が辺りをぼんやりと写し出している。

「……月が、綺麗ね」
「あっ!霊夢もそう思うだろ?空飛んでるときに見えた月がいつもよりすごく綺麗でさぁ!」
私が笑いながらそう言うと、霊夢が無言で肩を殴ってきた。軽めに殴ったんだろうけど少し痛い。
「どうしたんだ?何か気にさわることしちゃったか?」
「魔理沙が馬鹿だからよ」
なんだよそれ…。

「あ、食器洗わなきゃ。悪いけど、そこで待っててくれる?」
「おう!任せとけ!」
そう言って台所に向かう霊夢。
霊夢と会うと安心できるんだよな~。殴られたのは癪だが。
此処まで来るのは嫌だったけど、霊夢の寝顔を見れただけ良しとするか。
私がふわふわとした気持ちで霊夢を待っていると、がさがさっという物音が何処からか聞こえた。
全身から血の気が引いた。
急いで霊夢がいる台所に駆け込む。

「うわっ!魔理沙?どうしたの?」
「別に。ただの気まぐれだぜ」
「へー。変な気まぐれもあるのね」
ふぅ~、何とか誤魔化せたな。
霊夢が食器を洗い終わるまで、他愛もない会話をしていた。
最近寝不足気味だ、魔法の実験していたら途中で寝てしまった、月がいつもより明るい、吸血鬼が家出した時に神社に押し掛けてきた、とか。
霊夢の愚痴はいつまでも続いた。その話が終わると、
「私はもう寝るけど、泊まってくの?」
と聞いてきた。
「あぁ、そのつもりだが、迷惑だったか?」
できれば今日は一人で寝たくない。
「別に。あんたいつも迷惑とかお構いなしで泊まってくじゃない」
「それもそうだな」

寝室に移動する。布団を敷いて、布団の中に潜り込む。
怖い時はどんなに暑くても布団から足を出せなくなる。出していたら何かに触られそうな気がするから。
隣に霊夢がいるとはいえ、怖いものは怖い。
「なぁ、霊夢」
「…なに?」
「そっちに行ってもいいか?」
……あれ?返事がない?
「…霊夢?」
「……好きにしたら?」
「ありがと」
そう言って霊夢が寝ている布団へと転がって行く。
…あったかい。さっきまで寝ていたのにまた眠くなってきた。
周りは暗いし、霊夢はあっちを向いてるからよく見えないが、顔が赤くなってる気がする。

「なぁなぁ、さっきは何で殴ったんだ?」
「魔理沙が馬鹿だからよ…。もういいじゃないの。過ぎた事は忘れなさい」

霊夢は私を殴った理由を言わないつもりか…ならば奥の手だ!

「ひゃぁっ!ちょっ!ちょっと!魔理沙!やめなさい!」
私は霊夢の脇をくすぐる。
「嫌だ。霊夢が私を殴った理由を言うまでやめないからな」
「わ、分かったから!言う!言います!だからやめてください!」
「最初からそう言えばいいのに」
霊夢をくすぐるのをやめる。
霊夢は口で息をしている。
「……日本人は直球じゃないのよ」
「はぁ?なんだよそれ…」
「言ったでしょ?眠いんだからもう寝る。おやすみ魔理沙」
「……おやすみ」
日本人は直球じゃない?霊夢は何でも直球に言うじゃないか。妖怪にも邪魔だったら邪魔ってはっきり言い切るだろ…。もういいや。起きたら忘れてるだろうし。
やっぱり霊夢といると安心できるぜ…。怖い夢を見れたことに少しだけ良かったと感じなくもないな…。
とある図書館にて

「あ、魔理沙!」

「おっ、フラン。お前レミリアと喧嘩したのか?」

「うん。お姉様ったら酷いの!お茶会をした時に、月が綺麗ねって言ってもえぇ、そうね。としか返さないんだよ?」

「どこかおかしいか?」

「魔理沙知らないの?遠回しな告白をする時に使う言葉なんだよ?」

「へぇー、そうだったのか。それは随分とロマンチックだな」

「なのにお姉様ったら…」

あぁー、こりゃダメだ。フランがレミリアについて語りだしたら止まらないぜ。なるほどなぁ、そんな言葉があったのか。知らなかったぜ。


数日たったら忘れる魔理沙。
霊夢がかわいそう…。
レイマリの夢を見た衝動で書いた。
反省はしているが後悔はしてない。
これは最近見た私の夢を元にして作ったお話です。
と、言っても霊夢と魔理沙が布団の中でイチャイチャしているところしか元になっていませんが。
これを書いた日がスーパームーンだったので告白の要素を入れてみました。余計だったかも知れませんね。
……あれ?フランって日本人じゃなくね?と思ったのは内緒です。
私が書くフランは恥ずかしがりやで直球ではないので…。
これを友人に見せたら、遊んでいる時に音読を始めました。それで「霊夢冷たすぎね?」と言われました。
確かに冷たすぎましたね。つんでれいむを書こうとしてたのにデレていないですね…。
つんでれいむはまたの機会に…。
でれでれいむでもいいかな…?
誤字、脱字、アドバイス等がありましたら報告お願いします!
アルトリア
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コメント



0.530簡易評価
3.90絶望を司る程度の能力削除
霊夢さんマジドンマイ
4.90非現実世界に棲む者削除
書いてくださってありがとうございます。
最近はもこたんが夢に出てきました。内容は覚えていません。あっちの方じゃなかったことは確かです。
それはともかくレイマリ最高。いつか霊夢が報われる日がくるのをお待ちしております。
5.80名前が無い程度の能力削除
ビビッて神社に来ちゃう金髪の子可愛い
6.80奇声を発する程度の能力削除
良かったです
7.90名前が無い程度の能力削除
霊夢さん可愛すぎる。
9.90名前が無い程度の能力削除
いいレイマリだ
10.70名前が無い程度の能力削除
書籍で霊夢が紙舞にビビッていたのと同様、幻想郷の自機人間組にとっては、姿が見えなかったり
正体のわからない妖怪の方が怖いのかもしれません。
しかし夏目漱石の活躍は幻想郷の隔離後ですから、魔理沙が知らなくても無理ない気もしますが。
11.60名前が無い程度の能力削除
もっと甘々でも良かったかな?
しかし夢の中で追いかけてくる奴が鬼巫女モードの霊夢とかじゃなくて本当に良かった
14.90名前が無い程度の能力削除
すれ違い愛
21.100レベル0削除
何故か化物のビジョンがタタリ神だった。
怖い夢を見ると寝るのが怖くなりますね
23.100名前が無い程度の能力削除
ツンデレイムだ(キリッ