Coolier - 新生・東方創想話

お嬢様が風邪をひきました

2014/08/08 19:33:23
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けほ、けほッ!
…なんで私が風邪なんかひかなきゃいけないのよ…。ひくだけならまだしも咲夜の奴、
「念のため、今日一日安静にしていてください」
とか言って部屋から出してくれないし…。
はぁ…暇ね。
そもそも、風邪なんて無かったら暇にはならなかったのよ!風邪なんてこの世から消え去ればいいのに!
ウイルスのばーか!

………暇なら、咲夜にばれないように部屋から出ればいいだけじゃない!
咲夜は今廊下の掃除をしているはず。
鉢合わせしてしまうリスクはあるけれど、部屋でじっとしているよりは幾分もましだ。
咲夜にバレたらまたお説教よね。
正座って嫌いなのよね…。あの独特な足がジーンってなる感覚。しばらくしてからじゃないと、しっかりと歩けないし…。
少しくらい遊んだっていいじゃないのよ!
「咲夜のばーか!」
やばっ、声出しちゃった。聞かれてたら大変だわ…。咲夜のことだから、「お嬢様は一週間おやつ抜きです」とか言うかも…。咲夜の鬼ぃ…。

ぐうぅ~

…そう言えば、朝食を殆ど食べてなかったわね。
食べられる物を漁りに食糧庫に寄って行きましょうか。咲夜に会う確率があがったわね。
症状が軽いとはいえ、上着を着ないと寒いわね。廊下は私の部屋よりも寒いだろうし。
クローゼットでも漁れば上着くらいはあるでしょう。
ベッドから抜け出し、クローゼットの中を見渡す。
このカーディガンでいいや。手前にあったカーディガンを手に取る。善は急げ!早く行きましょう!

コンコンコン

急いでベッドの上にダイブする。
カーディガンをベッドの下にスライディング!セーフ。
あ、ちょっとはみ出てるじゃない!セーフじゃないわよ!

誰かしら。まぁ、部屋を出る前に来てくれてよかったわ。いないのがバレたら、強制的に部屋に戻されるだろうし、見張りも付いて部屋の外に出られなくなりそうだし。

「……入っていいわよ」

私の作戦を邪魔しやがって…少しくらいきつめに言ったって文句はないでしょ。
私がドアの向こうにいる人物に声をかけると、ゆっくりとドアが開いた。

「お邪魔します…。お姉様、具合は大丈夫?」

そう言いながら入ってきたのは、私の可愛い妹フランドールだった。
これは予想外。てっきり、こわーいメイド長が入ってくると思っていたのに。

「えぇ、さっきよりも大分ましになったわ」

するとフランは嬉しそうに微笑みながら、廊下にあった台からお盆を手に持ち、部屋に入ってきた。

「よかったぁ…。心配だったんだよ? お姉様、お腹は空いてない?朝食殆ど食べてなかったでしょ?だから、少し早いけどお昼ご飯を持ってきたの」

「えぇ、お腹が空いたからそろそろ咲夜に昼食を持ってこさせようとしていたところよ」

「よかったぁ!食欲が無かったら、わたしが作った雑炊が無駄になっちゃうところだったわ!」

そう言いながら、さらに笑顔になるフラン。
それを見て微笑み返す私。
…咄嗟に嘘を付きました。ごめんなさい。
…いや、待てレミリア。
フランは今、「わたしが作った」と言わなかったか?つまり、フランが持っている雑炊はフランの手作り料理ってこと?!うわーお!お姉ちゃん、フランの手料理なら、例え食欲がなくても絶対に完食できるわ!

ああぁぁぁ!もう!フラン可愛い!フランの前ではこんな表情してるけど、ニヤけるのを必死におさえてるのよ?!
内心では私のスカーレット魂が暴走してるわ!

こうして悶えている間にも、フランは部屋にあった椅子と雑炊を持って近づいてくる。
美味しそうな香りが漂ってくるわね。食べるのが待ち遠しいわ!

「あ、そうだ!わたしがお姉様に食べさせてあげるね!」

そう言いながらフランは椅子に座りスプーンで雑炊を掬って、ふーふーと息を吹き掛け冷ましている。

………えっ?マジで?!
スカーレット魂が爆発しそう。
落ち着け。今スカーレット魂が爆発したら、間違いなくフランに嫌われてしまう。それだけは決してあってはならない!押さえろ!押さえるんだ!

フランがニコニコしながら
「はい、お姉様。あーん」
と言いながらスプーンを私の口元に持ってくる。
夢にまで見たフランに料理を食べさせてもらうこと(フランの手作りで、ふーふーまでしてくれてる!)が叶っちゃうの?
「あ、あーん」
雑炊を口に含み、良く味わってから飲み下す。

何…これ。今まで食べたことがある料理の中でも、一番美味しいわ!当たり前じゃない!フランが作ったのだから!
この雑炊、風邪をひいている私でも食べやすいように、優しい味付けをしてくれているのね!流石フラン!
こんなことを考えていると、フランと目が合った。
フランが不安気な顔で私を見ている。
フラン可愛い!じゃなくて…

「ものすごく美味しいわ。フランは料理の才能があるわね。私でも食べやすいように、優しい味付けにしてくれたのね。ありがとう、フラン」

そう言いながら私は、フランの髪の毛を撫でる。そうするとフランは、くすぐったそうに微笑み、

「そう言ってくれてすっごく嬉しいよ!ほら、まだまだあるからいっぱい食べて早く元気になってね!お姉様!」

そう言いながらスプーンに雑炊を掬ってふーふーを始めるフラン。

なにこの幸せな時間!なにこの可愛い妹!部屋を出なくて良かったわ!もっと早くに部屋を出ていたら、この幸福を味わえなかったなんて…。
私、運だけはいいのよね!ここまで自分の運がいいことを実感できたのは、これが初めてだわ。

風邪をひいてよかったと思う日があるなんて思いもしなかったわ…。
ウイルスさんありがとう!
さっき、ばーか!とか言ったのは嘘です。忘れてください。これからもお願いします。


…こんなに可愛い妹が看病をしてくれるのなら、風邪も悪くないわね。
お嬢様が前回風邪をひいてからというもの、お嬢様の行動がおかしくなられました。
寒い日に限って薄着で散歩に行かれ、なかなか帰ってこなかったり、仕事を徹夜で仕上げて寝不足だったりと。
こんな生活をしていたら、また風邪をひいてしまいますわ。
一体、どうしたのかしら。

仕事を徹夜で仕上げることによってフランと遊ぶ時間が増え、風邪をひきやすくなる情況を作れるお嬢天才!
今度フラン視点を書こうかと考えております☆

誤字、脱字、アドバイス等がありましたら報告お願いします!
アルトリア
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コメント



0.390簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
よかったです
2.80名前が無い程度の能力削除
〉「うわーお!」

お嬢様、はしたないですw
3.100非現実世界に棲む者削除
このレミリア、興奮のあまり元気になったら自分の部屋でバッドレディスクランブルを連発するんじゃないかと思うほどにリア充ですね。
パッチェさんが見てたらもの凄く引いてそう。作者さんのパチュリーがどういう人物なのかわかりませんけど、なんとなくそうだと思ってます。
次も期待してます。
4.90奇声を発する程度の能力削除
良いね、面白かったです
6.80おちんこちんちん太郎削除
とても面白かったです。
咲夜は紅魔館のお母さんみたいですね。
8.70名前が無い程度の能力削除
こんな妹が欲しい人生だった
ほのぼのしていて良かったのですが、
スカーレット魂って何なのかがとても気になって夜も眠れない予感です。
レミリアの言うことから察するに今までに何度か爆発したことがあるんでしょうね……。

以下誤字報告 細かいですが……
>咲夜に合う確率があがったわね。
○会う ×合う
10.無評価アルトリア削除
≫1様 ありがとうごさいます!これからの励みになります!

≫ 2様 コメントありがとうごさいます!お嬢様は少し慎んだ方がいいですねw

≫ 非現実世界に棲む者 様 貴方様が言う通り、パチュリーはお嬢様に少しだけつめたいです。
お嬢様の姉馬鹿っぷりにうんざりしています。次回作にはパチュリーが出ますよ!

≫ 4様 コメントありがとうごさいます!そう言って下さると励みになります!

≫ おちんこちんちん太郎 様 お褒め頂きありがとうごさいます!
そうですね!咲夜さんは紅魔館のお母さん的なポジションです。

≫ 8 様 夜は眠られましたか?貴方様の言う通り、スカーレット魂は何度か爆発しております。(殆どパチュリーの前で)
誤字報告ありがとうございます!修正させて頂きました。