「
これは、「例えば」の話だ。
例えば、空が曇っている。すると晴れているときにくらべて、そこの草の緑は周囲に対して溶けこんで見える。空が曇っていれば。でも、晴れていても曇っていても、その草の色は緑でしかない。だから、それは周囲との間に輪郭を残す。晴れているときとくらべて、それは鮮烈ではなく、曖昧であるかもしれないが。
これは「例えば」の話だ。だから、それが何なのか、っていう話じゃない。
何もかもをあきらめた気分になることがある。その気分がやってくるのが、夜だったり、朝だったりすることがある。もしそれが朝だったら、あきらめた気分ではじまる一日がある。私はため息をつく。何も解決はしないし、私は何も理解していない。
何だってかまわない。これは、「例えば」の話なんだから。例えば、で、霊夢。お前でもいい。お前の名前を使ってもいい。例えばの話なんだから。
その霊夢という名前が、ちゃぶ台を挟んで私の向かいに座っている。そこは神社でもいい。私の家でもいい。別のどこかでもいい。そこがどこだって、私と霊夢がいれば、話をすることになる。
例えば、の話をすることになる。
例えば、眠れない夜がある。その眠れない理由が、明日のこと、夜の次に来る朝のこともある。眠れないまま夜が明けて、その明日が今日になる。そのころになると、ようやく、私はとても眠くなる。そして、私はとても退屈な気分だ。そういう「例えば」の今日は、私はいつだって退屈なんだ。
退屈だから、無理にでもまた明日のことを考える。そしてまた不安になる。私は今日は何をするんだろう。私は明日は何をするんだろう。その次の明日は何をするんだろう。その明日は。そういう眠れない夜が、例えばあるとする。そして眠れない夜が明ければ、起きているのが当たり前の昼になる。すると、あの眠れなかった時間が、意味を失ったような気持ちになる。
午後。
陽の光を感じている。曇り空の冷たさを感じている。雨の滴の音を聞いている。向こう側にお前がいる。
私はただ時間をつぶしている。時間をつぶすということが、私たちの目的になり得るんだろうか、と考えている。
それで、例えばの話。例えばの話が、はじまるのでも終わるのでもなく、ただ、続いていく。
沈黙がある。時間が流れる。話がとぎれる。お前は目の前のお茶を見つめている。そして口を開く。
それが何なのか、ってことじゃない。そういう話じゃない。ただの、例えばの話。
紫や萃香や、レミリアや、他の誰かが、ここに来るかもしれない。私たちの場所にやって来るかもしれない。
でも、だから何だってことじゃない。
自分のこれまでの時間を考えることがある。自分のこれからの時間のことも。私は気が滅入ってしまう。
私はこう考える。決してこれは、私だけに責任があることじゃないんだ。長い時間、眠れない夜の間、繰り返されること。自分は本当に、本当に長い間、ずっとひどい目にあってきたんだ。そういうふうに私は考える。そう思わないと……気が狂いそうになる。まるで……誰かを殺してもかまわないような気分になる。私のこの気持ちが、他の誰かのせいならば。
それで、例えばの話だ。霊夢。例えばの話として、お前が殺されるのかもしれない。
殺されるってことにも、いろんな意味がある。ひどい目っていうのだって……ずっと……ずっと……私は。
例えば唇の端が歪む。今のお前みたいに。そこには普段見たことのないような筋肉の動きがある。
私は静かになる。
静かに
静
午後の終わりが近づく。例えばそうしているうちに。すると私たちの意識の集中もほどける。
庭に差す光とそれが作る影の具合が変わる。草の緑が鮮やかさをなくし周囲に溶け込む。歪んだ唇の輪郭も、とても曖昧なものになって、周りに溶けこんで消えてしまう。あるいはわからなくなってしまう。
」
これは、「例えば」の話だ。
例えば、空が曇っている。すると晴れているときにくらべて、そこの草の緑は周囲に対して溶けこんで見える。空が曇っていれば。でも、晴れていても曇っていても、その草の色は緑でしかない。だから、それは周囲との間に輪郭を残す。晴れているときとくらべて、それは鮮烈ではなく、曖昧であるかもしれないが。
これは「例えば」の話だ。だから、それが何なのか、っていう話じゃない。
何もかもをあきらめた気分になることがある。その気分がやってくるのが、夜だったり、朝だったりすることがある。もしそれが朝だったら、あきらめた気分ではじまる一日がある。私はため息をつく。何も解決はしないし、私は何も理解していない。
何だってかまわない。これは、「例えば」の話なんだから。例えば、で、霊夢。お前でもいい。お前の名前を使ってもいい。例えばの話なんだから。
その霊夢という名前が、ちゃぶ台を挟んで私の向かいに座っている。そこは神社でもいい。私の家でもいい。別のどこかでもいい。そこがどこだって、私と霊夢がいれば、話をすることになる。
例えば、の話をすることになる。
例えば、眠れない夜がある。その眠れない理由が、明日のこと、夜の次に来る朝のこともある。眠れないまま夜が明けて、その明日が今日になる。そのころになると、ようやく、私はとても眠くなる。そして、私はとても退屈な気分だ。そういう「例えば」の今日は、私はいつだって退屈なんだ。
退屈だから、無理にでもまた明日のことを考える。そしてまた不安になる。私は今日は何をするんだろう。私は明日は何をするんだろう。その次の明日は何をするんだろう。その明日は。そういう眠れない夜が、例えばあるとする。そして眠れない夜が明ければ、起きているのが当たり前の昼になる。すると、あの眠れなかった時間が、意味を失ったような気持ちになる。
午後。
陽の光を感じている。曇り空の冷たさを感じている。雨の滴の音を聞いている。向こう側にお前がいる。
私はただ時間をつぶしている。時間をつぶすということが、私たちの目的になり得るんだろうか、と考えている。
それで、例えばの話。例えばの話が、はじまるのでも終わるのでもなく、ただ、続いていく。
沈黙がある。時間が流れる。話がとぎれる。お前は目の前のお茶を見つめている。そして口を開く。
それが何なのか、ってことじゃない。そういう話じゃない。ただの、例えばの話。
紫や萃香や、レミリアや、他の誰かが、ここに来るかもしれない。私たちの場所にやって来るかもしれない。
でも、だから何だってことじゃない。
自分のこれまでの時間を考えることがある。自分のこれからの時間のことも。私は気が滅入ってしまう。
私はこう考える。決してこれは、私だけに責任があることじゃないんだ。長い時間、眠れない夜の間、繰り返されること。自分は本当に、本当に長い間、ずっとひどい目にあってきたんだ。そういうふうに私は考える。そう思わないと……気が狂いそうになる。まるで……誰かを殺してもかまわないような気分になる。私のこの気持ちが、他の誰かのせいならば。
それで、例えばの話だ。霊夢。例えばの話として、お前が殺されるのかもしれない。
殺されるってことにも、いろんな意味がある。ひどい目っていうのだって……ずっと……ずっと……私は。
例えば唇の端が歪む。今のお前みたいに。そこには普段見たことのないような筋肉の動きがある。
私は静かになる。
静かに
静
午後の終わりが近づく。例えばそうしているうちに。すると私たちの意識の集中もほどける。
庭に差す光とそれが作る影の具合が変わる。草の緑が鮮やかさをなくし周囲に溶け込む。歪んだ唇の輪郭も、とても曖昧なものになって、周りに溶けこんで消えてしまう。あるいはわからなくなってしまう。
」
でも、ちょっと違うな。引っかかるな。らしくないな。と思いました。
勘当を喰らっている彼女なら、もっと深く考えられるんじゃないかしら。
本当にとりとめもないことなのかしらん