※阿求が壊れます! 嫌いな方は今すぐ戻ってください! これを読んで阿求のイメージが壊れたとしても作者は責任を負いません!
それでも良い方のみ閲覧してください。
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私、本居小鈴は今とある事で悩んでいる。
しかも、現在進行系でだ。
私みたいな年齢で、などと思われるかもしれないが、今回は非常に重要な悩みだ。
何故なら、これを疎かにしてしまったりすると、後々にとんでもないことになりそうだからだ。
とは言っても妖怪とかのことではない。
ならば別に、そこまでのことじゃないかと気を抜かれる方も居るかもしれない。しかし、侮るなかれ、この問題の根源は私の友人でもあり、里の名家、稗田家の娘、稗田阿求のことだからだ。
ここで、普通の人で阿求絡みで重要な事と言われると、その阿求が編纂している幻想郷縁起のことではないかと予測するだろう。当たり前のことだ。最初の私だって阿求が「小鈴…大変よ」と言い出した時には縁起の編纂に何かあったのかと思ったものだ。
……ここまでの進め方で問題が縁起についてではないことに気付いた方が殆どだと思う。
それは正しい。どこも間違ってなんかいない。
だが、その阿求の悩みというのが非常に問題有りだったのだ。
では、その問題とは何か。実を言うと私はそれに直面したくない。ていうか、直面しないといけないのだが、逃げているという状況だ。
いや、分かってるのよ? 逃げてはいけないということくらい。最近流れてきた外の世界の物語の登場人物風に言うなら「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」ということである。
まあ…逃げることは不可能なんだけども。
何故か? それは私の目の前で阿求がそのことについてずっと話してきているからだ。
もう、私がこんなことをしている理由が分かったと思う。
そう、現実逃避だ。
結局逃げてるんじゃんとかは言わないでほしい。誰でも自分の友人が残念なことになっていたら現実逃避したくなるだろう。そして現実逃避しても仕方無いだろう。
とは言うが、そろそろ逃げているのも限界のようだ。阿求が話を聞いていないのではないかと勘繰ってきている。
「小鈴? 聞いてるの?」
「あぁ、聞いてるわよ。で、なんだっけ?」
「聞いてないじゃない! ちゃんと聞いててよ!」
「……はい。で…なに?」
「はぁ…」
と、溜め息をつきながら首を振っているが本当なら私のやる動作じゃないの?
「さっきから言ってるでしょ? 猫耳についてよ!」
目をキラキラさせて、息を荒くさせながらこの子は何を言っているんだろう。あっれー、日本語が理解できなくなっちゃったかなぁー。
「ねぇ! 聞いてるの!?」
「ア、ハイ。キイテマスヨー。ハッハッハ」
「なんで急にカタゴトになったのよ。絶対に聞いてなかったでしょ」
う…バレたか。阿求のジト目が痛い。
「そ、そんなことないわよ。猫耳でしょ?」
私は全く興味無いけどね。
心の中でそう思ったが、口に出す程愚かではない。
「そう! そうなのよ! あれ程素晴らしいものはないわよね!!」
「あ…うん…そうね」
素晴らしさとか全然分からないけどね。全く思ってないけどね。
「小鈴も同じ考えで嬉しいわ! じゃあ早速これを……」
全然同じ考えなんかじゃないですけどね。むしろ、正反対の考えですがね。
そんなことを思っていると何処からともなく出したあるものを私に差し出してきた。
「はい」
「これは…猫耳?」
そう、あるものとは猫耳だった。白色の…猫耳カチューシャというものだ。いったい何処で手に入れたんだろうか。
「そうよ。いわゆる猫耳カチューシャというものね。さっきも言ったけど私は猫耳も素敵だけど、やっぱり至高なのは猫耳カチューシャを着けている女の子なのよ!! これは何よりも素晴らしいわ!!! 小鈴もさっき同じ考えだと分かったからね、是非とも着けてみてよ」
……やっべ、全く聞いてなかった間に何か変なのに同意しちゃったみたいだ。ていうか今のこの子…確実に危ない子ね。猫耳カチューシャを差し出しながら息を荒くして女の子に迫っているって阿求のような見た目でも充分危ない子になっている。
あれ…私の手に負えない?
しまった、これはまずい。なんとか更生させようと思ったけど、これは手遅れかもしれない。
「さあ! さあさあさあ!」
…どうしよう。通報しようかな。何かこの子と友人とか認めたくないわ。
「…どうしたの? 着けないの?」
不思議そうに顔色を伺ってくるが何故に私が興味無いということに気付かない。阿求はそこまでお馬鹿じゃなかったはずだ。むしろ、賢かったはず。サヴァンとかって呼ばれてるし賢いはず。
でも…今の阿求からは賢さなんて微塵も出てない。残念さなら大量に出ているけど。
「あっ、小鈴も見たいのね? なら大丈夫よ! 二つ持ってきているから私も着けるから!」
やたら爽やかな笑顔でなにをほざいているのか。誰が見たいなどと言った。私は一言もそんなことは言っていない。てか別に見たくない。そこまで猫とか好きじゃないし。本の方が好きだし。
「……よし、と。はい、着けたわよ!」
いつの間にか阿求が猫耳カチューシャを着けていた。行動が早いなおい。こんなにアクティブだったっけ? 今更ながらこの友人のことが本格的に理解できなくなってきた。
「どう…? どう?」
不安そうな目でこちらに尋ねてくるが正直どうでもいい。別に阿求が猫耳をつけていようが、阿求の言う「萌え」とかは私に伝わってこないし、実際に見てもそんな感覚にはならない。
と、思うものの、もし、そんなことを言って阿求を怒らせては大変なことになる。それを私は過去の経験から身に染みて理解している。それについては今、語る気にはならないから置いておくとして…ここは「素晴らしい」とか言っておくべきなのか。まあ…そう言ってみるか。
「素晴らしいわね」
「! やっぱりよね!! やっぱり猫耳は最高よね!」
阿求が嬉しそうに身を乗り出してきた。こういっちゃなんだが気持ち悪い。
いやもう、これは友人とか呼びたくないですわ。見ず知らずの他人でいたいわ。残念オブ・ザ・イヤーとか受賞するわ。
「じゃ、小鈴も…うへへ」
おい、なんか変な笑い声が聞こえましたよ。女の子から発する笑い声じゃないのが聞こえましたよ。
まあ…好きなものを前にしたら、そうなるのも分かるけど、猫耳の見た目は可愛らしい女の子が猫耳を持ちながら友人に気持ち悪い笑い声出しながら迫ってるって、この後、薄い本的展開になっちゃうかもしれないじゃないの。
ならないけどね? ならないからね? いや、させないから。
まあ、それは置いといて、取り敢えず、話を逸らすためにあることを聞くことにした。
「ね、ねぇ、阿求?」
「なーに?」
「なんで私なの? 阿求なら他の人からも慕われてるし、頼めばやってくれるんじゃないの?」
そう、これが私の気になっていたことである。何故私なのか。それは、かなり重要なことだろう。
「? さっきも言ったじゃない。好きな子の猫耳を見たいからよ! そして猫耳着けて、あんなことやこんなことをしたいからよ!!」
あっ…駄目だこの子。変態趣味な上に百合だったとは。手遅れだ。
私も阿求のことは友人的になら好きだが、あんなことやこんなことは流石にしたくない。ご遠慮したいものだ。てか、手を出したら戻れない気がする。
「さあ…早く着けてよ…着けて…着けて…着けて着けて着けて着けてっ!!」
おぅ…余りにも私が先延ばしにしてたからか、壊れ出してしまった。こんな残念な子だが、一応、私の友人だから壊れるのをみすみす見ている程外道ではない。いや、本音を言えば見捨てたいけど、それはまずいだろうというのと、恩を売っとけば何かあるかもという考えだからだが。
「はぁ…着けるわよ」
そう言いながら虚ろな目で「着けて着けて着けて」と言い続ける阿求から猫耳カチューシャを受け取り頭に着けた。
…意外と軽い上に着け心地は悪くないのね。着ける前は重くて邪魔になりそうだと思ってたけど。
そう思いながら阿求を見ると
「はあはあはあはあ、可愛いわ小鈴。最高ねはあはあ」
めっちゃ鼻血を出して喜んでいた。
よし、通報しよう。
と、思って電話機に手を伸ばそうとしたら、突然体を掴まれた。やたらと強い力で。
「小鈴…奥へ行きましょう」
やばい、これはやばい。この目は本気だ。本気と書いて「マジ」と呼ぶ感じだ。逃げないとやばい。
でも逃げれない。ていうか動けない。
あれ? 阿求ってこんなに力…強かったかな?
「うふふふふふふ」
あっれ、体が引き摺られていく。なんでだろう。必死に抵抗してるのに全然効いてないなぁ。
さっきから声出そうとしても出せないなぁ…。
あぁ! 口に猿轡が噛ませてあるのね!
………っていつの間に!?
いーやー! はーなーしーてー!! たーすーけーてー!!!
と心の中で叫ぶものの助けなど、もちろん来るわけもなく、拉致られましたはい。
○ ○ ○
というわけで、私は現在、稗田家の屋敷の一室で首輪をつけられて監禁されてまっす☆
……いや、もう助けてよ。なんでこうなったのよ。
屋敷の人に会ったのになんで皆「あらあら、可愛いらしいペットですね」という目で私を見るのよ! おかしいでしょ! 犯罪でしょ! 助けなさいよ! なに!? 阿求の奇行に慣れてこうなっちゃったの!?
まあ、そんな私の叫びは届くこともなく、現在監禁生活満喫中である。
……誰か本当に助けて?
うん仕方ない
猫耳いいね。
もちょっと小鈴ちゃんの抵抗が見たかったかも。
猫耳の少女たちがにゃんにゃんとか最高ですね