【旧都:大通り】
走る、走る、走る
「おう姐御! 今日も…どどしたその格好!?」
擦れ違う人々の掛け声も聞こえない
「はっはぁ!勇儀嬢ともあろう方が酒でもこぼしたかぁ!!?」
酒で胸元まで濡れた上半身が冷える
血と傷の乾いた顔が強張る
「大方、例の嫉妬深いお嬢ちゃんに引っ掛かれたんだろうさ!」
(一歩、二歩…!!)
三!!
「どぅわ!?」「きゃぁ!!」
蹴散らされた通りの土が人々や家々に降り注ぎ
蹴散らした勇儀が砲弾の様に一直線に突き抜け
「パルスィぃぃぃぃぃぃぃぃぁ!!」
握り締めた…目が覚めた時、体に掛けられていた小さな上着がはためいた